・ION363は、変異FUS mRNAに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド製剤です。64名の患者を対象にプラセボ対照で行われ、投与群については、28週目までは4週に1回、29-72週までは8週に1回、髄腔内投与され、有効性や安全性などが検証される予定です
・2024年3月に終了予定となっています
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04768972
・Retrotope社のALS治療薬候補であるRT001はオメガ6脂肪酸としてしられるリノレイン酸製剤であり、細胞膜の安定化作用によりミトコンドリア機能などを改善させ、治療的効果が期待されています
・40名を対象にプラセボ対照で行われ、24週間で有効性や安全性が評価される予定です
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04762589
・NEURONATA-Rは自家間葉系幹細胞移植であり、抗炎症作用や神経保護作用などにより治療的効果が期待されています。基礎実験では制御性T細胞の誘導作用などが確認されています
・115名の患者を対象にプラセボ対照で行われ、26日間隔で2回髄腔内投与される群と、2回の髄腔内投与を3セット施行される群などにわけられ、12か月間で有効性や安全性などが検証される予定です
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04745299
・ボスチニブは、京都大学CiRA増殖分化機構研究部門の研究グループが、ALS患者由来iPS細胞を用いて、薬剤スクリーニングを行い治療薬候補として同定されたものです。
・24名の患者を対象に、オープン試験で行われ、100mg、200mg、300mg、400mg投与(1日1回経口投与)の4群に分けられ、12週間投与され、主として安全性が検証される予定です
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04744532
▽今回、研究者らはSOD1変異ALSモデルラットを用いて、間葉系幹細胞を静注投与し、神経栄養因子の発現増加と、血液脳関門の機能保持を介して病態進行遅延効果がみられるかどうかを検証しました
▽その結果、間葉系幹細胞を移植した群では、運動機能の有意な保持効果がみられました。また運動神経細胞と微小血管構造の保持が観察されました。また神経栄養因子であるneurturinも幹細胞移植群で有意な増加がみられました
▽以上の結果は、間葉系幹細胞静注が、血液脳関門機能の保持などを介してモデルラットの病態進行遅延効果をもたらした可能性を示唆するものです
(この研究は札幌医科大学のMagotaらにより報告され、2021年4月15日付のBrain Research誌に掲載されます)
▽この治療法では、患者から制御性T細胞を採取し、それを神経保護的な機能を有する細胞に誘導し、再び患者自身に静注で戻す方法がとられます。現在第2相試験が行われています
▽Coya社は制御性T細胞の凍結保存プラットフォームを使用して、細胞を効果を失うことなく凍結させる方法を開発しました。これにより、1回の製造工程で1年間の治療に十分な量の制御性T細胞を生成し、凍結させた後、必要に応じて細胞を解凍して、定期的に、あるいは毎月の移植に使用することができるようになりました。
▽第1相試験では、ALS001の安全性と忍容性が確認され、3名のALS患者において病初期および後期の病態進行を低下させることが確認されました
▽現在進行中の第2a相試験では、12人のALS患者を対象に、プラセボと比較して6ヶ月間、毎月の移植により制御性T細胞が投与され、制御性T細胞機能の経時変化や病態進行への効果などが検証される予定です
引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/02/05/coya-therapeutics-als001-treg-off-shelf-therapy-als-progression-phase-2-trial/
▽今回、研究者らは、すべてのC9orf72遺伝子転写産物に共通したターゲット配列を発見し、C9orf72 BACトランスジェニックマウスや細胞モデルなどにおける反復配列転写産物の選択的なノックダウンが可能となることを示しました。
▽研究者らは、このターゲット配列に作用するstereopure(立体化学的に純粋な)オリゴヌクレオチドを作成し、その特性が特定の構造に依存することを示しました。
