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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
201602<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201604
リルゾールの有効性その2(過去情報です)
・最初にリルゾールの有効性を報告したグループと同じグループ(ドイツ、フランス、アメリカ、ベルギーなどの国際共同研究グループ)による1996年Lancet誌での報告です

▽対象は罹病期間5年未満の18-75歳のALS患者で、気管切開を受けておらず、努力性肺活量が期待値の60%以上ある方でした。

▽投薬期間は最長18ヶ月間で、プラセボ群242名、リルゾール 50mg/day群 237名、リルゾール 100mg/day群 236名、リルゾール 200mg/day群 244名に無作為に割付されました。

▽結果は、18ヵ月後の時点で、気管切開なしで生存していた割合は、プラセボ群50.4%、リルゾール50mg群55.3%、リルゾール100mg群56.8%、リルゾール200mg群57.8%であり、用量が増えるほど有意に生存率が増加する傾向がみられました。

▽年齢や球麻痺症状、筋力などの予後予測因子を用いて、調整を行った後においては、プラセボと比較して、リルゾール100mgと200mg群は有意に気管切開ないし死亡までの期間を延長させるとの結果となりました。

▽副作用については、嘔気、下痢などの消化器系副作用、およびAST,ALTの上昇などの副作用は用量依存性に増加し、正常上限の3倍以上のA LT上昇はプラセボ群9例、100mg群25例、200mg群37例でした。

▽有効性と副作用の観点から総合的に判断するとリルゾール100mgが最も推奨される用量といえるとの結論になっています
C9ORF72遺伝子変異由来poly GA蛋白質は核細胞質間輸送蛋白質を阻害する
▽過剰伸長した6塩基繰り返し配列由来のpoly GA蛋白質は、C9ORF72遺伝子変異ALSにおける神経細胞封入体に含まれます。

▽研究者らはpoply GAの毒性について調べるために、poly GA蛋白質由来の病態を示すモデルマウスを作成しました。このモデルマウスではTDP-43蛋白症はみられません。

▽プロテアソームによるタンパク質分解に関与するHR23蛋白質や核細胞質間輸送に関与する蛋白質がpoly GA蛋白質により異常局在化していました。HR23AおよびHR23B蛋白質はpoly GA蛋白質陽性封入体中に同時に局在化していました。

▽これら蛋白質の異常局在化はユビキチン化された蛋白質の蓄積と、XPC(色素性乾皮症C)蛋白質濃度の減少を伴っており、HR23AおよびHR23B蛋白質の機能不全を示唆するものでした

▽培養神経細胞において、HR23B蛋白質濃度を回復させることにより、poly GA蛋白質の凝集が減弱し、細胞毒性が減弱しました。

▽以上の結果は、核内HR23蛋白質および核細胞質間輸送蛋白質の障害がpoly GA蛋白質による病態に関与することを示唆するものです

(この研究はMayo ClinicのZhangらにより報告され、平成28年3月21日付のNature Neuroscience誌に掲載されました)
引用元


http://www.nature.com/neuro/journal/vaop/ncurrent/full/nn.4272.html
培養細胞において、heat shock factor 1の過剰発現はTDP-43の可溶性を維持する
・3月8日の記事に似たような研究成果を別のグループも報告しています

▽HSP70などの熱ショック蛋白質は、折り畳み異常蛋白質や凝集蛋白質を認識し、それらを正常化する機能を有するといわれており、転写制御因子であるHSF1(heat shock factor 1)により発現が促進します。

▽今回、研究者らは、HSF1を過剰発現させ、ストレス誘発性のTDP-43の可溶性、細胞毒性などの変化に対して、どのような影響を与えるかを調べました。

▽その結果、HSF1発現亢進は、TDP-43陽性封入体を減少させ、HSP70およびHSP90などの発現量を増加させました。

▽HSF1の過剰発現ないし薬物による活性化は、TDP-43の可溶性を維持させ、TDP-43の断片化を減弱させました。このような作用はHSF1を阻害すると消失しました。

