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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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QRL-101の第1相試験開始
・ALS NEWS TODAYの1月11日付記事からです

▽QurAlis社のALS治療薬候補であるQRL-101の健常者に対する第1相試験が開始されました

▽この第1相試験では40人の健常者を対象にQRL-101の安全性などが検証されます

▽ALSにおいては患者の50%に過剰興奮性がみられることが知られており、この過剰興奮性はカリウムチャネルの機能障害が関与しているとの報告があります。

▽研究者らは、運動神経細胞の過剰活性化がKv7.2/7.3と呼ばれるカリウムチャネルの活性低下と関連していると考えました。 臨床試験では、Kv7.2/7.3を活性化する抗けいれん薬であるEzogabineが、ALS患者の運動神経細胞の過剰興奮を抑制することができることが確認されました。しかし、エゾガビンはKv7.2/7.3以外のチャネルにも作用するためか副作用の懸念が大きなものでした

▽QRL-101(QRA-244)は、Kv7.2/7.3をより選択的に標的とし、Ezogabineと比較して副作用が少ない経口投与可能な分子として開発されました。

▽モデルマウスでの実験などにより、安全性が高いことを示唆する結果が得られています。QurAlis社はそのほかにも薬剤を開発中であり、TDP-43蛋白症の病態改善を目指し、stathmin-2タンパク質の産生を増加させるように設計されたQRL-201なども含まれています。今後の臨床試験の進展が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/news/first-participants-dosed-phase-1-trial-als-therapy-qrl-101/
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ANX005の第2相試験
・ALS NEWS TODAYの1月13日付記事からです

▽Annexon Biosicences社のALS治療薬候補であるANX005の第2相試験において病態進行遅延を示唆する結果がえられたことが公表されました

▽この結果は8名の患者を対象とした22週間までの試験の予備的結果によるものです。

▽免疫系を構成する補体系のタンパク質であるC1qはシナプスの数の制御にも関与していることが報告されています。このタンパク質はシナプス数を制御し、適切な神経回路を形成するシナプスのみを残すように作用します

▽一方でALSなどの神経変性疾患ではC1qの活性化が慢性的に生じ、神経の損傷が促進することが報告されています

▽ANX005は、C1qに結合してその活性を阻害するように設計された抗体医薬品です。

▽現在進行中の第2相試験では、患者は約5〜6日間隔で2回の導入投与を受け、その後、22週目まで2週間ごとに注射を受けます。その後さらに14週間の追跡調査が行われます。8名の患者の予備的な結果によると、すべての患者で病気の進行遅延ないし停止を示唆する結果が得られました。

▽今後さらに24名までの患者で安全性などが検討される予定です

引用元
https://alsnewstoday.com/news/annexon-anx005-slows-als-progression-phase-2-study/
Stentrodeが4人のALS患者においてPCの使用を可能とした
・ALS NEWS TODAYの1月18日付記事からです

▽Synchron社の埋め込み型ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)であるstentrodeは小規模臨床試験で良好な安全性を示し、4名のALS患者が買い物や電子メールの送信などのオンライン活動を実行することができました。

▽これまで開発されたBCIデバイスのほとんどは、脳に埋め込む手術が必要で、侵襲的であるため、その使用は制限されてきました。

▽Stentrodeは、より簡単に埋め込むことができるように設計されています。小さなチューブ状の装置であり、首の静脈を切開して脳まで静脈を通り挿入されます。 脳センサーは、胸部の皮下に設置された送信ユニットにワイヤーで接続され、無線でコンピューターに信号を送信します。ノートパソコン上の市販のソフトウェアで操作することができます

▽stentrodeの最初の臨床試験では、ALS患者で重度の上肢麻痺を持つ成人4人にStentrodeが装着され、1年間追跡調査されました

▽重篤な副作用はなく、血液凝固の問題も引き起こさないことがわかりました。

▽最初の患者は9回のトレーニングで、自宅でコンピューター作業を行えるようになり、他の3人の患者は1回のトレーニングで作業を行えるようになりました。 このシステムを使って、電子メール、テキストメッセージ、買い物、個人的な金銭管理、介護者との必要事項の伝達などをこなしました。1分間に平均16.6文字を入力し、97.2%が正しい文章を入力したことが確認されました

