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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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CuATSMの第1相試験の予備的結果
・平成29年12月8日から10日までアメリカ、ボストンにて開催される第28回MND/ALS国際シンポジウムの抄録集からです

▽CuATSMのALSに対する第1相試験が行われています。ALSにおいては銅代謝異常が報告されており、PETを用いた画像検証において、CuATSMはALS患者の罹患部位の運動神経細胞に選択的に銅を輸送することができることを示唆する結果がえられています

▽また、SOD1変異モデルマウスでの実験において、3つの異なる施設より、CuATSM投与が治療的に有用であったことが報告されています

▽現在多施設での第1相オープン試験が行われており、12名が参加中です。これらの患者には家族性ALSも孤発性ALSも含まれています

▽2017年5月より開始された試験において、現在のところ、脱落者はなく、また安全性に関する重大な問題はなく、いずれの患者においても疾患の進行を示唆する所見はみられていません。最終的な結果が期待されます

(この研究は、オーストラリア、Macquarie UniversityのDB Roweらにより報告される予定です)
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エダラボン経口投与製剤の安全性
・平成29年12月8日から10日までアメリカ、ボストンにて開催される第28回MND/ALS国際シンポジウムの抄録集からです

▽エダラボンは静注製剤であり、日本やアメリカで認可されていますが、Treeway社は、エダラボンの経口製剤を開発中です

▽前臨床段階での予備的な結果が公表されました。ヒトへの投与の結果、エダラボンは経口投与により速やかに吸収され、180mgを1日2回投与することにより、60mgのエダラボンを60分間静注した状態を上回る最高血中濃度を達成することができました。また安全性も現段階では問題がありません

▽今後、エダラボンの経口製剤が臨床試験を経て実用化される可能性があります。

(この研究はTreeway社のHulskotteらにより報告される予定です)
ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬RGFP109は、熱ショック蛋白質誘発剤の効果を増強する
・平成29年12月8日から10日までアメリカ、ボストンにて開催される第28回MND/ALS国際シンポジウムの抄録集からです

▽ALSにおいては、蛋白質の折り畳み異常が病態に関与していることから、折り畳み異常を正常化する、熱ショック蛋白質(HSP)の発現を増強することは治療戦略の1つとなっています

▽しかしながら、熱ショック蛋白質の発現を誘導する薬剤で、運動神経細胞をターゲットにする際には障壁があります。運動神経細胞において熱ショック蛋白質を誘導するための閾値が高く、熱ショック蛋白質を誘導する薬剤の効果が、クロマチンのリモデリングにより喪失することなどです。

▽ヒストンのアセチル化は遺伝子転写を制御しており、ALSにおいてはヒストンアセチル化の障害が報告されています。

▽研究者らは、ヒストン脱アセチル化阻害薬(HDAC阻害薬)を用いて、ヒストン構造を維持し、熱ショック反応の閾値を下げ、熱ショック蛋白質誘導薬の効果を高めることでっきるかどうかを検証しました

▽細胞モデルでの実験により、いくつかのHDAC阻害薬が試験されました。その結果、HDAC1/3阻害薬であるRGFP109が、最も熱ショック蛋白質誘導薬であるarimoclomolなどの薬剤の効果を高める効果が優れていることがわかりました

▽今後、HDAC阻害薬と熱ショック蛋白質誘導薬を併用することが、ALSに対する治療戦略として有望な可能性があります

(この研究は、カナダ、McGill UniversityのR Kutaらにより報告される予定です)
変異SOD1蛋白質の病態特異的エピトープに対するワクチン療法
・平成29年12月8日から10日までアメリカ、ボストンにて開催される第28回MND/ALS国際シンポジウムの抄録集からです

▽家族性ALSのうち20%がSOD1遺伝子の変異に起因するといわれています。これまでに前臨床段階において、免疫療法の治療的有用性を示唆する結果が報告されています

▽今回、研究者らは、変異SOD1蛋白質の折り畳み異常に関与する抗原部位(エピトープ)を抽出し、その部位(DSE1limおよびDSE5b)を組み込んだ糖蛋白質キャリア(tgG)をワクチンとして開発しました。このワクチンをSOD1変異モデルマウスに注入し治療的効果を検討しました

