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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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RT001の第2相試験で最初の患者が投薬開始
・ALS NEWS TODAYの3月30日付記事からです

▽Retrotope社はALS治療薬候補のRT001の第2相試験において、最初の患者に投薬が開始されたことを公表しました

▽この第2相試験では約40名の患者を対象にRT001の安全性や有効性などが検証されます。最初の1か月間、投薬群ではRT001が1日3カプセル投与され、その後5カ月間は1日2カプセル投与されます

▽RT001は必須脂肪酸であるリノール酸を安定化した薬剤であり、ミトコンドリア膜などを安定化させることにより、酸化的ストレスなどから保護的な作用を発揮することが期待されています

▽RT001は研究者らからの要請によりExpanded Access Program(アメリカ版の患者申出療養制度)によってもALS患者に提供される予定です

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/03/30/first-patients-dosed-in-phase-2-trial-of-rt001/
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NeuroNata-Rの第3相試験が米国でも実施へ
・ALS NEWS TODAYの3月26日付記事からです

▽現在韓国で第3相試験が行われている幹細胞移植のALS治療薬候補 NeuroNata-R(lenzumestrocel)ですが、Corestem社によるとアメリカでもエントリーが開始されるとのことです

▽FDAの承認を得て、Expanded Access Program(アメリカ版の患者申出療養制度)によりマサチューセッツ総合病院にて2020年11月に1名の患者がNeuroNata-Rの投与を受けました

▽NeuroNata-Rは患者自身の間葉系幹細胞を採取し、培養後に自家移植をする幹細胞移植治療であり、くも膜下腔内に投与されます。間葉系幹細胞採取1か月後に1回目の投与がされ、その後さらに1か月後に2回目の投与が行われます

▽基礎実験ではNeuroNata-Rは抗炎症作用や神経保護作用などが確認されており、ALSの病態進行遅延効果が期待されています

▽第1/2相試験では32名のALS患者が対象となり、病態進行遅延効果を示唆する結果が得られました。その結果により韓国ではNeuroNata-RのALS患者への投与が条件付きで承認されています。Corestem社によるとこれまでに300名以上のALS患者がNeuroNata-Rによる治療を受け、うち49名は国外からの治療希望者であったとのことです。

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/03/26/phase-3-trial-neuronata-r-stem-cell-therapy-likely-open-us-sites-corestem-says/
急速進行タイプに対するAMX0035の長期成績
・ALS NEWS TODAYの3月22日付記事からです

▽3月15日から18日まで開催された2021 MDA Virtual Clinical and Scientific Conferenceからの報告です

▽急速に進行するタイプのALS患者において、AMX0035の長期投与は、死亡と永続的な人工換気ないし入院のリスクを有意に低下させることが、3年間の長期使用成績の結果から明らかになりました

▽AMX0035の第2/3相試験であるCENTAUR試験においては、プラセボ対照で6カ月間、AMX0035の137名の孤発性ALS患者に対する安全性と有効性が検証されました

▽主要評価項目である安全性およびALSFRS-Rの変化量で測定された治療効果については、安全性に問題なく、統計的に有意な進行遅延効果が確認されました。一方で6カ月間では気管切開ないし死亡、ないし入院までの期間については有意差がみられませんでした

▽今回3年間の長期追跡結果が報告され、合計90名が延長試験にエントリーしました(実薬群 56名、プラセボ群 34名)。最長でその後2年半追跡され、最初6カ月間AMX0035を投与された群は、プラセボを投与された群と比較して、44%イベント(死亡ないし気管切開ないし入院)の発生リスクが低いことがわかりました。また生存期間の中央値についても最初からAMX0035を投与された群は6.5カ月長いことがわかりました。最初からAMX0035を投与された群の半数以上は約3年後でも一度も入院がない状態で経過していました。

▽進行期においてもAMX0035については長期的な治療効果が期待できる可能性を示唆するものです

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/03/22/mda2021-amx0035-lowers-death-hosptialization-ventilation-risk-als-patients-centaur-trial-data/
WVE-004のC9orf72遺伝子変異ALSに対する臨床試験を開始
・ALS NEWS TODAYの3月22日付記事からです

