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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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Ku80依存性DNA修復経路の過活動抑制がC9orf72遺伝子変異ALSに治療的効果
▽C9orf72遺伝子の第1イントロンにおける6塩基繰り返し配列の過剰伸長は家族性ALSの主要な原因の1つです。

▽poly(GR)などのジペプチド繰り返し配列蛋白質が細胞毒性を発揮すると考えられています。どのようにすればpoly(GR)による毒性を緩和しうるかはわかっていません。

▽ショウジョウバエALSモデルを用いて、研究者らはpoly(GR)の毒性を緩和しうる遺伝子的修飾因子をみいだしました。

▽驚くべきことにDNA修復蛋白質であるKu80の部分的機能喪失がpoly(GR)に起因した網膜変性を抑制しました。Ku80は患者iPS細胞由来神経細胞や、poly(GR)発現ショウジョウバエなどにおいて発現亢進がみられました。その結果、リン酸化ATMやp53、その他アポトーシス促進蛋白質であるPUMAやBaxなども患者由来神経細胞において発現亢進がみられました。

▽CRISPR/Cas9によるゲノム編集によりKu80の機能を部分的に喪失させるか、もしくは小分子RNAによるKu80遺伝子のノックダウンにより、アポトーシス経路は抑制されました。

▽Ku80依存性DNA修復経路の過活動を部分的に抑制することが、C9orf72遺伝子変異ALSに対して有望な治療戦略となりうる可能性があります

(この研究はアメリカ、University of Massachusetts Medical SchoolのLopez-Gonzalezらにより報告され、2019年4月24日付のPNAS誌に掲載されました)


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新規臨床試験情報(Sinemet)
▽アメリカでの新規臨床試験です。カルビドパ-レボドパ合剤(商品名メネシットなど)のALSに対する第1相試験が開始予定です

▽抗パーキンソン病薬であり、ALSの痙性などへの有効性が検証されます。15名を対象にカルビドパ25mg、レボドパ100mgの合剤を1日3回、1回1錠内服し投与期間は3週間で、クロスオーバーデザインで行われる予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03929068
移植骨髄由来M2型ミクログリアによるALSモデルマウスの症状改善
▽研究者らは、90日齢の発症後SOD1変異ALSモデルマウスに対して、9.0グレイの全身照射を行い、緑色蛍光遺伝子を組み込んだC57BL/6j系統マウス由来の骨髄細胞移植を行い、治療的効果を検証しました。

▽その結果、移植後に麻痺のない生存期間が100日から250日以上に延長しました。移植後マウスでは保護型(M2)ミクログリアが脊髄前角運動神経細胞周囲にみられ、血液脳関門機能の回復が観察されました。

▽以上の結果は、全身照射後に移植された健常マウス由来の骨髄中のM2型ミクログリアがSOD1変異ALSモデルマウスの生存期間を延長する効果がある可能性を示唆するものであり、今後の研究の進展が期待されます

(この研究はアメリカ、 UPMC Hillman Cancer CenterのEpperlyらにより報告され、2019年5-6月号のIn Vivo誌に掲載されました)

臨床グレードのヒト神経幹細胞移植はSOD1変異ALSモデルラットの生存期間を延長する
▽幹細胞移植はALSの治療法として精力的に研究されています。しかしながら、幹細胞がどのようなメカニズムで治療的効果を発揮しうるかはよくわかっていません。

▽今回、研究者らは、臨床グレード(移植用の質の高い)のヒト神経幹細胞を用いて治療的効果を検証しました

▽発症時期のSOD1変異ALSモデルラットの腰髄前角部の両側にヒト神経幹細胞が移植されました。移植後15日間は免疫抑制剤が使用されました。

▽移植された幹細胞は分化し遊走がみられました。移植されたラットは体重減少の遅延、運動機能の保持がみられ、移植後40日目において腰髄前角部においてより高密度の運動神経細胞と、より少ない活性化アストロサイトおよび活性化ミクログリアが観察されました。

▽多様な病態が関与するALSなどの疾患に対しては、複合的な治療的アプローチが有用な可能性があります

(この研究は、イタリア、University of Milano-BicoccaのZalfaらにより報告され、2019年4月25日付のCell Death Dis. 誌に掲載されました)
ヒスタミン系賦活はALSモデルマウスの病態進行遅延をもたらす
▽ヒスタミンは免疫系を修飾し、神経保護作用、再髄鞘化をもたらす物質です。またALSのミクログリアにおける抗炎症作用を促進します。

