・日経の記事から引用です
・英ベネボレントAI社の技術者らが、AI技術を用いて、脳内の血流や化合物の効果などからALSに対する治療法探索を行っています。
・その結果、1週間後に可能性のある5つの治療法が発見されたとのことです
・今後このようなAI技術の進展が期待されます
英ベネボレントAI社
http://benevolent.ai/
・かなくん さん、ありがとうございました。
▽自家骨髄由来細胞を髄液中に投与することにより、神経栄養因子の産生などが期待されます。このような手法はこれまで検討されていませんでした。
▽今回12名のALS患者由来の骨髄未成熟細胞が採取され、クモ膜下腔に投与されました。その結果、炎症性蛋白質の減少や、筋肉の炎症を示唆するmiRNAの減少などが観察されました
▽以上の結果は骨髄由来の未成熟細胞投与が抗炎症作用などを発揮し、ALSに対して治療的に有望な可能性を示唆するものです
(この研究は、ポーランド、Pomeranian Medical UniversityのSobusらにより報告され、平成30年4月27日付のInternational journal of molecular sciences誌に掲載されました)
▽日本の合弁会社であるMAGiQ社がQ Thepareutics社とReprocell社の共同で設立されました。同社は神経変性疾患に対する幹細胞治療や遺伝子治療法の開発を目標としています
▽MAGiQ社はiPS細胞からグリア細胞の前駆細胞を作成し、臨床応用を目指しており、厚労省管轄の医薬品医療機器総合機構の承認を得て開発中です。
▽Q Therapeutics社は既にALS治療のための幹細胞を開発しており、日本のReprocell社の製造技術と協力することにより実用化が促進することが期待されます。
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/04/26/magiq-aims-to-develop-stem-cell-therapies-for-als-other-cns-diseases/
・こちらの記事(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-1377.html)でもご紹介したmasitinibですが、欧州医薬品庁ヒト用医薬品委員会より厳しい結論がでたようです
▽AB Science社は同社のプレスリリースにて、同社のALS治療薬候補であるmasitinibの承認について欧州医薬品庁ヒト用医薬品委員会から否定的な見解がだされたことを公表しました
▽その理由として、臨床試験の結果の信頼性が不十分であること(結果が試験参加した施設の中から2つの主要な施設の結果からの推測に基づくものであること)。急速進行群と通常進行群とのカットオフを上位15%としたことの根拠が乏しいこと、早期脱落した患者についてのALSFRS-Rの変化についての解析においてバイアスが混入している可能性があること、などがあげられました。
▽AB Science社は今回の決定を受けて、さらに結果を精査し、再度申請を行う予定にしています。
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/04/23/ema-issues-negative-opinion-masitinib-conditional-marketing-authorization/
・IC14(ヒト抗CD14モノクローナル抗体)のALSに対する第2相試験が開始予定となっています。先日ご紹介したものは急速進行型ALSを対象としたものですが、今回のものはそのような限定はないようです。
・50名のALS患者を対象に12週間で行われる予定です
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03508453
・アメリカでの新規臨床試験情報です。トリヘプタノインの小規模な第1/2相試験が開始予定となっています
・トリヘプタノインは脂肪酸で、クエン酸回路の補充物質として機能するようです。ミトコンドリア機能を改善することでALSに対する有効性が期待されています。10名を対象に5ヶ月間で行われる予定です
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03506425
・450名のALS患者を対象にレボシメンダン1-2mgないしプラセボが48週間投与され、有効性(主尺度は静的肺活量)などが検証されます
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03505021
▽現在開催中の第70回アメリカ神経学会年会において、コルチコトロピン(H.P. Acthar Gel)の有効性についての発表が行われました
▽H.P. Acthar Gelは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)であり、抗炎症作用、神経保護作用などが期待されています。
▽43名の患者に対してH.P. Acthar Gel1日1回の皮下注が36週間施行され、PRO-ACTデータベースを用いて、年齢や重症度などのマッチしたALS患者のコントロール群と比較されました。
▽その結果、36週後のALSFRS-Rの変化量はH.P. Acthar Gel投与群において平均-4.3点であり、コントロール群では-6.6点でした。これは統計的に有意な差であったとのことです
▽予備的な結果ですが、H.P. Acthar Gelの有効性について期待がもてる状況です。今後最終的な臨床試験結果の公表が期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/04/20/aan2018-hp-acthar-gel-shows-promise-delay-als-progression/
▽現在開催中のアメリカ神経学会年会において、C9orf72遺伝子変異ALSに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた治療法についての報告がなされました
▽C9orf72遺伝子変異ALSに対する治療戦略として、過剰伸長した6塩基繰り返し配列から生じた異常RNA産物による細胞毒性が報告されています
▽アンチセンスオリゴヌクレオチドによりこの異常RNAの機能を阻害することが治療戦略として注目されています
▽今回、マサチューセッツ医科大学の研究グループが、異常RNAに結合する立体的に純粋な(stereopure)アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を開発しました
