・京都大学iPS細胞研究所の機関紙であるCiRA Newsletter 4月号において、iPS細胞とALSについて高橋教授の記事がありました
・以下16ページからご参照ください
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/pdf/Newsletter_Vol_29.pdf?1493010279844
・またNHKのクローズアップ現代のHPでも遺伝子治療研究所の浅井克仁社長の記事が掲載されています
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3964/index.html
・かなくんさん、ありがとうございました
・Amylyx Pharmaceuticals社により行われるこの試験は、同社のALS治療薬候補である、AMX0035によるプラセボ対照の無作為割付試験です。
・AMX0035はタウロウルソデオキシコール酸とフェニル酪酸ナトリウムの混合物であり、ミトコンドリアと小胞体の関与する細胞障害機構を修飾することで、治療的効果が期待されているものです
・合計132名を対象に行われ、2018年末までに結果がでる予定となっています。
引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03127514
・承認を確実にするためのものなのか、前回とは違う地域で実施するものなのか、詳細は不明ですが、406名を対象として、48週間で行われる予定です。良好な結果が期待されます
引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03127267
▽田辺三菱製薬のALS治療薬であるエダラボンが、アメリカでの承認を目指して、第3相臨床試験が行われましたが、その結果がアメリカ神経学会で公表されたとのことです
▽その結果によると、24週間の経過でプラセボ群と比較した場合、エダラボン投与群は、統計的に有意にALSFRS-Rの変化率が小さかったとの結果がえられたようです
▽エダラボンは既にアメリカでもFDAに対して新薬の承認申請済みであり、6月16日までに最終判断がなされる予定であり、承認後はRadicavaとの製品名で発売される予定とのことです
引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/26/mt-pharma-america-to-present-data-on-edaravone-for-als-at-2017-aan-meeting/
▽3名の嚥下障害と構音障害を呈するALS患者が入院しました。21日間にわたってペニシリンGと副腎皮質ホルモン(hydrocortisone)が投与されたところ、患者の嚥下障害と構音障害が軽快しました
▽また、同時に、呼吸機能や協調運動、歩行機能、筋力などについても改善がみられました。
▽今後、この治療法についての臨床試験による評価が期待されます
(この報告は、オランダ、Ry Pharma, Hofstraat のTukらにより報告され、平成29年4月3日付のF1000 Research誌に掲載されました)
▽MediciNova社のALS治療薬候補であるIbudilast(MN-166)の第2相試験の中間的な解析結果が2017年のアメリカ神経学会で公表されました
▽それによると、26名の試験完遂者における、Brisbane-Sydney UMN-LMN ALS burden尺度において、四肢発症型よりも球麻痺発症型の方が、得点が保持される傾向があったとのことです。
▽ibudilastは四肢型よりも球麻痺型においてより有効性が期待できる可能性があり、今後このサブグループを対象とした臨床試験の実施などが期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/27/ibudilast-help-only-bulbar-onset-patients-early-data-suggests/
▽ハーバード幹細胞研究所の研究者らがCell Reports誌に発表した報告によると、特定の蛋白質がALSなどの病態において運動神経の生存に関与している可能性があるとのことです
▽この蛋白質は脊髄性筋萎縮症の原因蛋白質であるSMN蛋白質です。SMN蛋白質は全ての細胞に存在しますが、運動神経細胞はこの蛋白質の欠乏に敏感であり、SMN蛋白質の欠損により細胞死を起こしやすくなっています
▽研究者らは、脊髄性筋萎縮症患者由来の細胞を用いて、SMN蛋白質が運動神経細胞死に与える影響を調べました。その結果、同じ患者由来の運動神経細胞でも、細胞死の速度が速いものと遅いものがあることがわかりました
▽生存期間の長い運動神経細胞は、他の運動神経細胞よりも、より多くのSMN蛋白質を発現しており、多いものでは他の4倍のSMN蛋白質を発現していたことがわかりました。
▽また、健常者由来の細胞でも、細胞を様々なストレスに暴露した際の生存期間が、SMN蛋白質の発現量により左右されることがわかりました。
▽さらに、研究者らは、SMN蛋白質の発現量を増加させる物質を探索しました。その結果、Cullinsとよばれる蛋白質の一群を阻害することによりSMN蛋白質の発現量が増加することがわかりました
▽今後SMN蛋白質の発現量を調節することが、ALSなどの神経変性疾患において治療的に作用する可能性があり、今後の進展が期待されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/21/las-treatments-result-stabilization-motor-neuron-protein-survival/
▽ALSの病態に主要な役割を果たすTDP-43蛋白質ですが、今回TDP-43蛋白質の凝集に関する新たな知見が報告されました
