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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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TDP-43に対するSOL-257遺伝子治療がモデルマウスで治療的効果
・ALS NEWS TODAYの5月12日付記事からです

▽SOLA社の遺伝子治療薬候補であるSOL-257がALSモデルマウスの生存期間を延長したことが公表されました

▽TDP-43蛋白質の折り畳み異常と異常局在化はALS患者の97%で観察されます。SOL-257はSOLA社のJUMP70プラットフォームを用いて開発された薬剤であり、患者自身のシャペロンであるHSP70シャペロンを活用し、折り畳み異常蛋白質を選択的にターゲットにする治療法です。シャペロンは、他の蛋白質が正常な構造を保持するのを助けるか、折り畳み異常蛋白質を分解に導く蛋白質です。

▽この遺伝子治療では、JUMP70と呼ばれる遺伝子がアデノ随伴ウイルスベクターにより注入され、HSP70と結合するドメインを有する蛋白質を産生し、HSP70機能を活性化し、折り畳み異常TDP-43に特異的に結合する領域を有するため、異常TDP-43の修復ないし分解を促進します

▽TDP-43変異ALSモデルマウスを用いた実験では、プラセボ投与群では5週目までにモデルマウスは100%死亡するのに対して、SOL-257投与モデルマウスは全例が生存していました。

▽今後の臨床試験の開始が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/05/12/als-gene-therapy-sol-257-targeting-tdp-43-shows-promise-mouse-model/



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ALSモデルマウスに対する間葉系幹細胞の繰り返し投与はモデルマウスの生存期間を延長する
▽SOD1変異ALSモデルマウスに対して間葉系幹細胞の単回投与は、運動神経細胞を保護し、血液脊髄関門を回復させることで治療的効果をもたらします。しかし単回投与による治療的効果は一過性であることが知られています。

▽今回、研究者らは、モデルマウスに対する間葉系幹細胞の反復投与による治療的効果を検証しました

▽その結果、間葉系幹細胞の週1回、合計4回投与は、単回投与と比較して、生存期間を延長し、運動機能の低下の抑制が観察されました。

▽また歩行機能が失われるまでの期間についても反復投与群が単回投与群およびプラセボ投与群と比較して、保持されることがわかりました。


▽以上の結果は、間葉系幹細胞の繰り返し投与が、単回投与と比較してより治療的に有効である可能性を示唆するものです。

(この研究は札幌医科大学のMagotaらにより報告され、2021年5月7日付のMol Brain誌に掲載されました)
代謝調節型グルタミン酸受容体5の阻害はALSモデルマウスの病態を改善する
▽ALSにおいては、過剰なグルタミン酸伝達による細胞毒性が運動神経細胞死の原因と考えられています

▽ALSでは代謝調節型グルタミン酸受容体が過剰に発現しており、細胞内病態過程を制御していると考えられています。

▽今回、研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスを用いて、代謝調節型グルタミン酸受容体5の病態への影響を調べました

▽SOD1変異ALSモデルマウスに代謝調節型グルタミン酸受容体5の負のアロステリック調節剤であるCTEPを病初期段階から投与しました。

▽その結果、CTEPはモデルマウスの症状を用量依存性に改善することがわかりました。高用量では雌雄共に生存率が有意に改善し、特に雌で効果が高くみられました

▽CTEPは脊髄での運動神経細胞死、アストロサイトおよびミクログリアの活性化、グルタミン酸の異常放出を減少させました。

▽以上の結果は、代謝調節型グルタミン酸受容体5がALSの治療対象として有望であることを示唆するものです

(この研究はイタリア、University of GenoaのMilaneseらにより報告され、2021年4月30日付のBr J Pharmacol.誌に掲載されました)
CPT1の発現低下はALSモデルマウスの病態に影響する
CPT1の発現低下はALSモデルマウスの病態に影響する

▽今回、研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスにおいて、代謝異常が病態の中心的役割を果たしており、特にカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)の脂質代謝活性がALSの進行と関連していることをみいだしました

▽CPT1の活性を薬理学的および遺伝学的に低下させると、疾患の症状、炎症、酸化ストレス、ミトコンドリア機能が改善しましたが、高脂肪食やコルチコステロンによる活性亢進は、病態進行の悪化をもたらしました。