▽2021 MDA Virtual Clinical and Scientific Conference,での発表からです。

▽Wave Life Science社のC9orf72遺伝子変異ALSに対する治療薬候補であるWVE-004が、臨床試験開始の承認を得ました

▽WVE-004はアンチセンス・オリゴヌクレオチド製剤であり、異常なジペプチド繰り返し蛋白質の産生を阻害するために機能します

▽正常なC9orf72遺伝子からはV1からV3の3種類のmRNAが生成し、V2はV1とV3に比較して中枢神経で最も高い濃度で発現することが知られています。一方でジペプチド繰り返し蛋白質はV1およびV3に存在する6塩基繰り返し配列の過剰伸長から主に生成するといわれています

▽WVE-004は、V1とV3を主なターゲットとするアンチセンス・オリゴヌクレオチド製剤であり、V3の生成は保持されます。そのため中枢神経でのC9orf72蛋白質の正常な機能を妨げずに病態緩和効果を発揮することが期待されています。

▽動物実験では、C9orf72遺伝子変異を導入したモデルマウスに対して、WVE-004が髄液中に注入されました。その結果WVE-004は神経細胞に分布し、用量依存性にV3 mRNAとジペプチド繰り返し配列蛋白質の発現抑制作用を示しました。24週後にはモデルマウスの脊髄においてジペプチド繰り返し配列蛋白質は90%以上減少し、脳内では80%以上の減少効果を示しました。

▽ヒトでの臨床試験が開始予定となっており、結果が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/03/22/mda2021-wve-004-treats-als-causes-linked-with-c9orf71-mutations-mouse-model/
Engenesisの第2a相試験で最初の患者がエントリー
・ALS NEWS TODAYの3月17日付記事からです

▽Helixmith社の遺伝子治療薬であるEngenesis(VM202)のALSに対する第2a相試験(REViVALS-1A試験)において、最初の患者がエントリーされたことが公表されました。この試験では18名の患者が対象となる予定です

▽Engenesisは遺伝子治療薬であり、肝細胞成長因子(HGF)の産生を亢進させることにより治療的効果を期待するものです。

▽HGF産生を増加させることにより、運動神経細胞の喪失を抑制し、ALSの進行を遅延させることが期待されています

▽すでに行われた第1/2相試験では、18名の患者が対象となり、筋注投与での安全性が確認され、病態への良好な影響を示唆する結果も得られています

▽今回の試験では、Engenesisは2週間に1回、合計3サイクル、各サイクル2日間の投与日程で投与され、1サイクルあたり128回の筋注投与が行われる予定です。


▽この試験の主要評価項目は安全性であり、その他筋機能や呼吸機能、生存期間なども評価される予定です。2022年には結果が判明予定です

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/03/17/first-patient-enrolled-phase-2a-trial-engensis-potential-gene-therapy-als/
PharmaTher社がKetamineのALS治療への臨床応用を予定
・ALS NEWS TODAYの3月8日付記事からです

▽カンザス大学と共同でPharmaTher社はケタミンのALSに対する臨床応用についての独占的開発権を獲得しました。

▽ケタミンは麻酔薬として開発されていましたが、催幻覚作用や抗うつ作用などがあり、2019年にFDAでは治療抵抗性うつ病に承認されています

▽カンザス大学において前臨床試験でケタミンがALSに対して治療的に作用する可能性を示唆する結果が報告されました。ケタミン投与により筋肉の機能を維持する効果を示唆する結果がえられ、細胞内のD-セリン濃度の低下やNMDA受容体の遮断作用などの作用が報告されました。ALSにおいてはD-セリン濃度の上昇などが報告されています。

▽ケタミンのこのような作用により神経保護的に作用する可能性が考えられており、PharmaTher社は今年中にもFDAに対して第2相試験の開始を承認申請する予定とのことです

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/03/08/pharmather-exclusive-rights-ketamine-als-development-testing/


HEALEY試験の最初の3つの試験で50%の患者登録を完了
・ALS NEWS TODAYの3月15日付記事からです

▽HEALEY ALSプラットフォームは複数の臨床試験を同時に進行させることにより、プラセボ群を共有するなどして、薬剤開発を効率化する試みです。

▽現在4つのALS 治療薬候補(zilucoplan 、verdiperstat、CNM-Au8、pridopidine)の臨床試験が同時に進行中です。

▽今回、最初の3つの試験において50%の患者登録が完了したことが報告されました。各試験において160名ずつの患者のエントリーが予定されています

▽試験参加者は1日2回、実薬ないしプラセボが投与され、24週間で安全性や有効性などが評価されます。4人に3人が実薬に、4人に1人がプラセボに割付されます。

▽患者のエントリーが順調に進行しており、2022年に結果が判明する予定です

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/03/15/healey-platform-trial-reaches-50-enrollment-for-first-3-regimens-zilucoplan-verdiperstat-cnm-au8/