引用元
https://alsnewstoday.com/news/stentrode-device-4-paralyzed-als-patients-use-computers/
幹細胞から成熟神経細胞を培養
・ALS NEWS TODAYの1月19日付記事からです

▽Cell Stem Cell誌に1月12日に公表された報告によると研究者らは幹細胞から成熟神経細胞を培養する新たな方法を開発しました

▽この手法によりALS患者由来の幹細胞から培養した運動神経細胞においてタンパク質の凝集を初めて観察することに成功しました。治療法開発に応用できる可能性があります

▽iPS細胞由来の神経細胞はこれまで研究に用いられてきましたが、欠点としてiPS細胞由来の神経細胞は若く、完全には成熟しない問題がありました。

▽iPS細胞を用いた培養において神経細胞の発生を制限する主な要因の1つは、細胞を取り囲むタンパク質やその他の分子のネットワークである細胞外マトリックスが存在しないことでした。研究者らはiPS細胞からより成熟した神経細胞の発生を促進するために人工的な細胞外マトリックスを開発しました

▽この新しいシステムを用いて、SOD1変異ALS患者由来iPS細胞より神経細胞を培養したところ、SOD1タンパク質の凝集体が従来よりも多く観察されました。

▽今後はこの技術をALSにおける細胞置換療法に応用する方向性を研究したいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/news/new-way-grow-mature-nerve-cells-als-research/
FDAがTofersenの承認を審査予定
・ALS NEWS TODAYの1月26日付記事からです

▽FDAはBiogen社のSOD1変異ALS治療薬候補であるtofersenについて承認審査の判断材料とするための諮問委員会を3月22日に開催することを公表しました

▽もともとは承認の是非については1月25日に決定予定でしたが、追加のデータが提出されたためさらに審査が継続されていました。

▽最終的な承認の是非の決定は4月25日の予定です

▽SOD1変異によるALSは家族性ALSの20%、孤発性ALSの2%にみられます。Tofersenはアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤であり、変異SOD1タンパク質の産生を抑制し、神経細胞死を防ぐことにより治療的効果が期待されています

▽既に行われた第3相試験では主要評価項目は達成できず、一方で髄液中のSOD1タンパク質などは減少がみられました

▽一方で延長試験に参加した患者のデータも含めると、進行を有意に遅延させることを示唆する結果が得られました。

▽現在発症前でニューロフィラメント軽鎖濃度の上昇を示す患者を対象に第3相試験が実施中です

引用元
https://alsnewstoday.com/news/fda-seeks-input-tofersen-approval-als/
HDLコレステロールと予後の関係
・ALS NEWS TODAYの1月27日付記事からです

▽善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールが高いと予後が有意に良くないことがオランダのコホート研究により報告されました

▽一方で総コレステロールとLDLコレステロールについてはALSの進行期において低値となることがわかりました

▽今回の知見はこれまでに報告されていたHDLコレステロール濃度が高いことはALSリスクが低いことと関連するとの報告とは矛盾しており、リスクと病態とは区別する必要がある可能性があります

▽メタ解析も同時に実施されており、こちらについては総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロールと生存率との間に統計的に有意な関連は認められませんでした。

▽一方で1324名のALS患者を対象とした観察研究においてはHDL高値と病態進行率との間に有意な関連が認められました。

引用元
https://alsnewstoday.com/news/lower-als-survival-ratel-linked-higher-good-cholesterol-levels/
Utreloxastatの第1相試験で安全性を確認
・ALS NEWS TODAYの1月30日付記事からです

