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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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NurOwn細胞有効性を示せず
・ALS NEWS TODAYの11月18日付記事からです

▽BrainStorm社は同社のALS治療薬候補であったNurOwn細胞の第3相試験において有効性を示すことができなかったことを公表しました

▽BrainStorm社のCEOはこの臨床試験では他のALSの臨床試験と比較して、重症度の高い患者のエントリーがなされていたことをコメントしています。より進行していない一群においては治療的効果がより大きい可能性があるとのことです

▽同社は第2相試験において、進行の早い一群においては有望な結果が得られたことから、第3相試験に進展していました。

▽主要評価項目は投与前と比較してALSFRS-Rの変化率が1.25点/月以上の改善を示した反応群の割合でした。28週間の治療において、反応群の割合はNurOwn投与群34.7%、プラセボ群27.7%と有意差を認めませんでした

▽より進行していない一群においては、NurOwn細胞投与群の反応率は34.6%、プラセボ群では15.6%であり、統計的な有意差はみられませんでしたが、数値的にはより良好な傾向がみられました。ALSFRS-Rの変化率も投与群では-1.77点/月、プラセボ群では-3.78点/月であったとのことです

▽神経栄養因子などのバイオマーカーはNurOwn投与群で有意な増加を示しました。今後NurOwn投与により治療反応性が期待できるサブグループの同定などを行いたいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2020/11/18/nurown-fails-to-slow-disease-progression-in-als-patients-top-line-data-show/



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SLS-005がorphan drug指定
・ALS NEWS TODAYの11月20日付記事からです

▽Seelos社は同社のALS治療薬候補であるSLS-005(トレハロース)に対してFDAからorphan drug指定を受けたことを公表しました

▽SLS-005の有効成分であるトレハロースは、様々な細菌、植物、真菌、無脊椎動物に存在する天然の糖分子ですが、ヒトの細胞には存在しません。トレハロースは血液脳関門を透過することができることが示されています

▽前臨床試験においてトレハロースは自食機能を活性化し、蛋白質凝集体の除去を促進し、凝集体形成を阻害することが示されています。これらの蛋白質にはTDP-43やSOD1などが含まれています

▽FDAは既にSLS-005の第2b/3相試験の開始を承認しており、160名の孤発性ないし家族性ALS患者を対象にプラセボ対照で24週間、SLS-005の有効性が評価される予定です

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2020/11/20/fda-grants-orphan-drug-designation-to-seelos-sls-005-for-treating-als/
BREN-02がorphan drug指定
・ALS NEWS TODAYの11月25日付記事からです

▽BrainEva社のALS治療薬候補であるBREN-02がFDAによりorphan drug指定を受けました。orphan drug指定は希少疾患に対する治療薬候補において、開発を促進するため申請費用の免除や発売後の独占的販売権などの特別措置を受けることができる制度です。

▽BREN-02はEN1蛋白質と同等であり、EN1蛋白質は遺伝子の活動を制御するホメオプロテインと呼ばれる蛋白質の一群です。胎生期や産後には必須の蛋白質であり、小脳の発達などに関与しています。成人では下位運動神経などの維持に寄与していると考えられています

▽EN1欠損モデル動物では筋力低下や神経筋接合部異常、運動神経変性などが報告されています。

▽ホメオプロテインの特徴は、細胞内に浸透する能力にあります。そのため、標的細胞に到達するためにウイルスベクターなどの特別な輸送システムを必要としません。

▽前臨床実験では、EN1の研究室製剤であるBREN-02を腰部脊柱管に単回注射すると、運動神経細胞死を防ぎ、筋肉の機能を改善する効果がみられました。

▽2021年下期には臨床試験の開始が予定されています

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2020/11/25/potential-restorative-als-therapy-bren-02-granted-orphan-drug-designation-by-fda/
USP7はNEDD4L-SMAD経路を介してALSに関連した蛋白質毒性と品質管理を制御する
▽ALSなどの神経変性疾患においては、蛋白質の折り畳み異常や凝集体形成などにより細胞の恒常性保持機構の破綻が病態として考えられています

