▽腸管微生物移行現象は、全身的なマクロファージを活性化を伴う炎症反応の自己増殖ループを形成しうるものです。ALSの進行において腸管微生物移行現象が関与しているかどうかを調べるため、研究者らはNP001の第2相試験の血液検体を用いて、6カ月間で治療患者の炎症マーカーの変化を評価しました
▽その結果、NP001投与群において、腸管微生物移行現象に関連するマーカー(LPS、IL-18、HGFなど)は、対照群と比較して有意に減少しました。一方で試験終了時点においてはIL-10、EGFなどの創傷治癒因子や免疫調節因子は増加がみられました。
▽以上の結果は、NP001がマクロファージの活性化を制御し、腸管微生物移行現象に関連した炎症反応を抑制することで治療的に作用する可能性を示唆するものです。
(この研究は、アメリカ、University of California San FranciscoのZhangらにより報告され、2022年11月12日付のBiomedicines誌に掲載されました)
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