▽ALSの病態研究は2011年のC9ORF72遺伝子変異の発見により大きく進展しました。しかし、この遺伝子の細胞内での機能と、関連する蛋白質についてはほとんどわかっていませんでした
▽この問題にとりくんできた研究者らは、C9ORF72蛋白質に対する特異的な抗体を開発し、病態の解明を目指してきました
▽その結果、C9ORF72蛋白質は、健常な神経細胞においては核膜に局在化しているのに対して、病的な神経細胞では膜外に異常局在化していることがわかりました。この結果は2015年7月14日付のAnnals of Neurology誌に掲載されました
▽同時に、C9OFR72蛋白質は、核膜の内外の物質輸送に関与する、核輸送複合体と直接的に相互作用を行っていることがわかりました。そのような物質の1つがTDP-43です。正常ではTDP-43は核内に局在していますが、ALSにおいては細胞質内に異常局在化しています。TDP-43の細胞質における蓄積と凝集はALSの大半のケースでみられます。しかしC9ORF72との関連性はわかっていませんでした。
▽今回の研究結果により、C9ORF72蛋白質の核膜からの喪失が、TDP-43に起因した病態に関与していることがわかりました。
▽この結果は、C9ORF72蛋白質の異常が、核輸送複合体の正常機能を障害し、その結果、TDP-43が細胞質に蓄積することを示唆しています
▽今回の研究結果により、ALSの病因の1つとなる遺伝子異常と、病態生理との関連性が明らかになりました。このような関連性は家族性のみならず、ほとんどのALSにおいて共通している可能性があり、重要な知見といえます。将来的に有効な治療法開発につながることが期待されます。
引用元
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150715122405.htm
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トロント大学はアルツハイマー病の研究でも有名ですね。
同じ神経変性疾患のALSも期待大ですね!
それにしても、遺伝子治療に期待せずにいられません。
今回の研究からも根本治療には遺伝子治療が明るいような気がします。
横レスすいません。
私の理解では、患者申出療養制度とヒロさんが訴えているコンパッショネートユースは同じものです。
ヒロさんが注目しているBrainstormのNurOwnも患者申出療養制度が実施されれば使えるようになる可能性があります。
ただし、この制度に再生医療を含むか、Brainstormが薬の提供に応じるかなどの問題はクリアする必要があると思われます。
なお、厚生労働省は、日本で治験が進行中の薬の使用を「人道的見地からの治験参加」と制度化し、これを日本版コンパッショネートユースと呼んで、海外承認薬の使用を認める患者申出療養制度と区別しています。
どちらも未承認薬の使用という点でコンパッショネートユースだと思いますが、この辺も混乱に拍車をかけているようにかんじられます。
わかりやすい解説ありがとうございます。
私もよくつかめていませんでした。
いずれにしても、製薬会社側の全面的な協力と、実施医療機関の倫理委員会などの承認が必要と思われますので、なかなか敷居は高そうですね。コストの問題も大きいですね