▽弧発性ALSにおいても、VAPB蛋白質量減少と切断断片の存在が報告されており、VAPBの機能喪失はALSにおける普遍的な病態である可能性があります。
▽今回研究者らは、ヒトVAPB遺伝子の過剰発現が、ALSモデルマウスにおいて治療的効果を有するかどうかを検証しました。新生児期のSOD1モデルマウスに対してVAPB発現するウイルスが脳室内投与されました。
▽その結果、長期のVAPBの発現過剰が得られ、神経障害の軽減、脊髄神経細胞の生存期間延長などの効果がみられました。
▽以上の結果は、VAPBの過剰発現が神経保護作用を有する可能性を示唆しており、今後の治療的応用が期待されます。
(この研究はアメリカ、Baylor College of MedicineのKimらにより報告され、平成28年8月29日付のHuman Molecular Genetics誌に掲載されました)
▽最新号のToxin誌に掲載された論文において、サメに含まれる神経毒性物質に対する警告が発せられています。
▽サメは食物連鎖の上位に位置しており、海洋毒性物質や水銀などの蓄積のリスクがあります。サメのヒレや軟骨においてはシアノバクテリア毒素であるBMAAの蓄積が報告されており、BMAAはALSとの関連性が報告されている物質です。
▽今回研究者らは、世界各地のサメからのサンプルを採取し、BMAA濃度、水銀濃度を測定しました。その結果BMAAが測定濃度以下であったのは、55サンプル中わずか7つであり、水銀濃度についても0.05から13.23 ng/mgであり、注意を要する状況であったとのことです。
▽研究者らは、これらの結果をもとに、サメを食用とすることに対して注意喚起をしています
引用元
https://alsnewstoday.com/2016/08/30/neurotoxins-shark-fins-meat-linked-als-other-neurodegenerative-diseases
▽APCの3つのリシン残基をアラニンに置換した遺伝子組み換え3K3A-APCは、脳梗塞や頭部外傷、多発性硬化症、ALSなどのモデルマウスにおいて治療的効果を有することが報告されています
▽3K3A-APCは安全性も高いため、脳梗塞については臨床試験段階まで進展しています。
▽近年、3K3A-APCは、神経幹細胞や、神経前駆細胞による、神経再生を促進させることが、基礎実験で示されました。この作用は、PAR1-PAR3-S1PR1(sphingosine-1-phosphate-receptor 1)-Akt経路を介するものであり、3K3A-APCが中枢神経を構造的に再生させる能力を有する可能性を示唆するものです。
▽今回、研究者らは、脳梗塞モデルマウスを用いて、3K3A-APCが移植したヒト神経幹細胞による神経再生を促進し、神経回路の再生と機能的回復を促進させることをみいだしました。
▽以上の結果は、3K3A-APCが、移植後のヒト神経幹細胞の再生能を促進させることができる可能性を示唆しており、今後の幹細胞移植治療において、治療選択肢となりうる可能性があります
(この研究はアメリカ、Keck School of Medicine of the University of Southern CaliforniaのWangらにより報告され、平成28年8月22日付のNature Medicine誌に掲載されました)
▽今回、研究者らは末梢よりメチレンブルーを投与し、神経筋接合部機能の保護作用があるかどうか検証しました。メチレンブルーは、ミトコンドリア保護作用を有するといわれています。
▽メチレンブルーは発症前のSOD1変異モデルマウスに対して筋肉内投与されました。その結果、メチレンブルーを投与した側の筋肉は、進行期において、非投与側の筋肉よりも100%程度筋力が強く保持されていました。
▽また、メチレンブルー投与側の神経終板の神経支配率も平均65%であり、非投与側の35%よりも有意に良好な結果でした。
▽以上の結果は、SOD1変異ALSに対して、メチレンブルーが、末梢からの投与により神経筋接合部機能の保持作用を発揮し、治療的に有効な可能性を示唆するものです。
(この研究は、アメリカ、 University of Miami Miller School of MedicineのTalbotらにより報告され、平成28年8月24日付のExperimental Neurology誌に掲載されました)
▽SOD1変異ALSにおいて、脊髄運動神経細胞における変異SOD1蛋白質の凝集は主要な病態をなします。
▽SOD1蛋白質の重合化を阻害しうる薬剤は、治療薬候補となりえます。今回研究者らは、FDAに認可されている640の薬剤を用いて、試験管内において変異SOD1蛋白質の重合を阻害しうる能力を有するかどうかを検索しました
