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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
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今年も1年ありがとうございました
・今年1年間当ブログをご訪問いただきましてありがとうございます。

・2021年はNurOwn細胞の第3相試験の結果が判明するなど、大きな動きがありました。全体としては残念な結果でしたが、発症後早期のケースについては治療的効果が期待できる可能性があるということで、さらに検証に向けての動きが進んでいる状況です。また試験を通じて得られた結果が新たな治療法開発につながることも期待されます。

・2022年は注目のAMX0035の承認の行方や、HEALEY platformの試験結果、日本からも有望な治療薬候補が提案されるなど期待される動きがあります。今月にはTDP-43凝集体の三次元構造が初めて判明し、治療ターゲットになりそうな立体構造が明らかになるなど、治療法開発や病態解明に向けての動きも着実に進んでいますので、来年の良いニュースに期待したいと思います。

・皆様におかれましては、どうか体調にお気をつけになり、良い新年をお迎えください

・来年もよろしくお願いいたします

管理人 ひで
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新規臨床試験情報(LAM-002A)
・アメリカでの新規臨床試験情報です。C9orf72遺伝子変異ALSに対するLAM-002Aの安全性などについての第2相試験が開始予定です

・LAM-002Aはアピリモドジメシレートと呼ばれる化合物で、PIKfyve阻害剤であり、リソソーム新生の制御因子であるTFEBを活性化します。これにより有害蛋白質の蓄積に対して治療的に作用することが期待されています。第2相試験では12名のC9orf72遺伝子変異ALS患者を対象に、最長28週間で安全性やバイオマーカーの変化などが検証される予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05163886
遺伝子治療ターゲットとしての上位運動神経細胞
▽今回、研究者らは、ALSの病態における上位運動神経の関与について調べ、遺伝子治療の有効性をモデルマウスで検証しました。

▽その結果、上位運動神経の消失が脊髄運動神経の変性とは無関係に起こり、上位運動神経細胞が遺伝子治療の有効な細胞標的となりうることがわかりました

▽ UCHL1(ubiquitin C-terminal hydrolase-L1)は、遊離ユビキチンの濃度を維持するために重要な脱ユビキチン化酵素です。UCHL1の機能を失ったモデルマウスでは、運動神経細胞の変性、消失が選択的に生じることがわかっています

▽モデルマウスにおいて、下位脊髄運動神経のみにおけるUCHL1活性を除去しても、上位運動神経細胞は影響を受けず保持されました。

▽UCHL1遺伝子を除去したモデルマウスの上位運動神経細胞のみに遺伝子治療によりUCHL1遺伝子を導入することにより、上位運動神経細胞の糖合成が健常レベルまで回復しました。

▽さらにSOD1変異ALSモデルマウスおよびTDP-43変異ALSモデルマウスにおいて、アデノ随伴ウイルスベクターにより上位運動神経に対して選択的にUCHL1遺伝子を導入したところ、折り畳み異常SOD1蛋白質およびTDP-43凝集体による病態が緩和しました。

▽以上の結果は、上位運動神経細胞をターゲットとした遺伝子治療がALSに対する治療法として有望な可能性を示唆するものです

(この研究は、アメリカ、Northwestern UniversityのGencらにより報告され、2021年12月2日付のGene Therapy誌に掲載されました)
新規生薬抽出物のALSモデルマウスへの抗炎症作用
▽今回研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスを用いて、生薬抽出物の治療的効果を検証しました。

▽生薬は、ウラルカンゾウ、オオバナオケラ、オタネニンジン、キバナオウギからの抽出物により作成されました。

▽生薬抽出物をSOD1変異ALSモデルマウスに投与したところ、モデルマウスの運動活性を改善し、運動神経細胞の損失を減少させることがわかりました。さらに、モデルマウスの骨格筋と脊髄の炎症性蛋白質と酸化ストレス関連蛋白質の濃度が有意に低下しました。さらに、生薬抽出物は自食機能を制御し、モデルマウスの神経筋接合部を増強することがわかりました

▽以上の結果は、生薬抽出物が、多因子にわたる病態におけるマルチターゲット治療のための潜在的な治療戦略となりうる可能性を示唆するものです。

(この研究は、韓国、Korea Institute of Oriental MedicineのLeeらにより報告され、2021年11月11日付のFront Neurosci誌に掲載されました)
TDP-43凝集体の立体構造を同定
▽神経細胞やグリア細胞におけるTDP-43蛋白質の異常凝集はALSの病態の特徴です。このような病態はアルツハイマー病やパーキンソン病でもみられます

