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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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AIT-101の第2a相臨床試験
・ALS NEWS TODAYの4月13日付記事からです

▽AI Therapeutics社のALS治療薬候補であるAIT-101がC9orf72遺伝子変異ALSに対する第2a相試験において、poly(GP)タンパク質とよばれる、有害なジペプチド繰り返しタンパク質を減少させたことがわかりました

▽AIT-101は自食経路を活性化させ、有害なタンパク質の除去を促進させることにより治療的効果が期待されています。AIT-101はPIKfyveとよばれるタンパク質をターゲットとしています。PIKfyveは転写因子TFEBを活性化し、リソソームの産生を亢進させます。

▽この経路を活性化させることにより、有害なタンパク質の除去が促進することが期待されます。TDP-43変異を有する動物実験では治療効果が認められました

▽第2a相試験は15名のC9orf72遺伝子変異ALS患者が対象となり、6か月間の治療期間でバイオマーカーの変化などが観察されます。12週間の投薬後においてpoly(GP)凝集体が73%減少し、sGPNMBと呼ばれるバイオマーカーも有意に増加することがわかりました。

▽今後さらに大規模な試験での有効性の検証が予定されています

引用元
https://alsnewstoday.com/news/ait-101-clears-toxic-protein-clumps-early-clinical-trial-als/
自治医大にて孤発性ALSに対する遺伝子治療開始
▽待望のADAR2遺伝子治療が医師主導治験として開始されました。

▽孤発性ALSにおいてはRNA編集酵素であるADAR2(adenosine deaminase acting on RNA 2)の発現低下が起こり、その結果機能不全のグルタミン酸受容体が発現し、神経細胞死につながるとの病態仮説に基づく治療となります。

▽アデノ随伴ウイルスベクターにより正常なADAR2遺伝子を注入し、機能回復をはかる遺伝子治療です

詳細は以下の自治医大のHPをご参照ください
https://www.jichi.ac.jp/hospital/top/consultation/index.html
分子動力学によるALS治療薬候補の探索
▽最近、SOD1結合リガンド1(SBL-1)が、変異SOD1凝集のための重要な残基の酸化を試験管内で阻害することが示されました。

▽今回研究者らは分子動力学シミュレーションを用いて、変異SOD1タンパク質とSBL-1との相互作用を調査しました。

▽その結果、SOD1-SBL-1複合体が比較的安定であり、近距離で相互作用することがわかりました

▽SBL-1が低毒性での作用特性を持つことを示唆する結果が得られました。

▽以上の結果は、SBL-1がSOD1変異ALSに対する有望な治療戦略であることを示唆しています。

(この研究は、ブラジル、 Federal University of the State of Rio de Janeiro-UNIRIOのPereiraらにより報告され、2023年3月29日付のPharmaceutics誌に掲載されました)
TDP-43タンパク質凝集を防ぐペプチド結合剤の開発
▽TDP-43凝集体形成はALSの主要な病態と考えられています

▽TDP-43のLCD(low complexity domain)は凝集体形成を防ぐターゲット部位と考えられています。

▽研究者らは、この領域に結合うるペプチド結合剤を設計しました

▽その結果、これら結合剤のうちの1つが効率的にLCD部位に結合することがわかりました。また、この結合剤はチオフラビンT蛍光および沈降試験により、TDP-43凝集体形成を抑制することがわかりました

▽以上の結果は、TDP-43のLCDに対するペプチド結合剤がALS治療薬候補として有望な可能性を示唆するものです

(この研究は東北大学のKamagataらにより報告され、2023年4月20日付のBiochem Biophys Res Commun誌に掲載されました)
蛋白分解媒介剤はTDP-43凝集体を分解する
▽ALSの病態においてはTDP-43凝集体やオリゴマーが神経変性細胞をもたらすと考えられています

▽今回研究者らは、折り畳み異常TDP-43タンパク質に結合し、さらにユビキチンリガーゼE3への結合を媒介するPROTAC(proteolysis-targeting chimera)を開発し、折り畳み異常TDP-43タンパク質の分解を促進することにより病態改善を図ることができるかどうかを検証しました

▽TDP-43蛋白症細胞モデルおよびTDP-43蛋白症モデル線虫を用いて、PROTACの効果が検証されました。

▽異なる4種類のPROTACが合成され、そのうちの1つは、正常なTDP-43への影響なく細胞内TDP-43凝集体形成を抑制し、TDP-43蛋白症モデル線虫の運動機能を改善しました。

▽以上の結果は、PROTACがTDP-43蛋白症に対する治療戦略として有望な可能性を示唆するものです

(この研究は、台湾、National Taiwan UniversityのTsengらにより報告され、2023年4月26日付のJ Biomed Sci.誌に掲載されました)
ヒトiPS細胞由来神経前駆細胞はALSモデルマウスの病態を改善する
▽iPS細胞は神経前駆細胞に分化することが可能ですが、この細胞にグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)を導入したiNPC-GDNFは、ALSに対する治療的効果が期待されています

▽網膜変性モデル動物の網膜下にiNPC-GDNFを投与すると、光受容体の変性が阻害され、視機能が保存されました

▽さらにSOD1変異ALSモデルマウスの脊髄にiNPC-GDNFを投与すると長期間生着し、GDNFを産生し続けました。

▽以上の結果は、iNPC-GDNFが神経変性疾患の治療において有望な選択肢となりうる可能性を示唆するものです

(この研究は、アメリカ、 Cedars-Sinai Medical CenterのLaperle AHらにより報告され、2023年4月15日付のStem Cell Reports誌に掲載されました)
IL-10筋注はモデルマウスの病態を改善する
▽研究者らは最近、ALSモデルマウスにおいてマクロファージが骨格筋重量の保持に重要な役割を果たしていることをみいだしました。

▽マクロファージによる筋肉応答の調節とサテライト細胞の分化促進はALSモデルマウスにおける筋変性を防ぐことができる可能性があります

▽今回研究者らは、モデルマウスに対してIL-10を筋注し、病態ヘの影響を検証しました

▽その結果、IL-10注入はマクロファージとサテライト細胞による筋再生活性化をもたらし、モデルマウスの運動機能を改善することがわかりました

▽以上の結果は、IL-10がマクロファージなどの機能促進を介してALSの病態に対して治療的に作用する可能性を示唆するものです。

(この研究は、イタリア、Istituto di Ricerche Farmacologiche Mario Negri IRCCSのFabbrizioらにより報告され、2023年3月26日付のCells誌に掲載されました)
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