▽その結果、3つの薬剤クラスが同定されました。1つ目が高コレステロール血症治療薬として用いられる、HMG-CoA阻害薬に属するスタチン製剤である、シムバスタチン、ロバスタチン、メバスタチンです。2つ目はビタミンD誘導体である、アルファカルシドール、カルシジオール、カルシトリオールです。3つ目は原虫感染症であるリーシュマニア症治療薬のミルテフォシンです。
▽これら薬剤のうち、スタチン製剤については、ALSモデルマウスにおいて、病態悪化をもたらすとの報告や、ALSにおいては脂質が神経保護的に作用する可能性があるとの報告もあることから、実際の臨床効果に結びつける際には注意が必要です。一方ビタミンD誘導体については、ALSにおいて神経保護的に作用する可能性についての報告が基礎実験や臨床報告でなされており、今後の検証が期待されます。
▽ミルテフォシンについては、ALSについての報告はこれまでないものの、一部の細胞に対して細胞毒性を有することが報告されており、神経毒性を有する可能性に注意が必要です。
▽試験管内での実験のため、以上の薬剤を実際に臨床使用することは現段階ではできませんが、今後、これらの知見が元となり、より有効で安全性の高い薬剤の開発につながる可能性があり、今後の発展が期待されます。
(この研究は、慶應義塾大学のAnzaiらにより報告され、平成28年8月9日付のFrontiers in molecular biosciences誌に掲載されました)
▽ヘプタン酸はプロピオニルCoAに代謝され、プロピオニルCoAはサクシニルCoAを産生し、TCAサイクルを回転させます。今回研究者らは、triheptanoinが運動神経細胞死を阻害し、SOD1変異ALSモデルマウスの発症遅延効果を有するかを検証しました
▽35日齢のモデルマウスにtriheptanoinを経口投与したところ、70日齢時点での運動神経細胞死が33%減少しました。また筋力低下についても対照群よりも2.8週遅延がみられました。
▽筋肉代謝に関連した遺伝子発現の変化とともに、運動機能の改善がみられました。25週齢時点では、対照群と比較して、コハク酸デヒドロゲナーゼやグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ 2、プロピオニルカルボキシラーゼβサブユニットなどのmRNA濃度は69-84%減少がみられました。
▽以上の結果は、triheptanoinがTCAサイクル効率を改善させることにより、運動神経細胞喪失を減弱し、発症遅延効果を有する可能性を示唆するものです
(この研究は、オーストラリア、The University of QueenslandのTeferaらにより報告され、平成28年8月26日付のPLoS One誌に掲載されました)
・大阪市立大学の研究チームにより、optineurin変異に関連したALSの病態機序が報告されました。
引用元
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160825-OYTET50020/?catname=news-kaisetsu_news
・病態解明により治療法開発につながることが期待されます
・麦酒王さん、ありがとうございます
▽今回、研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスに対してclemastineを投与し、病態進行に与える影響について調べました。
▽その結果、発症前(生後40日齢)から生後120日齢までのclemastine(50mg/kg)投与は、発症を有意に遅延させ、生存期間を約10%延長させました。clemastine投与は運動神経細胞を保護し、炎症パラメータを減少し、SOD1蛋白質濃度を減少させました。
▽長期間のclemastine投与は、生存期間を改善しませんでした。長期投与は病態改善に有益な効果を与えませんでした。培養神経細胞においてclemastineは自食作用を亢進させることがわかりました。
▽以上の結果は、発症前から早期におけるclemastine投与がSOD1変異ALSの病態改善に有益な効果を有する可能性を示唆しており、今後の検証がまたれます
(この研究は、イタリア、Santa Lucia FoundationのApolloniらにより報告され、平成28年8月22日付のJournal of Neuroinflammation誌に掲載されました)