▽SOD1変異ALSモデルマウスでは、CPT1を発現低下させることで、腸内細菌叢が保護的な表現型に変化することがわかりました。

▽以上の結果は、CPT1がALSの治療ターゲットになる可能性を示唆するものです。

(この研究はデンマーク、Aalborg UniversityのTrabjergらにより報告され、2021年4月30日付のCommun Biol誌に掲載されました)
ヌクレオリンは細胞モデルにおいてTDP-43毒性を緩和する
▽TDP-43が神経毒性を引き起こすメカニズムは明らかになっていませんが、TDP-43による毒性を調節できる蛋白質を同定することは、TDP-43蛋白症の有望な治療ターゲットになる可能性があります

▽今回、研究者らは、酵母モデルを用いて、核小胞体蛋白質であるヌクレオリンがTDP-43の毒性を強力に抑制し、細胞の生存率を回復させることを明らかにしました。

▽また、ヒト細胞モデルにおいても、ヌクレオリンを共発現させることで、TDP-43による毒性を軽減させることができました、

▽以上の結果は、ヌクレオリンがTDP-43の核内局在保持を促進し、細胞質のTDP-43封入体の形成を減少させることを示唆しており、今後の治療法開発のターゲットとなる可能性があります

(この研究は、イタリア、University of PadovaのPeggionらにより報告され、2021年4月12日付のFront Cell Neurosci.誌に掲載されました)
HSP90とそのコ・シャペロンであるSti1はTDP-43の折り畳み異常と毒性をコントロールする
▽蛋白質の折り畳み異常は、多くの神経変性疾患の病態の中心をなすと考えられています

▽分子シャペロンは、蛋白質の折り畳み異常に伴う毒性を調節することができますが、どの分子シャペロンやコ・シャペロンが特定の折り畳み異常蛋白質と相互作用するのかはよくわかっていません。

▽ALSにおいてはTDP-43蛋白質の折り畳み異常や封入体形成が特徴です。

▽今回、研究者らは、酵母や哺乳類の神経細胞を用いて、Hsp90とそのコ・シャペロンであるSti1が、TDP-43の折り畳み異常、封入体形成、凝集、細胞毒性を変化させる能力があることをみいだしました。

▽また、Hsp90の機能が低下するとTDP-43の毒性が強くなること、Sti1がTDP-43と特異的に相互作用し、TDP-43の毒性を用量依存的に調節することも明らかになりました。

▽以上の結果は、Hsp90とSti1がTDP-43の折り畳み異常と細胞毒性に重要な役割を果たしていることを示唆するものであり、今後の研究の進展が期待されます

(この研究はカナダ、University of Western OntarioのLinらにより報告され、2021年5月号のFASEB J誌に掲載されました)
IL-19除去はALSモデルマウスの運動機能を改善する
▽ALSの病態には、神経炎症が重要な役割を果たしていると考えられています。インターロイキン19(IL-19)は自己分泌および傍分泌機序によりミクログリアの炎症促進性の反応を制御するネガティブ フィードバック制御因子ですが、ALSの病態への関与はよくわかっていません

▽今回、研究者らは、IL-19のALSの病態に果たす役割を解明するため、SOD1変異ALSモデルマウスを用いて検証しました

▽研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスと、IL19 を欠損したIL-19-/- モデルマウスを交配し、IL-19欠損SOD1変異ALSモデルマウスを作成しました。

▽SOD1変異ALSモデルマウスと、IL-19欠損SOD1変異ALSモデルマウスから採取したミクログリアとアストロサイトの培養液を用いて、グリア細胞におけるIL-19の影響を調べました。

▽その結果、SOD1変異ALSモデルマウスでは、ミクログリアと腰髄におけるIL-19の発現が増加していました。一方IL-19欠損SOD1変異ALSモデルマウスでは、運動機能の有意な改善がみられました。

▽IL-19除去SOD1変異ALSモデルマウスでは、TNF-α、IL-β、GDNF、TGF-β1など神経毒性因子と神経保護因子の両者の発現が増加していました。

▽以上の結果は、IL-19のシグナル経路を阻害することが、ALSに対して治療的に作用する可能性があることを示唆するものです

(この研究は、横浜市立大学のKomiyaらにより報告され、2021年4月30日付のMol Brain.誌に掲載されました)
TBNはTDP-43蛋白症モデルマウスの生存期間を延長する
▽テトラメチルピラジンニトロン(TBN)は、漢方薬のLigusticum chuanxiong(芎窮)に由来するテトラメチルピラジンの誘導体であり、様々な基礎実験で神経変性疾患のモデル動物に対して治療効果があることが報告されています