▽今回、研究者らはUSP7(ubiquitin-specific protease)を蛋白質毒性から細胞を守る蛋白質品質管理系の制御スイッチとして同定しました。

▽線虫SOD1変異ALSモデルを用いたゲノムワイドスクリーニングにより、USP7の相同分子種が神経系の蛋白質毒性を抑制する作用を有することがわかりました

▽USP7は TGF-β経路のSMAD2転写調節因子を介して蛋白質品質管理作用を発揮し、オートファジーを活性化し、折り畳み異常蛋白質のクリアランスを促進します。

▽USP7はE3ユビキチンリガーゼであるNEFDD4Lの脱ユビキチン化をもたらし、SMAD2を分解します。

▽USP7を阻害すると哺乳類神経における蛋白質毒性から細胞を保護する効果がみられました。ALS患者の中枢神経においてもSMAD2の制御異常が観察されました

▽以上の結果は、蛋白質の品質管理経路の異常が蛋白質毒性に関連した神経変性疾患の病態に関与していることを示唆するものです

(この研究は Johns Hopkins UniversityのZhang Tらにより報告され、2020年11月10日付のPNAS誌に掲載されました)
シグマ1受容体シャペロンはショウジョウバエALSモデルにおける核細胞質間輸送障害を回復する
▽C9orf72遺伝子変異ALSにおいては、6塩基繰り返し配列の過剰伸長により生じる異常転写産物((G4C2)-RNA repeats)が角膜孔でRan活性化タンパク質(RanGAP)と結合し、核細胞質輸送の障害と細胞質へのRanの蓄積が起こると考えられています

▽今回、研究者らは分子シャペロンであるシグマ1受容体が、ショウジョウバエALSモデルにおいて(G4C2)-RNA repeatsによる有害作用から細胞を保護することを報告しました

▽シグマ1受容体はRanGAPおよび核膜孔蛋白質(Nups)と同時局在化し、Nupsを安定化させることがわかりました。興味深いことにシグマ1受容体は(G4C2)-RNA repeatsと直接結合することがわかりました。

▽シグマ1受容体の過剰発現はRanの細胞質内での異常蓄積を改善し、シグマ1受容体のノックアウトは増悪させました。ショウジョウバエモデルにおいてシグマ1受容体を過剰発現させると、運動機能障害が改善しました。

▽以上の結果は、シグマ1受容体が核膜孔複合体をシャペロン化し、(G4C2)-RNA repeatsによる有害作用から細胞を保護する作用を有することを示唆するものです

(この研究は、アメリカ、 National Institute on Drug AbuseのLee PTらにより報告され、2020年11月4日付のNature Communications誌に掲載されました)
ニコチンアミドリボシドとプテロスチルベンはALSモデルマウスの運動機能低下を抑制する
▽ALSにおいては酸化的ストレスによる神経細胞損傷が病態に関与していると考えられています。最近臨床試験においてニコチンアミドリボシドとプテロスチルベンを同時に投与することで、治療的効果がみられる可能性を示唆する結果が得られました

▽今回、研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスを用いて、これら2剤の効果について調べました。その結果、両薬剤を投与すると生存期間の延長効果と運動機能低下の改善効果がみられることがわかりました。

▽これらの効果は、ミクログリオーシスとアストログリオーシスの減少を伴い、TNF-α誘発性の酸化的ストレスを減弱させることがわかりました。

▽ニコチンアミドリボシドとプテロスチルベンはミトコンドリア誘発性のアポトーシス促進シグナルを抑制し、治療的効果を発揮する可能性があることがわかりました。

(この研究は、スペイン、University of ValenciaのObrador Eらにより報告され、2020年11月10日付のMolecular Neurobiology誌に掲載されました)
P2X7受容体拮抗薬の慢性投与はSOD1変異ALSモデルマウスの運動機能を改善する
▽中枢神経におけるミクログリアの活性化を伴う神経炎症はALSの病態の一部と考えられています。この過程はP2X7受容体の永続的な活性化によりもたらされると考えられています

