fc2ブログ
ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
201907<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201909
新規臨床試験情報(制御性T細胞)
・アメリカでの新規臨床試験です。自家制御性T細胞の静注+低用量インターロイキン2皮下注のALSに対する有効性、忍容性についてのプラセボ対照の第2a相試験が開始予定です

・試験は12名を対象とし、最初6ヶ月間は月に1回、実薬群は制御性T細胞静注+IL-2皮下注施行され、プラセボ群と比較されます

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04055623
スポンサーサイト



ATG7の不活性化がALS発症に関与する可能性
・ALS NEWS TODAYの8月6日付記事からです

▽ATG7遺伝子は自食作用をコントロールする遺伝子であり、この遺伝子の不活性化がALSの発症に関与することを示唆する結果がAutophagy誌に報告されました。

▽これまでに研究者らは、ALS患者においてはTDP-43蛋白質の隠れエクソンを抑制する機能が障害されていることを報告しています。このことはTDP-43の核内からの喪失が神経変性につながることを意味します。しかしながら、隠れエクソンを抑制する機能の障害がどのようにして神経変性につながるかはよくわかっていませんでした

▽ジョンズホプキンス大学の研究者らは、核内からのTDP-43喪失がどのようにして神経変性につながるかを2種類のALS動物モデルで調べました。

▽まずTDP-43蛋白質を除去した神経細胞と筋肉のトランスクリプトーム解析により全てのRNA分子、転写産物についての解析が行われました。

▽その結果、自食作用を制御するATG7遺伝子の発現が低下していることがわかりました。

▽一方でTDP-43蛋白質の欠如した動物モデルにおいてATG7を過剰発現させたところ、運動神経細胞死が抑制されました

▽以上の結果は、TDP-43の核内からの喪失により自食関連遺伝子の発現が低下し、その結果、神経細胞死につながることを示唆しており、今後の治療法開発の手がかりとなる可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/08/06/inactivation-of-the-autophagy-gene-atg7-linked-to-the-onset-of-als-ftd/
P2X7の活性化はALSモデルマウスにおける骨格筋代謝と新生を活性化する
▽ALSにおいては骨格筋変性が神経から起こるのか、筋肉から起こるのか、それとも両者からかよくわかっていません。

▽これまでの報告では骨格筋において、変異SOD1蛋白質を発現させると、神経筋接合部の変性が起こることが知られています。
▽今回、研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスを用いて、骨格筋のP2X7受容体の活性化がもたらる影響を調べました

▽P2X7受容体は、細胞外ATPに対するイオンチャネル型プリン受容体であり、骨格筋に豊富に分布しています。

▽研究者らは、P2X7受容体に対する特異的なアゴニストであるBzATPを用いて、発症前のモデルマウスに投与しました。

▽その結果、骨格筋代謝の促進と、骨格筋変性を抑制する衛星細胞の増殖がみられました。

▽以上の結果は、P2X7活性化がALSにおける筋肉変性に対して治療的に作用する可能性を示唆するものです

(この研究は、イタリア、 Istituto di Ricerche Farmacologiche Mario Negri IRCCSのFabbrizioらにより報告され、2019年8月3日付のBrain pathology誌に掲載されました)
アンブロキソールがALSモデルマウスで生存期間延長効果
▽ALSにおいてはスフィンゴ脂質の代謝異常が存在するとの報告があります。特に中枢神経および神経筋接合部におけるセラミド濃度、グリコシルセラミド濃度、ガングリオシド濃度の変化が動物モデルおよび患者において報告されています。

▽グリコシルセラミドはスフィンゴ糖脂質の主要な前駆体であり、GBA1ないしGBA2グリコセレブロシダーゼにより分解されます。

▽今回、研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスの脊髄においてGBA2活性が顕著に亢進していることをみいだしました。

▽そこで、GBA2阻害作用を有するアンブロキソールを発症前のモデルマウスに投与したところ、発症遅延効果と神経筋接合部保持、運動神経細胞保存作用などが認められました。

▽以上の結果は、SOD1変異モデルマウスにおいてアンブロキソールが治療的効果を有することが示唆するものです

(この研究は、フランス、Universite de StrasbourgのBouscaryらにより報告され、2019年8月7日付のFront Pharmacol誌に掲載されました)