▽モデルマウスにおいては、このオリゴヌクレオチドを投与すると、性情な蛋白質発現に影響することなく、病態緩和作用がみられました。選択的に運動神経細胞を保護し、グルタミン酸誘発性の細胞毒性が緩和されました。
▽以上の結果は、この新しいオリゴヌクレオチドがC9orf72遺伝子変異ALSに対して新たな治療選択肢となる可能性を示唆するものです
(この研究は、アメリカ、Wave Life Sciences Ltd.のLiuらにより報告され、2021年2月8日付のNature Communications誌に掲載されました)
▽表面プラズモン共鳴により、ActRIIB:ALK4-Fcは、ホモ二量体であるActRIIB-Fcとは明らかに異なるリガンド結合特性を示し、筋肉の成長を阻害することが知られているActRIIBリガンドとは結合せず、血管調節リガンドである骨形態形成蛋白質9(BMP9)は捕捉しないことがわかりました。
▽ActRIIB:ALK4-FcとActRIIB-FcをALSモデルマウスに投与したところ、筋肉量と筋機能の改善がみられました。またActRIIB:ALK4-Fcは無症候性ALSマウスモデルにおいて、神経筋接合部の異常を改善し、筋変性を改善しました
▽以上の結果は、ActRIIB:ALK4-FcがALSなどの運動機能障害に対して治療的に作用する可能性を示唆するものです
(この研究はアメリカ、Acceleron Pharma IncのLiらにより報告され、2021年2月15日付のJ Clin Invest.誌に掲載されました)
▽BrainStrom社はNurOwn細胞の半自動製造工程の計画についてFDA担当者と協議を行いました
▽この協議では、将来的な比較試験における介入手法の調整や将来的な製造過程や、半自動製造工程についてFDAの要請に関するガイダンスなどが話し合われました。
▽FDAは、新しい工程計画と、現在の工程のいくつかの重要な側面についてフィードバックを提供しました。
▽NurOwn細胞の第3相試験では主要評価項目を達成できませんでしたが、より進行していない患者群においては、臨床的に意味のある効果を示唆する結果が得られています
▽BrainStorm社はNurOwn開発に関する次のステップに関する協議をFDAと継続する予定です
引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/02/12/brainstorm-fda-discuss-manufacturing-plans-nurown-potential-als-cell-therapy/
▽大塚製薬の設立したMcQuadeセンター(MSRD)とEikonizo社がALSを含む希少疾患に対する治療法開発のため提携することを公表しました
▽Eikonizo社はHDAC阻害剤などによる神経変性疾患の治療法開発を行っています。とりわけHDAC6阻害剤はALSの病態を緩和する作用がある可能性を示唆する結果が基礎実験では得られています
▽今回の提携によりHDAC6阻害剤の第1b相臨床試験の開始に向けて前進することとなりました
引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/02/18/otsuka-eikonizo-collaborate-als-therapies-rare-diseases/
▽ジフェニルジセレニドは有機セレニウム化合物であり、各種の薬理学的特性を有することが知られています。今回、研究者らは、SOD1変異細胞モデルにおいて、ジフェニルジセレニドの治療効果を検証しました
▽その結果、ジフェニルジセレニド投与はLPS誘発性のlκB/NF-κB経路の活性化を抑制し、活性化ミクログリアからの炎症促進性サイトカインの放出を抑制しました。
▽さらにジフェニルジセレニドはNOやROSなどの活性酸素濃度を減少させ、蛋白質の窒素化を減少させることにより、NLRP3インフラマソームの活性化を抑制しました
▽一方で、活性化ミクログリアが存在しないと、ジフェニルジセレニドの効果はみられませんでした。
▽以上の結果は、ジフェニルジセレニドによる運動神経保護作用はミクログリアを介した神経炎症の抑制作用に起因することを示唆するものです。さらにはSOD1変異ALSモデルマウスにジフェニルジセレニドを投与すると、運動神経細胞喪失の減少や活性化ミクログリアの減少、生存期間の延長作用がみられました。
▽以上の結果は、ジフェニルジセレニドがALSモデルマウスにおいて、ミクログリアの活性化を阻害することにより神経保護作用をもたらす可能性を示唆するものであり、今後の治療的応用が期待されます