▽セントルイス大学の研究者らは、TDP-43が特定のリン酸化酵素の基質となることをみいだしました。このリン酸化酵素はMEKとよばれ、MAPK/ERK経路の主要な酵素です
▽MEKによるTDP-43蛋白質のリン酸化は、熱ショック反応において劇的に誘発されます。熱ショック反応は、細胞の恒常性維持と蛋白質の折り畳み異常を防ぐために誘導される、細胞防御機構です。
▽MEKによりリン酸化されたTDP-43は、凝集に関与せず、可溶性を維持することがわかりました。またMEKによりリン酸化したTDP-43蛋白質は、これまでTDP-43が機能すると考えられていた場所とは別の場所に局在化することがわかりました
▽以上の知見を元に、さらにTDP-43の病的な凝集を防ぐメカニズムについて研究し、治療法の開発に結び付けたいとしています
引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/20/study-als-protein-behavior-brings-researchers-closer-finding-new-treatments/
▽FUS遺伝子変異は、若年発症ALSの主要な原因となります。
▽今回、研究者らは、FUS蛋白質の機能異常について新たな知見をみいだしました。FUS蛋白質は、変異型であれ正常型であれ高濃度になると運動神経細胞死をもたらします
▽研究者らは、FUS変異動物モデルを用いて、特定の細胞において変異FUS蛋白質の発現を阻害することにより、病態に与える影響を調べました。
▽運動神経細胞において変異FUS遺伝子が発現しないようにし、その他のグリア細胞では発現する状態にしたところ、運動神経細胞死は抑制されました。
▽しかしながら、変異FUSを発現するオリゴデンドロサイトは機能異常を示し、脱髄と筋力低下などの症状が徐々に発現しました。
▽以上の結果は、変異FUS蛋白質は、運動神経細胞に直接的な影響を及ぼすのみならず、オリゴデンドロサイトなどのグリア細胞の機能異常をもたらすことにより、病態発現をもたらすことを示唆するものです
引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/18/las-study-role-fus-protein-mutations-disease/
▽5月はALS啓発月間です。今年も非営利団体であるProject ALSが主催する、Don't Talk-a-Thonが開催されます
▽このイベントは、5月21日に行われる1時間にわたる”沈黙の誓い”のイベントを中心とした、啓発イベントであり、研究促進のための資金集めも行われます
▽2009年以降開催されているこのイベントは、毎年25万ドル以上の資金が提供され、全てALSの基礎研究に配分されます
引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/19/project-als-announces-dont-talk-a-thon-fundraiser/
▽Rho kinase経路(ROCK経路)の活性化は、ミクログリアの表現型に関与し、活性酸素の産生増加や、炎症促進性サイトカインの放出を増加させます。
▽これまでの研究において、ROCK経路の抑制が、ALSなどの神経変性疾患において治療的に作用する可能性が報告されており、今後の研究の進展が期待されます
(この総説は、ドイツ、Gottingen UniversityのRoserらにより報告され、平成20年4月4日付のFrontiers in aging neuroscience誌に掲載されました)
▽最新号のNature誌に公表された論文によると、TDP-43蛋白症モデルマウスにおいて、ataxin-2と呼ばれる蛋白質の発現を抑制することが治療的に作用したとのことです
▽TDP-43遺伝子変異はALSの病因となることが知られています。しかし正常なTDP-43蛋白質は、神経細胞において重要な機能を担うため、神経細胞から排除することができません
▽スタンフォード大学の研究者らは、TDP-43蛋白質を完全に脳内から排除することなく、TDP-43蛋白症による細胞毒性を減弱させる方法についてとりくんできました
▽研究者らは、ataxin-2蛋白質が存在しないと動物モデルにおいて、TDP-43蛋白症においても生存期間が延長することや、ataxin-2蛋白質の存在がALSリスクを増大させることなどの知見をもとに、ataxin-2蛋白質を減少させると、神経細胞にとって保護的に作用するのではないかと考えました
▽研究者らは、ヒトTDP-43蛋白を高濃度で発現する遺伝子改変モデルマウスを作成しました。その後、ataxin-2発現量を半減させるか、もしくは完全に発現しない状態を実現しました
▽その結果、ataxin-2濃度の減少は、TDP-43蛋白質の凝集を顕著に減少させ、生存期間の延長効果をもたらしました
▽さらに、ataxin-2を完全に除去したところ、生存期間の延長効果はさらに強いものとなりました。
▽その後、研究者らは、TDP-43蛋白症モデルマウスにおいて、ataxin-2 mRNAに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いる方法で、ataxin-2の発現を抑制し、治療的効果を検討しました
▽その結果、単回の治療で顕著な生存期間延長効果がみられました
▽今後、研究者らは、症状発現後のモデルマウスに対して、アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与し、治療的効果を検証したいとしています
引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/13/suppressing-ataxin-2-protein-als-mice/