▽HSF1の活性化は、TDP-43のC末端断片による細胞毒性からの保護作用をもたらし、その作用はユビキチン・プロテアソームシステム(UPS)の全体的な活性化や自食作用の亢進を伴わないものでした。

▽以上の結果は、HSF1の過剰発現は、自食作用の亢進やUPSの活性化によらず、HSP70などのシャペロン発現を亢進させることにより、TDP-43の細胞毒性から細胞を保護する作用を発揮することを示唆しています。

(この研究は、アメリカ、The University of TexasのLinらにより報告され、平成28年3月20日付のJournal of Neuroscience Research誌に掲載されました)
3次元ポリマー線維を用いて移植した幹細胞由来神経細胞が長期生存を実現
・ALS NEWS TODAYの3月21日付記事からです

▽Rutgers大学の研究者らは、三次元のポリマー線維の支持構造を用いて幹細胞由来の神経細胞を移植することにより、従来の方法よりも38倍も生存期間を延長させることに成功しました

▽この研究成果は最新号のNature Communications誌に掲載されました。幹細胞を単独で移植する場合よりも長期生存が期待でき、ポリマー線維中において移植した神経細胞は軸索伸長し、既に存在する脳内の他の神経細胞とシナプスを形成したとのことです

▽ALSやパーキンソン病などの神経変性疾患において適応可能な技術となることが期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/03/21/3d-scaffolds-boost-survival-of-stem-cell-derived-neurons/
アメリカALS協会が5つの研究に195万ドルを資金供与
ALS NEWS TODAYの3月16日付記事からです

▽アメリカALS協会は、ALS治療法開発などに寄与する5つの研究に対して合計195万ドル以上の資金供与を行うことを公表しました

▽うちわけは、抗miR-155抗体による治療法開発に42万ドル、SOD1変異ALSにおける小胞体ストレス応答をターゲットとした治療法開発に12万ドル、患者および家族を対象とした全ゲノムシークエンスに対して84万ドル、新たなALSモデルマウスの開発に対して47万ドル、V-Smartナノテクノロジーを用いた運動神経へのGDNF運搬による治療法開発に10万ドルなどとなっています

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/03/16/the-als-association-invests-more-than-1-9-million-to-discover-treatments-for-als-2/
新規第2相臨床試験情報(ルナシン レジメン)
▽デューク大学で開始予定の臨床試験情報です。

▽大豆ペプチドであるルナシン含有レジメン(その他ビタミンやクレアチン、コエンツァイムQ10など含む)のALSに対する有効性についての第2相臨床試験が開始予定となっています

▽50名ほどのALS患者を対象にオープン試験で行われ、12ヶ月間治療効果などが検討されます

▽良好な結果が期待されます
引用元
http://www.als.net/als-clinical-trials/261/
ALSモデルマウスデータベース公表
・ALS FORUMの3月17日付記事からです

▽ALSの病態研究においてモデルマウスによる研究は重要な位置を占めています。近年様々な原因遺伝子の変異を導入されたモデルマウスが開発され、その数は増加の一途です。

▽ALS FORUMでは、現在までに開発された26種類のALSモデルマウスの基礎的な臨床的特徴についてのデータベースを公表しました。以下のサイトです
(http://www.alzforum.org/research-models/als)

▽ALSの病態研究と治療法開発に寄与することが期待されます

引用元
http://www.alsresearchforum.org/new-resource-alzforum-als-mouse-model-database/
ALSにおける免疫細胞の重要性
・Neuroscience newsの3月17日付記事からです
・最新号のScience誌に掲載された論文が紹介されていました
・ALSにおいて免疫系細胞をターゲットとした新たな治療法開発につながる可能性があります

▽Cedars-Sinaiの研究者らは、脳内の免疫系細胞がALSの病態進展に直接的な影響を与える可能性を報告しました

▽今回、研究者らは、ALSの原因遺伝子の一つとして知られるC9ORF72遺伝子を除去したモデルマウスを用いて、免疫系細胞について調べました。

▽その結果、モデルマウスはALS類似症状を呈することはありませんでしたが、免疫系に異常をきたしました。C9ORF72遺伝子がないと、免疫細胞内器官であるリソソームが機能しなくなることがわかりました