▽今回、研究者らは、P2X7受容体拮抗薬であるJNJ-47965567をSOD1変異ALSモデルマウスに腹腔内投与し、治療効果を調べました

▽その結果、JNJ-47965567投与は発症遅延効果と体重減少抑制作用、運動機能の改善効果などをもたらしました。一方で生存期間については有意な延長はみられませんでした。またこれらの治療的効果は雌体にのみ特異的に観察されました

▽以上の結果は、ALSの病態におけるP2X7受容体の果たす役割について新たな知見をもたらすものです

(この研究はスペイン、 Universidad Autónoma de MadridのRuiz-Ruiz Cらにより報告され、2020年10月30日付のDis Model Mech.誌に掲載されました)

新規臨床試験情報(HEALEY ALS Platform)
・アメリカでの新規臨床試験情報です。HEALEY ALS PlatformにレジメンDであるpridopidineが加わりました

・HEALEY ALS Platformは複数の治療薬候補に対する臨床試験を1つのplatformで動かし、臨床試験の効率化を図る試みです。

・プラセボ対照で行われ、160名のALS患者を対象に24週間でpridopidineの有効性と安全性が評価されます。

・pridopidineはシグマ1受容体の選択的なアゴニストでありカルシウム代謝の恒常性保持やミトコンドリア機能保護作用などにより治療的効果が期待されています

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04615923
新規臨床試験情報(EH301)
・ノルウェーでの新規臨床試験情報です。第何相かは不明ですが、380名のALS患者を対象に1年間、二重盲検でEH301の有効性などが評価される予定です

・EH301はニコチンアミドリボシドとpterostilbenの合剤であり、pterostilbenはヒストン脱アセチル化酵素を活性化し、細胞のNAD活性を高めることによりALSに対しての治療的効果が期待されています

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04562831
新規臨床試験情報(poly MVA)
・アメリカでの新規臨床試験情報です。ALSの疲労感に対するpoly MVAの第1相試験が開始予定となっています

・15名のALS患者を対象にオープンラベルで投与され、24週間で疲労感が評価されます。

・poly MVAはミネラル、ビタミン、アミノ酸を含む栄養補助食品であり、抗酸化作用を有するとされるパラジウムリポ酸(PdLA)複合体を含むもののようです。

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04557410
エゾガビンのALSにおける皮質運動神経細胞の興奮性に対する効果
▽ALSにおいては、経頭蓋磁気刺激法と、閾値追跡神経伝導試験などにより脊髄および皮質運動神経細胞の過剰興奮性が報告されてきた

▽しかしこれまでに臨床試験において興奮特性がバイオマーカーとして用いられたことはない

▽今回65名のALS患者が参加してエゾガビンのプラセボ対照無作為割付比較試験が行われました。

▽参加者はプラセボ N=23、エゾガビン600mg N=23、エゾガビン 900mg N=19の3群に割り付けされ10週間で経頭蓋磁気刺激により評価された運動神経の興奮性がどのように変化するかが調べられました

▽主要評価項目は短潜時皮質内抑制(SICI)の変化でした。その結果、エゾガビン900mg群ではプラセボと比較してSICIが53%増加しました。600mg群ではプラセボ群と有意な差はありませんでした。エゾガビンはその他の指標でも用量依存性の興奮性の減弱効果を示しました

▽以上の結果は、SICIが薬理作用のバイオマーカーとして有用な可能性を示唆するものであり、エゾガビンが興奮毒性を緩和しうる可能性を示唆するものです

(この研究はアメリカ、Massachusetts General HospitalのWainger BJらにより報告され、2020年11月23日付のJAMA neurology誌に掲載されました)
メゾ多孔質シリカ粒子がALSモデルマウスの生存期間を延長
▽ALSの治療法の候補として栄養因子を用いる方法があります。

▽今回研究者らは毛様体神経栄養因子やグリア由来神経栄養因子、血管内皮増殖因子などを充填したメゾ多孔質シリカ粒子をboundary cap神経堤幹細胞と同時にSOD1変異ALSモデルマウスの頚髄に注入し、その効果を調べました。

