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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
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WAVE社がALS関連遺伝子変異をターゲットとした2種類の薬剤を開発中
・ALS NEWS TODAYの8月28日付記事からです

▽Wave Life Science社がALSに関連した遺伝子変異をターゲットとした薬剤を開発中です。この変異はC9orf72遺伝子変異であり、家族性ALSの30-40%を占めると考えられています

▽6塩基繰り返し配列の過剰伸長から生じる異常なRNAなどをターゲットとした核酸医薬品であり、2018年中には臨床試験を開始したいとしています。同社はALSのほか、ハンチントン舞踏病やデュシャンヌ型筋ジストロフィーなどの疾患も創薬の対象としています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/28/wave-is-working-on-three-therapies-that-target-common-gene-mutation-in-als/
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イギリスでのミトコンドリア研究と創薬への挑戦
・ALS NEWS TODAYの8月29日付記事からです

▽イギリスのExeter Medical SchoolにおいてミトコンドリアがどのようにしてALSに関連した神経細胞死をもたらすかについて明らかにするプロジェクトが開始されました。

▽研究チームは機能異常を呈したミトコンドリアを除去する役割を有するTBK1遺伝子とOPTN遺伝子の変異に注目しています。これら遺伝子変異が病態にどのような影響をあたるかはよくわかっていません

▽研究チームはiPS細胞を用いて、遺伝子編集技術であるCRISPR-Cas9を用いて細胞にALS関連遺伝子変異を導入し、運動神経細胞に分化させることでミトコンドリアの機能を調べ、病態の解明を目指しています

▽これら変異が細胞内の全遺伝子の発現などにどのような影響を与えるかを調べ、創薬へのヒントを得たいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/29/british-study-to-explore-between-faulty-mitochondria-and-development-of-als/
ALSにおける筋肉の再生などに関与する新たな遺伝子を同定
・ALS NEWS TODAYの8月30日付記事からです

▽最新号のScientific Reports誌にイタリアの研究グループが報告した研究結果によると、いくつかのmicroRNAがALSにおける筋肉の再生を制御していることがわかりました

▽これらのmicroRNAは、進行の比較的遅いタイプのALS患者を区別する際にも応用できる可能性があり、これらのmicroRNAをターゲットとした新たな治療戦略につながる可能性があります。

▽損傷を受けた筋肉細胞の再生過程の障害もALSの病態の一部として存在する考えられています。ALSの動物モデルにおける実験では、HDAC4とよばれる蛋白質が、筋肉の脱神経過程に関与しており、この蛋白質が神経細胞から筋肉へのシグナル伝達を阻害していると考えられています。しかし、microRNAであるMIR206はHDAC4蛋白質の発現量を減少させ、再生過程を促進することがわかりました。

▽進行の速いALS患者においてはMIR409とMIR208BとよばれるmicroRNAが有意に低下しており、これらのmicroRNAは骨格筋の脱神経に対する抵抗性を強める機能があるのではないかと研究グループは推測しています。同時にMIR206がHDAC4発現を阻害することから、MIR206がALSの進行を遅延させる治療薬候補となるのではないかということです

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/30/las-researchers-identify-novel-genes-that-regulate-muscle-stimulation-and-regeneration/
TDP-43の新機能を発見

・かきのたねさんからご提供いただいた話題です。

・東京農工大学、首都大学東京などの研究グループがALSの病態に関与するTDP-43の新機能を発見しました

・新たな機能が発見されたことにより、治療法探索のための新たな方向性も明らかになりました。

・詳細は以下をご参照ください
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20170809/index.html

・かきのたねさん、ありがとうございました
新規臨床試験情報(随意運動介助型電気運動装置(IVES)の安全性)
・愛知県の一宮西病院でALSに対する新規臨床試験が予定されています

・10名を対象に筋萎縮性側索硬化症に対する随意運動介助型電気運動装置の安全性を検証する臨床試験です。

・詳細は以下をご参照ください
https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000032962
炎症性蛋白質の血中濃度がALSのバイオマーカーとなりうる可能性
・ALS NEWS TODAYの8月25日付記事からです