C9ORF72遺伝子は、脳内免疫系細胞が正常機能を維持するために重要な役割を果たしていることがわかりました。ALSにおいてもC9ORF72遺伝子の過剰伸長による免疫系の機能異常が病態に関与している可能性を示唆するものです。

▽今回の結果は、ALS患者の10%程度を占めるとされるC9ORF72遺伝子変異ALSにおける治療法開発に新たな視点を提供するものです

引用元
http://neurosciencenews.com/als-immune-cells-3875/
ALSに対する抗レトロウイルス治療第1相臨床試験エントリー開始
・アメリカNINDS(国立神経疾患脳卒中研究所)主導の抗レトロウイルス治療薬のALSに対する有効性についての第1相臨床試験が開始され、招待された患者のみですが、エントリーが3月9日より開始になっています。
(抗レトロウイルス治療の可能性についての過去記事はhttp://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-789.htmlなどを御参照ください)
・全く新しい視点からの治療戦略であり、良好な結果が期待されます。
引用元
http://www.als.net/als-clinical-trials/227/
Tirasemtivの第2b相臨床試験結果
・Tirasemtivは現在第3相臨床試験が開始され、患者募集中ですが、その前段階の既に終了した第2b相臨床試験の結果が査読付き論文に掲載されました(tirasemtivについての過去記事については、検索いただくか、http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-721.htmlなどを御参照ください)

▽tirasemtivの第2b相臨床試験は、多国籍多施設で行われ、無作為割付プラセボ対照二重盲検比較試験で行われました。試験期間は12週間以上で最大250mgを1日2回投与されました

▽全体で711名がエントリーされ、最初1週間の試験的投与で脱落しなかった596名が臨床試験に進みました。ALSFRS-Rの変化量は12週間でtirasemtiv群平均-2.98点、プラセボ群-2.4点と有意差を認めませんでした

▽しかしながら静的肺活量(SVC)および筋力については、tirasemtiv群で有意な進行遅延効果を認めました(それぞれp=0.0006およびp=0.0158)

▽脱落はtirasemtiv群でより多くみられました。今回の臨床試験では主尺度のALSFRS-Rにおいてはtirasemtivの有意な効果を認めませんでしたが、静的肺活量および筋力については、有効性を認め、さらに長期間での臨床試験実施が必要です

(この報告は、アメリカ、Barrow Neurological InstituteおよびCytokinetics社のShefnerらにより報告され、平成28年3月16日付Amyotrophic lateral sclerosis & frontotemporal degeneration誌に掲載されました)
UMassでのALS研究サポートのため6名のランナーがボストンマラソンに出場
・ALS NEWS TODAYの3月15日付記事からです

・ALS患者である妻とともに自身5回目のボストンマラソンに出場したChris Benyo氏の記事です
・Chris氏は既にHoyt Foundation社製の特製車椅子を用いて、妻と共に7度のマラソンに出場しており、今回が8回目とのことです
・Chris氏の妻は、ALS診断6年目であり、結婚後6ヶ月目での診断でした。
・Chris氏らの他にもALS患者家族らも出場しており、彼らのチームは、ボストンマラソンの出場に際してCellucci Fundの後援を得ています。
・今回の出場に際して得られた資金は、UMS(UMass Medical School)におけるALS研究資金にあてられるとのことです。既に22万ドル以上の資金が集まっているとのことです
・彼らはALS啓発のため、今年中にさらに2つのレースに出場する予定とのことです

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/03/15/runners-support-umass-als-cellucci-fund-at-boston-marathon/
変異FUS蛋白質は毒性獲得により細胞自律性の運動神経細胞死をもたらす
▽FUS蛋白質はALSおよび前頭側頭型認知症の病態に関与するRNA結合蛋白質です。細胞質におけるFUS含有凝集体はしばしば、核内からのFUS蛋白質喪失を伴います