▽近年、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)が直接的に折り畳み異常SOD1蛋白質の蓄積を阻害することが報告されました。しかし内因性のMIFが生体内でSOD1蛋白質の折り畳み異常に対してどのような作用を有するかはわかっていませんでした。
▽今回、研究者らは、MIFの欠損したSOD1変異ALSモデルマウスを用いて、MIF非欠損SOD1変異モデルマウスと比較しました。その結果、MIF欠損モデルマウスでは不溶性SOD1凝集体が脊髄において有意に非欠損モデルマウスよりも多く観察されました。
▽さらに、神経細胞においてMIF発現を亢進させたところ、折り畳み異常SOD1蛋白質の凝集が阻害され、細胞死が抑制されました。MIFの欠損は病態進行を早め、生存期間を短縮しました。
▽以上の結果は、MIFが生体内において、折り畳み異常SOD1蛋白質に対して毒性発揮を阻害する役割を果たしていることを示唆しており、MIF発現亢進させることがSOD1変異ALSに対して治療的に有効である可能性があります。
(この研究はイスラエル、Ben-Gurion UniversityのLeyton-Jaimesらにより報告され、平成28年8月22日付のPNAS誌に掲載されました)
・臨床試験データベースにオーストラリアで開始予定のCu-ATSMの第1相臨床試験が登録されました。当初4月頃開始を予定されていましたが、9月からの開始予定となったようです
・エントリー基準は家族性ないし弧発性ALSとなっており、動物実験で確認されたSOD1変異ALSモデルへの有効性のみならず、弧発性への効果も検証される予定です。
・合計50名を対象に行われ、24週間、さまざまな用量での安全性や有効性などが検証される予定です。
・良好な結果が期待されます
引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT02870634
・Grifols Therapeutics社により、ALSに対するアルブミン製剤(Albutein® 5%)による血漿交換の有効性、安全性についての第2a相臨床試験が開始予定となっています
・最初3週間は週に2回の血漿交換が施行され、その後21週間は週に1回血漿交換が行われ、有効性と安全性が検証される予定です。
・今後約1年半の期間で行われる予定であり、良好な結果が期待されます
引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT02872142
▽プロテアソームは細胞内の蛋白質濃度を適切に保つための細胞内器官です。マサチューセッツ総合病院の研究者らは、線虫の実験から、プロテアソームの機能異常を探知し、修復する経路における重要な分子を同定しました。
▽この研究成果は、異常蛋白質の凝集が病態をなすALSなどの変性疾患における治療法探索の手がかりとなる可能性があります。
▽プロテアソームは破損した不要な蛋白質を分解し、細胞内の適切な蛋白質濃度を維持しています。プロテアソームが機能しなくなると、有害蛋白質の蓄積を防ぐため、プロテアソーム構成成分の産生が亢進します。
▽プロテアソームの機能を賦活することは、異常蛋白質の凝集が病態をなす疾患の治療戦略となりえます。線虫における実験により、転写因子であるSKN-1の機能が、プロテアソームが機能異常を呈した際の細胞の反応を誘導する際に重要であることが指摘されていました。
▽しかし、SKN-1がプロテアソームの構成成分の発現をどのように誘導するかはわかっていませんでした。研究者らは、線虫モデルを用いて、どの遺伝子変異がSKN-1の活性化を阻害しうるかを調べました。その結果およそ100の変異が、プロテアソーム機能異常に対して応答しない状態をもたらすことがわかりました。
▽これらの遺伝子変異のうち、2つが注目されました。1つがPNG-1であり、もう1つがプロテアーゼ酵素のDDI-1です。
▽SKN-1の活性化は、PNG-1によるSKN-1の切断および糖鎖除去に依存することがわかりました。さらにDDI-2(ヒトにおけるDDI-1と等価)がプロテアソーム欠損の際の反応において必要不可欠であることがわかりました。
▽DDI-1はプロテアソームへのストレスを探知する際に重要な機能を果たしており、薬剤開発のターゲットとなりうる酵素であることから、ALSなど神経変性疾患における治療法開発の一つの方向性となりうる可能性があります。
引用元
https://alsnewstoday.com/2016/08/18/study-suggests-target-for-protein-aggregation-in-als-other-neurodegenerative-diseases/
▽Oxford BioDynamics社はEpiSwitch technologyを用いたALSのバイオマーカー発見のための研究を推進しています