ヒスタミンはALSモデルマウスにおいて熱ショック応答を誘導する
▽ALSは非細胞自律性の変性疾患であり、ミクログリアとアストロサイトの活性化が病態に関与していると考えられています

▽熱ショック蛋白質は神経細胞生存を促進し、グリアにおける強い抗炎症作用を発揮します。これまでに、SOD1変異ALSモデルマウスの中枢神経においてヒスタミンを増加させる薬理学的介入は、神経炎症を減少させ、運動神経細胞死を抑制しました。

▽今回、研究者らは、この効果が熱ショック応答を介するものであるのかどうかを検証しました。

▽症状発現後のSOD1変異ALSモデルマウスに対して、血液脳関門を透過しうるヒスタミン前駆体のヒスチジンが投与され、同時にモデルマウス由来のミクログリアや神経細胞モデルに対してヒスタミン投与した反応が観察されました。

▽その結果、SOD1変異モデルマウス由来のミクログリアおよび運動神経細胞において、ヒスタミン投与は熱ショック応答を活性化しました

▽モデルマウスに対するヒスチジン投与は脊髄におけるHsp70などを増加させ、運動神経細胞変性を抑制しました。

▽以上の結果は、ヒスタミンが熱ショック応答の誘導により神経保護作用を有する可能性を示唆するものであり、今後の治療法開発の手がかりとなる可能性があります

(この研究は、イタリア、IRCCS Santa Lucia FoundationのApolloniらにより報告され、2019年8月3日付のInternational journal of molecular sciences誌に掲載されました)
TGFB1シグナル経路はALSにおいて障害されている
▽ALS患者においては、TGFB1(Transforming growth factor beta 1)の血中濃度上昇が報告されています。今回研究者らはALSモデルマウスと孤発性ALS患者の脊髄および骨格筋におけるTGFB1の病態進行に伴う変化と、シグナル経路について調べました。

▽発症前においてはTGFB1のmRNA発現はモデルマウス脊髄において減少し、雄マウスの骨格筋では増加がみられました。発症後においては、脊髄および骨格筋で増加がみられました。

▽一方で筋肉においてTGFB1により発現がコントロールされているPax7、Collagen1a1などの遺伝子発現についてはモデルマウスにおいて発現低下がみられ、病態に関与していることが推測されました。

▽以上の結果はTGFB1ないしそのシグナル経路を是正することがALSに対する治療対象となりうる可能性を示唆するものです。

(以上の結果は、イタリア、Università degli Studi di MilanoのMeroniらにより報告され、2019年7月のNeurobiology of Aging誌に掲載されました)

AngiogeninはアストロサイトのNrf2/ARE経路を活性化し神経保護作用を有する
▽血管新生因子であるangionenin(ANG)遺伝子の変異はALSにおいて多く見出されています。ALS類似症状を呈するモデルマウスに対してヒトANGを投与することにより治療的効果が確認されています

▽ANGはリボヌクレアーゼであり、神経細胞内に入り、tRNAの一部を分解し、転写開始とストレス顆粒の集合を抑制します。

▽今回、研究者らはマウス神経細胞およびアストロサイトを用いて、ANGの機能を解析しました。その結果、ANGは酸化的ストレスに対して細胞保護作用を有するNrf2経路を活性化することがわかりました。

▽この活性は神経細胞では起きず、アストロサイトにおいて生じ、酸化的ストレスに暴露した近傍の神経細胞を保護的に機能することがわかりました。

▽以上の結果はANGが神経保護作用を有することを示唆しており、ALSに対する治療的効果が期待できる可能性があります。

(この研究は、アメリカ、University of Wisconsin-MadisonのHoangらにより報告され、2019年8月20日付のThe Journal of biological chemistry誌に掲載されました)
Neuropore社のNPT520-34がFDAよりorphan drug指定
・ALS NEWS TODAYの8月20日付記事からです

▽FDAは抗神経炎症作用を有するとされるNeuropore社のALS治療薬候補であるNPT520-34に対してorphan drug指定を与えました

▽NPT520-34は血液脳関門を透過しうる小分子であり、抗炎症作用を有します。前臨床試験段階において変異SOD1蛋白質などによる細胞毒性を減弱させることが確認されました