▽TBNは現在、ALSの第2相試験を含むいくつかの臨床試験が行われています。

▽今回、研究者らはALSモデルマウスを用いて、TBNの治療効果を検討しました。

▽TDP-43M337Vウイルスを片側および両側の線条体に注射した後、30mg/kgのTBNを胃内投与し、モデルマウスの行動および生存率の変化を観察しました。

▽その結果、片側の線条体にTDP-43M337Vを注入したマウスでは、TBNにより病初期の運動機能障害や認知機能障害が改善しました。

▽TDP-43M337Vを両側線条体に注入したマウスでは、TBNは運動機能の改善のみならず、生存期間を延長しました。TBNの治療効果は、Akt/mTOR/GSK-3βおよびAMPK/PGC-1α/Nrf2シグナル伝達経路の活性化を介している可能性が示唆されました。

▽以上の結果は、TBNが治療薬候補として有望であることを示唆するものです。

(この研究は、中国、Jinan UniversityのHuangらにより報告され、2021年4月30日付のHum Mol Genet.誌に掲載されました)
オキシマトリンはALSモデルマウスの神経炎症を抑制し、生存期間を延長する
▽今回、研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスを用いて、オキシマトリンが治療効果を持つかどうかを検討しました。

▽55日齢からオキシマトリンが連日投与されました。その結果、SOD1変ALSモデルマウスでは、オキシマトリン投与により体重減少が抑制され、運動機能が改善し、生存期間が延長しました。

▽さらに、オキシマトリン投与群では、対照群と比較して有意に炎症促進性因子の発現が低下し、抗炎症性因子の発現が増加しました。

▽以上の結果はオキシマトリンに神経保護作用があり、神経炎症を抑制することで神経細胞の生存を促進し、モデルマウスに治療的効果をもたらすことを示唆するものです。


(この研究は中国、The Second Hospital of Hebei Medical University,のZhangらにより報告され、2021年5月1日付のNeuroscience誌に掲載されました)
カンナビノイド受容体タイプ2不活性化はALSモデルマウスの病態悪化をもたらす
▽カンナビノイド受容体タイプ2の活性化はALSモデル動物において、治療的に作用することがしられています

▽今回研究者らはカンナビノイド受容体タイプ2(CB2受容体)を不活性化することで病態にどのような影響があるかを調べました。TDP-43変異ALSモデルマウスとCB2受容体ノックアウトマウスを交配し、CB2受容体ノックアウトALSモデルマウスを作成しました

▽その結果、CB2受容体ノックアウトALSモデルマウスでは、病態進行の増悪、運動神経細胞死の促進、グリア細胞反応の亢進などがみられました。また運動神経細胞の形態的異常も観察されました

▽以上の結果は、CB2受容体が病態に有意な影響を与えることを示唆しており、CB2受容体アゴニストが治療的効果をもたらす可能性を強化するものです。

(この研究は、スペイン、Universidad ComplutenseのRodríguez-Cuetoにより報告され、2021年5月13日付のBrain Pathol誌に掲載されました)
ギントンニンはALSモデルマウスの病態を改善する
▽高麗人参の有効成分であるギントンニンが、リゾホスファチジン酸(LPA)受容体を介した抗酸化ストレスや抗炎症作用により神経保護作用を有することが報告されています。

▽今回、研究者ららSOD1変異ALSモデルマウスを用いてギントンニンの効果を調べました

▽SOD1変異ALSモデルマウスの7週齢からギントンニンが投与されました。その結果、モデルマウスの生存期間の延長効果や運動機能改善効果がみられました。

▽ 脊髄の組織学的解析では、ギントンニンは対照群と比較して、運動ニューロンの生存率、脳由来神経栄養因子、コリンアセチルトランスフェラーゼなどの発現を増加させ、活性化ミクログリア、活性化アストロサイトを減少させました。

▽モデルマウスでは脊髄のLPA1受容体濃度の低下がみられましたが、ギントンニン投与によりモデルマウスのLPA1受容体の発現レベルが回復し、神経学的症状や組織学的障害が軽減しました。

