・京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の山中教授の講演についての記事が日本医事新報社のホームページに掲載されていました
引用元
http://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=9940
・それによると、CiRAと武田薬品工業の共同プログラム「T-CiRA」において、ALSの治療薬開発が行われており、30以上の化合物が運動死を抑える効果がありそうだとのことです
・今後の研究成果が期待されます。
・はまじさん、ありがとうございました
▽Raloxifeneはエストロゲン類似作用を有しますが、エストロゲンのような副作用は少ない化合物です。
▽今回、研究者らはTDP-43のC末端断片であるTDP-25を発現するALSの細胞モデルを用いてRaloxifeneの影響を調べました。
▽その結果、細胞モデルにおいてエストロゲン受容体などの異常発現がみられ、Raloxifene投与により細胞活性が回復することが確認されました。
▽Raloxifene投与により自食作用の亢進を示唆する所見やアポトーシスを抑制する所見がえられました。
▽以上の結果はRaloxifeneがALS治療法開発において有望な戦略であることを示唆するものです
(この研究は中国、 The Second Hospital of Hebei Medical UniversityのZhouらにより報告され、平成30年5月25日付のBrain Research Bulletin誌に掲載されました)
▽患者由来の白血球から制御性T細胞が分離培養され、発症早期に2ヶ月間で4回、進行期に4ヶ月間で4回静注にて注入されました。同時にインターロイキンー2も試験期間中、週に3回の頻度で皮下注が行われました
▽その結果、自家制御性T細胞移植は安全であり、病態進行を遅延させる効果を有する可能性を示唆する結果が得られました。制御性T細胞の抑制性機能の大きさと病態進行遅延効果との関連がある可能性を示唆する結果もえられました。
▽今後さらに大規模な臨床試験での検証が期待されます
(この研究は、アメリカ、 Houston Methodist Hospital Research InstituteのThonhoffらにより報告され、平成30年5月18日付のNeuroimmunology and neuroinflammation誌に掲載されました)
▽欧州医薬品庁は、AB Science社のALS治療薬候補であるmasitinibの承認について否定的な見解を公表し、再試験を要請しましたが、AB Science社は再試験を行わないことを決定しました。
▽AB Science社は既に行われた第3相試験の最終的なデータを欧州医薬品庁の要請に合致するように再解析を行い、その結果をもって再申請を行う予定としています。
▽欧州医薬品庁の最終的な判断がまたれます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/05/30/ab-science-not-pursuing-ema-reexamination-marketing-approval-masitinib-als-treatment/
▽欧州医薬品庁は家族性ALSに対する遺伝子治療薬に対してorphan drug指定を与えました
▽この治療薬はスイスのEPFL(École polytechnique fédérale de Lausann)が開発中の薬剤であり、前臨床試験段階にあります
▽開発中の薬剤は、アデノ随伴ウイルスベクターを用いて、microRNAを注入し、変異SOD1遺伝子など、異常遺伝子の発現をブロックするものです
▽スイスALS協会やCatalyze4Lifeなどの資金的援助を受け今後実用化に向けて試験が進められる予定です
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/05/25/potential-familial-als-gene-therapy-named-orphan-drug-by-european-medicines-agency/
▽Voyager Therapeutics社は同社のSOD1変異家族性ALS治療薬候補であるVY-SOD101についての動物モデルでの実験結果を学会にて公表しました
▽SOD1変異に起因するALSは家族性ALSの20%を占めるといわれています。VY-SOD101はアデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子治療薬です。
▽VY-SOD101は脊髄運動神経において、異常SOD1蛋白質の発現を78%減少させ、明らかな副作用はみられなかったとのことです。
▽同社はさらにVY-SOD101の運搬効率の改善を目指しており、臨床試験の実現に向けて前進しています
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/05/23/voyager-shares-pre-cleinical-data-als-candidate-vy-sod101/
▽その結果、p38 MAPK alpha (p38 mitogen-activated protein kinase alpha)阻害剤がSOD1変異ALSモデルマウスの軸索輸送障害の改善に有用であることが判明しました。
▽p38 MAPK alpha阻害剤を投与すると、SOD1変異ALSモデルマウスにおける逆行性軸索輸送の生理学的な効率が回復しました。以上の結果は、p38 MAPK alpha阻害剤がALS治療法開発において有望な戦略となりうる可能性を示唆するものです
