▽ALS患者(26名)においては、健常対照群(年齢をマッチさせた55名)と比較して、酸化型コエンザイムQ10の比率(%CoQ10:全血清コエンザイムQ10に占める割合)の有意な増加、血清尿酸値の有意な低下、全遊離脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の比率の有意な減少、などの所見から、酸化的ストレスが増大していることが示唆されました
▽17名のALS患者にエダラボン投与(30mg/dayで週に1-4回、最低3ヶ月間、13名は6ヶ月間)の結果、ALSFRS-R得点の変化量は、エダラボン投与群で、非投与群(19名)と比較して有意に小さい結果となりました
▽エダラボン投与は、ALSFRS-R得点の変化量が-5点以上であった増悪群と比較して、ALSFRS-Rの変化量が0点以上の経過良好群において、平均血清遊離脂肪酸濃度を1標準偏差以上減少させ、組織酸化的損傷の指標であるパルミトレイン酸、オレイン酸濃度も1標準偏差以上減少させました。
▽エダラボン投与は、血清尿酸値を増加させ、このことは、エダラボンが過酸化亜硝酸を効果的に除去したことを示唆するものです。しかし、エダラボン投与は酸化型コエンザイムQ10の濃度は減少させませんでした
▽従って、エダラボンをコエンザイムQ10のような物質と同時に投与することが、ALSにおける酸化的ストレスの減弱に、より効果的である可能性があります
(この研究は、東京工科大学のNagaseらにより報告され、平成27年7月20日付のRedox Report誌に掲載されました)
引用元
http://www.maneyonline.com/doi/abs/10.1179/1351000215Y.0000000026?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed
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それから、すでに、患者が、試している、感じありそうですかね?
安全性が高いとはいえ、抗がん剤になりますので、実際の臨床的使用については、慎重を要するものと思われます。
臨床試験データベースのclinicaltrials.govの検索で調べてみましたが、アルツハイマー病に対する臨床試験は予定されているようですが、現段階ではALSに対する臨床試験はエントリーされていないようです。しかし今後開始される可能性はあると思います。
効果の有無についてはモデルマウス段階ですので、ヒトに対して有効かどうかは正直わからないです