▽病的TDP-43凝集体の立体構造はわかっていません。今回、研究者らは低温電子顕微鏡を用いて、ALS患者の前頭葉と運動野、および別の患者の前頭葉皮質から、TDP-43凝集体の立体構造を同定しました。その結果、TDP-43凝集体の特徴的な構造や、リガンド結合部位の可能性のある部位が同定されるなど、新たな発見がありました。

▽立体構造の同定により、ALSの分子病態の理解や、TDP-43凝集体を標的とした治療薬開発につながることが期待されます

(この研究はイギリス、MRC Laboratory of Molecular BiologyのAeseniや、東京都医学総合研究所の研究グループにより報告され、2021年12月8日付のNature誌に掲載されました)
新規クルクミン誘導体GT863のモデルマウスへの有効性
▽今回、研究者らはクルクミン誘導体であるGT863の治療的効果を検証しました。

▽無細胞アッセイにおいて、GT863のSOD1蛋白質凝集に対する阻害効果を検証したところ、SOD1蛋白質の形態変化と重合体凝集が阻害されました。

▽さらにGT863の抗酸化作用、抗炎症作用と神経保護作用が細胞モデルなどで評価されました。その結果、GT863は、過酸化水素およびグルタミン酸による細胞毒性を抑制し、抗酸化経路を活性化させました。

▽GT863をSOD1変異トランスジェニックマウスに経口投与したところ、有意な運動機能障害の進行遅延効果、SOD1凝集減少効果、神経細胞の保持効果などが観察されました。

▽以上の結果は、GT863がALSの治療薬候補として有望な可能性を示唆するものです

(この研究は、山形大学のKatoらにより報告され、2021年12月11日付のAmyotroph Lateral Scler Frontotemporal Degener.誌に掲載されました)
SOD1折り畳み異常と凝集を阻害する新規化合物によるモデルマウスの病態改善
▽今回、研究者らは、野生型および変異型 SOD1 蛋白質を用いた ELISA ベースのスクリーニングにより、SOD1またはTDP-43の折り畳み異常と凝集を阻害する新規低分子化合物 PRG-A01 を同定しました。

▽PRG-A01は、ヒト神経芽細胞腫細胞株において、変異型 SOD1 によって引き起こされる細胞死を防ぎました。

▽ PRG-A01をALSモデルマウスに投与すると、筋力、運動ニューロン生存率、運動能力が著しく改善し、寿命が延長しました。

▽以上の結果は、SOD1の折り畳み異常と凝集が、SOD1変異ALSの有望な治療標的であることを示唆しています。

(この研究は韓国、Pusan National UniversityのWooらにより報告され、2021年12月15日付のCommun Biol.誌に掲載されました)
TREM2はTDP-43と相互作用し、TDP-43蛋白症におけるミクログリアの神経保護を媒介する
▽TREM2(Triggering receptor expressed on myeloid cell 2)は神経変性疾患のリスクと関連しています。しかし神経変性疾患におけるTREM2の機能はよくわかっていません

▽今回、研究者らは、TDP-43蛋白症モデルマウスを用いて、ミクログリアにおけるTREM2の役割を調べました。

▽その結果、TREM2の欠損は、ミクログリアによる病的TDP-43の貪食クリアランスを障害し、神経細胞の損傷と運動障害を増悪させることを見いだしました

▽質量サイトメトリー分析の結果、ヒトTDP-43蛋白質は、TREM2依存性に高CD11c発現かつ高貪食能を有するミクログリアを誘発することがわかりました。

▽さらに、質量分析および表面プラズモン共鳴解析により、ALS患者においてTDP-43とTREM2が相互作用していることがわかりました。ヒトTDP-43とTREM2の相互作用部位が計算機により同定されました。

▽以上の結果は、TDP-43がミクログリアのTREM2のリガンドとして作用し、TDP-43蛋白症において、ミクログリアを神経保護的な形態に変化させる機能を有することを示唆するものです

(この研究は、アメリカ、 Mayo ClinicのXieらにより報告され、2021年12月16日付のNature Neuroscience誌に掲載されました)
ALSにおけるレプチン治療の有用性
▽ALSの病態におけるレプチンの役割が注目されています。レプチン濃度が高いことはALS発症リスクを低下させることが知られています

