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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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FDA諮問委員会がtofersenのバイオマーカーデータを評価
・ALS NEWS TODAYの3月24日付記事からです

▽FDAの諮問委員会はSOD1遺伝子変異ALSにおいてニューロフィラメント軽鎖の変化がtofersenによる治療効果を予測する可能性が高いと判断しました

▽ただし、実際の臨床効果については僅差で否定的な見解が上回りました。FDAはこの結果を受けて4月25日までにtofersenの承認の是非について判断する予定です

▽tofersenはアンチセンス・オリゴヌクレオチド製剤であり、有害なSOD1タンパク質の生成を阻害します。

▽既に終了した第3相試験ではtofersenはSOD1タンパク質濃度を減少させることが示されました。ただし、ALSFRS-R得点の変化率については有意な効果を確認することができませんでした。ただしその後の延長試験においては初期の段階でtofersenを投与された患者の方が、進行がより遅いことを示唆する結果が得られました

▽またtofersenはニューロフィラメント軽鎖を減少させることがしられており、この減少の程度がより顕著であった患者群においては進行遅延効果がより高いことを示唆する結果が得られています

▽諮問委員会では迅速承認について5名が反対、3名が賛成、1名が棄権の結果でした

▽現在Biogen社はtofersenの新たな第3相試験を実施しています。

引用元
https://alsnewstoday.com/news/panel-favors-tofersen-biomarker-data-mixed-on-efficacy-sod1-als/
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COYA302の小規模臨床試験

・ALS NEWS TODAYの3月22日付記事からです

▽ALS治療薬候補であるCOYA302の小規模臨床試験の結果によると4名の患者が顕著な病態進行遅延効果を示したとのことです。

▽COYA302は免疫系のシグナル分子であるIL-2とabataceptとよばれる融合タンパク質を組み合わせた製剤であり、皮下注で投与されます。制御性T細胞の活性を増加させ、炎症反応を減少させることによる治療効果が期待されています。

▽この小規模試験では4名の患者が対象となり48週間投与されました。安全性は良好でした。参加者は試験参加前は毎月平均1.1点の割合でALSFRS-R得点が減少していましたが、治療開始後1年間では平均1.5点の減少にとどまりました。

▽今後さらに大規模な臨床試験で有効性を検証したいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/news/mda-2023-coya-302-therapy-slows-als-progression-early-trial/
stathmin-2を対象とした治療薬開発

・ALS NEWS TODAYの3月28日付記事からです

▽ALSの大半のケースにおいてTDP-43の機能不全はstathmin-2とよばれるタンパク質の濃度低下をもたらします。それにより神経細胞の機能異常が生じることが報告されています

▽この低下したstathmin-2タンパク質濃度を回復させるDNA治療法がマウスの実験で良好な結果を示しました

▽TDP-43はmRNAのスプライシングにおいて重要な役割を果たしています。TDP-43濃度が減少すると、STMN2遺伝子のスプライシングが変化し、cryptic exonとよばれる配列が除去されずに残るようになります。TDP-43は正常な状態においてはこのcryptic exonに結合し、成熟したmRNAにこの配列が含まれない役割を果たしていることがわかりました

▽しかしTDP-43の機能が障害されると、異常なmRNAが生成し、正常なstathmin-2タンパク質が作られなくなります

▽stathmin-2タンパク質が欠乏すると、神経細胞が損傷後に回復できなくなることがわかりました。研究者らはTDP-43の機能を模倣するアンチセンス・オリゴヌクレオチドを作成し、正常なstathmin-2タンパク質の生成を回復させることにより、モデルマウスの病態が回復することを示しました。今後の実用化が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/news/mda-2023-designer-dna-drug-als-shows-promise-early-studies/
Anew社のALS治療薬候補が基礎実験で有望な結果
・ALS NEWS TODAYの3月17日付記事からです

▽Anew Medical社のALS治療薬候補であるANEW-202がマウスでの実験で良好な結果を示しました

▽ANEW-202はsecreted-Klotho(s-KL)と呼ばれるタンパク質を生成する遺伝子治療薬です。このs-KLは筋肉や神経細胞の生存を補助する機能を発揮することが期待されています

▽SOD1変異ALSモデルマウスにおいて、s-KLをウイルスベクターで筋肉や神経細胞に導入し過剰発現させたところ、酸化的ストレスの減少効果、発症遅延効果や生存期間の延長効果が確認されました。

▽現在、孤発性ALS類似の病態を示すProfilin 1モデルマウスにおける有効性の検証が予定されています。


引用元
https://alsnewstoday.com/news/anews-als-gene-therapy-shows-promise-mice/
RAG-17がorphan drug指定
・ALS NEWS TODAYの3月8日付記事からです