▽内因性ヒスタミン放出を促進する物質の神経変性疾患に対する治療的効果が検証されていますが、ALSではまだ調べられていません。今回研究者らはALSモデルマウスにおいてヒスタミン経路の関与を調べました

▽ALS患者における遺伝子発現プロフィールやコピー数多型、一塩基多型などが調べられました。またSOD1変異ALSモデルマウスにおいてヒスタミン前駆体であるヒスチジンが投与され、治療的効果が検証されました。

▽その結果、2つのALS患者のサブグループの脊髄において13のヒスタミン関連遺伝子の発現低下がみられました。またいくつかのヒスタミン関連遺伝子はALSに関連した遺伝子変異と関連性のある遺伝子領域と重複していました

▽ヒスチジン投与はALSモデルマウスの症状を改善し、生存期間を延長しました。

▽以上の結果は、ALSの病態にヒスタミン系が関与していることを示唆するものであり、治療ターゲットとして有用な可能性があります。

(この研究はイタリア、IRCCS FondazioneのApolloniらにより報告され、2019年4月24日付のJournal of cachexia, sarcopenia and muscle誌に掲載されました)
MEK5抑制がTDP-43蛋白質の毒性を緩和する
▽多くの神経変性疾患では折り畳み異常蛋白質の蓄積が主要な病態です。自食作用は凝集蛋白質の分解に関わる主要経路です。ALSにおいては自食経路の機能不全が報告されています。

▽今回、研究者らは自食経路の制御に関与する新たな機序をみいだしました。MEK5の抑制はp62濃度を減少させ、自食経路活性化の指標であるLC3-Iに対するLC3-IIの比率を増加させました。

▽オートファジーリソソーム経路(ALP)の制御因子としてmTORがしられていますが、MEK5はmTORなどを介さない経路によりALPを修飾することがわかりました。

▽さらにMEK5抑制は、TDP-43の異常局在化を緩和し、神経細胞死を抑制しました。以上の結果はMEK5がALSに対する治療ターゲットとなりうる可能性を示唆するものです

(この研究は韓国、Korea Brain Research InstituteのJoらにより報告され、2019年4月17日付のBiochemical and biophysical research communications誌に掲載されました)

喘息治療薬の可能性
・ALS NEWS TODAYの4月11日付記事からです

▽ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)は有害なRNAを分解するための細胞内機構ですが、ALSにおいてこの経路が治療ターゲットとなりうる可能性があります

▽tranilastとよばれる(日本ではリザベンとして気管支喘息やアレルギー性鼻炎に承認)喘息治療薬がNMD経路の再活性化作用を有する可能性があり、ALSに対しても治療的に作用する可能性があります

▽Brain誌に公表された論文によると、家族性ALSの最も頻度の高い遺伝子変異であるC9orf72遺伝子変異ALSにおいて、患者由来脳組織における遺伝子発現パターンと、NMD経路に欠損のある細胞における遺伝子発現パターンとの類似点を見出しました。

▽C9orf72遺伝子変異ALS細胞モデルおよびモデルマウスの中枢神経において、NMD経路の障害がみられました。ALSモデルショウジョウバエにおいて、遺伝子的にNMD経路を活性化したところ、神経保護作用がみられました。

▽さらに研究者らは、NMD経路を活性化させる化合物を探索しました。その結果、tranilastが忍容性良好な物質として同定されました

▽TranilastはC9orf72遺伝子変異ALSにおいて治療的に作用する可能性があり、今後の検証が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/04/11/als-mutation-affects-key-pathway-but-asthma-treatment-seen-to-offer-protection-in-early-study/
自食作用を増強させることによるFUS毒性の緩和
・ALS NEWS TODAYの4月16日付記事からです

▽RNA結合蛋白質の機能異常がALSの病態と関連するといわれています。この機能異常が自食作用を亢進させることにより緩和する可能性がActa Neuropathologica誌に掲載されました

▽RNA結合蛋白質はRNAに結合し、その構造と機能を安定させます。これまでRNA結合蛋白質の機能変化をもたらす、細胞内濃度の変化や細胞内の局在部位の変化などがALSの発症に関与するといわれていました。FUS蛋白質はRNA結合蛋白質であり、この変異がALS発症に関与しています。