▽その結果、ワクチン注入により抗体が産生し、tgG-DSE5bを注入した群では、有意な発症遅延効果と病態進行遅延効果が観察されました。

▽この結果は、TDP-43蛋白症の病態にも応用可能と思われ、今後の治療戦略において有望な結果と思われます

(この研究は、カナダ、University of British ColumbiaのB Zhaoらにより報告される予定です)
TDP-43-RRM1領域に対する一本鎖抗体の治療的可能性
・平成29年12月8日から10日までアメリカ、ボストンにて開催される第28回MND/ALS国際シンポジウムの抄録集からです

▽TDP-43蛋白質は核内のDNA/RNA結合蛋白質であり、様々なRNAの機能調節に関与しています。

▽ALSなどの病態においてはTDP-43は核内から細胞質内へと局在化異常と示し、ユビキチン化されリン酸化された封入体を形成し、細胞毒性を発揮します

▽研究者らは、最近、TDP-43がNF-κBのp65サブユニットの活性化補助因子として機能することをみいだしました。この相互作用はTDP-43のRRM1(RNA recognition motif 1)領域を介して行われます。また、最近では、RRM1領域における酸化ないし折り畳み異常がTDP-43蛋白症の病態を引き起こすことが報告されています。

▽今回、研究者らは、TDP-43 RRM1領域を特異的ターゲットとし、TDP-43とNF-κB p65サブユニットとの相互作用を阻害する一本鎖抗体を開発しました

▽LPSにより刺激したミクログリアに一本鎖抗体を含むベクターを注入したところ、ミクログリアが抗炎症作用を発揮する形態となりました。

▽一本鎖抗体が注入されると、自食作用が活性化し、TDP-43濃度は減少しました。TDP-43変異モデルマウスにアデノ随伴ウイルスベクターで一本鎖抗体を注入したところ、TDP-43蛋白症に起因した病態の改善がみられました

▽以上の結果は、一本鎖抗体が将来的にALSに対する治療戦略として有望な可能性を示唆するものです

(この研究は、カナダ、CERVO Brain Research CenterのS Pozziらにより発表予定です)
グアニン四重鎖結合小分子はC9orf72変異ALSモデルの病態を改善する
▽6塩基繰り返し配列(GGGGCC)の過剰伸長は前頭側頭型認知症とALSの主要な病因の一つです。

▽病態をもたらすのは、リピート関連非ATG翻訳により生じる有害なジペプチド繰り返し蛋白質と、RNA結合蛋白質を阻害する繰り返し配列RNAといわれています。

▽GGGGCC繰り返し配列RNAはグアニン四重鎖二次構造を形成します。研究者らは、この構造が治療対象となりうるかどうかを検証しました

▽グアニン四重鎖RNAに結合する3つの小分子を同定し、この小分子をC9orf72遺伝子変異ALS患者由来iPS細胞から誘導した運動神経および皮質神経細胞に投与し、効果を調べました

▽その結果、これら小分子はジペプチド繰り返し蛋白質の生成を減少させ、RNA凝集体を減少させました。

▽またC9orf72遺伝子変異ショウジョウバエモデルにおいても、生存期間を延長させる効果がみられました。以上の結果は、グアニン四重鎖構造を治療ターゲットとすることの妥当性を示唆しており、今後の治療法開発につながることが期待されます

(この研究は、イギリス、 UCLのSimoneらにより報告され、平成29年11月7日付のEMBO Molecular Medicine誌に掲載されました)
ClusterinはTDP-43蛋白症から細胞保護作用を有する
▽蛋白質の正常構造を保持する機能を有するシャペロンであるclusterinは、小胞体ストレス下において細胞質内に局在化することが知られていますが、その生理的役割はよくわかっていません

▽今回、研究者らは、clusterinの発現亢進により、TDP-43蛋白症における蛋白質凝集による細胞毒性がどのように変化するかを調べました

▽実験は、TDP-43蛋白症の細胞モデルとショウジョウバエモデルで行われました。

▽その結果、clusterinは直接TDP-43と相互作用し、TDP-43と同一部位に局在化し、その凝集を阻害することがわかりました。

▽TDP-43蛋白症ショウジョウバエモデルにおいては、運動機能の改善と生存期間の延長がみられました。

▽以上の結果は、clusterinがTDP-43蛋白症からの細胞保護作用において重要な役割を果たしており、今後の治療戦略として有望な可能性があります

(この研究はイギリス、University of EdinburghのGregoryらにより報告され、平成29年11月7日付のActa Neuropathologica Communications誌に掲載されました)
IBM Watsonの人工知能を用いてALSに関連する新たなRNA結合蛋白質を同定
▽ALSの病態においては多くのRNA結合蛋白質の発現量の変化が報告されています。これまでに11種類のRNA結合蛋白質の遺伝子変異がALS発症に関与しており、6つの変異を有さないRNA結合蛋白質が発現異常ないし分布異常を呈していることが報告されています

