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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
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AB science社がALS治療薬候補masitinibの最新情報を公開
▽既に第3相試験の終了したmasitinibですが、AB science社が最近の情報を公開しました。第3相試験のサマリーのみ翻訳します。承認プロセスの現状がどうなっているか気になるところですが、それについては不明です

▽masitinib 4.5mg/kg/日のリルゾールへの上乗せ投与は、もともとのALSFRS-Rの変化率が1.1点/月未満の患者群において、以下のような利益がみられました(このALSFRS-Rの変化率が1.1点/月未満に該当するのは、ALS患者全体の85%程度とのことです)

・ALSFRS-Rの増悪率が27%有意に改善した
・QOL尺度の悪化率も29%有意に改善した
・呼吸機能(努力性肺活量)の悪化率は22%有意に改善した
・病態進行速度(生存イベント解析において)は25%有意な遅延を示した

引用元
http://www.globenewswire.com/news-release/2017/09/28/1134581/0/en/AB-Science-announces-that-abstracts-reporting-on-clinical-and-preclinical-data-of-masitinib-in-the-treatment-of-ALS-have-been-selected-for-presentation-at-6-major-international-mee.html
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新規臨床試験情報(自家脂肪組織由来間葉系幹細胞移植)
・ポーランドでの新規臨床試験です。自家脂肪組織由来間葉系幹細胞移植のALSに対する安全性と有効性についての第1相試験が開始予定です

・合計30名を対象にオープン試験で、3ヶ月ごとに合計3回、脊髄中に幹細胞移植が施行される予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03296501
ニューロフィラメント濃度がALS早期診断の補助となる可能性
・ALS NEWS TODAYの9月27日付記事からです

▽ヨーロッパでの多施設試験により、髄液中のニューロフィラメント軽鎖とリン酸化ニューロフィラメント重鎖がALSの早期診断の補助となる可能性が示唆される結果がえられました

▽髄液中リン酸化ニューロフィラメント重鎖(pNfH)および髄液中ないし血漿中ニューロフィラメント軽鎖濃度(NfL)は発症後早期のALS患者において、発症後期のALS患者よりも上昇していることがわかりました

▽発症1ヵ月後においても、髄液中ないし血漿中NfLおよび髄液中pNfH濃度は有意な上昇を示しました。今後の臨床試験実施において、診断の正確性を高めることに寄与する可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/09/27/early-symptomatic-las-diagnosis-may-be-improved-by-measuring-neurofilament-levels/
RNS60とAMX0035がFDAによりorphan drug指定
・ALS NEWS TODAYの記事からです

▽Revalesio社のALS治療薬候補であるRNS60と社のamylyx社のAMX0035がFDAによりorphan drug指定を受けました

▽Orphan Drugに指定されることにより、税制上の優遇措置や優先的な審査などが受けられます

▽RNS60は基礎実験により抗炎症作用と神経保護作用が確認されています。既に18名のALS患者を対象に実施された第1相試験において、静注および吸入でRNS60が最低24週間投与され、安全性が確認されています。現在より大規模でプラセボ対照の第2相試験がイタリア、アメリカで予定されており、142名を対象に24週間で試験が行われる予定です

▽AMX0035は2種類の小分子(フェニルブチレートおよびタウロウルソデオキシコール酸)の混合物であり、細胞性ストレスを抑制することにより有効性が期待されています。Amylyx社はプラセボ対照の第2相試験をアメリカで開始しており、132名を対象に有効性と安全性が確認される予定です

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/09/21/fda-grants-orphan-drug-status-amylyxs-amx0035-treatment-als/
Verge Genomics社がiPS細胞によるALS病態解明のため4つの大学と連携
・ALS NEWS TODAYの9月26日付記事からです

▽Verge Genomics社がALS研究促進のため、4つの大学と連携することを公表しました。連携するのは、コロンビア大学、MGH、南カリフォルニア大学、ミシガン大学です。

▽Verge社は既にALS患者の遺伝子と遺伝子発現についての大規模なデータベースを構築しています。ミシガン大学などの有するiPS細胞技術と連携し、機械学習などの技術も用いて、ALSの病態解明のための研究をさらに促進したいとしています。

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/09/26/als-research-goal-verge-genomics-collaboration-top-universities/
新規臨床試験情報(経頭蓋的直流電気刺激:tDCS)
・イタリアでの新規臨床試験情報です