新規臨床試験情報(β-ヒドロキシ酪酸)
・ドイツでの新規臨床試験情報です。β-ヒドロキシ酪酸の第2相試験が開始予定です。

・試験はプラセボ対照で行われ、76名を対象に6カ月間で安全性や有効性が検証されます。

・β-ヒドロキシ酪酸はケトン体の一種であり、動物実験でケトン食投与が病態進行遅延効果を示唆する結果が得られたことにより、治療的効果が期待されています。2023年1月に結果が判明予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04820478



SOD1変異ALSモデルマウスとゲノム編集
▽CRISPR/Cas9によるゲノム編集の有効性と長期的な安全性はよくわかっておらず、重要な課題となります。

▽今回、研究者らは 2種類の異なるSOD1変異ALSモデルマウスにおいて、CRISPR/Cas9によるゲノム編集を行うことで、発症を防ぐことができることを示しました。

▽疾患に関連した遺伝子のゲノム編集は効率よく行われ、まれにオフターゲットの編集イベントが発生しました。また、数百から数千塩基対の大きなDNA欠失が頻繁に観察されました。これらの大きな欠失は、Alu要素の近接した同一の配列によって生じていることがわかりました。

▽ゲノム編集マウスでは、2歳を過ぎてもその他の疾患の兆候は観察されませんでした。

▽以上の結果は、CRISPR/Cas9によるゲノム編集の治療的有効性と長期的な安全性の可能性を示唆するものです。

(この研究は、アメリカ、Northwestern UniversityのDengらにより報告され、2021年3月25日付のCommun Biol.誌に掲載されました)


ALSとRIKP1により制御される炎症性ミクログリア
▽ミクログリア由来の炎症はALSなど神経変性疾患の病態との関連が報告されています。単一細胞RNAシークエンシング技術を用いて、神経変性における疾患関連ミクログリア(DAM)の特徴が明らかにされています。

▽しかし、疾患関連ミクログリアの表現型だけでは、ミクログリアの機能の複雑さ、特に多くの神経変性疾患の特徴である炎症の制御に関して説明するには不十分です。

▽今回研究者らは、ALSモデルマウスにおいて、RIPK1により制御される炎症性ミクログリア(RRIM)と呼ばれるミクログリアのサブクラスを同定しました。

▽RRIMは、TnfやIl1bのRNAおよび蛋白質の増加など、炎症促進経路の有意な発現亢進を示します。RRIMはTNFαシグナルによって高度に制御されており、また、TNF受容体1の下流にあるRIPK1(receptor-interacting protein kinase 1)の活性を阻害することで、これらのミクログリアの活性化を抑制できることがわかりました。

▽以上の結果は、RIPK1阻害がALSモデルマウスで治療的効果を発揮するメカニズムの解明につながり、現在進行中のRIPK1阻害剤のALSに対する第2相臨床試験において、新たなバイオマーカーとなりうる可能性があります

(この研究は、アメリカ、Harvard Medical SchoolのMifflinらにより報告され、2021年3月30日付のPNAS誌に掲載されました)

ラトレピルジン等価物はFUS変異ALSモデルマウスの病態進行遅延効果を有する
▽今回、研究者らはFUS変異ALSモデルマウスに対するラトレピルジン等価物であるDF402の効果を検証しました。

▽42日齢のFUS変異ALSモデルマウスにDF402が投与開始されました。その結果、発症遅延効果と病態進行遅延効果がみられました。また発症前から発現の異常がみられたいくつかの遺伝子についても発現パターンを正常化させました

▽以上の結果は、DF402がFUS変異ALSモデルマウスに対して神経保護作用を有する可能性を示唆しており、今後の臨床応用が期待されます

(この研究はロシア、Russian Academy of ScienceのChaprovらにより報告され、20201年3月23日付のCNS Neurosci Ther誌に掲載されました)

インスリンシグナル経路の亢進はC9orf72遺伝子変異ALSモデル動物の病態改善効果を有する
▽C9orf72遺伝子変異ALSにおいては6塩基繰り返し配列の過剰伸長部位に関連した非ATG翻訳により、有害なジペプチド繰り返し蛋白質が生成する

▽今回研究者らはC9orf72遺伝子変異ALSモデルショウジョウバエを用いて、RNAシークエンシングによりインスリン/IGFシグナル経路が減弱していることをみいだしました