▽これまでにヒト遺伝子において少なくとも1542種類のRNA結合蛋白質が存在することが知られています。なお未知のALSの病態に関与するRNA結合蛋白質が存在していると考えられます

▽今回研究者らはIBM Watsonの人工知能を用いてALSの病態に関与するRNA結合蛋白質を探索しました。

▽その結果、新たに5つのRNA結合蛋白質(hnRNPU、Syncrip、RBMS3、Caprin-1、NUPL2)がALS患者において発現が有意に変化しているものとして同定されました。

▽以上の結果は、ALSの病態解明のために人工知能の活用が有望であることを示唆しており、今後の進展が期待されます

(この研究は、アメリカ Barrow Neurological InstituteのBakkarらにより報告され、平成29年11月13日付のActa Neuropathol誌に掲載されました)
pimozideへの期待
・ALS NEWS TODAYの11月21日付記事からです

▽カナダの研究者らの報告によると、統合失調症に対して承認されているのpimozideが基礎実験および25名のALS患者を対象とした臨床試験において有望な結果が得られているとのことです

▽これらの結果を受けて、現在第2相試験が実施中で患者募集中となっています。

▽モントリオール大学の研究者らは、動物モデルを用いて、運動機能に良好な影響を与えうる薬剤を3850種類の中からスクリーニングしました。

▽その結果pimozideが有望な薬剤として抽出されました。

▽2015年に行われたヒトを対象とした臨床試験において、わずか6週間の結果ですが、親指と人差し指の筋力を保持する作用がみられたとのことです。

▽現在100名を対象とした臨床試験が実施中であり、その治療的有効性は未確定であることから、研究者らは現段階でpimozideを適応外使用しないように注意喚起しています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/11/21/study-finds-that-schizophrenia-therapy-orap-benefit-als-patients/
tirasemtivの第3相試験は残念な結果に
・11月21日付Cytokinetisc社のPress Releaseからです

▽骨格筋のトロポニン活性化剤であるtirasemtivですが、第3相試験の結果はプラセボに対する優位性が確認できない残念な結果となりました

▽同社はこの結果をうけて、tirasemtivの開発を中止することとなりました。

▽現在、同社は次世代の骨格筋活性化剤であるCK-2127107を開発中であり、こちらの有効性を期待したいとのことです

引用元
https://www.reuters.com/article/brief-cytokinetics-inc-announces-negativ/brief-cytokinetics-inc-announces-negative-results-from-vitality-als-idUSFWN1NR0FS
Neurimmune社と小野製薬が抗体を用いたALS治療薬開発のため提携
・ALS NEWS TODAYの11月17日付記事からです

▽Neurimmune社と小野製薬はヒトモノクローナル抗体を用いたALSなど神経変性疾患の治療法開発のため提携することを公表しました

▽Neurimmune社は同社のリバース・トランスレーショナル・メディシン(RTM)技術を用いた先進的な抗体開発技術を有しています

▽この技術より選択性が高く、免疫原性の弱い抗体を開発することが可能となりました。

▽Neurimmune社は既にAL-S Pharma AGとよばれる事業にも参画しており、抗変異SOD1抗体であるAP101を開発しています

▽今回の提携によりさらに資金的に開発力が充実し、2018年にも最初の臨床試験実施を予定しています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/11/17/neurimmune-and-ono-pharmaceutical-partner-to-create-als-treatments-based-on-antibodies/
日本ALS協会主催平成28年度「IBCグラント」研究発表会
・まっしゃーさんよりご提供いただいた話題です

・日本ALS協会主催で平成28年度「IBCグラント」研究発表会が開催予定となっています。

・11月19日日曜日12時30分開始予定で、以下のサイトからネット上でも配信予定となっています。
http://www.ustream.tv/channel/m8A62ykpWhU

・まっしゃーさん、ありがとうございました。
新規臨床試験情報(ピモジド)
・カナダで開始予定となっていたALSに対するピモジドの有効性についての第2相試験ですが、11月8日より患者募集開始となりました