▽しかしながら、レプチンによる脂肪蓄積量の増加が、ALSの病態に与える影響はほとんどわかっていません。

▽今回、研究者らはTDP-43トランスジェニックマウスを用いて、無症状期の42日齢よりレプチン投与を開始し、その影響を調べました

▽その結果、レプチン投与はモデルマウスのアディポカインや代謝蛋白質の発現変化と関連しました。レプチン投与により対照マウスよりも体重の減少は緩和しました

▽レプチン投与モデルマウスでは、運動機能が保持され、生存期間の延長効果がみられました。以上の結果はレプチンがALSに対して治療的に作用する可能性を示唆するものです

(この研究は、スペイン、Hospital Nacional de Paraplejicos、Ferrer-Donatoらにより報告され、2021年12月21日付のBrain Behav.誌に掲載されました)
P2X7受容体経路の筋肉内活性化はALSモデルマウスの運動機能を改善する
▽近年、ALSの病態において運動神経細胞の変性に先行して骨格筋の形態的・機能的変化が見られることが明らかになり、治療標的としての筋組織に注目が集まっています。

▽研究者らはこれまでに、P2X7受容体アゴニストであるBzATPをSOD1変異ALSモデルマウスの骨格筋に全身投与すると代謝が促進されて筋形成が促進されることを報告しています。

▽今回、研究者らは、その機序をさらに研究しました。BzATPを筋肉内に投与すると、サテライト細胞および浸潤マクロファージの筋再生活性が増強され、ALSモデルマウスの運動能力が改善することがわかりました。

▽骨格筋の保存は、運動単位とともに逆行性に伝播し、筋肉からの逆方向のシグナルが運動神経細胞死に影響を与える可能性が示唆されました。

▽以上の結果は、ALSの治療法開発における補助的アプローチの基礎を提供するだけでなく、筋肉が、中枢神経系を対象とした治療法と組み合わせて新しい治療法に取り組む標的組織となりうることを示唆するものです。

(この研究は、イタリア、 Istituto di Ricerche Farmacologiche Mario Negri IRCCSのFabbrizioらにより報告され、2021年12月22日付のCell Mol Life Sci.誌に掲載されました)
SQSTM1によるサル脳からの変異TDP-43のクリアランス
▽TDP-43の細胞質への異常局在化と凝集はALSの病態の特徴です。研究者らはこれまでに、TDP-43が霊長類において特異的な切断を受け、これにより細胞質内の異常局在化につながることを示しました。

▽今回、研究者らは、細胞質内の変異TDP-43蛋白質が、SQSTM1転写産物の特定の配列に結合し、SQSTM1 mRNAの不安定性をもたらすことにより、マウスと比較してサル脳内で選択的にSQSTM1の発現を減少させることを示しました

▽SQSTM1を過剰発現させると、マクロオートファジー/オートファジーの活性を増強させることにより、サル脳におけるC末端TDP-43の蓄積を減少せることがわかりました

▽以上の結果は、TDP-43蛋白症の治療法開発の手掛かりとなることが期待されます

(この研究は、中国、Jinan UniversityのYinらにより報告され、2021年12月22日付のAutophagy誌に掲載されました)
ALSの病態におけるIL-6誘発性肝臓由来グルタチオンとアストロサイト
▽ALSの病態においては酸化的ストレスが関与していると考えられています。アストロサイトは中枢神経で最も数の多いグリア細胞であり、生理的条件下では神経細胞を酸化的ダメージから保護する役割を果たしています

▽今回、研究者らは、2種類の異なるALSモデルマウス(SOD1変異およびFUS変異)において、酸化的ストレスとアストロサイトとの関連性を調べました、

▽その結果、炎症促進性サイトカインであるIL-6の増加により、肝臓から血液中にグルタチオン(GSH)が放出され、それがアストロサイトに到達して運動神経細胞へと導かれ、抗酸化防御機能を果たすことがわかりました。

▽一方でALSの進行に伴い、アストロサイトからのGSHの流出が増加し、活性酸素の発生も増加することから、病気の進行に伴い、アストロサイト由来の酸化ストレスが運動神経障害の鍵となる可能性が示唆されました。