▽現在ALSの診断には年単位の月日を要することがまれではありません。EpiSwitch testは4時間未満で検査結果を得ることができる、遺伝子発現の変化を調べる方法です
▽この技術は同社がオックスフォード大学などと共同で行った研究で、ALS患者において9つのエピジェネティック(遺伝子の後天的修飾)なバイオマーカー候補が同定されたことなどを元にしています
▽これらバイオマーカーの診断妥当性を検証し、診断精度を高める努力がなされています。バイオマーカーの発見は、診断のみならず、治療対象や治療の指標としても用いることができる可能性があり、研究の進展が期待されます。
引用元
https://alsnewstoday.com/2016/08/14/Oxford-BioDynamics-Hopes-to-Speed-Up-ALS-Diagnosis-in-New-Study-Using-EpiSwitch-Technology
▽第3相臨床試験は48週間のプラセボ対照比較試験であり、tirasemtiv 250mg/day投与群、375mg/day投与群、500mg/day投与群、プラセボ投与群が3:2:2:2の比率で無作為に割付られます。
▽主尺度は24週間の静的肺活量変化率であり、その他筋力やALSFRS-Rの変化量なども比較されます。
▽最終的な結果は2017年下半期に公表される予定であり、良好な結果が期待されます
▽研究者らはC9orf72遺伝子の6塩基繰り返し配列の過剰伸長に起因したALSにおいて、治療法開発につながりうる新たな蛋白質を同定しました。
▽この蛋白質はSUPT4H1と呼ばれ、この蛋白質が減少することにより、ハンチントン病などにおいて、繰り返し配列を有する有害蛋白質の産生が減少することが知られていました。
▽今回、研究者らはC9orf72遺伝子変異ALSにおけるSUPT4H1減少の効果を調べるため、酵母、ハエ、線虫などのALSモデル動物を用いて検証しました。
▽C9orf72遺伝子の過剰伸長により、過剰伸長したsense RNAとantisense RNA、およびジペプチド繰り返し蛋白質(DRPs)などの有害産物が生成します。SUPT4H1蛋白質を減少させると、これら有害産物の生成量が減少しました
▽一方で正常なC9orf72遺伝子産物の発現量には影響はありませんでした。動物モデルでは、SUPT4H1蛋白質減少により生存期間の延長効果が認められました
▽以上の結果は、SUPT4H1発現を減少させること、もしくはSUPT4H1蛋白質の作用を阻害する物質を投与することにより、C9orf72遺伝子変異ALSに対して治療的効果が期待できる可能性を示唆しており、今後の進展が期待されます
引用元
https://alsadotorg.wordpress.com/2016/08/12/researchers-identify-a-new-therapeutic-target-for-c9orf72-associated-als/
▽どのようなシグナルが内因性レトロウイルス発現を活性化するかはよくわかっていません。生命情報学的分析により、内因性レトロウイルス-K(ERVK)のウイルスプロモーターは、炎症性転写因子に反応することが指摘されています。
▽今回、研究者らはALSにおいて内因性レトロウイルスK発現が亢進している一つの理由として、ウイルスプロモーターにおける機能的なISREs(interferon-stimulated response elements)の存在が関与する可能性を示しました。
▽転写因子過剰発現の分析により、IRF1とNF-κBのアイソフォームにより内因性レトロウイルスの発現亢進が生じることが明らかになりました。またアストロサイトと神経細胞に、TNFαおよびLIGHTサイトカインを投与すると内因性レトロウイルスの発現亢進がみられ、この作用はIRF1とNF-κBがISREsに結合することによるものでした。
▽さらに研究者らはALSの脳組織を用いて分析し、神経細胞における内因性レトロウイルスKの再活性化が核内へのIRF1とNF-κBアイソフォームの局在化と関連することをみいだしました
▽動物実験においても内因性レトロウイルスKの発現亢進は、運動神経細胞の変性をもたらしました。
▽以上の結果は、ALSにおける内因性レトロウイルスKの再活性化において、神経炎症が主要な誘発要因であることを示唆しており、抗レトロウイルス治療や免疫抑制治療がALSにおいて治療的に有効である可能性を示唆するものです。
(この研究は、カナダ、University of WinnipegのManqheraらにより報告され、平成28年8月10日付のJournal of Virology誌に掲載されました)
