▽Alector社とグラクソ・スミスクライン社がALS治療薬候補であるAL001およびAL101の開発のため提携することを公表しました。AL001とAL101はいずれもprogranulin蛋白質の産生を促進するためのモノクローナル抗体です。
▽prograrnulin蛋白質は抗炎症作用や神経細胞の生存に関与していると考えられており、progranulin蛋白質の変異がTDP-43凝集体形成につながることから、progranulin蛋白質を増加させると、TDP-43凝集体を減少させることができるのではないかと考えられています
▽AL001およびAL101はprogranulinを分解する受容体蛋白質であるsortilinの活性を阻害することのできる抗体です。
▽2021年下期にはALSを対象としたAL001の第2相試験が開始予定となっています
引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/07/06/alector-gsk-partner-develop-antibody-treatments-als-other-neurodegenerative-diseases/
▽AB Science社のALS治療薬候補のMasitinibは虚血性心疾患のリスクに関する懸念から、臨床試験が一時中止となっていました。今後フランス国立医薬品・健康製品安全庁(ANSM)により安全性確保についての対策が十分であると認められれば、臨床試験が再開される可能性があります。
▽対策として、心血管疾患の既往のある患者の除外や、試験中の心臓モニタリングの強化などが含まれています。今後AB Science社がこれら改良した試験のプロトコルをANSMに提出し、許可が出れば患者募集が再開されることとなります。またフランス以外のアメリカやドイツにおいても同様に臨床試験再開の要請を行う予定となっています
▽masitinibはチロシンキナーゼ阻害剤であり、神経炎症に関与する複数の免疫系細胞の活性を阻害することにより治療的効果が期待されています。
引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/07/19/als-enrollment-phase-3-masitinib-trial-expected-resume-france/
▽Wave Life Science社のALS治療薬候補であるWVE-004の第1b/2a試験において、患者への投与が開始されたことが公表されました
▽この臨床試験では50名の患者を対象に24週間でWVE-004の単回ないし複数回投与の安全性とジペプチド繰り返し蛋白質の産生量の変化などが評価されます。
▽c9orf72遺伝子からは通常V1、V2,V3の三種類のmRNAが生成し、このうちV1とV3から有害なジペプチド繰り返し蛋白質が生成すると考えられています。WVE-004はアンチセンス・オリゴヌクレオチド製剤であり、V1とV3を阻害し、一方で健康なV2については阻害しないように設計されています
▽マウスでの基礎実験ではWVE-004はマウス脊髄のジペプチド繰り返し蛋白質の90%以上、脳周辺のジペプチド繰り返し蛋白質の80%以上を除去することに成功しました。
▽2022年中に結果が判明する予定となっています
引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/07/22/dosing-begins-proof-concept-trial-wve-004-als-ftd-c9orf72-mutations/
▽Amylyx Pharmaceuticals社は同社のALS治療薬候補であるAMX0035の開発を促進するため1億3500万ドルの資金調達をしたことを公表しました
▽AMX0035はタウロウルソデオキシコール酸とフェニル酪酸ナトリウムの合剤ですAmylyx社は、カナダでALS治療薬としてAMX0035の承認を申請しており、年内には欧州医薬品庁にも同様の申請を行う予定となっています
▽この申請は137名のALS患者を対象とした第2/3相試験(CENTAUR試験)の結果を受けたものであり、24週間で機能低下の有意な抑制と、気管切開や死亡、永続的人工換気導入などのリスクを44%減少させることが示されました。
▽FDAにも承認申請がされましたが、追加の臨床試験実施が要求されています。この要求を受け、さらに大規模な600名までのALS患者を対象とした第3相試験が今後数カ月以内に開始予定となっています。
引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/07/23/amylyx-funding-advance-amx0035-als-other-disorders/
▽今回研究者らはヌクレオポリンの機能変化とそれに伴う核膜孔複合体の機能喪失が、TDP-43蛋白症の病態の上流にあるのではないかと考えました。
▽研究者らは、核膜孔複合体の品質管理に重要な役割を果たすCHMP7が、C9orf72遺伝子変異ALSおよび孤発性ALS患者由来のiPS細胞から分化誘導した脊髄神経細胞や、患者死後脳運動野の神経細胞の核において、ヌクレオポリンの変化が現れる前に増加していることを明らかにしました。
▽CHMP7の核外輸送を阻害すると、ヒトの神経細胞においてヌクレオポリンの減少とTDP-43の機能障害および病理学的変化が引き起こされました。
▽CHMP7をノックダウンすると、ヌクレオポリンの変化、Ran GTPaseの異常局在化、TDP-43蛋白症でみられるmRNAの発現の障害、グルタミン酸による神経細胞死が緩和されました
▽以上の結果は、家族性および孤発性ALSの発症メカニズムとして、CHMP7を介したヌクレオポリンの恒常性維持機構の変化が重要な役割を果たしていることを示唆するものであり、CHMP7が治療ターゲットとなる可能性があります。
(この研究はアメリカ、Johns Hopkins UniversityのCoyneらにより報告され、2021年7月28日付のSci Transl Med.誌に掲載されました)
▽これまでに、ストレス顆粒が、ALSの神経細胞において病的なユビキチン化されたTDP-43蛋白質の最初の形成部位であることが報告されています。
▽optineurin遺伝子とTIA1遺伝子の変異はTDP-43蛋白症を伴う家族性ALSの病因となります。