(この研究はイギリス、 University College LondonのGibbsらにより報告され、平成30年5月22日付のCell death and disease誌に掲載されました)
▽TRIFと呼ばれる蛋白質が脳内の免疫系細胞が異常に活性化することに関与し、ALSの進行に影響を与えている可能性があることが日本の研究者らにより報告されました
▽名古屋大学の山中教授らの研究グループは、免疫系の受容体であるTRIFの欠損がALSモデルマウスの生存期間を短縮することをみいだしました。
▽TRIFとMyD88は免疫系の活性化を制御する2つの主要な蛋白質です。研究者らはTRIFないしMyD88のいずれかを欠損したモデルマウスを作成しました。
▽MyD88の欠損はモデルマウスの病態に影響を与えませんでしたが、TRIF欠乏は生存期間の短縮をもたらしました。TRIF欠損によりアストロサイトが異常に活性化することがわかりました
▽この研究はTRIF経路がアストロサイトの異常活性化に関与し病態に影響を与えることを初めて明らかにした研究であり、今後これら免疫系細胞をターゲットとした治療法の開発につながることが期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/05/21/trif-protein-seen-to-prevent-als-progression-in-mice-in-study/
▽60日齢のモデルマウスに対して、クモ膜下腔内にscAAV9-VEGFを注入したところ、生存期間の延長効果を認めました
▽また、ミクログリア数の減少や神経炎症反応の減弱効果を認めました。また末梢神経へのマクロファージの侵入も減少しました。
▽以上の結果は、中枢神経に対するVEGF注入が抗炎症効果を有し、ALSモデルマウスに対して治療的効果を有することを示唆しています
(この研究は中国、The Second Hospital of Hebei Medical UniversityのWangらにより報告され、平成30年5月8日付のBrain Research Bulletin誌に掲載されました)
▽今回研究者らは、iPS細胞由来の神経前駆細胞をミニブタの脊髄内に移植して、免疫抑制剤を用いずに生着するかどうかを調べました
▽その結果、同系移植した神経前駆細胞は生着し、神経細胞やグリア細胞に分化し長期生存することが確認されました。また一時的に免疫抑制を行った同種異系移植でも生着することが確認されました
▽以上の結果は、iPS細胞由来の神経前駆細胞移植が将来的にALSなどの神経変性疾患に対する治療法として有望な可能性を示唆するものです
(この研究はアメリカ、 University of CaliforniaのStrnadelらにより報告され、平成30年5月9日付のScience translational medicine誌に掲載されました)
▽運動神経病においては、運動神経細胞のモデルを作成することが重要となります。今回研究者らは迅速かつ効率的にヒトiPS細胞から運動神経細胞を分化誘導させることに成功しました
▽特にALSにおいて脆弱な運動神経細胞のサブタイプ(branchiomotor、viseral motorサブタイプ)を作成することに成功しました。
▽この方法はpiggyBac トランスポゾンを用いてNgn2、Isl1、NIPを活性化することで実現しました。今後iPS細胞を用いたALSの病態研究が促進することが期待されます
(この研究は、イタリア、Istituto Italiano di TecnologiaのDe Santisらにより報告され、平成30年4月27日付のStem Cell Research誌に掲載されました)
▽グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)はALSに対する臨床試験において治療選択肢として期待されています。しかしながら持続的なGDNF供給は至適用量を超える可能性や副作用の可能性があります。そこで今回、研究者らはドキシサイクリン誘導性のベクターを開発し、GDNF発現を制御し、中枢神経での発現制御が可能かどうかを検証しました
▽iPS細胞由来神経前駆細胞にベクターを注入し、マウス中枢神経に移植されました。その結果、ドキシサイクリンにより成体内での可逆的なGDNF発現制御が可能であることが確認されました
▽以上の結果は、遺伝子治療と幹細胞治療を組み合わせることにより、効果的に移植細胞における蛋白質発現を制御することができる可能性を示唆するものです
(この研究は、アメリカ、Cedars-Sinai Medical CenterのAkhtarらにより報告され、平成30年4月23日付のStem Cell Reports誌に掲載されました)
▽Cedars-Sinai Medical Centerの研究者らがStem Cells誌に公表した研究によると、GDNFを分泌するように加工された神経前駆細胞をALSモデルラットの運動野に移植し、治療的効果が検証されました。
▽GDNFは神経栄養因子であり、運動神経細胞保護作用や神経筋接合部保護作用が期待されます。
▽その結果、移植によりモデルラットの生存期間は8%延長し、運動機能障害についても進行遅延がみられました。現在治療的効果を最適化するための基礎研究が進められており、同時に18名のALS患者を対象とした第1相試験が予定されています。