▽Scientific Reports誌に公表された報告によると、ALSにおいては炎症促進性サイトカインの血中濃度が上昇しており、バイオマーカーとなりうる可能性が示唆される結果が得られました

▽ALSにおいては中枢神経での炎症が起きていることを示唆する結果が多く報告されています。炎症反応を惹起する免疫系細胞の増加が中枢神経においてみられます。

▽さらに、中枢神経以外の末梢においても炎症が生じていることが報告されています。末梢でのサイトカインの上昇がみられるかどうかについては一定した結果がえられていません。

▽今回研究者らはこれまで報告された25の論文の結果を分析しました。その結果、炎症促進性サイトカインであるTNF-α、IL-6、IL-1β、IL-8およびVEGFなどが全体の平均として、末梢で増加していることがわかりました

▽これら炎症性サイトカインは、その他の神経変性疾患でも増加しており、特異的なものではありませんが、ALSにおいて炎症反応が増加していることを支持する証拠といえそうです

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/25/als-patients-show-increased-blood-levels-of-inflammatory-molecules-new-study-shows/
ALS関連遺伝子変異と蛋白質凝集の関連性が判明
・ALS NEWS TODAYの8月22日付記事からです

▽NEURON誌に公表された研究結果によると、ALSに関連した遺伝子変異に起因した病態の一部が明らかになりました

▽TIA1遺伝子変異はALSと前頭側頭型認知症の原因となることがしられています。TIA蛋白質は正常では細胞成分が膜の無い構造の集合体を形成する相分離を促進し、細胞が正常機能を維持するために重要な機能を果たしています

▽TIA1蛋白質の機能異常が存在すると、集合体が解離することが阻害され、蛋白質の凝集が生じ、神経細胞死につながります。

▽ALSの病態に関与しているTDP-43蛋白質は、病的な凝集体を形成し不溶性となり細胞死をもたらすことがしられています。

▽TAI1蛋白質の異常により、形成されたストレス顆粒が分解されることが阻害され、ストレス顆粒により捕捉されたTDP-43蛋白質などがさらに凝集していくこととなります。

▽今回の発見により、蛋白質の相分離に関与する過程が病態理解に重要であることがわかり、今後の治療法開発のターゲットとなることが期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/22/als-study-shows-another-way-that-mutations-can-kill-nerve-cells/
二重ロイシンジッパーキナーゼ阻害がALSモデルマウスにおいて神経保護作用
・ALS NEWS TODAYの8月23日付記事からです

▽Science Translation Medicine誌に公表された研究結果によると、神経障害のセンサー機能を有する二重ロイシンジッパーキナーゼとよばれる酵素を阻害することが、ALS動物モデルにおいて神経保護的に作用することが明らかになりました

▽二重ロイシンジッパーキナーゼは神経障害における神経変性を誘導する酵素であり、神経再生と変性に関与しています。ALSモデルマウスにおいてはこの酵素が関与すると考えられているJNK経路が活性化しています。

▽SOD1変異ALSモデルマウスにおいて二重ロイシンジッパーキナーゼ遺伝子を除去すると神経保護作用と生存期間延長効果が確認されました

▽研究者らは二重ロイシンジッパーキナーゼ阻害薬をモデルマウスに投与し、効果を調べました。その結果、神経筋接合部変性を遅延させる効果が確認されました。今後治療戦略として有望な可能性があります。

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/23/inhibition-key-protein-involved-neuronal-injury-shows-potential-als-alzheimers-mouse-study/
家族性ALSにおけるRNA凝集に遺伝子編集技術で挑む
・ALS NEWS TODAYの8月15日付記事からです

▽研究者らは家族性ALSなどでみられるRNA凝集体を阻害するための治療的技術を発見しました。この研究結果は最新号のCell誌に公表されました

▽カリフォルニア大学の研究者らは、CRISPR-Cas9を用いた遺伝子編集技術を応用し、RNA-targeting Cas9(RCas9)とよばれる新技術を開発しました。