▽ALS治療法として期待されている新規遺伝子治療法がALS類似症状を呈するイヌで試験されています
▽SOD1変異を有するイヌでは、進行性の運動神経細胞変性と筋萎縮がみられます。
▽今回、研究者らは、アデノウイルスベクターを髄液中に注入し、変異遺伝子の発現を抑制するDNA分子を注入する治療法の試験をイヌで開始しました。
▽このアデノウイルスは、感冒を引き起こすアデノウイルスに類似しており、中枢神経への移行性が良好です。
▽2016年12月に4頭のイヌに対してこの治療法が適応開始されており、現在のところ安全性が確認されています。有効性についての評価はまだ時期尚早とのことです
▽イヌでの試験が成功すれば、ヒトでの臨床試験に移行したいとしています
引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/10/treating-dogs-with-paralytic-disease-may-lead-to-advances-in-new-als-drug/
▽PQCが作動が不十分だと、異常蛋白質が蓄積し、神経細胞死につながります。効率的なPQCの活性化は、活発なdyneinや特定のシャペロンにより構成される逆行性輸送機構に依存します。
▽今回、研究者らは、ALS類似細胞モデルを用いて、dyneinを介した逆行性輸送を抑制することが、異常蛋白質の蓄積を減少させ、排泄を促進することをみいだしました
▽異常蛋白質の排泄の促進は、自食作用ではなく、プロテアソームを介した機構に依存し、HSPA8のコシャペロンであるBAG1の発現亢進と関連していました
▽以上の結果は、細胞が、自食作用を介した異常蛋白質の排除機構がうまくいかない場合、dyneinに依存しない手段により、BAG1発現亢進させプロエアソームによる蛋白質排泄機構を用いて、異常蛋白質排泄を行うことを示唆しています
(この研究は、イタリア、Università degli Studi di Milano のCristofaniらにより報告され、平成29年4月12日付のAutophagy誌に掲載されました)
▽CRISPR/Cas9システムを用いて、患者由来iPS細胞の遺伝子変異を修正し、さらにゲノムワイドRNAシークエンシングにより、遺伝子編集前のSOD1変異運動神経細胞および、遺伝子編集後のiPS細胞の転写産物を調べました
▽その結果、899種類の異常転写産物が確認されました。このような技法により、疾患の治療マーカーの探索や、病態機序の解明が進展し、新規治療法開発につながることが期待されます
(この研究は、中国、National Laboratory of BiomacromoleculesのWangらにより報告され、平成29年4月11日付のProtein and cell誌に掲載されました)
・遺伝子治療研究所取締役の村松教授のインタビュー記事が掲載されています
引用元
http://www.tel.co.jp/museum/magazine/intractable/interview02/
・記事によると、ALSに対するアデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子治療の臨床試験が遅くとも来年中には実施できる予定とのことです
・早期実施が期待されます
・かなくんさん、ありがとうございました
・この臨床試験は20名の患者が対象となり、QOLが主尺度となる予定です。これまで前臨床試験段階では、病態進行遅延を示唆する結果が得られているとのことです
・4週間のamivita1日1回静注と2週間のインターバルを1コースとして、合計6コース、36週間で行われる予定です
引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03103815
▽Voyager社が開発中のSOD1変異家族性ALSに対する治療薬候補であるVY-SOD1が前臨床試験段階に入りました
▽家族性ALSの約20%を占めるといわれているSOD1変異ALSですが、Voyager社はアデノ随伴ウイルスベクターを用いて、SOD1遺伝子発現を抑制するmicro RNAを注入する方法での治療法を開発しています。
▽今後2年以内に前臨床試験段階を終えて、臨床試験を開始したいとしています
引用元
https://alsnewstoday.com/
▽KCHO-1(Mecasin) は9種類の薬草からの抽出物であり、疲労と炎症を抑制するために使用される伝統薬物です。
▽今回、研究者らは、KCHO-1をSOD1変異ALSモデルマウスに投与し、治療的効果を検討しました
▽その結果、KCHO-1は活性化ミクログリアにおけるMAPK経路などを介して酸化的ストレスを減弱させることがわかりました
▽以上の結果は、KCHO-1が、酸化的ストレスが病因となるALSにおいて治療的に有効な可能性を示唆するものです
(この研究は、韓国、Seoul National UniversityのKookらにより報告され、平成29年4月6日付のJournal of veterinary science誌に掲載されました)
▽今回、研究者らは、2000種類程度の既存薬剤を用いて、マウスのオリゴデンドロサイト増殖や分化に影響を与える薬剤をスクリーニングしました
▽その結果、エダラボン、メトキシイソフラボン、ロバスタチンの3種類の薬剤が、オリゴデンドロサイトの増殖などを促進させる効果があることがわかりました
▽これら薬剤のうち、エダラボンが最も強い再髄鞘化の活性を有することがわかりました
(この研究はイタリア、Istituto Superiore di SanitàのEleuteriらにより報告され、平成29年4月7日付のScientific Reports誌に掲載されました)