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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
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Muse細胞の臨床試験開始へ
・日本経済新聞の1月28日付記事からです
引用元
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ282XU0Y1A120C2000000/

・岡山大学でMuse細胞の臨床試験が開始予定となっています。まだUMIN-CTRには登録されていないようで詳細は不明です。2022年12月に完了予定とのことです。良好な結果が期待されます



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メラトニンがALSの病態進行遅延に関与する可能性

▽今回、研究者らはオープンアクセスの疾患データベースであるPRO-ACTを用いて、ALS患者の病態進行にメラトニンが与える影響についての後顧的観察研究を行いました

▽PRO-ACTデータベースによりメラトニン使用がALSの進行と生存期間に与える影響などが解析されました。その結果、メラトニン使用者は非使用者と比較して有意な年間死亡率の減少(ハザード比 0.241)を認めました。メラトニン使用者では非使用者と比較してALSFRS-Rの変化率も有意に穏やかであり、呼吸機能の変化も緩やかでした。

▽以上の結果は、メラトニンがALSにとって有用である可能性を示唆するものであり、今後さらなる検証が求められます

(この研究は、アメリカ、 University of Utah College of PharmacyのBaldらにより報告され、2021年1月11日付のMuscle Nerve.誌に掲載されました)

12週間の有酸素・筋力トレーニングプログラムの効果
・管理人注:筋力トレーニングのやりすぎは逆効果となる可能性もありますので、注意(この報告では週に2回程度)が必要です

▽今回研究者らは、ALSにおける有酸素運動、筋力、柔軟性トレーニングを複合的に組み合わせたプログラムとストレッチのみの場合と比較して、症状変化などにどのような影響があるかを調べました

▽32名の歩行可能なALS患者が対象となり、複合的介入群とストレッチのみの対照群に無作為割付されました。12週間連続で週に2回のセッションが行われました。複合的介入群では、リカンベントサイクリングによる有酸素運動と、ストレッチと受動的運動による柔軟性トレーニング、機能的運動による筋力トレーニングなどが行われました。対照群では自宅で上肢と下肢の基本的なストレッチ運動を行いました。評価尺度としてはALSFRS-R、呼吸機能、可動性、疲労、QOLなどが評価され、介入の1週間前、6週間後、介入終了時に評価されました。

▽その結果、28名が完遂し、呼吸機能と可動性、ALSFRS-Rにおいて複合的介入群が対照群よりも有意に良好な結果となりました。複合的介入群では機能が保持されたのに比較して、ストレッチ群では有意な機能低下がみられました。

▽以上の結果は、週に2回程度の複合的トレーニングが、歩行可能なALS患者にとってストレッチのみと比較して呼吸機能や可動性などの改善に有用であることを示唆するものです

(この研究はイスラエル、 Tel-Aviv UniversityのKalronらにより報告され、2021年1月3日付のJournal of Neurology誌に掲載されました)
p53はC9orf72遺伝子変異ALSの神経変性に関与する

C9orf73遺伝子変異ALSにおいては過剰伸長した6塩基繰り返し配列由来の異常転写産物が細胞毒性を有すると考えられています。

▽研究者らは、神経細胞の変性過程におけるクロマチンアクセス特性の状況と転写プログラムを探索するプラットフォームを開発しました。その結果、C9orf72遺伝子由来の異常転写産物の1つであるジペプチド繰り返し配列蛋白質のpolyPRが、転写因子であるp53により活性化される転写経路を活性化させていることが明らかになりました

C9orf72遺伝子変異モデルマウスにおいてp53を遺伝子的に除去すると、神経細胞変性が阻害され、生存期間の顕著な延長がみられました。

▽p53発現減少は、軸索変性の減少と、患者由来iPS細胞やショウジョウバエモデルにおける生存期間の延長効果を認めました。

▽以上の結果は、神経変性過程に転写因子に関連したイベントが関与していることを示唆するものであり、新たな治療法開発の視点を与えるものです

(この研究はアメリカ、Stanford大学のMaor-Nof Mらにより報告され、2021年1月15日付のCell誌に掲載されました)
M102の臨床試験実施のため220万ドルの資金獲得
・ALS NEWS TODAYの1月28日付記事からです