▽FUS遺伝子変異ALSは特に重篤な経過をとることが知られています。60%が40歳未満で発症します。

▽FUS遺伝子変異によりFUS蛋白質の細胞質内への異常蓄積が生じます。研究者らはこの異常蓄積がRNA結合蛋白質のバランスを乱し、神経細胞死につながることをみいだしました。

▽しかし、小分子により人工的に自食作用を賦活したところ、異常FUS蛋白質蓄積による細胞傷害作用が軽減し、細胞死が減少しました。

▽これらの結果はALS患者由来組織および患者iPS細胞由来神経細胞、ALSショウジョウバエモデルなどで確認されました。今後臨床試験が予定されています

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/04/16/perturbations-in-rbps-linked-to-als-can-be-alleviated-by-autophagy/
エピジェネティックな変化についての研究がALS新規治療法開発につながる
・ALS NEWS TODAYの4月29日付記事からです

▽ALS患者における後天的遺伝子修飾であるエピジェネティックな変化を調べることにより新規治療法がみつかる可能性があります

▽Translational Research誌に掲載された論文によると、エピジェネティックな変化がALSの病態に関与していることを示唆する結果が得られました

▽エピジェネティックな変化にはDNAのメチル化、micro RNA、ヒストン修飾などがあります。

▽孤発性ALS患者の脊髄組織を調べたところ、免疫応答に関与する遺伝子発現に関与する部位のDNAメチル化の広範な変化が観察されました。

▽ALS患者ではDNAメチルトランスフェラーゼであるDnmt3aと関連酵素の濃度上昇が中枢神経において観察されています。ゲノムワイド関連分析においても、ALSに影響を与えうるDNAメチル化差異の存在が明らかになっています。

▽miRNAに関しては、ALSにおいて脊髄におけるmiR-155やmiR-142などのRNA分子の濃度の変化が報告されています。これらは細胞死や免疫応答などに関与しています。miRNAはバイオマーカーとしての役割も期待されています。

▽ヒストン脱アセチル化酵素については、ALSではHDAC11およびHDAC2のmRNA濃度の変化が中枢神経で報告されています。またモデルマウスではHDAC1の細胞内の局在化異常も報告されています。またアセチル化を行う酵素であるELP3は神経変性に関与しているといわれています。

▽これまでにHDAC阻害作用のある薬剤は、ALS患者由来細胞における輸送分子の異常を是正する効果やモデルマウスにおける運動機能の改善効果が報告されています。HDAC阻害剤であるフェニルブチレートはSOD1変異ALSモデルマウスの生存期間を延長し、ALS患者においてヒストンのアセチル化を増加させました。

▽クロマチンリモデリング酵素も治療対象となり得ます。これらの酵素のうちChd1などの酵素は、クロマチン構造を変化させ、Chd1欠損はALSモデル動物においてDNA損傷の修復を障害し、保護的な遺伝子の発現を減少させました。

▽ALSにおけるエピジェネティックな変化と病態との関連がさらに明らかになることにより、今後の診断法や治療法探索が進展することが期待されます。

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/04/29/studying-epigenetic-changes-could-lead-to-new-als-treatments-and-biomarkers-researchers-suggest/
FightMNDがALSの第2相試験に対して70万ドルの資金供与
・ALS NEWS TODAYの4月24日付記事からです

▽オーストラリアの組織であるFightMNDがCollaborative Medicinal Development社が実施予定の第2相試験に対して70万ドルの資金供与を行うことを公表しました

▽この臨床試験は今年中に開始予定のCuATSMの第2相試験です。

▽3年前に行われた第1相試験では、1日1回投与により進行遅延効果や呼吸機能の改善効果を示唆する結果が得られました。24週間の投与により孤発性ALSにおいてALSの進行遅延を示唆する結果が得られています。

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/04/24/fightmnd-grant-to-fund-phase-2-study-of-investigational-therapy-for-als/
FDAがibudilastの第2b/3相試験実施に同意
・ALS NEWS TODAYの4月17日付記事からです

▽FDAはMediciNova社のALS治療薬候補であるibudilast(商品名ケタス)のALSに対する第2b/3相試験の実施について承認しました。

▽この臨床試験では約150名のALS患者がエントリー予定となっています。発症18ヶ月未満でありALSFRS-Rが35点以上の軽症の患者が対象となります

▽9ヶ月間の試験中はリルゾール併用下で行われます。リルゾール併用下で行われた第2相試験では良好な結果が報告されました。ibudilast併用は、リルゾール単独と比較して、有意に機能尺度やQOLを改善し、進行遅延効果や生存期間延長効果を認めました。