▽核内での変異FUS蛋白質の機能喪失が神経変性につながるのか、それとも細胞質で毒性を獲得することが神経変性につながるのか、あるいはその両方か、良くわかっていませんでした

▽今回、研究者らはこの疑問に答えるため、細胞質への異常局在化FUS蛋白質を発現するノックインマウスと、FUS蛋白質を完全にノックアウトしたモデルマウスを作成しました。

▽どちらのモデルマウスも呼吸機能不全、体重減少、mRNA発現パターンの変化などの病態を呈し、核内からのFUS蛋白質の喪失が、病的状態につながることを示唆する結果でした

▽しかしながら、FUSノックインマウスにおいては、生下時より運動神経細胞数の減少を示し、運動神経細胞のアポトーシスが亢進していることを示唆していました。この特徴はFUSノックアウトマウスにおいては見られませんでした。

▽以上の結果は、細胞質におけるFUS蛋白質の異常局在化は、核内での機能喪失による病態発現につながるのみならず、毒性の獲得により運動神経細胞死を誘発することを示唆するものです。

(この研究は、フランス、Université de Strasbourg のScekic-Zahirovicらにより報告され、平成28年3月7日付のEMBO Journalに掲載されました)
引用元
http://emboj.embopress.org/content/early/2016/03/07/embj.201592559.long
新たな蛋白質の凝集体がALSの病態からの細胞保護に関与しているかもしれない
・ScienceDailyの3月10日付記事からです

▽今回、The Scripps Research Institute(TSRI)の研究者らが、ALSなどの神経変性疾患において細胞保護的に作用する蛋白質の凝集塊を形成することを報告しました

▽研究者らは、特定の酵素が異常蛋白質に目印をつけて、細胞毒性の減少させるため、蛋白質の凝集塊に誘導する役割を有することを報告しました

▽ALSの治療法探索のため、異常蛋白質が細胞毒性を発揮する前に、それらを分解する細胞内機構について研究されてきました。これまでにListerin(Ltn1)と呼ばれる酵素の変異がALS類似症状を動物モデルにおいて引き起こすことが報告されています。

▽Ltn1の機能について、新たな蛋白質を生成する細胞内器官であるリボソームに蓄積する、異常蛋白質を同定する役割を有することがわかりました

▽Ltn1は異常蛋白質に目印をつける一方で、全ての異常蛋白質を捕捉することはできないようでした。そのため、リボソームの蛋白質生成の質の保持のためにその他の酵素も関与していることが考えられました。

▽今回、研究者らは、酵母を用いた研究により、異常蛋白質に目印をつける新たな酵素を同定しました。その酵素はRqc2と呼ばれ、Ltn1が捕捉できなかった異常蛋白質を捕捉します。目印をつけられた異常蛋白質は凝集塊を形成します。

▽この凝集塊の形成により、異常蛋白質が正常蛋白質の機能を阻害することがなくなり、また細胞により分解されやすくなると考えられています

▽以上の知見は、これら蛋白質の遺伝子変異を有するモデルマウスがALS類似症状を呈する原因を説明しうるものです。同時に、これら酵素の研究により、ALSの治療法開発の糸口がみつかるかもしれません

引用元
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/03/160310082604.htm
運動とALSリスクについて
▽これまでのALSと運動との関連についての疫学的研究は、後ろ向きの症例対照研究しかなく、前向きのコホート研究はありませんでした。今回、研究者らは運動量とALS関連死リスクとの関連性を前向きに観察しました。

▽ヨーロッパの合計47万名以上の参加者が解析対象となりました。うち219名がALS関連死として同定されました。

▽運動量はCambridge Physical Activity Index (CPAI)を用いて定量化されました。その結果、運動量の多い群は、ALS関連死が33%低下(p=0.042)することが明らかになりました。この結果は年齢や性別、喫煙、教育、体格などの交絡因子の影響を受けませんでした。