▽患者由来iPS細胞から神経細胞を分化誘導し、このASOを投与することにより、異常RNA由来の毒性物質の減少が観察されました。またモデルマウスの脳内にASOを注入することにより治療的効果も確認されたとのことです。今後の実用化が期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/04/19/aan2018-new-aso-molecular-therapies-may-be-als-treatment-strategy/
▽ALS患者の5-10%は家族性ですが、残る大半が孤発性であり原因がよくわかっていません。
▽孤発性ALS発症リスクに関連する15以上の遺伝子が報告されていますが、はっきりしたことはよくわかっていません
▽今回ユタ大学の研究者らは、孤発性ALSの発症リスク増加に関与していると考えられる新たな遺伝子を報告しました
▽87名の孤発性ALS患者と324名の健常対照群を用いて、エクソーム解析が行われました。その結果TP73遺伝子の特定の変異が孤発性ALS発症と関与している可能性が示唆されました
▽TP73遺伝子はp73蛋白質をエンコードしており、この蛋白質は運動神経細胞の成長とストレス反応に関与していることがわかっています
▽TP73遺伝子の特定の変異と発症との関連性が明らかになることにより、病態解明と治療法開発への道が拓ける事が期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/04/18/als-study-links-variations-of-tp73-gene-to-non-inherited-form-of-the-disorder/
▽変異SOD1蛋白質の重合体は細胞膜毒性を有し、ホスファチジルグリセロールの脂質領域がターゲットとなり障害するといわれています
▽この膜毒性については、FDAが承認している界面活性剤であり、膜安定化剤であるP188により緩和します。
▽SOD1変異ALSモデルマウスにP188を投与したところ、発症遅延効果と生存期間延長効果がみられました。P188などの膜安定化剤が今後ALSの治療戦略として有望な可能性があります
(この研究は、アメリカ、The University of ChicagoのRiehmらにより報告され、平成30年4月5日付のNeurobiology of disease誌に掲載されました)
▽今回、研究者らは細胞ストレスが、核細胞質間輸送において重要な役割を果たす、RNA/蛋白質複合体をストレス顆粒中に閉じ込めることにより、核細胞質間輸送を障害することを明らかにしました
▽重要なことに、Ataxin-2をノックダウンするなどの方法で、ストレス顆粒の集合を阻害することにより、核細胞質間輸送の障害が緩和されました。
▽以上の結果は、ストレス顆粒集合体と核細胞質間輸送の障害との関連性を明らかにするものであり、今後の治療法開発の手がかりとなる可能性があります
(この研究は、アメリカ、 Johns Hopkins UniversityのZhangらにより報告され、平成30年4月2日付のCell誌に掲載されました)
▽Elysium Health社のALS治療薬候補であるEH301がFDAによりorphan drug指定を受けました
▽この指定は2017年の予備的な健常者に対する臨床試験の結果を受けてのことになります。この指定を受けて、同社はさらに大規模な患者対象の臨床試験を今年中に予定しています
▽EH301は補酵素NAD+の前駆体であるNicotinamide Ribosideであり、有効性については未知数なため臨床試験の結果がまたれます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/04/03/eh301-granted-orphan-drug-designation-amyotrophic-lateral-sclerosis/
▽最新号のJAMA Neulorogy誌に公表された研究によると、制御性T細胞とALSの進行との関連性があることを示唆する結果が得られました。
▽ALS患者33名での調査により血中制御性T細胞の濃度が高いほど、ALS進行がゆるやかであることがわかりました
▽さらにSOD1変異ALSモデルマウスにおいて制御性T細胞を増加させると、生存期間の延長がみられ、活性化ミクログリアの減少や神経栄養因子の増加などが観察されました
▽以上の結果は制御性T細胞が神経保護作用を発揮する可能性を示唆するものであり、今後の治療法開発につながることが期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/04/04/specialized-immune-cell-may-help-slow-als-progression-study/
▽その結果、骨髄幹細胞移植は、運動機能の改善と、運動神経細胞変性の減少効果をもたらしました。またグリア細胞由来の神経栄養因子の増加が観察されました
▽以上の結果は、骨髄幹細胞の筋肉内移植が治療的に有望な可能性を示唆するものです
(この研究はスペイン、Universidad de ZaragozaのRandoらにより報告され、平成30年4月6日付のStem cell research and therapy誌に掲載されました)
▽ノバルティス社は、脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療の臨床試験を実施中のAveXis社を9300億円で買収することを公表しました。
▽現在AveXis社は、最も重症な脊髄性筋萎縮症1型に対する遺伝子治療薬であるAVXS-101の第3相試験を実施中です
▽またAveXis社はSOD1変異家族性ALSに対する遺伝子治療薬候補であるAVXS-301について前臨床試験を実施中です。AVXS-301はモデルマウスでの実験において生存期間を130日から200日以上に延長する効果を認めています。
▽今後同社のアデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子治療がさらに促進することが期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2018/04/09/avexis-and-als-therapy-avxs-301-to-be-acquired-novartis/
・合計21名が参加予定のオープン試験です。アストロサイトは酸化的ストレスの減少や有害物質の除去などにより神経保護作用を発揮することが期待されています
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03482050
・プラセボ対照で行われ合計231名のALS患者を対象に76週間の投薬期間で行われる予定です
・arimoclomolは細胞ストレス下における、熱ショック蛋白質発現の共誘導物質(co-inducer)であり、神経保護作用を有することが報告されています
引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03491462