▽orphan drug指定により開発の促進が期待されます。現在健常者を対象とした第1相試験が行われています。

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/08/20/npt520-34-granted-fda-orphan-drug-designation-als/
SARM1蛋白質の構造と機能についての解析がALS治療の糸口になる可能性
・ALS NEWS TODAYの8月29日付記事からです

▽Disarm Therapeutics社はSARM1蛋白質の構造と機能についての2つの論文をScience誌に公表しました

▽SARM1蛋白質は細胞変性に関与する主要な蛋白質です。ALSを含む神経変性疾患では軸索の変性が生じますが、この軸索変性過程にSARM1蛋白質が関与していることが報告されてきました

▽SARM1蛋白質はNAD+の分解に関与しています。SARM1蛋白質活性の阻害は動物モデルにおいて軸索変性を減少させることが知られており、SARM1蛋白質がALSなどの治療ターゲットとなっています

▽研究者らはX線結晶解析を用いて、SARM1蛋白質がNAD+を切断する機構について調べました。その結果、蛋白質において2つの重要な領域が抽出されました。それはSAM(sterile alpha motif)とTIR(toll/interleukin-1 receptor)と呼ばれる領域です。8つのSAM領域がTIRの作用により集合し、機能することがわかりました。

▽さらに研究者らはTIR領域における基質結合部位を同定し、それが植物においても保存されていることを見出しました。それはNLR(nucleotide-binding leucine-rich repeat)免疫受容体と呼ばれており、この蛋白質も細胞死に関与しています。TIR領域によるNAD+の分解が細胞死のシグナル経路において重要であることがわかりました。

▽Disarm社は今後SARM1蛋白質の機能に着目したALSなどに対する治療薬開発を促進したいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/08/29/new-data-structure-function-sarm1-may-aid-design-new-als-therapies/
RPS25はC9orf72遺伝子由来RAN翻訳に関与する
▽C9orf72遺伝子変異ALSにおいては、第1イントロン領域の6塩基繰り返し配列の過剰伸長部位における、リピート関連非ATG依存性翻訳(RAN翻訳)によるジペプチド繰り返し転写産物が有害作用を有すると考えられています。

▽今回、研究者らは、RAN翻訳を制御する因子を遺伝子的にスクリーニングしました。

▽その結果、RAN翻訳を制御する因子として、RPS25(ribosomal protein subunit 25)が抽出されました。

▽RPS25はC9orf72遺伝子変異ALSをはじめとした繰り返し配列に起因した変性疾患における治療ターゲットとなりうる可能性があります

(この研究は、アメリカ、Stanford University School of MedicineのYamadaらにより報告され、2019年9月のNature Neuroscience誌に掲載されます)
CREST毒性はPBP1/ATXN2機能喪失により改善する
▽TDP-43凝集は細胞毒性を有しますが、ATXN2の酵母における相同分子種であるPBP1除去は酵母におけるTDP-43毒性を緩和します。そのためATXN2はALSのリスク因子であり、かつ治療ターゲットと考えられています。

▽CREST( calcium-responsive transactivator )蛋白質をコードするSS18L1遺伝子変異はALSの病態に関与しています。

▽今回、研究者らは酵母においてCRESTが核内および細胞質においてアミロイド様の凝集体を形成し、有害作用をもたらすことをみいだしました。

▽CRESTの毒性は酵母プリオンにより増強し、プリオン伝播に必要なHSP104シャペロン除去により軽減しました。同様にPBP1除去はCREST毒性と凝集を緩和しました。

▽ショウジョウバエにおいてもATXN2相同分子種のdAtx2がCRESTの毒性を増強することがわかりました。CREST過剰発現させた網膜神経節細胞におけるCREST毒性による神経変性はdAtx2発現抑制により緩和しました。CRESTを過剰発現させるとCRESTとPBP1/ATXN2の細胞質内における同時局在化がみられ、この同時局在化がPBP1/ATXN2による細胞毒性の発現機序の一部と考えられました

▽以上の結果は、TDP-43などのALS関連蛋白質の細胞毒性がPBP1/ATXN2により制御されている可能性を示唆するものであり、ATXN2抑制がALSなどの神経変性疾患において治療的に作用する可能性があります