▽過去の症例対照研究で報告された、運動量の増加とALS発症リスクの増加の関連性は、今回の前向きコホート研究からは支持されず、むしろやや減少する結果となりました。

引用元
http://http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10654-016-0119-9
熱ショック蛋白質B8の転写誘導は運動神経病における折り畳み異常蛋白質の排除を促進する
▽神経変性疾患では、しばしば折り畳み異常蛋白質の封入体が病態に関与しています。神経変性疾患のマウスモデルおよびヒトの脳と筋肉組織においては、シャペロンである熱ショック蛋白質B8(HSPB8)が発現亢進していることがわかっています

▽HSPB8はいくつかの折り畳み異常蛋白質の排泄促進作用を有します。今回研究者らはHSPB8が、大半の孤発性ALSにおいて、異常局在化した折り畳み異常TDP-43と25KDの切断断片の凝集を、阻害する作用を有することをみいだしました。

▽HSPB8は、BAG3およびHSP70/HSC70-CHIP複合体と協働し、折り畳み異常蛋白質の自食作用による排除を促進します。

▽研究者らは、治療法探求のため、HPSB8の発現を誘導しうる物質の探索を行いました。その結果、HSPB8の発現を亢進させる2種類の物質が同定されました。colchicineとdocorubicinです。

▽colchicineおよびdocorubicinは、いずれは自食の中心的な制御因子であるTFEBと、オートファゴソーム構成物質であるLC3などの発現を増加させ、折り畳み異常TDP-43およびTDP-25の蓄積を阻害しました

▽HSPB8誘導作用を有し、より安全性の高いcolchicineおよびdocorubicin類似化合物が、将来的に運動神経病の治療薬候補となりうる可能性があります

(この研究は、イタリア、Mondino National Neurological InstituteのCrippaらにより報告され、平成28年3月10日付Scientific Reports誌に掲載されました)
ハンドフリーなPC使用のためのOptikeyソフトウェア
・ALS NEWS TODAYの3月8日付記事からです

▽Optikeyは無料のスクリーンキーボードソフトウェアです。廉価な眼球運動追跡装置を用い、運動神経病の患者がPCを通じて会話、入力、マウスコントロールができるように設計されています

▽最新版が以下のページからダウンロード可能とのことです。Windows Vista以降のWindows PCで使用可能です。
https://github.com/OptiKey/OptiKey/releases/download/v2.3.0/OptiKeySetup-2.3.0.exe.

▽また、視線追跡装置としては、Tobii EyeX trackerや、Eye Tribe trackerなどが推奨されています。
http://www.tobii.com/xperience/products/

▽Tobii EyeX Trackerはネット上では値段が119ユーロとなっています。

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/03/08/article-for-als/
4-アミノピリジンはALS由来iPS細胞の運動神経細胞の寡活動性を改善する
▽研究者らは、FUSないしSOD1変異を有するALS患者由来のiPS細胞を用い、運動神経細胞に分化させて病態メカニズムを調べました

▽患者由来運動神経細胞は、健常細胞に比較して興奮性に乏しい性質を示しました。このことはNa/K比の低下に起因しており、FUS変異由来細胞では、カリウム受容体の活性亢進が、SOD1変異由来細胞ではナトリウム受容体の活性減弱が、この状態に寄与していました

▽ALS患者由来の運動神経細胞では、小胞体ストレスの増加と、caspase活性化の亢進がみられました。この細胞をFDAに認可されている薬剤である4-アミノピリジンで処理したところ、正常なイオンバランスを回復し、活動性の改善、小胞体ストレスの減弱などが観察されました

▽以上の結果は、ALSの病態について新たな視点を提供し、運動神経細胞を保護する、新規治療法の開発につながる可能性のあるものです。

(この研究は、ドイツ、Hannover Medical SchoolのNaujockらにより報告され、平成28年3月6日付のStem Cells誌に掲載されました)
熱ショック反応がTDP-43除去に重要な役割を果たす
▽ユビキチン化された過剰リン酸化TDP-43の細胞質内封入体の存在は、ALSのおよそ95%、前頭側頭型認知症のおよそ60%にみられる病態です。

