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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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Tofersenの第1/2相試験の安全性などについて
▽Tofersenは変異SOD1遺伝子由来のmRNA機能を阻害するアンチセンス・オリゴヌクレオチド製剤です。今回tofersenの第1/2相試験が行われました。

▽SOD1変異ALS患者50名に対して、プラセボ対照で行われ20㎎、40㎎、60㎎、100㎎の4つの異なる用量でくも膜下腔内投与されました。主要評価項目は安全性と薬物動態であり、副次的評価項目は85日目の髄液中SOD1濃度の変化でした。

▽50名中48名が5回すべての投与を受けました。腰椎穿刺に伴う有害事象はほとんどの患者で観察され、髄液中白血球数の増加が4名で、蛋白質増加が5名で観察されました。

▽85日目の髄液中SOD1濃度のプラセボ群との差は20㎎投与群で平均2%、40㎎投与群で平均‐25%、60㎎投与群で平均-19%、100㎎投与群で平均-33%でした。

▽症例数が少ないため、有効性についての結論は出せませんが、12週後にプラセボ群はALSFRS-R得点で平均5.6点、肺機能得点で平均14.5点悪化したのに対して、tofersen100mg投与群ではALSFRS-R得点で平均1.2点、肺機能得点で平均7.1点の悪化となりました。特に進行の早い一群において進行抑制効果が顕著であったとのことです。

▽髄液中SOD1濃度の減少はtofersenの最高用量で観察されました。一部の患者で髄液中の細胞増加が観察され、大半の患者で腰椎穿刺に伴う有害事象が観察されました。

(この研究はアメリカ、Harvard Medical SchoolのMillerらにより報告され、2020年7月9日付のNew England Journal of Medicine誌に掲載されました)

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microRNAをエンコードするアデノ随伴ウイルスベクターによるSOD1変異ALS治療
▽2名のSOD1変異ALS患者に対して、変異SOD1 mRNAを標的とするmicro RNAをエンコードするアデノ随伴ウイルスベクターの単回くも膜下腔内投与が行われました。

▽22歳の患者1では、脊髄組織中のSOD1濃度は未治療SOD1変異ALS患者よりも低値でした。髄液中のSOD1濃度は患者1では一過性にわずかに低下しましたが、56歳の患者2では変化がありませんでした。

▽患者1は注入後のウイルスベクターに対する免疫反応により髄膜神経根炎を発症しました。患者2については、治療前に免疫抑制剤を投与することでこの合併症を避けることができました

▽患者1については右下肢筋力の一過性の改善がみられましたが、生命予後の改善はみられず、投与後15.6カ月で死亡しました。

▽一方で患者2については、治療後も1年以上安定した状態を維持しているとのことです。

▽以上の結果はSOD1変異ALSの治療法としてウイルスベクターを用いたmicroRNA注入が治療法として有望なことを示唆するものです

(この研究はアメリカ、 University of Massachusetts Medical SchoolのMuellerらにより報告され、2020年7月9日付のNew England Journal of Medicine誌に掲載されました)
CDC-7阻害剤はTDP-43蛋白症に対して治療的効果を有する可能性
▽TDP-43はALSの神経細胞において観察される凝集体の主要な構成成分です。TDP-43はリン酸化、ユビキチン化され、C末端で切断されます。

▽CDC-7(Cell Division Cycle Kinase 7)はTDP-43をリン酸化することがしられており、研究者らはCDC7の活性を阻害することにより、TDP-43のリン酸化が阻害され、病態緩和が期待できるのではないかと考えました

▽そこで、チオプリンを基にしたCDC-7阻害剤を用いて、機能喪失型GRN遺伝子変異を有するALS患者と、孤発性ALS患者由来のリンパ球を使用し、その機能を調べました。

▽その結果、選択的なCDC-7阻害剤であるERP1.14aおよびERP1.28aはTDP-43のリン酸化を減弱させ、細胞質内でのTDP-43凝集体形成を防ぐことができることが示されました

▽さらに患者由来リンパ芽球にCDC-7阻害剤を投与すると、核内でのTDP-43の機能回復がみられました。

▽以上の結果は、複素環式化合物に由来したCDC-7阻害剤がTDP-43蛋白症の病態緩和にとって有望な治療選択肢となる可能性を示唆するものです

(この研究は、スペイン、Centro de Investigaciones Biológicas, Margarita Salas (CSIC)のVacaらにより報告され、2020年7月6日付のJ Neurochem.誌に掲載されました)
低用量IL-2の第2a相試験
▽低用量インターロイキン2は自己炎症において制御性T細胞の機能を高めることが報告されています。今回、低用量IL-2のALSに対する薬物動態と安全性を検証するための第2a相試験が行われました