▽ALS治療薬候補であるUtreloxastat(PTC857)が健常者を対象とした第1相試験で良好な安全性と忍容性が確認されました

▽この試験結果を受けPTC Therapeutics社は258名のALS患者を対象とした第2相試験を開始しています

▽ALSにおいては酸化的ストレスが病態に関与していると考えられており、酸化的ストレスは15-lipoxygenaseと呼ばれる酵素を誘導し、神経細胞死をもたらすと言われています

▽Utreloxastatは15-lipoxygenaseの活性を阻害することにより神経細胞死を防ぐことが期待されている薬剤です。

▽14日間の投与試験により副作用は軽度で重篤な有害事象はみられませんでした。

▽現在進行中の第2相試験では、1日2回(250 mg)、24週間(約6カ月)utreloxastatがプラセボ対照で投与され、有効性などが評価される予定です。

引用元
https://alsnewstoday.com/news/als-study-results-clear-way-test-utreloxastat-patients/
末梢IL-1β抑制はモデルマウスでの病態を緩和する
▽ALSの病態においては炎症反応、特にインターロイキン1β(IL-1β)の上昇が病態進行に重要な役割を果たすことが報告されています。

▽今回研究者らは、オピチニューリン変異ALSモデルマウスを作成し、末梢IL-1β抑制の効果を調べました

▽抗IL-1β抗体を尾静脈に静注し、IL-1βを中和したところ、神経細胞死とアストログリオーシスの抑制が観察されました。また筋力と運動能力の改善効果がみられました。

▽以上の結果は末梢IL-1βの抑制がALSにおいて治療的効果を有する可能性を示唆するものです

(この研究は、中国、Central South UniversityのHuらにより報告され2022年12月27日付のAnimal Model Exp Med.誌に掲載されました)
C9orf72遺伝子変異ALSに対するhnRNPA3の治療的効果
▽C9orf72遺伝子変異ALSにおいてはリピート関連非開始コドン依存性翻訳により異常な反復配列を有するRNA(GGGGCC繰り返し配列RNA)が生じ、さらにそこから生じたジペプチド繰り返しタンパク質などが細胞傷害性を発揮することで神経細胞死がもたらされると考えられています。

▽研究者らは繰り返し配列RNAをターゲットとするヒトRNA結合タンパク質がC9orf72遺伝子変異ALSの病態緩和効果を有するかどうかをショウジョウバエモデルで調べました。その結果hnRNPA3、IGF2BP1、hnRNPA2B1、hnRNPR、SF3B3などのRNA結合タンパク質の発現を増加させると病態緩和効果を発揮することがわかりました

▽またhnRNPA3によるGGGGCC繰り返し配列RNAの減少が、RNA凝集体やジペプチド繰り返しタンパク質の蓄積などの病理を抑制しうることがわかりました。

▽以上の結果は、hnRNPA3やその他のRNA結合タンパク質が生体内の繰り返し配列RNAの毒性を緩和することを示唆しており、内在性RNA結合タンパク質により繰り返し配列RNAの抑制がC9orf72遺伝子変異ALSに対する治療戦略となりうる可能性があります。

(この研究は近畿大学のTaminatoらにより報告され、2023年1月5日付のHum Mol Genet.誌に掲載されました)
ラパマイシンの治療的効果
▽ALSの病態にTDP-43タンパク質の細胞質内凝集体が関与していると考えられていますが、TDP-43凝集体はアルツハイマー病や脳卒中後にもみられることがしられています。

▽脳梗塞モデルラットにおいては、TDP-43凝集体の存在と同時にミトコンドリア機能の低下、グリオーシスの増加などが観察されます。

▽今回、研究者らは脳梗塞モデルラットにおいてラパマイシンを投与し、治療的効果を調べました。その結果、ラパマイシン投与により、TDP-43タンパク質凝集体の減少、ミトコンドリア機能の回復、アポトーシスの抑制、梗塞領域の減少、運動機能の改善効果などがみられました。