・経頭蓋的直流電気刺激(tDCS)は微弱な直流通電を頭蓋に行うものですが、ALSに対するtDCSの短期的有効性についての臨床試験が予定されています

・2週間で行われ、偽刺激とのプラセボ対照試験となります。合計100名の参加者が予定されています

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03293394
新規臨床試験情報(鉄キレート剤: Deferiprone)
・フランスでの新規臨床試験情報です。

・ALSでは鉄代謝異常が想定されていますが、鉄キレート剤である Deferiproneの孤発性ないし家族性ALSに対する安全性と有効性に関する第2/3相試験がフランスで開始予定となっています

・プラセボ対照で行われ12ヶ月間、プラセボないし Deferiproneが投与されます。合計210名の参加者が予定されています

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03293069
ALSに対する最初の遺伝子治療候補の安全性確認
・ALS NEWS TODAYの9月15日付記事からです

▽VM Biopharma社が開発中のALSに対する遺伝子治療候補薬の小規模第1/2相試験において、安全性が確認されました

▽参加者は18名であり、小規模なため有効性についての結論を導くことはできませんが、複数回の筋注によるVM202投与が安全であることが確認されたとのことです

▽VM202はHGF蛋白質を産生する遺伝子を注入する遺伝子治療であり、動物実験において治療的効果が確認されています。

▽FDAはVM202に対してorphan drug指定とfast track指定を与えており、今後さらに大規模で長期の臨床試験実施による有効性の確認が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/09/15/potential-als-gene-therapy-vm202-vm-biopharma-seen-safe-first-clinical-trial/
ヒト皮膚細胞から運動神経細胞を生成することに成功
・ALS NEWS TODAYの9月13日付記事からです

▽最新号のCell Stem Cell誌に掲載された論文によると、ワシントン大学の研究者らがヒト成人線維芽細胞を用いて、幹細胞状態を経ずに運動神経細胞を生成することに成功しました。

▽この技術によりiPS細胞の作成をすることなく運動神経細胞を生成することが原理的に可能であり、iPS細胞を用いることの倫理的問題を回避できるメリットがあります

▽同時に、生成された運動神経細胞は加齢状態も維持するため、神経変性疾患の病態により近い状態を観察可能となることが期待されています

▽研究者らは、皮膚由来の繊維芽細胞に対して2種類のmicroRNA(microRNA-9およびmicroRNA-124)を暴露し、さらに転写因子であるISL1とLHX3を用いることで運動神経細胞を生成することに成功しました

▽今後ALSの病態解明がさらに進展することが期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/09/13/researchers-convert-skin-cells-into-motor-neurons-in-a-study-with-implications-for-als/
新規臨床試験情報(自家脂肪組織由来間葉系幹細胞移植)
・当ブログ9月7日付記事でもご紹介したアメリカMayoクリニックでの幹細胞移植の第2相臨床試験ですが、患者募集開始となりました

・合計60名を対象に、自家脂肪組織由来間葉系幹細胞が、クモ膜下腔内に3ヶ月ごとに合計4回、トータル12ヶ月間で移植されます。

・良好な結果が期待されます

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03268603
カルシウムチャネルのCacophony蛋白質発現が動物モデルにおいて運動神経細胞保護作用
・ALS NEWS TODAYの9月11日付記事からです

▽最新号のJournal of Neuroscience誌に公表された研究結果によると、オレゴン大学の研究者らはショウジョウバエのTDP-43欠損モデルにおいて、カルシウムチャネルであるCacophony蛋白質の発現が運動機能を回復させることをみいだしました

▽動物モデルにおいてRNA結合蛋白質であるTDP-43蛋白質(ショウジョウバエではTBPH遺伝子)を欠損させると、およそ1000の遺伝子発現の変化が生じることがわかりました。そのうちの1つがカルシウムチャネルであるCacophony蛋白質でした。

▽TDP-43欠損モデル動物においてCacophony蛋白質発現量を回復させたところ、運動機能の回復がみられました。この回復は神経筋接合部でのシグナル伝達頻度の回復を伴うものでした。

▽これらの知見がTDP-43蛋白症における病態との関連性があるならば、ALSの病態と治療についての新たな方向性につながる可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/09/11/expression-cacophony-restored-motor-defects-drosophila-new-study-shows/

