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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
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Neuralstem社の幹細胞治療の報告
・1月29日付ALS NEWS TODAYの記事からです。新たな結果についての報告ではなく。既に終了した第1相および第2相臨床試験の結果を組み合わせた報告のようです

▽Neuralstem社の幹細胞であるNSI-566のALSに対する臨床試験についての報告が最近行われたワシントンでの会議にて行われました。

▽現在までに行われた臨床試験で、合計40名の患者に移植が行われました。移植された幹細胞数は患者一人当たり120万から240万であり、安全性は確認されています

▽第2相臨床試験では半数以上の患者において、過去に行われた臨床試験より採取された自然経過のデータと比較して、機能的尺度であるALSFRSの変化の減少を認めました。

▽一方、エントリー時点でより握力が小さく、病態の進行した患者については、全体として機能的尺度の変化の減少効果はみられませんでした。

▽Neuralstem社は次の臨床試験の実施を予定していますが、その際にはエントリー患者をより筋力の保持された患者に限り、エントリーする予定としています。

引用元
http://alsnewstoday.com/2016/01/29/clinical-data-from-nsi-566-als-trials-presented-by-neuralstem/
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新たな治療法がALSモデルマウスの病態進行を停止させる
・オレゴン州立大学のNews Releaseからです

▽オレゴン州立大学の研究者らは、ALSモデルマウスの病態進行を約2年間停止させ、標準的な寿命に近づけることに成功しました

▽今回の発見は、モデルマウスを用いたALS治療法探索の中で、最も有力な治療法の1つということです。ヒトにおいても同様の有効性が期待できるかどうかはわかりませんが、臨床試験に向けて動き出しています。

▽今回用いられた治療薬はCopper-ATSMと呼ばれ、損傷をうけたミトコンドリアに銅を運搬することを補助する機能を有します。

▽この化合物は毒性が低く、血液脳関門を容易に通過します。既にヒトに対してより低用量で低酸素細胞イメージング製剤として使用されています。

▽注意が必要なのは、単に銅を含むサプリメントを多量に摂取すればよいということではないということです。銅を含むサプリメントの過剰摂取は有毒作用を有し、ALS患者に対してこのようなサプリメントを用いることは無意味なことです。

▽このCopper-ATSMをSOD1変異モデルマウスに投与することにより、通常は2週間以内で致死的となるものが、650日以上生存しており、これまでの既存の薬物での最高記録よりも500日以上長期に生存可能となったとのことです。

▽研究者らは、この治療法が家族性ALSのみならず孤発性ALSに対しても有効であることを期待しています。

・今後の臨床試験での有効性の早期検証が期待されます

引用元
http://oregonstate.edu/ua/ncs/archives/2016/jan/new-therapy-halts-progression-lou-gehrig%E2%80%99s-disease-mice
ストレス顆粒形成にはPur-alphaが必要
・ALS FORUMの1月29日付記事からです

▽Pur-alpha蛋白質はDNAおよびRNA結合蛋白質であり、近年C9ORF72遺伝子の過剰伸長部位に結合し、ALSの病態に関与する可能性が示唆されている蛋白質です

▽今回研究者らは、Pur-alphaはFUS変異ALSの病態においても重要な役割を果たすことを明らかにしました

▽FUS変異ALS患者より採取したリンパ芽球において、Pur-alphaは、ストレス負荷後の細胞質のストレス顆粒において、変異FUS蛋白質と同時に局在化していることがわかりました。

▽Pur-alphaは、Pur-alpha発現を抑制するとストレス顆粒形成が阻害されたことから、ストレス顆粒形成に必要な蛋白質と考えられます。

▽運動神経細胞において、Pur-alphaを過剰発現させると、変異FUS蛋白質の核内局在化が回復し、FUS毒性が緩和されました。

▽Pur-alphaは今後、ALS治療薬開発におけるターゲットとなりうる可能性があります

引用元
http://www.researchals.org/page/news/15251
スタチンはALSモデルマウスの病態悪化に関与する
▽スタチン(HMG-CoA reductase阻害薬)とHFE遺伝子の多型(H63D)とはALSの病態に影響を与える可能性が指摘されています。HFE遺伝子の特定の遺伝子型を有する場合、スタチン使用がALSの病態悪化をもたらす可能性をモデルマウスで検証しました。

Hfe遺伝子(H67D)のヘテロ接合体(ヒトでのH63D HFEと相同)を有するSOD1変異ALSモデルマウスに対して、シムバスタチンとコエンツアイムQ10が別々にもしくは同時に投与されました。

▽その結果、H67D Hfeモデルマウスはシムバスタチン投与により病態進行の増悪を認めました。コエンツアイムQ10の同時投与は病態進行増悪作用を緩和させる効果はありませんでした。