(この研究はアメリカ、University of NevadaのParkらにより報告され、2019年8月7日付のPLoS Genetics誌に掲載されました)
プリオン様領域を有するリン酸化酵素Sky1はストレス顆粒分解に必要
▽外部環境の変化に反応して形成されるストレス顆粒は、膜を有さないmRNAを多く含む構造体です。ストレス顆粒形成は可逆性ですが、ALSなどの神経変性疾患では持続的なストレス顆粒の形成が報告されています。

▽ストレス顆粒の分解に関わる因子についてはよくわかっていません。

▽多くのストレス顆粒を構成する蛋白質はプリオン様領域を有しており、そのうちのいくつかがストレス顆粒形成に関与しています
▽今回、研究者らはプリオン様領域を有する酵母のリン酸化酵素であるSky1がストレス顆粒の構成要素であることをみいだしました

▽Sky1は自身のプリオン様領域によりストレス顆粒に取り込まれます。そしてリン酸化酵素としての活性がストレスからの回復過程におけるストレス顆粒の分解に関与しています。

▽このストレス顆粒分解過程においては、ストレス顆粒構成要素のNpl3のリン酸化を介することがわかりました。Sky1はシャペロンを介したストレス顆粒の分解機構の障害を補う役割を有しています。

▽以上の結果は、Sky1がストレス顆粒分解に重要な機能を有することを示唆しており、ストレス顆粒の関与する病態への治療法開発の手がかりとなる可能性があります。

(この研究は、Colorado State UniversityのShattuckらにより報告され、2019年8月9日付のNature Communications誌に掲載されました)
アクチンの重合化の変化がALSにおいて核細胞質間輸送に影響する
▽ALSにおいては核細胞質間輸送の障害が報告されています。しかしながら核膜孔の機能変化の分子機構についてはよくわかっていません。

▽今回、研究者らは遺伝子的ならびに薬理学的にアクチンの重合化を変化させることで、核輸送やmRNAの転写後の制御などが障害されることをみいだしました。

▽重要なことに、アクチンの恒常性保持機構を正常化することにより、PFN1変異やC9orf72遺伝子変異に起因する核膜孔の不安定性や機能異常を是正することができました。

▽以上の結果は、ALSの病態において核細胞質間輸送の障害が関与していることを示唆しており、アクチンの恒常性保持機構を制御することが、ALSに対する治療戦略として有望である可能性があります。

(この研究は、アメリカ、University of Massachusetts Medical SchoolのGiampetruzziらにより報告され、2019年8月23日付のNature Communications誌に掲載されました)
Orphazyme社がArimoclomol第3相長期試験の推進のため提携
・ALS NEWS TODAYの8月28日付記事からです

▽Orphazyme社は、現在世界各国で行われているarimoclomolの第3相長期延長試験のため提携することを公表しました

▽この試験はアメリカとヨーロッパの30箇所の拠点で実施されており、発症18ヶ月以内の245名のALS患者が対象となっています。arimoclomolは血液脳関門を通過しうる薬剤であり、熱ショック蛋白質を増加させ、リソソームの機能を高め、折り畳み異常蛋白質の分解を促進させることにより治療的効果が期待されています。

▽既にエントリーが終了し、2018年8月から投薬開始となりました。2020年8月には延長試験も終了予定となっています。

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/08/28/orphazyme-worldwide-clinical-trials-continue-partnership-through-extension-of-phase-3-arimoclomol-trial/

ALS治療法開発のため310万ドルの資金供与
・ALS NEWS TODAYの8月22日付記事からです

▽Nourthwestern大学ではALS治療法開発研究のため、アメリカ国立老化研究所からの310万ドルの競争的資金を獲得しました。
▽研究者らは、これまでにALSにおける細胞内での蛋白質凝集を阻害しうる物質の探索を行っており、既にいくつかの候補物質を同定しています。

▽これらの物質ないしその誘導体が、上位運動神経細胞の喪失に対して保護的に作用するかどうかを確認しており、前臨床段階の実験で良好な結果が得られているとのことです。

▽また研究の中でUCHL-1蛋白質が上位運動神経細胞の生存において重要な役割を果たしていることも明らかになりました。

▽今後臨床試験の実施に向けての進展が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/08/22/3-1-million-grant-to-help-find-therapies-targeting-neuron-loss-in-als/
copyright © 2023 Powered By FC2ブログ allrights reserved.