・TDP-43蛋白症に対して、基礎実験において有効性を示唆する結果が得られているピモジドですが、100名を対象に、プラセボ対照で4mg投与群と比較され、22週間で有効性、安全性などが検証される予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03272503
新規臨床試験情報(guanabenz)
・イタリアで、guanabenzのALSに対する安全性、有効性についての第2相試験が開始予定となっています。

・208名のALS患者を対象に、プラセボ対照で行われる予定です。現在患者募集中となっています。

引用元
https://www.als.net/als-research/clinical-trials/336/
新規臨床試験情報(ペニシリンG+コルチゾール)
・オランダでの新規臨床試験情報です。

・症例報告で有効性を示唆する結果が得られたペニシリンG+コルチゾールの第2相試験が12名のALS患者を対象に開始予定です。現在患者募集中となっています。

引用元
https://www.als.net/als-research/clinical-trials/335/
植物の異常蛋白質除去機構がALS研究のヒントになる可能性
・ALS NEWS TODAYの11月1日付記事からです

▽ALSを含むいくつかの神経変性疾患の病態においては、神経細胞における蛋白質の折り畳み異常が関与しています。

▽スペインの研究者らは植物を用いて、葉緑体に折り畳み異常蛋白質が蓄積する際に、蛋白質の恒常性維持機構が発現する機構について明らかにしました。

Plos Genetics誌に掲載された報告によると、この機構は、HsfA2遺伝子の活性化を伴うものであることがわかりました。

▽葉緑体において折り畳み異常蛋白質が生じた際に、Clpと呼ばれる蛋白質分解酵素が活性化し、異常蛋白質が除去されます。しかし、Clpによる蛋白質除去がうまくいかなかった場合には、異常蛋白質が蓄積し、その結果、ストレスシグナルが発生します。

▽葉緑体がストレスシグナルを発生させた場合、そのシグナルを受けた核においてHsfA2遺伝子活性化が起こり、その結果、シャペロンとよばれる正常な折り畳み構造を維持するための蛋白質発現が誘導されることがわかりました。

▽このような蛋白質の恒常性維持機構が判明することにより、ヒト神経変性疾患の治療戦略に新たなヒントがもたられされる可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/11/01/als-research-examines-how-plants-eliminate-protein-folding/
FDAがBHV-0223の臨床試験実施を許可
・ALS NEWS TODAYの11月3日付記事からです

▽FDAはBiohaven社のALS治療薬候補であるBHV-0223の臨床試験実施を認可しました

▽BHV-0223は舌下投与可能なリルゾールであり、舌下投与により、経口投与のリルゾールと同等の生物学的活性を有することを示す必要があります。

▽舌下投与が可能となることにより嚥下困難な場合でもリルゾールの投与が可能となることから、実用化が期待されています

▽現在第2/3相試験の実施が予定されています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/11/03/als-fda-approves-biohavens-clinical-investigation-sublingual-bhv-0223/
細胞内の自食作用の障害が神経変性疾患につながる可能性
・ALS NEWS TODAYの11月8日付記事からです

▽ドイツの研究者らがNature Communications誌に報告した研究結果によると、細胞内の不要物質の除去機構である自食作用の機能異常が、ALSなどの神経変性疾患の病態において中心的役割を果たしている可能性を示唆する結果が得られました。

▽自食作用により細胞は異常な蛋白質などを分解し、再利用し、細胞内の恒常性を維持しています。SOD1変異ALSモデルマウスにおいて自食作用を変化させた場合、病態進行も変化することが知られています。運動神経細胞において自食作用がどのように制御されているかはよくわかっていませんでした。

▽今回、研究者らは、運動神経細胞における自食作用の発現においてPLEKHG5遺伝子が重要な役割を果たしていることをみいだしました。

PLEKHG5遺伝子は、運動神経細胞においてシナプス小胞の分解を制御しています。PLEKHG5遺伝子を除去すると、自食作用が遅延し、シナプス小胞の蓄積が起こります。その結果軸索の成長が阻害されました。さらに運動神経病に類似した病態が再現されました。

▽以上の結果は、運動神経病において自食作用が病態に与える影響についての新たな知見を加えるものであり、今後の治療法開発において新たな戦略を与える可能性があります。

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/11/08/als-other-diseases-caused-by-defects-in-cell-cleanup-system-mouse-study-suggests/
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