▽ALS患者の90-95%は原因がわからない孤発性ですが、5-10%は家族性ALSであり、最も頻度の高い遺伝子変異としてC9ORF72遺伝子変異が知られています。
▽Mayoクリニックの研究者らが今回、Nature Neurosienceに発表した論文により、孤発性ALSと家族性ALSの病態の違いについての理解が一歩前進するかもしれません。
▽研究者らは次世代シークエンシング技術を用いて、家族性ALSと孤発性ALSの脳組織におけるRNA代謝異常(選択的スプライシングと選択的プリアデニル化の異常)について調べました。その結果、ALS患者において様々なRNA代謝異常がみられました。さらに、異常のみられたRNAから生成する蛋白質が関与する代謝経路についても調べ、ALSの病態に関与する可能性のある分子機構についても予想しました
▽孤発性ALSとC9ORF72変異ALSとの間には、共通点もありましたが、RNA代謝異常のパターンに多くの相違点が存在することも明らかになりました。
▽この結果は、ALSにおいて、異なる要因が病態に関与している可能性を示唆するものであり、将来的には、早期診断のバイオマーカーとして利用されることや、テーラーメイド医療につながる可能性があります。
▽研究者らは今回の研究で得られたデータをpublic genomics data repositoryにて公表し、世界中の研究者が利用可能にすることで、ALS研究がさらに発展することを期待しています。
引用元
http://alsnewstoday.com/2015/07/22/differences-among-als-patients-might-key-novel-therapies/
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