▽ALSにおいてはフェロプトーシスの重要な制御因子であるグルタチオンペルオキシダーゼ4が発現低下していることが報告されています。
▽今回研究者らはバイオインフォマティクス解析により、ALSとフェロプトーシスとSPY1(Speedy/RINGO cell cycle regulator family member A)との間に強い関連があることを明らかにしました
▽SOD1変異ALSモデル細胞におけるフェロプトーシスによる過酸化脂質はTFR1がもたらした過剰な遊離鉄、GSHの減少、ミトコンドリア膜機能障害、ALOX15の発現増加などによりもたらされることがわかりました
▽SPY1はDNA損傷を抑制することによりSOD1変異細胞モデルの生存率を改善することが知られています。
▽ALSにおけるSPY1の発現低下はMDM2(核内局在性E3ユビキチンリガーゼ)を介したユビキチン化分解によるものであることがわかりました。
▽SPY1は鉄によって生じる脂質過酸化を軽減し、フェロプトーシス抑制因子であることがわかりました
▽神経細胞特異的にSPY1を過剰発現させると、ALSモデルマウスの発症を有意に遅延させ、生存期間を延長させることがわかりました。以上の結果は、SPY1がフェロプートシスとALSの両方の新規治療ターゲットであることを示唆するものです。
(この研究は、中国、he First Affiliated Hospital of Harbin Medical UniversityのWangらにより報告され、2022年11月28日付のCell Death Differ.誌に公表されました)
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