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/05/17/engineered-neural-cells-delay-disease-extend-life-als-rat-model-study/
▽アメリカ筋ジストロフィー協会は、ALS関連研究を含む13の研究に対して合計260万ドル(約2億9000万円)の資金供与を決定しました。
▽これらの研究には、フロリダ大学でのC9orf72遺伝子変異ALSの研究、ブラウン大学におけるALS創薬研究、カリフォルニア大学でのTDP-43蛋白症研究などが含まれています
▽今後の研究進展が期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/05/16/mda-grants-include-research-projects-als-other-diseases/
▽Alnylam社の発表によると、同社が開発中のALS治療薬候補であるsiRNA(small interfering RNAs)をラットでの実験において、中枢神経に到達させることに成功しました。
▽siRNAは遺伝子発現を制御しており、mRNAの機能を抑制します。特定のmRNAの発現をブロックすることにより、異常蛋白質の生成を阻害し病態を改善する効果が期待されます。
▽ラットへの実験的投与により中枢神経の広い領域においてmRANの発現が抑制され、実用化が期待できる結果が得られました。今後の治療法開発が期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/05/09/alnylam-developing-new-molecular-therapy-candidates-als-neurodegenerative-diseases/
▽Neuralstem社の神経幹細胞移植であるNSI-566について、これまで行われた第1/2相試験のその後の長期経過についての論文が掲載されました
▽Annals of Clinical and Translational Neurology誌に掲載された報告によると、ヒト脊髄由来神経幹細胞の脊髄内移植の安全性などについて検証した第1/2相試験の結果をPRO-ACTデータベースなどから取得したhistorical placeboと比較したとのことです
▽合計21名が参加した第1/2相試験ですが、この3年後経過が、PRO-ACTデータベースからの1000名以上の患者対照群と比較されました
▽24ヵ月後のALSFRS-Rについては有意に移植群で良好でした。しかしながら生存期間については有意差はみうけられませんでした。
▽機能的予後の改善が期待できることから、同社は今後第2b/3相試験の実施を予定しています。
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/05/08/neural-stem-cell-transplants-als-patients-may-improve-survival-function/
▽MediciNova社のALS治療薬候補であるMN-166(ibudilast:商品名ケタス)の第2相試験の結果が2018年アメリカ神経学会年会にて報告されました
▽MN-166投与群(60mg/day)とプラセボ群とが6ヶ月間で比較され、さらにオープンで6ヶ月間追跡されました。
▽治療反応群を延長期間終了時点でALSFRS-Rの総得点の変化量が12点未満ないし、頸部もしくは下肢筋力のMMTの変化量が1点未満であると定義すると、MN-166投与群では32.4%が反応群となり、プラセボ群では11.8%でした。また生存期間についても延長効果を認めました
▽今後の臨床試験の進展が期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/04/30/als-treatment-candidate-mn-166-delays-disease-worsening-improves-survival-trial/
▽研究者らは、リポソームを用いてベラパミルによりP糖蛋白質の機能を阻害し、脳内に有効にリルゾールを運搬する手段を考えました
▽リルゾールとベラパミルのカクテルを内包するリポソームが合成されました。この合成リポソームは脳血管内皮細胞モデルにおいてP糖蛋白質を阻害しました。またリルゾールの吸収量の増加が確認されました
▽以上の結果は、リポソームを用いてリルゾールとベラパミルを運搬することにより、リルゾールの治療的効果が十分に発揮することを補助することができる可能性を示唆しています
(この研究はアメリカ、Husson UniversityのYangらにより報告され、平成30年4月26日付のEuropean journal of pharmaceutical sciences誌に掲載されました)
▽Biohaven社はFDAより同社のALS治療薬候補であるBHV-0223について、Expanded Access Program(アメリカ版患者申出療養制度)の提供を承認されました
▽BHV-0223はリルゾールの口腔内崩壊錠であり、舌下投与が可能なため、嚥下機能が低下した患者にも投与可能となっています
▽Biohaven社はBHV-0223の承認申請を2018年第3四半期に予定しています。
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/05/10/biohaven-establishes-expanded-access-program-bhv-0223-als-therapy/