▽この技術では、ウイルスベクターを用いて、特定の組織におけるRNA凝集体形成を阻害します。

▽CRISPR-Cas 9システムにおいては、RNAプローブが特定のDNA配列に結合し、Cas9酵素がDNAを切断しますが、RCas9では、RNAをターゲットとし、RNAを細断します。

▽今回の技術はALSにおいてはC9orf72遺伝子変異ALSなどで治療的に応用できるのではないかと期待されています

▽細胞実験において、RCas9は細胞内のRNA凝集の少なくとも95%を除去できたことが確認されています。治療的に応用するには遺伝子を運搬するベクターに挿入可能であることが必要ですが、研究者らはCas9酵素の一部を除去することにより、ベクター内への挿入を可能としました。

▽臨床的応用のためには、課題が多く残されていますが、今後基礎実験により、臨床応用に向けての開発を進めたいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/15/revamped-gene-editing-system-targets-rna-aggregates-found-in-inherited-als/
Cytokinetics社のCK-107(CK-2127107)の第2相試験について
・ALS RESEARCH FORUMの8月16日付記事からです

▽研究者らはCytokinetics社が日本のアステラス製薬と共同で開発中のALS治療薬候補であるCK-107(CK-2127107)の第2相試験の実施を促進中です。

▽CK-107は骨格筋トロポニン活性化剤であり、カルシウム放出を減少させ、骨格筋の収縮性を増加させる効果が期待されています

▽Ck-107は現在第3相試験実施中のtirasemtivと異なり、血液脳関門を透過しないため、副作用が少ないことが期待されています

▽第2相試験では445名の参加者が12週間で評価される予定です。現在進行中のtirasemtivの第3相試験については、結果が2017年12月にボストンで開催予定の国際ALS/MNDシンポジウムで公表される予定です

引用元
http://www.alsresearchforum.org/cytokinetics-ck-107-muscles-in-at-phase-2/

ALS治療法探索と人工知能
・Scientific Americanの8月10日付記事からです

▽人工知能(AI)によるALS治療薬候補探索の競争が激化しています

▽AIによる治療薬候補探索は、生物学、化学、医学の膨大なデータベースをヒトよりはるか高速に解析し、バイアスのない研究者として機能します。

▽SheffieldでのAI研究においてみいだされた治療薬候補は、すでに前臨床段階において、動物モデルにおいて治療的効果を有することが確認されており、臨床試験の実施が予定されています

▽IBMのスーパーコンピュータであるワトソンをもちいたアリゾナでの研究では、数ヶ月のうちにALSに関連する5つの新規遺伝子がみいだされ、このような知見はヒトによる研究では数年以上を要していたであろうと考えられています。

▽InSilico Medicine社は、AIによるALSに特化した薬剤探索を進めています。またグラクソ・スミスクライン社などの大企業もAIによる薬剤探索に乗り出しています

▽今後益々AIによる治療薬探索が進展することが期待されています

引用元
https://www.scientificamerican.com/article/ai-hunts-for-new-als-treatments/
新規臨床試験情報(T-Regulatory Cells )
・新規臨床試験情報です。アメリカで自家制御性T細胞とIL-2皮下注のALSに対する安全性についての第1相試験が開始予定です

・4名が対象の小規模試験です。4回の自家制御性T細胞静注と、IL-2皮下注を週に3回52週間施行され、安全性などが検討される予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03241784
TLR-4阻害剤のTAK-242がALSモデルマウスの病態を緩和
▽ALSにおいては神経炎症が病態に関与していると考えられています。TLR4は免疫系の活性化に関与し、ALSにおいてはミクログリアの活性化をもたらすといわれています

▽TLR4はSOD1変異ALSモデルマウスの脊髄において発現亢進がみられます。今回研究者らは選択的なTLR4阻害薬であるTAK-242の効果を検証しました

▽SOD1変異ALSモデルマウスに対してTAK-242を投与したところ、炎症促進性サイトカインの減少がみられ、脊髄におけるミクログリアやアストロサイトの活性化の減弱がみられました