▽Ractigen Therapeutics社のALS治療薬候補であるRAG-17がFDAよりorphan drug指定を受けました

▽RAG-17はSOD1タンパク質の発現を抑制するように作成されたsiRNA製剤です。

▽siRNAはSOD1遺伝子のmRNAに結合し、有害なタンパク質の生成を阻害します。RAG-17はsiRNAにオリゴヌクレオチドで修飾し、中枢神経に届けることを可能とするSmart Chemistry-Aided Deliveryと呼ばれる薬剤運搬プラット―フォームを利用しています

▽モデルマウスでは有望な結果が得られており、早期に臨床試験を行いたいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/news/fda-names-rag-17-targeting-als-gene-mutations-orphan-drug/



CNM-Au8の長期投与試験
・ALS NEWS TODAYの3月7日付記事からです

▽Clene Nanomedicine社のALS治療薬候補であるCNM-Au8ですが、残念な結果となったHEALEY ALSプラットフォームによる第3相試験とは別に、長期投与試験において有益性を示唆する結果が報告されました。

▽この報告は第2相試験の長期延長試験の結果によるものです。CNM-Au8は金ナノ結晶を含む経口懸濁液であり、神経細胞のエネルギー供給をサポートし、酸化的ストレスから神経細胞を保護することにより治療的効果が期待されています。

▽第2相試験において9カ月投与が速い群は9か月後に投与が開始された群と比較して死亡リスクが70%低く、また進行も緩やかであることが示されました。

▽長期投与による安全性は良好でした。今後長期的投与による有益性についてはさらに大規模なデータにより検証される必要があります

引用元
https://alsnewstoday.com/news/slower-progression-experimental-als-treatment-cnm-au8/
pridopidineの第2相試験結果
・ALS NEWS TODAYの3月1日付記事からです

▽pridopidineの第2相試験結果が報告され、主要評価項目は達成できませんでした。しかしながら発症早期の患者については呼吸機能や発語機能がより良好である可能性を示唆する結果が得られました

▽pridopidineはシグマ1受容体のアゴニストであり、神経細胞を損傷から保護する効果が期待されています。24週間で行われた第2相試験では、ALSFRS-Rの変化率はプラセボ群と有意差を認めませんでした。

▽しかし最近診断された急速に進行する患者群においてはpiridopidineはプラセボ群と比較してALSFRS-R得点変化量を約5点減少させることがわかりました。

▽ニューロフィラメント軽鎖濃度はプラセボ群と比較して24週間で約40%減少がみられました。

▽今後さらに有効性に関する検証を続けたいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/news/pridopidine-shows-some-potential-in-healey-trial-but-misses-main-goal/

ペランパネルと血中濃度との関連
▽研究者らは孤発性ALSの進行と血清ペランパネル濃度の関係を臨床試験の事後解析により検討しました

▽12名の患者の解析結果によると、平均血清ペランパネル濃度が400ng/ml以上の患者は、対照群と比較して嚥下サブスコアが有意に悪い結果となりました。全体の進行度については有意差はありませんでした。

▽以上の結果は、高濃度ペランパネルが嚥下機能に悪影響を与える可能性を示唆するものです

(この研究は東京医科大学のkatoらにより報告され、2023年3月13日付のJ Clin Neurol誌に掲載されました)

CDNFは小胞体ストレスをターゲットとし神経細胞を保護する
▽今回、研究者らは小胞体関連タンパク質である脳ドーパミン神経栄養因子のモデル動物に対する有効性を検討しました

▽CDNFを脳室内投与すると、SOD1変異ALSモデルマウスおよびTDP-43タンパク症モデルマウスにおける病態進行が顕著に遅延しました

▽CDNFは小胞体ストレス関連細胞死を防ぎ、小胞体ストレス応答を緩和することがわかりました

▽以上の結果はCDNFがALS治療薬候補として有望な可能性を示唆するものです

(この研究はフィンランド、University of HelsinkiのDe Lorenzoらにより報告され、2023年3月16日付のBrain誌に掲載されました)
ALSとセロトニン
▽これまでにALSの病態はセロトニンと関連することが報告されています。研究者らはセロトニン受容体阻害薬をSD1変異ALSモデルマウスに投与し、その影響を調べました

▽セロトニン3受容体阻害薬であるgranisetron投与により、モデルマウスの体重が減少しました。一方でセロトニン4受容体阻害薬のpiboserodおよびセロトニン5阻害薬のritanserin投与はマウスの運動機能の増悪をもたらしました

▽これらのセロトニン受容体阻害薬投与により、SOD1タンパク質の発現増加がみられました。またTDP-43凝集体も増加することがわかりました

▽以上の結果はセロトニン欠乏がALSの病態に関与しており、セロトニンが治療法開発のターゲットとなりうる可能性を示唆するものです

(この研究は、中国、Clinical College of Nanchang Medical CollegeのJiangらにより報告され、2023年9月号の Neural Regen Res誌に掲載予定です)
オリゴデンドロサイト前駆細胞を用いた単鎖可変領域フラグメントの送達
▽SOD1変異ALSに対する抗体療法は有効性が期待されていますが、抗体を中枢神経に送り届けることの困難さから実用性に乏しいものでした。