▽さらにインスリン/IGFシグナル経路の活性化が病態の緩和効果を有し、poly-GR濃度の減少をもたらすことがわかりました

▽哺乳類細胞においてもインスリン/IGFシグナル経路を活性化させるとpoly-GR濃度の減少が観察されました。さらにショウジョウバエモデルにインスリンを系統的に注入すると病態改善効果がみられました

▽以上の結果はC9orf72遺伝子変異ALSにおいてインスリン/IGF経路の活性化が治療的に作用する可能性を示唆するものです

(この研究はイギリス、Institute of Healthy AgeingのAtilanoらにより報告され、2021年3月19日付のElife誌に掲載されました)
TOP2の発現低下はC9orf72遺伝子変異ALSの病態緩和効果を有する可能性
▽これまでに研究者らは、6塩基繰り返し配列の過剰伸長がさまざまな遺伝子のトランスクリプトームを改変することを報告している。

▽今回、研究者らは、これらの遺伝子が神経毒性をもたらす役割を明らかにするため、ショウジョウバエモデルをスクリーニングしました。

▽その結果、DNAトポイソメラーゼII(Top2)遺伝子をノックダウンすると、ショウジョウバエモデルの眼の神経変性を特異的に調節できることがわかりました。 またTop2を化学的に抑制したり、siRNAでTop2の発現を阻害したりすると、ショウジョウバエの神経毒性を緩和できることがわかりました。

▽一方、モデルショウジョウバエでは、TOP2濃度の上昇が観察され、さらに、6塩基過剰伸長繰り返し配列を発現するNeuro 2a細胞やSOD1変異ALSモデルマウスの脳でもTOP2A濃度の上昇がみられました。

▽以上の結果は、TOP2Aの上昇が、異なるALSの病態に共通する経路に関与している可能性を示唆するものです。さらに、RNAシークエンシングにより、細胞内シグナル経路、末梢神経系の発達などの経路に関与する67の遺伝子が、神経変性を抑制するTOP2Aの潜在的な標的として同定されました。

(この研究は中国、Central South University,のJiaoらにより報告され、2021年3月22日付のHum Mol Genet.誌に掲載されました)
髄液中での間葉系幹細胞の変化
▽今回研究者らはヒトおよび人工髄液中で培養したヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞の形態,代謝,遺伝子発現の変化を調べ,間葉系幹細胞を投与されたALS患者の髄液中の関連蛋白質濃度を調べました。

▽その結果、髄腔内では、間葉系幹細胞は静止状態にあるものの、その形態を維持していることが明らかになりました。間葉系幹細胞の大規模なトランスクリプトーム解析により、人工髄液で培養した細胞には異なる遺伝子発現プロファイルが見られました。

▽人工髄液の培養環境では、血管新生や免疫調整に関連する遺伝子の発現が誘導され、栄養因子をコードする遺伝子も、発現亢進がみられました。

▽さらに自家間葉系幹細胞を髄腔内に投与したALS患者の髄液では、成長因子や免疫調節サイトカインが用量依存的に増加することが確認されました。

▽以上の結果は、現在進行中の臨床試験において、髄腔内に注入された間葉系幹細胞は生存しており、患者に治療的効果をもたらす可能性があることを示唆するものです

(この研究はアメリカ、Mayo ClinicのKrullらにより報告され、2021年3月18日付のStem Cell Res Ther.誌に掲載されました)
PrimeCの安全性と忍容性が確認され、アメリカで特許取得
・ALS NEWS TODAYの3月3日付記事からです

▽最近終了した第2a相試験の結果から、PrimeCは安全であり、忍容性良好で、病態進行緩和作用を示唆する結果が得られたことがわかりました。

▽15名の患者がエントリーされた第2a相試験の終了後の延長試験において15名の患者全員が投薬継続を希望しました

▽PrimeCを開発するNeuroSense社は今後4年以内にPrimeCの承認を目指したいとしています。PrimeCはciproflaxacin(抗菌薬)とセレコキシブ(NSAID)の合剤であり、神経炎症を抑制し、RNA制御の障害を緩和することで治療的効果をもたらすことが期待されています

▽第2a相試験は12か月間行われ、昨年公表された中間解析結果によると、投与3か月後の肺機能などの機能低下については、historical placeboと比較して進行遅延効果を示唆する結果が得られ、その効果はその後9カ月間も維持される傾向がみられたとのことです。

▽今後さらに大規模な試験で検証したいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/03/03/primec-safe-well-tolerated-us-patent-allowance-als/
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