▽Science誌に掲載された論文によると、細胞のSwiss Army knife(多様な機能を有するツール)と呼ばれるcdc48蛋白質がALSなどの神経変性疾患の治療ターゲットとなりうることが報告されました。
▽cdc48はヒトではp97とよばれており、細胞内の様々なプロセスの制御に関与しています。細胞のエネルギー源となるATP産生に関与し、蛋白質の品質コントロールに重要な役割を果たしています。
▽cdc48遺伝子変異は神経変性疾患の原因となることが知られています。cdc48は多くの基質と相互作用を行います。cdc48はリング状の6量体を形成し、様々な補助因子と結合し、様々な機能を果たします。
▽研究者らはco-immunoprecipitation(co-TP)とよばれる技術を用いて酵母細胞からcdc48蛋白質を精製し、cdc48が蛋白質の折り畳み構造を展開する過程の蛋白質複合体の様々な形態を、低温電子顕微鏡法(cryogenic electron microscopy(cryo-EM))を用いて撮像しました。
▽その結果、cdc48は蛋白質の折り畳み構造を展開する際に、らせん状の形態をとり、対象とする蛋白質に結合し、さらにその蛋白質を中心孔に透過させることで展開することがわかりました。
▽このような作用機構の詳細がさらに明らかになることにより、cdc48異常が関与する神経変性疾患の病態解明が進展することが期待されます。
引用元
https://alsnewstoday.com/2019/07/17/structure-cdc48-may-provide-clues-designing-new-als-therapies/
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