・東京都医学総合研究所の研究グループが、手の運動機能を持たない脳梁息に人工神経接続システムを使って新たに運動機能を付与することに成功したとの筝です
引用元
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/10/17/01.html
・今後ALSなどの神経疾患への応用が進むことが期待されます
・はまじさん、ありがとうございました
▽田辺三菱製薬はALSに対するエダラボン経口懸濁液の第3相試験で最初の患者をエントリーしたことを公表しました
▽エダラボンは酸化的ストレスを減少させることにより治療的効果を発揮することが期待される薬剤です
▽点滴製剤では60mgのエダラボンを1時間以上で点滴静注し、14日間連続で投与した後、2週間の間を空けて第2クール以降は14日間のうち10日間投与する投与期の後14日間休薬します。
▽この臨床試験では150名のALS患者が対象となり、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、日本の65の施設で行われます。まだ具体的な施設名は公表されていません。
▽経口製剤の投与方法は点滴製剤と同じレジメンで行われます。
引用元
https://alsnewstoday.com/2019/11/27/first-patient-enrolls-phase-3-trial-oral-edaravone-in-als-disability/
▽内服に水を必要としないリルゾール口腔内溶解フィルム(商品名:Exservan)がFDAに販売承認されました
▽リルゾールは約20年前に最初にFDAに承認されたALS治療薬です。作用機序はよくわかっていませんが、神経傷害に関与する受容体を遮断することなどにより治療的効果を発揮すると考えられています
▽リルゾールはALS患者の生存期間延長効果をもたらすことがわかっており、進行期の患者においても有益であることが報告されています。口腔内溶解フィルムは水を必要とせず、嚥下機能の低下した患者でも摂取可能です。推奨用量は50mg製剤を1日2回摂取することとなっています。
引用元
https://alsnewstoday.com/2019/11/26/fda-approves-exservan-riluzole-dissolving-oral-film-for-als/
▽Brainstorm社のALS治療薬候補であるNurOwn細胞移植の第2相試験の結果がNeurology誌に公表されました
▽NurOwn細胞は自家間葉系幹細胞移植であり、患者より採取した間葉系幹細胞を神経栄養因子を分泌する細胞に分化誘導し、移植するものです。
▽第2相試験では、48名ALS患者がエントリーし36名がNurOwn細胞を投与され、12名がプラセボを投与されました。
▽患者は投与前3ヶ月間および投与後6ヶ月間症状経過観察されました。
▽全体としてALSFRS-Rの変化率は治療前後でNurOwn投与群とプラセボ群とで有意差を認めませんでした。しかしながらALSFRS-Rの変化量が少なくとも1.5点以上改善した群を反応群と定義すると、治療4週後の反応率はNurOwn投与群では47%でプラセボ群では9%であり有意差を認めました。また治療前のALSFRS-Rの変化量が2点/月以上の急速進行群においては、4週後のNurOwn投与群の反応率は80%に対してプラセボでは0%、12週後の反応率はNurOwn群では53%、プラセボ群では0%といずれも有意差を認めました。
▽治療後の時間経過と主に反応率が低下していることについて、追加投与の必要性を示唆するものかもしれないと考察されています。また髄液中MCP-1(monocyte chemoattractant protein-1)濃度(免疫細胞浸潤と神経炎症の指標)については、NurOwn投与後に有意な減少がみられました。プラセボ群では投与前後での有意差はありませんでした。このことはMCP-1がALSのバイオマーカーとなりうる可能性を示唆するものです。
▽現在進行中の第3相試験の結果が期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2019/11/25/phase-2-trial-nurown-cell-therapy-published-support-safety-and-early-efficacy-als/
▽AcuraStem社は同社の患者由来幹細胞を用いたALS治療薬候補探索プログラムであるAS-1プログラムが、SBIRグラントからの300万ドルの資金供与を得て第2段階に進展したことを公表しました
▽AS-1プログラムはALSの進行を停止する薬剤の探索と臨床試験を行うことを目的としています。治療法探索には同社のiNeuroRxプラットフォームが用いられます。このプラットフォームでは、患者iPS細胞由来神経細胞から得られたデータと人工知能を用いて、ALSに対して治療効果が期待できる物質を探索するものです。