▽今回、研究者らは治療的有効性を高めるため、3つの遺伝子の同時投与による治療的効果を検証しました
▽アデノウイルスによりVEGF(vascular endothelial growth factor)、GDNF(glial cell-derived neurotrophic factor)、NCAM(neural cell adhesion molecule)の3つの遺伝子を導入されたヒト臍帯血由来単核球をALSモデルマウスに移植したところ、生存期間の顕著な延長効果が認められました。
▽移植5日後には移植した臍帯血単核球由来の栄養因子発現が認められ、1ヶ月経過後も生着していることが確認されました。免疫抑制剤を使用しない、マウスに対する異種移植でしたが、臍帯血由来単核球細胞の生着と生存が中枢神経において確認されました。
▽この結果は、複数の神経栄養因子の遺伝子発現をもたらす臍帯血由来単核球移植が、ALSに対して治療的に有効な可能性を示唆するものです
(この研究は、ロシア、Kazan State Medical UniversityのIslamovらにより報告され、平成28年8月6日付のMolecular Neurobiology誌に掲載されました)
▽AB Science社は欧州医薬品庁が同社が開発中のALS治療薬候補であるmasitinibに対してorphan drugの指定を与えたことを公表しました
▽masitinibはチロシンキナーゼ阻害薬であり、肥満細胞とマクロファージをターゲットとしています。炎症反応を抑制することにより治療的効果が期待されています
▽現在第2/3相臨床試験が進行中であり、先日公表された中間結果では良好な結果が報告されています(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-979.html)
▽AB Science社はEUに対して2016年9月中にもmasitinibの条件付承認の申請を行う予定とのことです
引用元
https://alsnewstoday.com/ab-science-potential-als-treatment-masitinib-named-orphan-drug-by-ema
▽Biogen社とIONIS社が行っている、幼児期発症の脊髄性筋萎縮症に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤であるnusinersenを用いた第3相臨床試験の中間結果が報告されました
▽それによると、治療群では運動機能について対照群と比較して統計的に有意な改善効果がみられたとのことです。nusinersenはSMN2遺伝子のスプライシング機構に作用し、SMN蛋白質濃度を上昇させる効果を有します
▽Biogen社は今年中にもFDAに対して正式な承認申請を行いたいとしており、承認されれば世界で最初の脊髄性筋萎縮症に対するFDA認可の治療薬となります。
・SOD1変異家族性ALSに対してもアンチセンス製剤による臨床試験が進行中であり、こちらについても良好な結果が期待されます
引用元
http://www.alsresearchforum.org/antisense-therapy-improves-motor-function-in-infants-with-sma-based-on-interim-analysis/
▽チェコ科学アカデミーの研究者らは、ALSに関連する新たな遺伝子変異を報告しました。これらの変異はカルシウムチャネルの機能に関連する遺伝子です
▽今回、Channels誌に掲載された報告により、ALSに関連する遺伝子変異についての新たな知見が加わりました。
▽孤発性ALSにおいても遺伝子変異がみいだされることがあります。その変異が劣性遺伝形式である場合、対立遺伝子の双方の変異が発症に必要なため、発見は困難となります。
▽今回、そのような変異を有する症例が報告されました。27歳で診断された男性は、カルシウムチャネルをコードするCACNA1H遺伝子の変異が同定されました。さらに研究チームは、この変異がどのように病態に影響を及ぼすかについて調べ、チャネルの機能不全により視床網様体核の神経細胞の障害が生じる可能性が明らかになりました。
▽ALSの病態に新たな知見を加えるものであり、今後の病態解明に寄与することが期待されます。
引用元
https://alsnewstoday.com/2016/08/04/ALS-Mutations-in-Calcium-Channel-Disrupt-Deep-Brain-Neurons-Contributing-to-Movement