▽以上の結果は、ギントンニンによるALSの症状改善は、脊髄LPA1受容体の制御を介してた神経細胞の損失と酸化ストレスの減少に関連している可能性を示唆しており、ギントンニンがALSに対して治療的に作用する可能性を示唆するものです

(この研究は、韓国、Konkuk University,のNamらにより報告され、2021年5月号のJ Ginseng Res誌に掲載されました)
CNM-Au8の第2相試験
・ALS NEWS TODAYの5月19日付記事からです

▽Clene社のALS治療薬候補であるCNM-Au8の第2相試験が行われていますが、ブラインド期間中の中間解析結果が公表され、一部の患者において自然経過と比較して疾患の進行遅延を示唆する所見が得られていることが明らかになりました

▽ただし、その所見が、CNM-Au8投与群においてみられるのか、プラセボ群なのかはまだわからず、CNM-Au8の効果によるものかどうかは最終結果を待つ必要があります

▽CNM-Au8は経口金ナノクリスタルの懸濁液であり、細胞へのエネルギー供給をサポートすることにより神経細胞生存や機能の改善を期待する試験薬です。

▽試験は8か月間で行われており、36週までの結果が得られた患者で解析したところ、プラセボ群も含めて肺機能の低下が36週で18%となり、自然経過での25%よりも少ない数値となっています。最終結果は2022年8月頃得られる予定です。

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/05/19/cnm-au8-slower-als-progression-phase-2-trial-data/
家族性ALSに対するAPB-102の遺伝子治療臨床試験開始
・ALS NEWS TODAYの5月17日付記事からです

▽Apic Bio社のSOD1変異ALS治療薬候補であるAPB-102の第1/2相試験開始が認可され、今年中か来年早期に開始予定です。

▽この試験はプラセボ対照で行われ、投薬群ではAPB-102が髄腔内に単回投与されます。

▽治療対象となるSOD1遺伝子変異は家族性ALSの15-20%、孤発性ALSの1-2%にみられます。APB-102は変異SOD1 RNAの翻訳を阻害するmicro RNAであり、アデノ随伴ウイルスベクターにより注入されます。

▽APB-102はFDAよりorphan drug指定を受けています。

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/05/17/fda-clears-trial-apb-102-apic-bio-gene-therapy-familial-als-sod1-mutations/
AMX0035の国際第3相試験で600名の患者をエントリー予定
・ALS NEWS TODAYの5月14日付記事からです

▽Amylyx製薬は、AMX0035の国際第3相試験で600名のALS患者をエントリーする予定であることを公表しました

▽アメリカとヨーロッパの55カ所の施設で行われる予定です。AMX0035はタウロデオキシコール酸とフェニル酪酸ナトリウムの合剤です。ミトコンドリアと小胞体内でのストレスシグナルを阻害し、細胞保護作用を発揮することが期待されています。

▽第2/3相試験であるCENTAUR試験では、137名の急速進行型の患者において、AMX0035は生存期間の有意な延長効果と、機能的悪化の抑制効果を示しました。しかしFDAは追加のプラセボ対照試験を行うことを要求しました

▽新たな第3相試験(PHOENIX試験)では、発症2年以内の患者が対象となり、48週間でプラセボ対照で行われる予定です。

▽Amylyx社はCENTAUR試験の結果をもって、EUとカナダでAMX0035の承認を求める予定であり、アメリカALS協会でもFDAに対してAMX0035の承認を求める嘆願活動が行われています

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/05/14/amylyx-amx0035-phase-3-trial-details/
RT001の第2相試験で全患者がエントリー終了
・ALS NEWS TODAYの5月7日付記事からです

▽Retrotope社の合成脂肪酸であるRT001の第2相試験において、全ての患者がエントリー終了したことが公表されました

▽RT001は安定化されたリノレイン酸であり、オメガ6脂肪酸としても知られています。この治療では安定性に乏しいリノレイン酸にRT001が取って代わることで、細胞膜の安定化をもたらし、酸化的ストレスなどから細胞を保護する作用を発揮することが期待されています。

▽この試験では40名の患者がエントリーされ、プラセボ対照で行われ、24週間で有効性や安全性が検証される予定です。最終的な結果は今年中にでることが期待されています

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/05/07/retrotope-phase-2-trial-rt001-fully-enrolled-als/

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