(この研究は、スペイン、University of ValenciaのLópez-Blanchらにより報告され、2021年12月16日付のAntioxidants誌に掲載されました)
GPR55リガンドの神経保護作用
▽近年神経変性疾患とカンナビノイド1およびカンナビノイド2受容体との関連性が研究されています。またカンナビノイドに対して活性を有するオーファンG蛋白質受容体55(GPR55)についても研究されています

▽今回、研究者らは、GPR55のオルソステリックサイトに結合するバイアストリガンド作用およびポジティブアロステリック調節作用を有するクロメノピラゾール誘導体であるVCE-006.1の神経保護作用を、2つの異なるモデルマウスで検証しました

▽その結果、まず、VCE-006.1は単独でERK1/2活性化、カルシウム動員を誘導し、cAMP反応を増加させるが、リゾホスファチジルイノシトールの存在下でのみ可能であることがわかりました。

▽続いて神経毒(6-OHDA)を用いたパーキンソン病モデル動物に対してVCE-006.1を投与し、その効果を検証しました。その結果、運動機能障害の改善やグリア細胞の反応性の改善効果などがみられました。

▽さらにALSの2つの遺伝子モデルである、SOD1変異、またはTDP-43トランスジェニックマウスでVCE-006.1の効果を検討したところ、軽度の脊髄運動神経細胞保護作用を認めたものの、運動機能やグリア細胞の反応性の改善効果はみられませんでした。

▽VCE-006.1の神経保護作用は病態によって異なる可能性があり、今後その作用機序の解明が期待されます

(この研究は、スペイン、Universidad ComplutenseのBurgazらにより報告され、2021年12月16日付のMolecules誌に掲載されました)
混合骨格アンチセンスオリゴヌクレオチドによるC9orf72由来産物の抑制
▽今回、研究者らは、C9orf72遺伝子変異患者由来細胞および C9orf72 BAC トランスジェニックマウスを用いて、6塩基繰り返し配列由来転写産物の発現を選択的に抑制し、組織におけるジペプチド(GP)繰り返し蛋白質の濃度を効果的に抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドを作成しました。

▽このアンチセンスヌクレオチドは、混合骨格アンチセンスオリゴヌクレオチドであり、チオリン酸含有量を減少させたものであり、有効性を保持したまま、忍容性を改善したものとなります。

▽1名のC9orf72遺伝子変異ALS患者に対して、このアンチセンスオリゴヌクレオチドを髄腔内反復投与したところ、忍容性は良好であり、髄液中のジペプチド(GP)繰り返し蛋白質の有意な減少がみられました

▽この報告は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの修飾による毒性の緩和についての新たな視点を提供するものであり、C9orf72遺伝子発現を抑制しうる最初の臨床報告となります。今後さらに大規模な臨床試験で効果などが検証されることが期待されます

(この報告は、アメリカ、University of Massachusetts Medical SchoolのTranらにより報告され、2021年12月23日付のNature Medicine誌に掲載されました)
シグマ1受容体とモデルマウス
▽シグマ1受容体遺伝子の変異がいくつかの運動神経病の病因となることがしられている。

▽今回、研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスに対して、シグマ1受容体アゴニスト(PRE-084、SA4503)およびシグマ1受容体アンタゴニスト(BF1063)を投与し、病態への影響を検証しました

▽薬物投与は8週齢から16週齢までとし、神経筋機能および疾患の進行は神経伝導試験およびロータロッドテストにより評価しました。追跡調査終了時(16週)に組織学的および分子生物学的解析を行いました。

▽その結果、BD1063およびPRE-084を投与した雌のモデルマウスでは、後肢の神経筋機能が維持され、運動神経細胞の生存数の増加が観察されました。SA4503は運動機能を改善する傾向があり、神経筋接合保持効果がみられましたが、運動神経細胞の生存率は改善しませんでした。

▽ウェスタンブロット解析の結果、ALSの病態に関与する2つの経路である自食フラックスと小胞体ストレスは、シグマ1受容体リガンド投与によって変化しないことがわかりました。

▽以上の結果は、シグマ1受容体リガンドがALSの病態に与える影響は単純ではないことを示唆しており、さらに研究が必要な状況といえます。

(この報告はスペイン、Universitat Autònoma de BarcelonaのGaja-Capdevilaらにより報告され、2021年12月10日付のFront Pharmacology誌に掲載されました)
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