▽ALSの病態にビタミンA(レチノイド)が関与しているとする報告があります。BexaroteneはレチノイドX受容体のアゴニストであり、安全性の高い皮膚リンパ腫の治療薬として知られています
▽今回、研究者らはBexaroteneのSOD1変異ALSモデルマウスにおける有効性について検証しました。ALSモデルマウスは60日齢より週に5回Bexaroteneが投与されました。
▽その結果、Bexaroteneは運動機能の悪化を有意に遅延させ、体重減少を改善し、生存期間を30%延長しました。組織学的な検討でも、Bexaroteneは、発症前から生じる初期の運動神経細胞喪失を著明に減少させていました。
▽Bexaroteneは、下位運動神経の恒常性維持を保持し、ユビキチン化封入体形成を減少させ、ライソゾーム反応を改善しました。同時にBexaroteneは反応性のアストログリオーシスを減少させ、細胞体周囲のシナプスを保存しました。
▽以上の結果は、SOD1変異モデルマウスにおいて、Bexaroteneが治療的効果を有する可能性を示唆するものであり、将来的な治療薬候補となることが期待されます。
(この研究はスペイン、University of CantabriaのRianchoらにより報告され、平成27年7月号のFrontiers in Cellular Neuroscience誌に掲載されました)
引用元
http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fncel.2015.00250/abstract
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