▽AS-1プログラムの第1段階において同定された物質が、細胞実験段階において神経細胞の保護作用を有することが確認されています。今後臨床試験等が開始されることが期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2019/11/04/acurastem-advancing-second-stage-small-molecule-development-als-treatment/
▽発症早期における非活性型ミクログリアは、運動神経細胞生存を補助し、一方で炎症促進型ミクログリアは運動神経障害性に働くことがモデルマウスで報告されています。
▽最近クロモグリク酸がアルツハイマー病モデルマウスにおいて神経保護作用を有することが報告されました。今回研究者らはSOD1変異モデルマウスにおいてクロモグリク酸ナトリウムの効果を検証しました
▽その結果、クロモグリク酸ナトリウムは有意にモデルマウスの発症を遅延し、運動機能低下を抑制しました。一方で生存期間の延長効果は雌個体でのみ有意となりました。クロモグリク酸ナトリウム投与は炎症促進性サイトカインの発現を抑制し、肥満細胞の脱顆粒を減少させました。以上の結果はクロモグリク酸ナトリウムが、炎症反応を抑制することによりモデルマウスに対して治療的効果をもたらしたことを示唆するものです
(この研究はアメリカ、Massachusetts General HospitalのGranucciらにより報告され、2019年11月27日付のScientific Reports誌に掲載されました)
▽tempolは症状発現前のモデルマウス(10週齢)に投与開始され、14週齢まで投与されました。その結果、tempol投与により、非投与群と比較して神経細胞の生存数が23%増加し、脊髄中のアストログリオーシスおよびミクログリオーシスの減少が観察されました。
▽さらに炎症促進性サイトカインの減少が観察され、発症遅延効果がみられました。以上の結果はtempolがモデルマウスに対して治療的効果を発揮することを示唆するものです
(この研究は、ブラジル、Institute of Biology-Unicamp,CampinasのChiarottoらにより報告され、2019年11月14日付のJournal of Neuroinflammation誌に掲載されました)
▽Anelixis Therapeutics社のALS治療薬候補であるAT-1501が健常者と8名のALS患者を対象とした第1相試験を終了し、第2相試験への資金確保が完了したことを公表しました。
▽第1相試験の結果では、AT-1501の安全性が確認されました。AT-1501はCD40リガンドをターゲットとする抗体です。CD40リガンドは免疫細胞の表面に発現する蛋白質です。ALSではCD40リガンドが過剰発現しており、神経変性に関与していると考えられています。
▽AT-1501はALS-TDIやアメリカALS協会など複数の組織の支援により開発されています。アメリカALS協会は第1相試験に対して100万ドル以上の資金供与を行っています。
引用元
https://alsnewstoday.com/2019/11/21/anelixis-therapeutics-als-therapy-at-1501-phase-2-clinical-trial/
▽Aural Analytics社とTranslational Genomics Research Institute(TGen)社は、最近ALSと診断された患者の構音機能に対する鍼の紅花を検証する臨床試験実施のため提携することを公表しました。
▽TGen社は臨床試験のための資金供与を行い、診断12ヶ月以内のALS患者がエントリーする臨床試験では、バイオマーカー、構音機能変化などが追跡され、Aural社の開発したアプリで構音機能の変化が追跡されます
▽このアプリでは、患者の発声機能のわずかな変化も評価することが可能であり、病状の変化や治療効果などの判定に有用です。アプリを用いて自宅で評価可能なため患者の負担も軽減されます。
引用元
https://alsnewstoday.com/2019/11/12/aural-tgen-collaborate-trial-assessing-acupuncture-effects-recently-diagnosed-als-patients/
▽Kadimastem社は同社のALS治療薬候補である幹細胞移植AstroRxの第1/2a相試験について、プロトコル変更を届け出ました。当初中用量のAstroRx投与を受ける予定だった群が、低用量反復投与に変更になります。
▽この変更は5名の中間解析結果を受けてのものです。低用量のAstroRx(1億個)のクモ膜下腔内投与を受けた群において、安全性が確認されました。また、ALSFRS-Rの変化量は治療前が平均0.87点/月減少だったものが、治療後は0.26点/月増加と、有意な改善効果を認めています。
▽全ての結果は2021年中に判明する予定であり、2021年中のさらなる大規模試験に向けたIND申請(臨床試験実施申請)を目指しています
引用元
https://alsnewstoday.com/2019/11/20/kadimastem-seeks-to-amend-protocol-of-its-trial-testing-als-stem-cell-therapy-astrorx/