▽またモデルマウスにおける病態進展遅延効果もみられました。しかしながら生存期間の有意な延長まではみられませんでした。今後さらにTLR4の治療対象としての検証が必要です

(この研究はイスラエル、Tel-Aviv UniversityのFellnerらにより報告され、平成29年8月1日付のInternational journal of molecular sciences誌に掲載されました)
ALSにおけるアストロサイトとTGF-β1
・ALS Research Forumの8月1日付記事からです

▽ALSにおいてはアストロサイトが病態に関与していることが報告されています

▽今回ハーバード大学の研究者らがStem Cell Reports誌に公表した研究結果によると、アストロサイトがTGFーβ1を分泌することにより運動神経細胞死に関与している可能性がわかりました

▽研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスよりアストロサイトを採取し、ヒトES細胞由来の運動神経細胞と共に培養しました。

▽その結果、アストロサイトはTGF-β1を分泌し、自食作用を障害することにより運動神経細胞死をもたらすことを示唆する結果がえられました

▽今後TGF-β1をターゲットとした治療戦略が有望となる可能性があります

引用元
http://www.alsresearchforum.org/als-astrocytes-secret-sauce/
Amylyx社のAMX0035の第2相試験で最初の患者をエントリー
・ALS NEWS TODAYの8月9日付け記事からです

▽Amylyx製薬は同社のALS治療薬候補であるAMX0035の第2相試験において、最初の患者のエントリーが完了したことを公表しました

▽この臨床試験では132名の参加者が予定されています。AMX0035はフェニル酪酸ナトリウムとタウロウルソデオキシコール酸の合剤です

▽両物質ともに前臨床試験段階において、動物実験で有効性を示唆する結果が得られています

▽この臨床試験はプラセボ対照で24週間行われ、安全性や筋力への効果などが評価される予定です

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/09/amylyx-pharmaceuticals-doses-first-patient-in-phase-2-clinical-trial-of-amx0035-for-als/
NurOwn細胞の第3相試験近日開始予定か
・早期の開始が期待されているBrainStorm社NurOwn細胞の第3相試験ですが、ALS TDIの新規臨床試験に登録されました。

・200名を対象に行われる予定となっています。まだclinicaltrials.govの臨床試験データベースでは検索できませんが、近日公表されることが期待されます

引用元
http://www.als.net/als-research/clinical-trials/321/
新規臨床試験情報(メキシレチン)
・孤発性ALSに対するメキシレチンの有効性、安全性などに関する第2相試験がアメリカで募集開始となりました

・メキシレチンは、神経の過剰興奮性を抑制することにより病態改善効果が期待されている薬剤です

・合計60名を対象にプラセボ対照で行われ、4週間の投薬期間、8週間の観察期間で評価される予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT02781454
プログラニュリン(PGRN)欠乏がTDP-43蛋白症と自食作用の障害をもたらす
▽プログラニュリン蛋白質をエンコードする遺伝子であるGRN遺伝子の欠損はTDP-43蛋白症を伴う前頭側頭型認知症や神経セロイドリポフスチン症の病因となります

▽現在までに、GRN遺伝子変異がどのように病態に関与するのかはよくわかっていません。今回研究者らはプログラニュリン欠損モデルマウスを用いて、病態を調べました

▽その結果、プログラニュリン欠損は、自食作用の障害をもたらすことがわかりました。また自食作用によって排除されるべきTDP-43蛋白質の病的な蓄積が神経細胞において観察されました

▽以上の結果は、自食作用経路がGRN遺伝子変異に起因した疾患において重要な治療ターゲットとなりうる可能性を示唆しており、ALSなどの疾患における病態でも同様の治療戦略が有望な可能性があります

(このアメリカ Genentech社のChang MCらにより報告され、平成29年8月4日付のThe Journal of experimental medicine誌に掲載されました)

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