ミクログリアは、病気などで障害を受けた脳組織を修復する免疫細胞と考えられていますが、発達段階の脳においての役割は不明のままでした。
本研究グループは、今回、脳の発達期におけるミクログリアの機能を解明するために、阻害薬や遺伝子改変マウスを用いてミクログリアの機能を抑制し、脳内を観察しました。その結果、運動機能をつかさどる神経細胞に選択的に細胞死が誘導されることを発見しました。これにより、ミクログリアが特定の神経細胞を保護する機能を持っていることが初めて示されました。また、ミクログリアが放出するインスリンに似たIGF1注2)という成長因子がその保護機能に関与していることも明らかになりました。
本研究から、ほ乳類における発達期の神経回路・細胞が維持される新たなメカニズムが明らかになりました。このミクログリアによる神経回路の保護作用を誘導することで、運動機能が障害を受ける筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの脳神経疾患に対する新たな治療法の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2013年3月24日(英国時間)に英国科学誌「Nature Neuroscience」のオンライン速報版で公開されます。
大阪大学プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20130325/index.html
- 関連記事
-
- 脳の細胞レベルで物理的な損傷が生じる可能性があることを発見
- ALSなど運動機能障害性の脳神経疾患への新たな治療法に光
- Nature誌にまた筋萎縮性側索硬化症 (ALS) での遺伝子変異が報告されました。
東北大のIGF1のその後の情報は何もないんですよ。僕も知りたいのですが・・・!