▽2019年の北米神経科学学会年会にて報告された研究結果によると、SARM1を阻害する小分子がモデルマウスおよび細胞モデルにおいて軸索変性を防ぐ効果があることが明らかになりました。
▽Sarm1蛋白質は軸索変性に関与する蛋白質です。今回研究者らはヒト由来神経細胞モデルや、モデルマウスを用いて、SARM1阻害薬の効果を検証しました。その結果、軸索変性を防ぎ、正常構造を保持する効果を有することがわかりました
▽今後実用化に向けてさらに開発を続けたいとしています
引用元
https://alsnewstoday.com/2019/11/14/blocking-sarm1-prevents-axon-degeneration-mice-cell-models/
▽データ安全性モニタリング委員会は、現在進行中のNurOwn細胞第3相試験において安全性を評価し、安全性が確認されたとして、予定通りに臨床試験を継続することとなりました。
▽この決定は既に投与された106名の患者を対象とした安全性の中間解析結果によるものです。
▽データ安全性モニタリング委員会は安全性に問題がある場合や、有効性が期待されたものではない場合に、試験の中止を勧告することができます。
▽第3相試験の結果は2020年中にも明らかになることが予想されています
引用元
https://alsnewstoday.com/2019/11/01/nurown-gets-good-safety-review-by-phase-3-trial-monitoring-board/
▽今回、研究者らは、SOD1変異モデルマウスに対してDHAを投与し、効果を検証しました。その結果、雄個体において有意な生存期間延長効果(7%)と運動機能低下抑制効果を認めました。
▽DHA投与は血漿中炎症促進性サイトカインの減少を認めました。蛋白質酸化のマーカーについては変化がありませんでしたが、脊髄中のDNA酸化的傷害マーカーに対する免疫反応性を減少させました。さらに神経細胞モデルにおいてもDHAとαートコフェロール付加により運動神経細胞保持効果が認められました
▽以上の結果はDHAが性別依存性に運動神経保護作用を有することを示唆しており、今後更なる検証が期待されます
(この研究はスペインInstitut de Recerca Biomèdica de Lleida-Universitat de LleidaのTorresらにより報告され、2019年11月21日付のNeurotherapeutics誌に掲載されました)
▽今回、研究者らは孤発性ALS患者から髄液を採取し、折り畳み異常SOD1蛋白質の有無を調べました。その結果、全ての孤発性ALS患者の髄液中より野生型SOD1蛋白質の折り畳み異常が検出されました。またパーキンソン病や進行性核上性麻痺患者らの髄液中からも折り畳み異常SOD1蛋白質が検出されました。
▽運動神経細胞モデルにおいて野生型折り畳み異常SOD1蛋白質は有毒性を示しました。以上の結果は、孤発性ALSにおいても野生型のSOD1蛋白質の折り畳み異常が病態に関与している可能性を示唆するものです
(この研究は慶應義塾大学のTokudaらにより報告され、2019年11月19日付のMol Neurodegener.誌に掲載されました)
▽今回研究者らは発症前からSOD1変異ALSモデルマウスに対して補中益気湯を投与し、治療的効果を検証しました。
▽その結果、脊髄中における炎症反応と酸化的ストレスの顕著な減弱効果がみられました。また運動機能の改善効果と生存期間の延長効果が認められました
▽以上の結果は補中益気湯がモデルマウスの免疫応答を変化させ、治療的効果を発揮した可能性を示唆するものです
(この研究は韓国、 Korea Institute of Oriental MedicineのCaiらにより報告され2019年11月4日付のNutrients誌に掲載されました)
▽パーキンソン病においては、2型アデノ随伴ウイルスベクターを用いたneuturin投与が、基礎実験および臨床試験において有効性を示唆する結果が得られています。
▽この手法はALSにおいては検証されていません。今回研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスに対して、neuturinをエンコードする2型アデノ随伴ウイルスベクターを投与し治療的効果を検証しました。
▽ウイルスベクターは60日齢のSOD1変異ALSモデルマウスの頸髄に対して投与されました。その結果、用量依存性に神経保護作用が観察されました。この神経保護作用は投与部位局所的に観察され、前肢の運動機能低下が抑制されました。
▽以上の結果はアデノウイルスベクターによるneuturin投与がモデルマウスに対して治療的効果を有することを示唆しており、今後の臨床試験実施が期待されます
(この研究は、アメリカ、Johns Hopkins UniversityのGrossらにより報告され、2019年10月31日付のExperimental Neurology誌に掲載されました)