(この研究は中国、University of Science and Technology of ChinaのZhangらにより報告され、2021年1月27日付のPharmacol Res.誌に掲載されました)
▽今回、研究者らはALS細胞モデルなどを用いて、PAK4の効果を調べました。
▽SOD1変異ALSモデルマウスの脊髄にPAK4遺伝子が注入されました。その結果、PAK4発現亢進は、CREBシグナル経路の活性化により病態進行を有意に遅延させました。PAK4の発現および活性化は、病態進行に伴って有意に減少しましたが、これはmiR-9-5pの制御に起因するものでした。
▽PAK4による神経保護作用はCREB阻害剤により顕著に阻害されました。以上の結果は、PAK4がCREBシグナル経路を介した抗アポトーシス作用により運動神経保護作用を発揮する可能性を示唆するものです
(この研究は、中国、The First Clinical College of Harbin Medical UniversityのCongらにより報告され、2021年2月21日付のCell Prolif.誌に掲載されました)
▽現在のところ上位運動神経に対する薬物の治療反応性を実験的に調べることのできるアッセイは存在しません。
▽今回、研究者らは蛍光蛋白質(eGFP)遺伝子を融合させた変異SOD1およびTDP-43を発現する上位運動神経細胞モデルを構築し、薬剤に対する上位運動神経細胞の反応性を直接的に観察することを実現しました。
▽電子顕微鏡による観察によりミトコンドリアと小胞体の損傷が明らかになります。変異SOD1蛋白質による毒性を緩和することが報告されているNU-9投与によりどのような影響がみられるかが調べられました
▽その結果、NU-9はミトコンドリアと小胞体の構造的統合性を改善し、上位運動神経細胞の樹状突起の変性を防ぐことがわかりました
▽NU-9は上位運動神経細胞の変性を阻害し、治療的効果を有する可能性があります
(この研究は、アメリカ、Northwestern UniversityのGencらにより報告され、2021年2月号のClin Transl Med.誌に掲載されました)
▽今回、研究者らは2つのサンプルのメンデルランダム化解析により、血清クレアチニンとALS発症との因果関係を検証しました。
▽ヨーロッパの358072名の対照者および80610名のALS患者のゲノムワイド関連解析の結果と血清クレアチニン値、東アジアの142097名の対照者および4084名のALS患者のゲノムワイド関連解析の結果と血清クレアチニン値を用いて逆分散法により、血清クレアチニンのALS発症に及ぼす影響について検討されました。
▽その結果、ヨーロッパのサンプルにおいては、遺伝子的に予測される血清クレアチニン濃度はALSのリスク増加に対して有意に保護的(オッズ比0.92)に作用することがわかりました。一方で東アジアにおいては、その関連性は有意ではありませんでした。
▽以上の結果は、ヨーロッパのサンプルでは血清クレアチニンはALS発症に対して保護的に作用している可能性があることを示唆するものです
(この研究は、中国、The Third Affiliated Hospital of Soochow University, ChangzhouのWangらにより報告され、2021年2月8日付のMol Neurobiol誌に掲載されました)
▽一方でERp57の点変異がALS発症のリスクとなりうることが報告されています。ERp57は小胞体内でジスルフィド結合の形成や異性化を触媒し、蛋白質の品質管理機構の中心的な役割を果たしていますが、ALSの病態にどのような影響を与えているのかは明らかにされていませんでした
▽今回、研究者らは、SDO1変異ALSモデルマウスを用いて、ERp57を過剰発現させ、病態に与える影響を調べました。
▽変異SOD1/ERp57二重トランスジェニックマウスは、変異SOD1ALSモデルマウスと比較して、発症早期において電気生理学的活動の悪化が遅延し、筋の神経支配が保持されていました。
▽ERp57の過剰発現は進行期においてのみSOD1蛋白質の凝集を減少させ、病初期における神経筋接合部保護作用は、この凝集抑制作用とは異なる作用であることを示唆するものでした
▽プロテオミクス解析により、ERp57過剰発現による神経保護効果は、脊髄におけるシナプスおよびアクチン細胞骨格蛋白質濃度の増加と相関していることが明らかになりました。以上の結果は、ERp57が運動神経の接続性を維持することで、病初期の疾患修飾因子として機能していることを示唆するものです。
(この研究は、チリ、University of ChileのRozasらにより報告され、2021年2月4日付のActa Neuropathol Commun.誌に掲載されました)