▽リルゾール投与中の発症5年未満、SVC70%以上のALS患者36名がエントリーされました。低用量IL-2(aldesleukin)2 MIU投与群、1 MIU投与群、プラセボ群の3群に無作為割付され、5日間連続投与を4週間ごとに3サイクル施行されました。

▽主要評価項目はCD4+ T細胞に占める制御性T細胞の割合の変化(%Treg)でした

▽重大な副作用は発生せず、非重篤な有害事象は、注射部位反応やインフルエンザ様症状などが投薬群でより高頻度に発生しました。プラセボ群の平均%Tregは―0.49%であり、2 MIU投与群では+6.2%、1 MIU投与群では+3.9%といずれもプラセボ群と有意差を認め、Tregの割合増加がみられました。

▽副次的評価項目では、用量依存性の血漿中CCL2増加がみられました。以上の結果は低用量IL-2投与が忍容性良好であり、免疫応答を良好に惹起している点で効果的と考えられました。今後有効性についての検証が期待されます

(この研究は、フランス、 University of MontpellierのCamuらにより報告され、2020年7月7日付のEbioMedicine誌に掲載されました)
PJA1は細胞質のTDP-43凝集体形成を抑制する
▽ALSにおいては神経細胞やグリア細胞における細胞質内のTDP-43凝集体形成が特徴です。研究者らはこれまでにヒト野生型TDP-43ないしTDP-43C末端断片を発現する遺伝子組み換えアデノウイルス投与により、in vitroおよびin vivoでプロテアソーム阻害条件下において神経細胞で細胞質内凝集体が形成されることを報告しています。

▽今回、研究者らは熱ショック応答の主要制御因子であるHSF1(heat shock transcription factor 1)を発現するアデノウイルスをラット神経幹細胞由来の神経細胞に共感染させることで、アデノウイルス由来TDP-43凝集体の形成が顕著に抑制されることを示しました

▽DNAマイクロアレイ解析により、HSF1の下流に位置し、TDP-43凝集体形成に抑制的に働く候補分子が探索されました。その結果、PJA1( Praja 1 RING-finger E3 ubiquitin ligase)がTDP-43のリン酸化と凝集体形成の抑制因子として同定されました。

▽共免疫沈降法により、PJA1はCTF TDP-43とE2-共役酵素UBE2E3に結合していることが明らかになった。また、PJA1はマウス顔面運動ニューロンの細胞質におけるリン酸化TDP-43凝集体の形成を抑制しました

▽以上の結果は、PJA1がTDP-43の凝集を抑制する主要なE3ユビキチンリガーゼの一つであることを示唆しており、ALSの治療標的となる可能性があることを示しています。

(この研究は、杏林大学のwatabeらにより報告され、2020年7月19日付のNeuropathology誌に掲載されました)
ペニシリンG/ヒドロコルチゾン療法の安全性と有効性(PHALS試験)
▽症例報告では、ALS患者に対して高用量ペニシリンG/ヒドロコルチゾンの静脈内投与が病状の安定化をもたらしたことが報告されています。

▽今回ALS患者を対象としたリルゾール併用下での、ペニシリンG/ヒドロコルチゾン静脈内投与の安全性と有効性に関するプラセボ対照試験が行われました。

▽患者にはプラセボないしペニシリンG/ヒドロコルチゾンが21日間、四半期ごとに4サイクル投与されました。(投与群10名対プラセボ6名)。主要評価項目はALSFRS-Rの48週間の変化量でした。

▽結果として、ペニシリンG/ヒドロコルチゾン投与群のALSFRS-Rの変化率は1カ月当たり2.2点、プラセボ群との差は0.5点であり有意差は認められませんでした。副作用としては6例(各群3例ずつ)に静脈内投与法に起因すると思われる血栓性合併症を認めました。

▽今回の小規模試験の結果からはペニシリンG/ヒドロコルチゾン静注の有効性は明らかではなく、長期間の静脈内投与が血栓症リスクを増大させる可能性が明らかになりました。

(この研究は、オランダ、University Medical Centre UtrechtのVan ES MAらにより報告され、2020年7月6日付のAmyotroph Lateral Scler Frontotemporal Degener誌に掲載されました)
C9orf72遺伝子変異由来産物は転写抑制によりUPF1介在RNA分解機構阻害する
C9orf72遺伝子の第1イントロンの6塩基繰り返し配列の過剰伸長は家族性ALSの主要な病因です。その特徴として正常に処理されなかったRNAが細胞内に蓄積することがあります。