▽ALS治療薬候補であるM102の臨床試験実施のためイギリスのMRC(Medical Research Council)より約220万ドルの資金供与が決定しました。これはオーストラリアのNPOであるFightMNDからの70万ドルのグラント獲得に続くものです

▽M102はAclipse Therapeutics社とシェフィールド大学の研究者らにより開発中の薬剤です。M102はNRF2およびHSF1シグナル経路に作用することが報告されています。

▽NRF2経路は酸化的ストレスの軽減に関与しており、HSF1経路は蛋白質折り畳みに関与し、いずれの経路もALSの病態に関与していると考えられています。

▽M102は同時にミトコンドリア機能の改善を介して炎症反応を軽減することが知られており、家族性および孤発性ALSの治療薬候補として期待されています

▽今回の資金供与により臨床試験実施が迅速化することが期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/01/28/aclipse-grant-sheffield-m102-clinical-trials/
HEALEY ALSプラットフォームのPridopidine試験において最初の患者がエントリー
・ALS NEWS TODAYの1月12日付記事からです

▽HEALEY ALSプラットフォームのレジメンDであるpridopidineの第2/3相試験において最初の患者がエントリーされたことが公表されました

▽これは現在進行中のHEALEY ALSプラットフォームの4つの臨床試験のうちの1つであり、160名の家族性ないし孤発性ALS患者がエントリー予定となっています

▽HEALEY ALSプラットフォームは同時に複数(全部で6つの治療薬候補を予定)の臨床試験を実施することにより、プラセボ群を共有し、同時に複数の薬剤を比較するなどの工夫により、創薬過程を迅速化することが期待されています

▽pridopidineの試験では24週間で有効性、安全性が評価されます。前臨床試験や遺伝的データなどから独立した外部委員会が30の治療薬候補の中から選択された薬剤の1つとなります。

▽pridopidineは選択性の高いシグマ1受容体アゴニストです。HEALEYプラットフォームでは、pridopidineの他、zilucoplan、verdiperstat、CNM-Au8、IC14、SLS-005が試験される予定となっています。

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/01/12/first-patient-enrolled-in-pridopidine-arm-of-the-healey-als-platform-trial/

CNM-Au8は運動神経細胞の機能維持に関与する可能性
・ALS NEWS TODAYの1月8日付記事からです

▽Clene Nanomedicine社のALS治療薬候補であるCNM-Au8の第2相試験の中間解析結果より、約半数の患者において運動神経細胞機能の改善がみられたことがわかりました

▽まだ盲検期間中であるため、この効果がCNM-Au8の効果なのか、プラセボ群の効果なのか不明な状態ですが、もしこれがCNM-Au8投与群の効果であれば、CNM-Au8が運動神経細胞機能の維持に作用することが推測されます。このことは第31回国際ALS/MNDシンポジウムにて公表されました

▽Clene社は全体の結果を今年後半には公表したいとしています

▽CNM-Au8は経口投与可能な金ナノクリスタルの懸濁液であり、神経細胞の代謝をサポートし、酸化的ストレスを軽減することにより生存や機能を改善することが期待されています

▽この報告は全エントリー患者の40%の患者の12週間までのMotor Unit Number Index(MUNIX)で評価された運動神経細胞機能についてのデータによるものです。

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/01/08/cnm-au8-may-support-better-motor-neuron-health-function-in-als-phase-2-trial-interim-data/
Spinogenix社がALS治療薬候補の開発促進のため資金獲得
・ALS NEWS TODAYの1月7日付記事からです

▽Spinogenix社は同社のALS治療薬候補である小分子の開発促進のためアメリカ国防省より資金を獲得したことを公表しました。

▽この小分子はシナプス機能の改善を図るものであり、ALSにおいて起こりうるシナプスの喪失を防ぐ効果が期待されています

▽同社は今回の資金獲得により患者由来iPS細胞を用いた研究や動物実験を促進したいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/01/07/spinogenix-given-defense-department-grant-advance-oral-als-therapy-tests/
リゾホスファチジン酸受容体阻害はALSモデルマウスの病態進行遅延効果を有する
▽運動神経細胞の興奮特性の変化はALSの病態の特徴の1つです。興奮特性の変化に影響を与える要因を調べることは、病態解明の手掛かりとなります

