▽その結果、エクソソームのcoronin-1aの発現量が、ALS患者において対照群に比べ5.3倍高いことがわかりました。coronin-1aは、ALS患者の血漿やALSモデルマウスの脊髄において、病気の進行とともに増加していました。
▽また、NSC-34細胞でcoronin-1aを過剰発現させたところ、アポトーシスと酸化ストレスが増加し、自食作用の過剰活性化と、オートリソゾームの形成が阻害されました。さらに、coronin-1aはカルシウム依存性リン酸化酵素のカルシニューリンを活性化し、オートファゴソームとライソソームの融合を阻害しました。
▽シクロスポリンAによるカルシニューリン活性化の阻害は、オートリソソームの障害を回復させました。
▽以上の結果は、coronin-1aがALSの病態において重要な役割を果たしている可能性を示唆するものであり、今後の治療法開発のターゲットとなりうる可能性があります
(この研究は中国、Shanghai Jiao Tong University School of MedicineのZhouらにより報告され、2022年6月1日付のFront Med.誌に掲載されました)
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