▽今回、研究者らはナンセンス変異介在的RNA分解を含むUPF1を介したRNA分解機構が、C9orf72遺伝子変異ALS患者の中枢神経と、変異C9orf72遺伝子由来の有害転写産物であるpoly(GR)およびpoly(PR)を発現する培養細胞内において阻害されていることを明らかにしました。

▽poly(GR)およびpoly(PR)はUPF1のストレス顆粒への取り込みを引き起こしますが、ストレス顆粒の形成そのものはナンセンス変異介在的RNA分解の阻害とは無関係でした。

▽ナンセンス変異介在的RNA分解の阻害は、主としてpoly(GR)およびpoly(PR)によって引き起こされる広汎な転写抑制に起因するものでした。

▽UPF1を過剰発現させると、poly(GR)およびpoly(PR)により処理した神経細胞の生存期間が延長しました。このことはpoly(GR)およびpoly(PR)が細胞内RNA監視機構を阻害することで細胞毒性をもたらすことを示唆するものです

(この研究は、アメリカ、Yale大学のSunらにより報告され、2020年7月3日付のNature Communications誌に掲載されました)
臍帯血由来間葉系幹細胞移植について
▽今回研究者らは、臍帯血由来間葉系幹細胞のくも膜下腔内移植を受けたALS患者67名について、PRO-ACTデータベースに登録された23の臨床試験のデータから抽出したプラセボ群のALS患者の臨床経過と比較を行いました

▽ヒトホウォートンゼリー由来間葉系幹細胞が投与された67名のALS患者について、年齢や性別、人種、発症時の症状などをマッチさせた対照群が比較対象となりました。患者は3回の移植を2か月間隔で受けました。

▽その結果、生存期間の中央値は対照群と比較して2倍になりました。ALSFRS-Rの変化率については、改善群(31.3%)、不変群(49.3%)、増悪群(19.4%)に分類されました。

▽重大な副作用はありませんでした。女性であることと、初回投与時の治療反応性が良好であることが、その後の治療反応性が良好であることの予測因子でした。以上の結果は、ヒトホウォートンゼリー由来間葉系幹細胞移植が、一部の患者群にとって治療的に有用である可能性を示唆するものであり、今後の臨床試験での検証が期待されます。

(この研究は、ポーランド、University of Warmia and MazuryのBarczewskaらにより報告され、2020年7月28日付のStem Cell Rev Rep. 誌に掲載されました)
フマル酸ジメチルの抗酸化作用と抗炎症作用
▽ALSなどの神経変性疾患では酸化的ストレスや神経炎症が病態進展に関与しているとの報告が多くみられます。そこで抗酸化作用や抗炎症作用を有する物質については治療的効果が期待できます。これまでにフマル酸エステルが神経炎症や酸化的ストレスの改善に有効であるとの報告が多くなされています

▽フマル酸エステルの中でもフマル酸ジメチルが神経変性疾患の病態改善において有用である可能性が報告されています。フマル酸ジメチルはNrf2( nuclear factor
erythroid 2-related factor 2)経路を通じて効果を発揮すると言われています

▽今後フマル酸ジメチルの有効性が臨床試験で検証されることが期待されます

(この総説はイタリア University of MessinaのScuderiらにより報告され、2020年7月17日付のAntioxidants誌に掲載されました)
RAGE受容体欠損はALSモデルマウスの炎症を抑制し生存期間を延長する
▽RAGE(receptor for advanced glycation end products)は自然免疫系の主要な構成要素であり、ALSの病態に関与していることが報告されています。しかしながら、RAGEシグナル経路がALSの神経炎症にどのように関与しているのかよくわかっていません。

▽今回、研究者らはRAGE欠損SOD1変異ALSモデルマウスを用いて、病態変化がSOD1変異ALSモデルマウスと比較されました。

▽その結果、RAGEシグナル経路が完全に欠損した場合、病態進行が遅延し、3週間程度生存期間が有意に延長し、運動機能が改善しました。このことは脊髄におけるミクログリオーシスやサイトカイン、酸化的ストレスの減少と関連していました。

▽同時にSOD1変異ALSモデルやTDP-43ALSモデルの発症前の筋肉や脊髄において、RAGE mRNAの発現が有意に増加していることがわかりました

▽以上の結果は、RAGEシグナル経路がALSにおける神経炎症や神経変性に関与しており、この経路を抑制することが治療戦略として有用な可能性があることを示唆するものです