慶応大でALS治療薬候補の既存薬の治験開始予定
・かなくんさんよりご提供いただいた話題です

・慶應義塾大学において、既存薬でALS治療薬候補となった薬剤が2018年中にも治験開始となるとのことです
引用元
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2017/09/04-30776.html

・かなくんさん、ありがとうございました
新規臨床試験情報(NurOwn)
・ALS治療薬候補として期待されている、BrainStorm社の幹細胞移植(NurOwn細胞)の第3相試験ですがiいよいよclinicaltrials.govに掲載され、患者募集開始されました

・200名を対象に、プラセボ対照で行われます

・エントリー基準は以下です
1)18歳から60歳までの男女
2)改訂版El Escorial基準でpossible、probableないしdefinite ALSと診断されたもの
3)最初の診察時点で、四肢筋力低下を含むALS症状の発症から24ヶ月以内であること
4)ALSFRS-Rが診察時点で25点以上
5)立位での静的肺活量(%SVC)が65%以上
6)リルゾール内服は許可

・除外基準は以下です
1)これまでに幹細胞移植を受けたことがあるもの
2)自己免疫疾患や悪性疾患、免疫不全などの重症疾患罹患者
3)現在免疫抑制剤や抗凝固剤投与中
4)初診時点からさかのぼって過去30日以内にALS臨床試験などに参加し、実験的治療薬を投与されたもの
5)初診時点からさかのぼって過去30日以内にエダラボン投与をうけたもの、ないし今後受ける予定のあるもの
6)非侵襲的人工換気(BiPAP)や横隔膜ペーシングないし侵襲的人工換気をうけているもの
7)胃瘻造設し経管栄養中のもの
8)妊娠中ないし授乳中の女性

引用元(コンタクト先なども掲載されています)
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03280056
日本ALS協会の治験勉強会
・まっしゃーさんよりご提供いただいた話題です

・日本ALS協会主催で10月1日に厚労省や、東大遺伝子治療の郭先生など日本のALS研究の第一人者を招いた治験勉強会が開催されます

引用元
http://alsjapan.org/2017/09/01/post-1252/

・ネットでも中継されるようです。貴重な機会ですので興味のある方は是非ご参加、ご視聴ください。

・まっしゃーさん、ありがとうございました。
RNA反復配列に起因した病態機序について
・はまじさんよりご提供いただいた話題です。

・6月8日号のNature誌に公表された研究結果です。ALSにおいてもこちらの記事(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-1348.html)でご紹介したとおり蛋白質凝集体などの相転移が病態に関与していることが報告されています。

引用元
http://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v14/n9/RNA%E5%8F%8D%E5%BE%A9%E9%85%8D%E5%88%97%E3%81%AF%E7%B4%B0%E8%83%9E%E3%82%92%E5%9B%BA%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%86/88464

・RNA凝集塊の相転移に関する今回の報告も、ALSの病態機序に関する新たな知見であり、今後の新たな治療戦略につながることが期待されます

・はまじさん、情報ありがとうございました
脊髄性筋萎縮症の新薬承認
・いのべたさんよりご提供いただいた話題です

・こちらの記事(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-1114.html)でもご紹介した、脊髄性筋萎縮症に対する核酸医薬品が承認されました。

引用元
http://www.carenet.com/news/general/carenet/44400

・ALSでもC9orf72変異家族性ALSなどに対して、同様の治療戦略が研究されており、今後の進展が期待されます。

・いのべたさん、ありがとうございました
新規臨床試験情報(自家脂肪組織由来間葉系幹細胞移植)
・アメリカ、MayoクリニックなどにてALSに対する自家脂肪組織由来間葉系幹細胞移植の安全性と有効性に関する第2相試験が開始予定となっています

・合計60名を対象に3ヶ月ごとに合計4回、自家間葉系幹細胞がクモ膜下腔内の髄液中に移植される予定です。

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03268603
新規臨床試験情報(pimozide)
・カナダにてピモジドのALSに対する安全性と有効性についての第2相試験が開始予定です

・100名を対象に、ピモジド4mg/日投与群とプラセボ群とに無作為割付され22週間投与される予定です

・ピモジドは日本でも統合失調症などに保険承認されている抗精神病薬であり、基礎実験においてTDP-43蛋白症に対する有効性を示唆する結果が得られている薬剤です

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03272503
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