▽今回、研究者らはリゾホスファチジン酸(lpa)がlpa1受容体を介して運動神経細胞の興奮性を制御していると考え、lap1受容体ないしlpa1受容体シグナル経路を修飾することにより、ALSの病態に影響を与えうるかを検証しました

▽運動神経細胞モデルおよびSOD1変異ALSモデルマウスの脊髄を用い、lpa1受容体発現に干渉しうるRNA(siRNAlpa1)ないしlpa1受容体阻害薬であるAM095を投与して、その効果が検証されました

▽その結果、AM095は運動神経細胞の興奮性を減弱し、運動神経細胞死が抑制され生存期間が延長しました

▽以上の結果は、lpa1阻害がALSに対して治療的に有望である可能性を示唆するものです

(この研究はスペイン、Universidad de CádizのGento-Caroらにより報告され、2021年1月28日付のNeuropathol Appl Neurobiol.誌に掲載されました)
ALS患者では血清抗TDP-43自己抗体が増加している
▽ALSにおいてはTDP-43の細胞質内への局在化異常が病態の一部と考えられています。このTDP-43蛋白質は血清中でも検出されることが報告されています。自然発生した抗TDP-43自己抗体も存在していることが想定されるが、これまでにその報告はありません。今回研究者らはALSとその関連疾患、健常者とで血清TDP-43蛋白質、抗TDP-43自己抗体の存在をELISA法で検出しました。

▽70名のALS患者、40名の健常対照者、20名の運動神経病患者、20名のアルツハイマー型認知症患者、15名の前頭側頭型認知症患者が対象となりました。

▽その結果、抗TDP-43自己抗体はALS患者において有意な増加がみられました。一方で血清TDP-43蛋白質濃度は疾患により変動が大きく
、ALS患者では増加がみられたものの、最も増加が多かったのは運動神経病群でした。血清TDP-43濃度と抗TDP-43抗体濃度の相関は有意ではありませんでした。

▽抗TDP-43自己抗体は健常者、患者群両群で検出可能であり、ALS患者では有意な増加がみられました。疾患のマーカーとなりうる可能性があり、またどのような抗体が存在するかということと病態進行との関連性などから治療法探索の手掛かりとなる可能性もあります

(この研究はイタリア、University of Milano-BicoccaのContiらにより報告され、2021年1月21日付のScientific Reports誌に掲載されました)
間葉系幹細胞由来小胞体内のmiRNAは神経炎症を制御する
▽間葉系幹細胞は神経保護作用や免疫系の修飾作用を通じて神経変性疾患に対する治療的効果を有する可能性が指摘されています

▽間葉系幹細胞は細胞外に小胞体を放出し、その内部には蛋白質はmRNA、microRNAなどが含まれており、ターゲット細胞の機能を変化させます

▽研究者らはIFN-γで刺激された間葉系幹細胞では9種類のmiRNAが有意な変化を示していることをみいだしました。活性化ミクログリアではmiR-467fとmiR-466qがTnfとIl1b発現減少を介して活動を調節していることがわかりました。

▽miR-467fとmiR-466qは、標的遺伝子であるMap3k8とMk2の発現を阻害することで、p38 MAPKシグナル伝達経路を調節し、炎症促進型ミクログリアを抑制することが明らかになりました。

▽間葉系幹細胞由来の細胞外小胞体をモデルマウスに投与したところ、神経炎症マーカーの減少などを認めました。

▽以上の結果は、間葉系幹細胞のエクソソームがmiRNAのミクログリアへの作用などを介して神経炎症への影響を与える可能性を示唆するもので、今後の治療的応用が期待されます

(この研究は、イタリア、University of GenoaのGiuntiらにより報告され、2021年1月18日付のScientific Reports誌に掲載れました)


ExifoneはHDAC1活性化により神経保護作用を発揮する
▽DNAの修復機能の欠損による遺伝子不安定性は神経変性疾患の病態に関与していると考えられています。近年、ALSなどの神経変性疾患におけるDNA損傷の有害作用から神経細胞を保護するために決定的な因子としてHDAC1が同定されました。