▽今回、研究者らはoptineurinの除去とALSに関連したoptineurin遺伝子変異が共に、熱ショックから回復した細胞におけるTIA1濃度を上昇させ、このTIA1濃度の上昇がユビキチン化したTDP-43の増加をもたらすことを明らかにしました
▽optineurin除去により誘発されたユビキチン化TDP-43はストレス顆粒に局在化していました。
▽以上の結果は、ALSに関連したoptineurinの機能低下が、TIA1発現を増加させることによりユビキチン化TDP-43を増加させ、その結果、ユビキチン化TDP-43の凝集が促進することを示唆するものです
(この研究は、新潟大学のKakihanaらにより報告され、2021年7月17日付のiScience誌に掲載されました)
▽その結果、RD2RD2を投与したモデルマウスでは行動テストや協調運動テストにおける成績が有意に改善し、病態進行遅延効果がみられました。グリア細胞の活性化も減少し、いくつかのサイトカインについては正常マウスと同程度まで正常化していました
▽以上の結果はRD2RD2がALSに対して治療的有効性が期待できる可能性を示唆するものであり今後の進展が期待されます
(この研究はドイツ、Institute of Biological Information ProcessingのPostらにより報告され、2021年6月30日付のInt J Mol Sci誌に掲載されました)
▽今回、研究者らはSRCP1がALSでみられる蛋白質凝集を抑制しうるかをALS細胞モデルやSOD1変異ALSモデルマウスで検証しました
▽ウイルスベクターでSOD1変異ALS細胞モデルにSRCP1を注入し過剰発現させたところ、不溶性SOD1蛋白質の減少が観察されました。しかし、レンチウイルスを用いてSRCP1を過剰発現させたC9orf72遺伝子変異ALS患者iPS細胞由来の神経細胞と、SOD1変異ALS患者iPS細胞由来の神経細胞においては、不溶性蛋白質の減少は観察されませんでした。
▽アデノ随伴ウイルスベクターによりSRCP1を過剰発現させたSOD1変異ALSモデルマウスにおいては、脳と脊髄において不溶性SOD1がわずかながら有意に減少しました。しかし生存期間には影響しませんでした。
▽以上の結果は、SRCP1が環境に依存して不溶性蛋白質による負荷を軽減させることができる可能性を示唆するものであり、今後さらに研究が進展することが期待されます。
(この報告はアメリカ、Medical College of WisconsinのLueckeらにより報告され、2021年7月8日付のGene Ther誌に掲載されました)
▽masitinibの第2/3相臨床試験に参加した患者の長期追跡データから、masitinibは発症後早期に投与を開始することにより、生存期間を延長させることができる可能性があることがわかりました
▽高用量投与軍ではプラセボ群と比較して約2年間生存期間が延長することを示唆する結果がTherapeutic Advances in Neurological Disorders誌に掲載されました。
▽この臨床試験ではALS患者394名を対象に、masitinibを1日あたり3mg/kgまたは4.5mg/kgの用量で投与する群と、プラセボ群が比較され、48週間投与されました。今回、平均6.25年の追跡調査結果が報告されました
▽全試験参加者を対象とした解析では、生存期間においてmasitinib投与群とプラセボ投与軍とで有意差は認めませんでした。しかし試験開始時にALSFRS-Rの下位項目すべてが2点以上の軽症から中等症までの群を対象とし、masitinib 4.5mg/kg投与群のみで解析したところ、生存期間の中央値が有意に延長しました(69カ月対44カ月)。
▽現在第3相試験は虚血性心疾患のリスクにより中断中ですが、近日中に再開の申請が行われる予定です
引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/07/20/masitinib-early-use-extends-survival-phase-2-3-trial-analyses/
▽この指定により臨床試験デザインの支援や販売後一定期間の独占権や税額控除などの特典が与えられます
▽pridopidineはシグマ1受容体を活性化することにより、神経細胞を保護する作用を発揮することが期待されています。前臨床試験では神経細胞死の抑制効果や運動機能の保持作用が報告されました。
▽pridopidineはHEALEY ALSプラットフォームの1つとして現在臨床試験が行われており、2022年第3四半期には結果が判明する予定です
引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/07/14/pridopidine-fda-orphan-drug-designation-als-treatment/
・30名のALS患者を対象に最長48週間で安全性や薬物動態などが検証される予定です
・ABBV-CLS-7262はelF2B活性化剤であり、ストレス反応経路を抑制することにより治療的効果が期待されています
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04948645
・低用量IL-2は制御性T細胞の機能を高め、治療的効果を発揮することが期待されています
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04952155
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04950647
・144名のALS患者を対象に48週間で有効性などが検証されます。薬剤についての詳細がわからずすみません。
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04950933
・reldesemtivは骨格筋のトロポニン活性化剤で呼吸機能の改善効果などが期待されています。
・555名の患者を対象に、24週間で行われ、有効性などが評価される予定です
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04944784