▽その結果、有意な発症遅延効果と生存期間の延長効果がみられました

▽以上の結果は、メゾ多孔質シリカ粒子がALSの治療法として有用な可能性を示唆するものです

(この研究は、イスラエル、Ben-Gurion University of the NegevのLeyton-Jaimes MFらにより報告され2020年11月26日付のScientific Reports誌に掲載されました)
シンバスタチンはSOD1変異ALSモデルマウスの自食作用欠損を介した炎症とmTOR経路を活性化する
▽スタチンはHMG-CoA還元酵素阻害薬であり、高コレステロール血症に最も多く処方されている薬剤であり、心血管障害や脳血管障害治療にも使用されます。

▽スタチンはまれにスタチン関連ミオパチーを起こしうるため筋疾患への使用に注意を要します。近年スタチンが筋損傷を軽減し、筋機能を改善しうる可能性を示唆する結果が報告されました

▽今回、研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスにスタチンを投与し、その影響を調べました。その結果、シンバスタチンがSOD1変異ALSモデルマウスの骨格筋における自食作用の欠損を増加させ、炎症を亢進させることがわかりました。また筋萎縮と線維化の増悪と関連する炎症の増加が観察されました。

▽一方で、シンバスタチン長期投与は、mTOR経路活性化を介して損傷を受けた筋肉の再生を促進することがわかりました。

▽しかしながら、シンバスタチンの投与は、全体としては運動機能障害を抑制せず、損傷した筋肉の筋再生を促進するにもかかわらず、骨格筋の萎縮と変性を悪化させることがわかりました

(この研究は、中国、 The Second Hospital of Hebei Medical UniversityのWang Yらにより報告され、2020年11月21日付のMolecular Neurobiology誌に掲載されました)
テトラメチルピラジンニトロンはALSモデルマウスの運動機能障害を改善する
▽ALSにおいては酸化的ストレスが病態の主要な役割を果たしていると考えられています。今回研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスにおいてテトラメチルピラジン誘導体であるテトラメチルピラジンニトロン(TBN)を投与し、その効果を調べました。

▽TBNは強力なフリーラジカル除去作用を有すると考えられています。TBNは発症後のモデルマウスの腹腔内もしくは胃内に注入されました。

▽その結果、運動機能低下が抑制され、運動機能の改善効果がみられました。同時にグリアの反応に起因した運動神経細胞喪失も抑制されました。

▽TBN投与はPGC-1α/Nrf2/HO-1経路を介したミトコンドリアの抗酸化作用の活性化を引き起こすことがわかりました。

▽以上の結果は、TBNがALSに対する治療薬候補として有望な可能性を示唆するものです

(この研究は中国、Jinan University College of PharmacyのWen Jらにより報告され、2020年11月2日付のNeuropharmacology.誌に掲載されました)
ニトロアルケン安息香酸誘導体はNF-κB阻害を介してALSモデル動物の生存期間を延長する
▽ALSにおいては、抗炎症作用を有する物質が治療薬候補として探索されています。今回研究者らはSOD1変異ALSモデルラットに対してニトロアルケン安息香酸誘導体であるBANAを投与し、治療的効果を検証しました

▽BANA は、NF-κBレポーター遺伝子組み換えマウスおよび培養ミクログリアにおいて、NF-κBの活性化を有意に抑制しました。

▽発症後のSOD1変異ALSモデルラットに BANAを投与したところ、アストロサイトーシスとミクログリオーシスが有意に減少し、脊髄運動神経細胞周囲のNF κB-p65 陽性のミクログリアの有意な減少がみられました。

▽さらに、BANAを投与したSOD1変異ALSモデルラットでは、対照群と比較して、麻痺発症後の脊髄運動ニューロンの病態が有意に改善されただけでなく、骨格筋の神経筋接合部の神経支配が保存されていることがわかりました。

▽BANAは、麻痺後の生存期間を対照群と比較して30%程度延長させました。以上の結果は、BANAがミクログリアにおけるNF-κB阻害を介して、治療的効果をもたらす可能性を示唆するものです。

(この研究はウルグアイ、Institut Pasteur de MontevideoのIbarburu Sらにより報告され、2020年10月28日付のNeurotherapeutics誌に掲載されました)
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