▽今回、研究者らはオリゴデンドロサイト前駆細胞を用いた単鎖可変領域フラグメントの送達システムを開発し、その有効性を検討しました

▽ウイルスベクターを用いてオリゴデンドロサイト前駆細胞に折り畳み異常SOD1タンパク質に対する新規モノクローナル抗体である単鎖可変領域フラグメントを分泌させることに成功しました

▽このオリゴデンドロサイト前駆細胞を単回髄腔内投与することにより、モデルラットにおいて病態改善効果がみられました。

▽以上の結果はオリゴデンドロサイト前駆細胞を用いた抗体送達が新規治療法となりうる可能性を示唆するものです

(この研究は滋賀医科大学のMinamiyamaらにより報告され、2023年2月4日付のMol Ther Methods Clin Dev.誌に掲載されました)
HonokiolがALSモデルマウスの病態改善効果
▽Honokiolはこれまでに、脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患モデルにおいて治療的効果を発揮することが確認されています

▽今回、研究者らはhonokiolのALSモデルマウスおよび細胞モデルにおける治療的効果を検討しました

▽honokiolは、変異SOD1タンパク質を発現するNSC-34運動神経様細胞の生存率を向上させました。honokiolは、グルタチオン合成を促進し,NRF2-ARE経路を活性化することにより、細胞の酸化ストレスを緩和することがわかりました。

▽またhonokiolはSOD1変異ALSモデルマウスの生存期間を延長し、運動機能の改善効果を示しました

▽以上の結果は、honokiolがALS治療薬候補として有望な可能性を示唆するものです

(この研究は中国、Chinese Academy of Medical Sciences & Peking Union Medical CollegeのZhouらにより報告され、2023年2月号のActa Pharm Sin B.誌に掲載されました)
自食関連タンパク質のウイルスベクター注入による治療的効果
▽自食作用の活性化はALSの治療法として精力的に研究されています

▽Rab7は自食作用において重要な役割を果たしています。これまでに研究者らはALSモデル動物においてRab7の翻訳後修飾であるプレニル化が障害されていることを報告しています

▽そこで研究者らはRab7のプレニル化を触媒する酵素であるRabGGTBをウイルスベクターで注入し、治療効果があるかどうかを調べました

▽ALSモデルマウスの脊髄にRabGGTBをエンコードするアデノ随伴ウイルスベクターを注入し、RabGGTBを過剰発現させたところ、モデルマウスの発症遅延効果と生存期間の延長効果がみられました。

▽以上の結果は、RabGGTBによるRab7のプレニル化促進がALS治療法として有望な可能性を示唆するものです

(この研究は中国、 The Second Hospital of Hebei Medical UniversityのGaoらにより報告され、2023年3月14日付の Front Aging Neurosci.誌に掲載されました)

間葉系幹細胞移植の長期的効果
▽間葉系幹細胞移植は有望な治療法と考えられていますが、追跡研究はほとんどありませんでした

▽今回、研究者らは2002年と2006年に実施された2つの間葉系幹細胞移植の第1相試験の結果を事後解析し長期的有効性について検討しました

▽19名の患者の長期予後追跡結果が解析に用いられました。各患者について、診断時の期待される生存期間を逆算するために、ENCALSの生存予測モデルが用いられました

▽その結果、全体の予測生存期間と観察された生存期間の差は有意で、平均予測生存期間と比べて実際の平均生存期間は50カ月近く長いものでした。

▽以上の結果は、間葉系幹細胞移植が長期予後を改善する可能性を示唆するものであり、今後さらに大規模なデータによる検証が期待されます

(この研究はイタリア、University of Eastern PiedmontのDe Marchiらにより報告され、2023年3月15日付のCytotherapy誌に掲載されました)
MtkとHsp90抑制によるC9orf72遺伝子変異モデル動物の病態改善
▽C9orf72遺伝子変異ALSにおいては、毒性を有するジペプチド繰り返しタンパク質であるpoly-GRなどが生成しますが、その毒性発揮機序はよくわかっていません。

▽モデルショウジョウバエを用いたpoly-GR毒性のRNA-seq解析では、Mtkなどの抗菌ペプチド遺伝子やHsp遺伝子の活性化が起きていることがわかりました

▽モデルショウジョウバエにおいてMtk遺伝子をノックダウンするとpoly-GR毒性が緩和しました。またHsp90のノックダウンも同様にpoly-GR毒性を緩和することがわかりました

▽以上の結果は、MtkやHsp90がC9orf72遺伝子変異ALSにおいて治療ターゲットとなりうる可能性を示唆するものです

(この研究はアメリカ、 UMass Chan Medical SchoolのLeeらにより報告され、2023年3月10日付のNeuron誌に掲載されました)
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