▽研究者らは、不溶性TDP-43の除去における、熱ショック反応の役割を、モデルマウスやヒトALS患者由来組織などにおいて調べました。

▽熱ショック反応は、ストレス誘発性の細胞保護メカニズムであり、転写因子であるHSF1(heat shock factor 1)により制御されており、HSF1は、損傷を受け折り畳み異常を起こした蛋白質の正常化を促進したり、排除したりするシャペロンの発現を増加させます

▽活性型HSF1の発現を増加させ、熱ショック反応を亢進させたところ、不溶性の過剰リン酸化TDP-43が劇的に減少しました。また機能阻害型変異を有するHSF1の発現は、TDP-43凝集増加と過剰リン酸化の亢進をもたらしました

▽様々な熱ショック蛋白質の発現を亢進させて、TDP-43排泄に関与するシャペロンを調べたところ、DNAJB2a(HSJ1aとしても知られる)が、TDP-43の凝集阻害作用を有する可能性のあるシャペロンであることがわかりました。

▽DNAJB2aはHSP70との相互作用部位を有し、HSP70の作用蛋白質の除去に関わると考えられます。TDP-43は、DNAJB2aにより可溶性の状態を維持し、DNAJB2aは、細胞内TDP-43濃度を一定に保つ役割を有することを示唆する結果がえられました

▽ALSモデルマウスの神経細胞においては、HSF1と熱ショック蛋白質量が有意に減少していることがわかりました。このことは、ALSにおいてはHSF1を介するDNAJB2a/HSP70熱ショック反応経路が障害されていることを示唆するものです

▽以上の結果は、不溶性TDP-43の病的な凝集は、HSF1/HSP経路の活性化により減少させることができる可能性を示唆するものであり、今後の治療法開発において新たな視点を提供するものです。

(この研究はイギリス、King's College LondonのChenらにより報告され、平成28年3月1日付のBrain誌に掲載されました)
引用元
http://brain.oxfordjournals.org/content/early/2016/02/29/brain.aww028.long
p63は筋萎縮関連遺伝子を通じてALSの病態進展に関与する
・ALS NEWS TODAYの3月3日付記事からです

▽今回、研究者らは癌抑制遺伝子であるp53ファミリーに属する蛋白質であるp63が、ALSにおいて増加しており、筋細胞の萎縮に関連する遺伝子発現を通じて、病態進行に関与していることを明らかにしました

▽ALSにおける筋変性のメカニズムはよくわかっていませんでした。今回、研究者らはALS患者とモデルマウスの筋生検組織を用いて、トランスクリプトーム解析を行い、主要な癌抑制遺伝子であるp53遺伝子の発現亢進をみいだしました

▽p53ファミリーに属する蛋白質の発現量と、ALSにおける筋萎縮の程度とが相関していることがわかりました。特に、p63蛋白質の発現量が萎縮した筋線維中において増加していることがわかりました

▽p63蛋白質の増加は、Trim63遺伝子の発現増加をもたらし、その結果筋萎縮を促進することがわかりました。

▽以上の結果は、今後ALSにおける筋組織の脆弱性を改善するための治療法開発に寄与する可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/03/03/transcriptional-activator-tap63-is-upregulated-in-muscular-atrophy-during-als-and-induces-the-pro-atrophic-ubiquitin-ligase-trim63/
Biohaven社のALS治療薬候補BHV-0223がFDAより良好な評価

・ALS NEWS TODAYの3月4日付記事からです

▽Portage Biotech社とBiohaven Pharmaceuticals社が、ALS治療薬候補のBHV-0223の新薬承認申請について良好な評価を得たことを明らかにしました

▽BHV-0223はグルタミン酸系作動薬のリルゾールの口腔内崩壊錠です。

▽リルゾールよりも低用量で良好な有効性を得ることを目指しており、生体利用効率が向上することが期待されています。

▽早期承認に向けて、申請手続きを進めたいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/03/04/biohaven-announces-positive-feedback-on-their-pind-and-expedited-development-path-for-bhv-0223/
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