(この研究は、オーストラリア、The University of QueenslandのLeeらにより報告され、2020年7月16日付の Mol Neurobiol.誌に掲載されました)
ALSの咬筋痙縮に対するボツリヌストキシン投与の有効性
▽咬筋痙縮に伴う苦痛の強いALS患者に対して、咬筋にボツリヌストキシンAが注射されました。後方視敵に治療効果が評価されました。

▽1か月後の治療効果が評価され、12名の情報が得られました。12名中8名で三叉神経症状、舌、口唇・頬の噛み合わせ、顎のクローヌスなどに対して有益な効果がみられました。また、5名の患者が注射後の口腔ケアが楽になったと回答していました。

▽ALSにおける咬筋痙縮に対してボツリヌストキシン投与は有望な選択肢である可能性があります

(この研究は、フランス、Hôpitaux Universitaires de ParisのMonginらにより報告され、2020年7月8日付のRev Neurol (Paris)誌に掲載されました)

QurAlis社がリリー社のALS治療薬候補のライセンスを取得
・ALS NEWS TODAYの7月9日付記事からです

▽QurAlis社はALS治療を目的とした前臨床段階の低分子化合物のライセンスをEli Lilly社から取得しました。

▽この治療薬候補は、神経伝達物質であるグルタミン酸のような興奮性伝達物質に起因した興奮毒性と呼ばれるALSの病態に特異的に作用することを目的としています。

▽QurAlisの研究者らは、ALS患者の20%から50%の運動神経細胞の変性に興奮毒性が関与していることをみいだしました。これは、興奮毒性がカルシウムイオンを神経細胞に流入させ、カルシウム濃度が高くなることで細胞死がもたらされるためと考えられています。

▽QurAlis社にライセンス供与された化合物は、ALSの新規治療薬となる可能性があり、今後臨床試験が開始されることが期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2020/07/09/quralis-licenses-eli-lilly-preclinical-treatments-target-neuronal-excitotoxicity
NurOwn細胞の第3相試験ですべての患者への薬剤投与が完了
・ALS NEWS TODAYの7月6日付記事からです

▽BrainStorm社はNurOwn細胞の第3相試験について、全ての患者への投薬が終了したことを公表しました

▽約200名の患者がエントリーした第3相試験はプラセボ対照で行われ、合計3回隔月で4か月間くも膜下腔内投与されました。主要評価項目は初回移植後28週目のALSFRS-R得点の変化量になります。

▽試験は順調に進行しており、年内には結果の概略が判明する予定です。

引用元
https://alsnewstoday.com/2020/07/06/200-als-patients-finish-dosing-phase-3-trial-nurown-cell-therapy/
レボシメンダンの第3相試験結果
・ALS NEWS TODAYの7月30日付記事からです

▽Orion社のALS治療薬候補であるレボシメンダン(ODM-109)が第3相試験において期待された効果がみられなかったことが明らかになりました

▽レボシメンダンはもともと急性心不全治療薬として発売されている薬剤ですが、呼吸筋などの機能改善が期待され、第2相試験では仰臥位での肺機能を保持する作用があることを示唆する結果がえられていました。

▽第3相試験では492名のALS患者が対象となり、プラセボ対照で最長48週間投与され経過観察されました。

▽主要評価項目は12週後の仰臥位でのSVCで、副次的評価項目はALSFRS-Rなどでした。Orion社のプレスリリースでは、いずれの尺度においても有効性を示唆する結果が得られなかったとのことです

引用元
https://alsnewstoday.com/2020/07/30/phase-3-update-orion-levosimendan-fail-breathing-problems-als

柑橘類フラボノイドであるヘスペレチンの抗酸化作用と抗炎症作用
▽ヘスペレチンは、柑橘類のフラボノイドの一種であるヘスペリジンの誘導体であり、オレンジ、ブドウ、レモンなどの柑橘類に含まれています。ヘスペレチンが神経変性疾患の実験モデルにおいて神経保護効果を発揮することが広く報告されています。

▽ヘスペレチンはLPS処理モデルマウスにおいて、TLR4, GFAP, Iba-1, リン酸化NF-kBなどの発現を減少させ神経炎症を緩和する効果を有する可能性を示唆する報告があります。

▽また過酸化水素を投与した細胞モデルにおいて、ヘスペレチンは酸化的ストレスを減弱させ細胞保護作用を有することが報告されました

▽以上の結果はヘスペレチンがALSに対しても治療的な効果を有する可能性を示唆するものであり、今後の治療効果の検証が期待されます

(この総説は、韓国、Gyeongsang National UniversityのKhanらにより報告され、2020年7月10日付のAntioxidants誌に掲載されました)

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