▽以上の結果は、ラパマイシンがTDP-43凝集体による病態を改善し治療的効果をもたらしうることを示唆するものです。

(この研究は、台湾、Taipei Medical UniversityのTsouらにより報告され、2022年12月30日付のInt J Mol Sci誌に掲載されました)
ロバスタチンに神経保護作用か
▽アメリカの公的保険(Medicare)受給者のデータをもとに、症例対照研究が行われました。

▽1128名の運動ニューロン疾患患者が抽出され、年齢、性別、人種などをマッチさせた56400名の対照群とリスク因子が比較されました

▽1000以上の処方薬剤とリスクとの関連が検討された結果、スルファサラジン、テルミサルタン、ロバスタチン処方者において有意な運動ニューロン疾患のリスク低下が認められました。

▽続いて、SOD1変異ALSモデルマウスにおいてこれら薬剤を投与したところ、スルファサラジン、テルミサルタンでは利益がなかったものの、ロバスタチン投与は発症遅延効果、生存期間延長効果を認めました。

▽疫学研究のデータではロバスタチン40mg/日投与はALSリスクを28%減少させることを示唆する結果が得られました。

▽以上の結果が今後前向き研究などで検証されることが期待されます。

(この研究はアメリカ、ワシントン大学のKrepleらにより報告され、2023年1がつ10日付のAnn Neurol.誌に掲載されました)
2022年10大ニュース
・ALS NEWS TODAYで恒例の10大ニュースがまとめられていました。第1位はAMX0035の承認のニュースかと思ったのですが、意外なことにコレステロールトランスポーターApoB100が孤発性ALSの病因となりうるかもしれないとのニュースでした。ApoB100を健康なマウスの髄液に注入するとALS様の病態が再現されたとのことで、治療ターゲットにもなりうるかもしれないとのことです。

・第2位には日本の超高用量ビタミンB12の第3相試験の結果が入りました。世界的にも期待が高いことがうかがえます。

・その他10本の記事のうち5つはAMX0035に関するニュースでその他は近年発展のめざましいBCIに関するニュースと、腸内細菌叢とALSの病態に関する話題、ラジカット経口懸濁液のニュースが入りました。

・今年はさらに良いニュースを期待したいと思います

引用元
https://alsnewstoday.com/news/top-10-als-stories-2022/
ATH-1105が基礎実験で良好な結果
・ALS NEWS TODAYの1月10日付記事からです。

▽Athira Pharma社のALS治療薬候補であるATH-1105がモデルマウスでの実験で神経障害を防ぎ運動機能を改善する効果があることが確認されました

▽今後臨床試験の実施許可申請をFDAに提出予定となっています。

▽ATH-1105はHGF/MET経路を活性化する小分子です。この経路は神経細胞の恒常性を維持するために重要な機能を果たしていると考えられています

▽TDP-43変異によるALSは家族性ALSの4%、孤発性ALSの1%に存在すると見積もられていますが、TDP-43変異モデルマウスにおいてATH-1105は炎症マーカーであるIL-6やTNF-αなどを減少させ、神経細胞の変性を防ぎ、運動機能の改善効果を示すことが確認されました。

▽今後の臨床試験での有効性の確認が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/news/ath-1105-aid-nerve-health-motor-skills-als-mouse-model/
新規臨床試験情報(Dazucorilant)
・オランダでの新規臨床試験情報です。Dazucorilantの第2相試験が開始予定となっています

・Dazucorilantは糖質コルチコイド受容体阻害薬で、抗炎症作用により神経保護作用を発揮することが期待されています。

・198名の患者を対象に、プラセボ対照で24週間、有効性や安全性などが検証される予定です。

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05407324
新規臨床試験情報(制御性T細胞移植)
・アメリカでの新規臨床試験情報です。Cellenkos社による臍帯血由来制御性T細胞(CK0803)移植の第1相試験が開始予定です

・制御性T細胞は静脈により投与され最初1か月間は7日毎に4回投与後、28日毎に5回投与されます。1年間で安全性や有効性などが検証される予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05695521
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