▽FDAはibudilastに対してfast track statusとorphan drug指定を与えています

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/04/17/fda-approves-pivotal-phase-2b-3-trial-ibudilast-als-patients/
コラーゲンXIXα1とALSの予後との関連
▽ALSにおける診断的ないし予後のバイオマーカー探索は重要な課題です。今回、研究者らは268名のALS患者における筋生検および血液サンプルを用いて15の遺伝子と14の蛋白質に関して病態や予後との関連を探索しました

▽その結果、筋組織においてコラーゲンXIXα1蛋白質(COL19A1)の発現量が多いことと、進行が急速であることの関連を示唆する結果が得られました。

▽COL19A1は病態進行のバイオマーカーとなりうる可能性があり、同時に治療ターゲットともなりうる可能性もあり、今後の研究進展が期待されます

(この研究はスペイン、 University of ZaragozaのCalvoらにより報告され、2019年4月1日付のAging Dis.誌に掲載されました)
Project ALSとコロンビア大学が治療法開発に対して630万ドルの資金を投入
・ALS NEWS TODAYの4月22日付記事からです

▽Project ALSとコロンビア大学がALSの有意義な臨床試験の実施を促進するために今後3年間で630万ドルの資金を投入することを公表しました

▽Project ALSはこの20年間、ALS治療薬候補を効率的にスクリーニングする手法を開発してきました。コロンビア大学との協働により治療薬候補についての臨床試験実施がよりスムーズに行われることが期待されます

▽幹細胞治療や遺伝子治療を含め、実用上意味のある治療法の探索が行われる予定であり、今後の進展が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/04/22/project-als-columbia-university-launch-treatment-discovery-platform/
リルゾール口腔内溶解フィルムがFDAに新薬承認申請
・ALS NEWS TODAYの4月18日付記事からです

▽Aquestive社のリルゾール口腔内溶解フィルム製剤であるExservanがFDAに対して新薬申請(NDA)され、受理されました。順調に行けば今年中に承認予定です

▽Exservanは舌上で溶解するため服用の際に水が不要です。嚥下困難を有する患者にも摂取しやすい剤型となっています。現在までに2種類のリルゾールの剤型が承認されており、1つは錠剤、もう1つはリルゾール内用液です。

▽これまでの臨床試験ではExservanは嚥下困難患者においても安全に投与可能であることが示されています。

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/04/18/fda-new-drug-application-als-therapy-oral-film-exservan/
TDP-43蛋白質の構造変化により神経変性が停止
・ALS NEWS TODAYの4月30日付の記事からです

▽Cell Reports誌に掲載された論文によると、TDP-43の構造変化による活性阻害が神経変性を防ぎうることを示唆する結果が得られました。

▽TDP-43蛋白質はRNAに結合しRNAを安定化させる作用があります。TDP-43の蓄積は特定のRNAの安定性に影響を及ぼし、細胞生存に関わる機能を損傷します。

▽これまで研究者らは、TDP-43のクリアランスを促進させることで神経細胞の生存延長を図ることができることを示しました。しかしながら、TDP-43蛋白質の安定性や排除抵抗性に関与する因子はよくわかっていませんでした。

▽研究者らは特定の変異を導入することによりTDP-43蛋白質の構造を変化させ、RNAに対する結合性を変化させました。RNAに結合できないTDP-43蛋白質は速やかに破壊され、神経細胞損傷に関与することはありませんでした。全体として変異を導入したTDP-43蛋白質により細胞死が70%減少しました。

▽線虫モデルを用いた実験においても、TDP-43蛋白質の構造変化をもたらす変異を有する場合、TDP-43を欠損させたモデルと同等の性質を示すことがわかりました。TDP-43蛋白質の毒性発揮のためには機能的なRNA結合部位の存在が必要であることがわかりました。

▽実用的には、このような介入により、全てのTDP-43が構造変化を起こし、正常なTDP-43が存在しなくなると細胞死につながるため、部分的に機能を喪失させる必要があります。過剰なTDP-43のRNA結合部位の構造変化をもたらしうる介入が、ALSに対する治療戦略として有望な可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/04/30/altering-tdp-43-structure-can-halt-neurodegeneration-in-als-and-ftd/

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