▽以上の結果は、特定のHfe遺伝子型を有するALSにおいては、スタチン投与は病態進行増悪をもたらす可能性を示唆するものです。ヒトにおいては30%においてH63D HFE多型を有すると考えられており、今後ヒトでの検証が必要です。

・訳注:ヒトにおいて、ALSとスタチンの関連性は2013年に出版されたこちら(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23134508)のメタ解析論文によると、スタチン使用とALSの病態悪化や発症との関連性については明らかではないとの結論になっています。
ただし科学的根拠には乏しく、今後さらにHFE遺伝子多型も含めた検証が必要と思われます。

引用元
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mus.25048/abstract
2020年までに治療法発見を目指して
・1月26日付ALS NEWS TODAYの記事からです

▽アメリカALS協会とALS Finding a Cureは共同で、ALSの世界的な専門家を集め、4年以内にALSの新たな治療法を発見することを目指して、ALS ONEと呼ばれるプロジェクトを立ち上げました。

▽このプロジェクトにはALS TDIやマサチューセッツ総合病院、UMass Medical Schoolなど世界的な研究機関が参加することになっています。

▽これら研究機関の研究者らが、協働し、アイデアと責任を共有することにより、不要な競合を避けて、ALS研究の効率的な推進を図ることになります。

▽同時にALS ONEは、ALS当事者に臨床試験へのアクセスを容易にするため、教育や移動手段を提供することも目指しています。

引用元
http://alsnewstoday.com/2016/01/26/worlds-leading-als-experts-unite-to-form-als-one-with-goal-of-finding-treatment-for-als-within-four-years/
ALSにおける多因子治療による神経保護の可能性
▽ALSにおいては様々な要因が運動神経細胞死に関与していると考えられており、治療法開発を困難にしています。ALSの病態には過剰興奮毒性、ミトコンドリア機能異常、酸化的ストレス、軸索輸送の障害、プロテアソームの障害、シナプス機能不全、グリア細胞の関与、折り畳み異常蛋白質の排泄障害などが関与していると考えられています。

▽研究者らは、計算論的な手法(TPMS technology)により、これら多因子に対して治療的に作用する多剤併用療法について探索しました。

▽その結果、新たに2つの薬剤の組み合わせについて、神経保護作用を有する可能性があることがわかりました。AliretinoinとPranlukastの組み合わせ、およびAliretinoinとMefloquineの組み合わせです。

▽これらの薬剤が試験管内での細胞モデルにおいて保護作用があることが確認されました。これらの薬剤の組み合わせがALSに対して治療的に作用する可能性があり、今後のさらなる検証が期待されます。

(この研究はスペイン、Universitat Autònoma de BarcelonaのHerrando-Grabulosaらにより報告され、平成28年1月25日付のPLoS One誌に掲載されました)
引用元
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0147626
IL-10はSOD1変異ALSモデルマウスにおいて、発症前からミクログリアの機能異常を是正する
▽ALSにおいては、反応性のミクログリオーシスが観察されます。しかしALSの病態進展ないし発症にミクログリアがどのように関与するかはよくわかっていません。

▽今回、研究者らは発症前のSOD1変異ALSモデルマウスにおいて、ミクログリアの機能的変化が存在することをみいだしました。

▽SOD1変異モデルマウスにおける発症前のミクログリアでは、リポ多糖(LPS)投与によるTLR2を介した免疫応答の減弱が観察されました。またこのような応答の変化は、抗炎症性サイトカインであるIL-10の発現量が16倍であり、さらにリポ多糖投与によるIL-10の増加が4.5倍に及ぶことに関連すると考えられました。

▽抗IL-10受容体抗体の投与は、ミクログリア活性化マーカーの有意な増加をもたらし、発症促進作用を認めました。一方で、ウイルスベクターによりIL-10を過剰発現させると、有意な発症遅延と生存期間の延長効果が確認されました

▽以上の結果は、発症前からのミクログリアにおけるIL-10の発現量の増加は、ミクログリアによる適応的な免疫抑制応答であり、非神経細胞系における発症時期規定因子となっている可能性を示唆するものです。

▽さらには、ミクログリアにおいてIL-10発現量を増加させることが、治療法として有望な可能性があります

(この研究はカナダ、Laval UniversityのGravelらにより報告され、平成28年1月20日付のJournal of Neuroscience誌に掲載されました)
引用元
http://www.jneurosci.org/content/36/3/1031.long
Gladstone社とBiogen社が新たなALS治療薬開発のため連携
・ALS FORUMの1月22日付記事からです