▽HDAC1の脱アセチル化活性を増加することのできる小分子は、神経保護作用が期待され、ALSなどの治療薬候補となりうるものです

▽今回、研究者らはexifoneがHDAC1の脱アセチル化活性を活性化することで神経保護的作用を発揮することをみいだしました。exifoneは遊離型ないし基質と結合したHDAC1と結合し、HDAC1による脱アセチル化活性を亢進させました。

▽exifoneは酸化的ストレス下におけるタウオパチー患者由来のiPS細胞由来神経細胞についても、神経保護作用を発揮しました。

▽以上の結果は、exifoneがHDAC1の脱アセチル化を活性化することにより神経保護作用を発揮することを示唆しており、新規治療法開発の手掛かりとなる可能性があります

(この研究はアメリカ、Massachusetts General HospitalのPatnaikらにより報告され、2021年1月20日付の ACS Chem Neurosci.誌に掲載されました)
アメリカ田辺三菱製薬がリルゾール経口フィルム製剤の販売契約
・ALS NEWS TODAYの1月26日付記事からです

▽アメリカ田辺三菱製薬はリルゾール経口フィルム製剤の開発元であるAquestive社と、同社の開発したリルゾール経口フィルム製剤であるExservanのアメリカでの製造販売契約を結びました

▽exservanはリルゾールの口腔内溶解フィルム製剤であり、内服に水を必要とせず、嚥下機能が低下しても摂取可能であることが期待されます。

▽FDAは2019年にexservanを承認しており、今年中には同社の製品の発売を予定しています

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/01/26/mtpa-to-commercialize-als-therapy-exservan-in-the-us/

自食作用誘発によるALSモデルマウスの病態緩和
▽TDP-43蛋白症はALSの主要な病態として知られています。今回研究者らはALSモデルマウスなどを用いて生化学的、免疫組織学的手法などで調べ、マイクロアレイとプロテオミクス解析をリボタグ法を用いて行いました。

▽その結果、モデルマウスにwithaferin-A(NF-κB拮抗薬)の類似物であるIMS-088を投与すると、自食作用が誘発され、TDP-43蛋白症が緩和しました。

▽IMS-088投与はモデルマウスの認知機能を改善し、脳内でのグリオーシスを軽減しました。リボタグ法による解析の結果、TDP-43蛋白質症は、ニューロフィラメントmRNAの翻訳抑制を含む特定のmRNAの翻訳障害を引き起こし、その結果、IV型ニューロフィラメント蛋白質の濃度が3~4倍低下しました。

▽IMS-088の経口投与は、mRNA翻訳の障害を抑制し、軸索の完全性とシナプス機能に不可欠であるニューロフィラメント蛋白質の合成を復元しました。

▽以上の結果は、IMS-088による自食作用の誘発がTDP-43蛋白症の病態を緩和し、mRNA翻訳障害を改善するなどの病態改善効果を有しており、治療薬候補として有望な可能性を示唆するものです

(この研究はカナダ、University LavalのKumarらにより報告され、2021年1月7日付のMol Neurodegener誌に掲載されました)
PrimeCが欧州でorphan drug指定
・ALS NEWS TODAYの1月13日付記事からです

▽欧州医薬品庁はNeuroSense社のALS治療薬候補であるPrimeCに対してorphan drug指定を与えました。

▽既にアメリカでは指定を受けており、希少疾患の治療薬候補について、承認された場合、税制上の優遇措置や審査過程の迅速化などの特例的な扱いを受けることが可能となります

▽PrimeCはciproflaxacinとセレコキシブの合剤であり、神経炎症を抑制し、RNA制御に作用することで運動神経変性を抑制することが期待されています。動物モデルでは有効性を示唆する結果がえられており、現在イスラエルで第2a相試験が行われ安全性が確認されています。

▽アメリカでは第1相試験が実施中で、これら試験の結果は今後数カ月で判明する予定です。

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/01/13/primec-orphan-drug-designation-europe-treatment-als/
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