▽Biogen社とGladstone社が新規ALS治療薬開発のため連携することが公表されました

▽Gladstone社は培養細胞の縦断的経過を自動的に観察可能なシステムを開発しており、これにより新規治療法のスクリーニングを行い、哺乳類細胞において運動神経細胞死を防ぎうる新たな物質を探索する予定です

▽Biogen社は既に動物モデルでの遺伝子的スクリーニングにより潜在的な治療ターゲットを多く同定しており、両社の連携により新規治療薬の発見が期待されます。

引用元
http://www.researchals.org/page/news/drug_news/15244
蛋白質機能の新たな発見が治療法開発につながるかもしれない
・先日の京都大学からの報告が1月21日付ALS NEWS TODAYにて記事になっていました。元記事が削除されていたので翻訳しておきます

▽京都大学の研究者らは、癌抑制に関与する蛋白質であるVHL蛋白質と、低酸素状態から細胞を保護する機能を有するculin2蛋白質がALSの病態進展に関与していることをScientific Reports誌に報告しました

▽神経を支持する細胞であるオリゴデンドロサイトの機能異常がALSの病態に関与していることがこれまでに報告されてきました。またもともと凝集しやすい性質を有するTDP-43の、凝集異常がALSの病態に主要な役割を果たしていると考えられています

▽しかしながら、オリゴデンドロサイトの細胞質に折り畳み異常TDP-43蛋白質が凝集するメカニズムはよくわかっていませんでした

▽今回、研究者らは、VHL(von Hippel Lindau)蛋白質が折り畳み異常を来したTDP-43に強く結合することをみいだしました。VHLはculin2蛋白質と複合体を形成します。culin2は、蛋白質の分解に関与していることがわかっています。そのため、culin2の結合が折り畳み異常TDP-43の分解を促進すると考えられます。

▽VHL蛋白質がculin2に比較して過剰となった場合に、VHLとTDP-43の複合体は細胞質で凝集し、神経細胞死が促進することがわかりました。

▽VHLが細胞質に過剰となり、VHLとculin2のバランスが崩れた場合に、オリゴデンドロサイトの機能異常につながると考えられます。そのため、VHLとculin2の量的バランスが維持される仕組みが判明すれば、治療法開発に大きく寄与することが期待されます。

引用元
http://alsnewstoday.com/2016/01/21/revealing-the-intra-cellular-mechanism-underlying-als/
実施予定期間を終了した臨床試験
・ALS Associationのサイトより、既に実施予定期間を終了し、結果が公表されたもの、あるいはこれから公表される可能性のあるものです

・ALSに対するタウロデオキシコール酸の第2相臨床試験
・ALSに対するPhenylbutyrateの第2相臨床試験
・MCI-186(エダラボン)の第3相臨床試験
・セフトリアキソンの第3相臨床試験
・高用量クレアチン+タモキシフェンの第2相臨床試験
・ALSに対するKNS-760704の第2相臨床試験
・ISIS333611の家族性ALSに対する第1相臨床試験
・CK-2017357(tirasemtiv)の第2相臨床試験
・SB-509の第2相臨床試験
・Dexpramipexoleの第3相臨床試験
・tretinoinとpioglitazoneの第2a相臨床試験
・NP001の第2相臨床試験
・GSK1223249(抗Nogo-A抗体)の第1/2相臨床試験
・リチウム+リルゾールの第3相臨床試験
・arimoclomolの第2相臨床試験
・ケトン食療法の第3相臨床試験
・亜鉛療法の第1相臨床試験
・自己骨髄由来間葉系幹細胞の第1/2相臨床試験(brainstorm社)
・ozanezumabの第2相臨床試験
・孤発性ALSに対するメキシレチンの第2相臨床試験
・GM604の第2a相臨床試験

・ここ最近の4回にわけて臨床試験関連情報を掲載しましたが、初めて目にした薬品名もありました。今後まとめる際にちょっと調べてみます。
シスチンの豊富なホエイ(Whey)サプリメントはALSモデルマウスの発症遅延効果を有する
▽内因性抗酸化物質であるグルタチオン除去は神経変性疾患の増悪に関与しています。そのため、グルタチオン濃度を増加させることはALSに対して治療的であると考えられています

▽研究者らは、今回、ホエイ蛋白質のサプリメントであるImmunocalのALSモデルマウスに対する効果を検証しました

▽Immunocalはグルタチオン前駆体であるシスチンが豊富であり、グルタチオン濃度を増加させることが期待されています。

▽Immunocalを投与されたモデルマウスは、有意な発症遅延を示し、握力低下の遅延などをもたらし、脊髄中のグルタチオン濃度の減少を防ぎました

▽しかし、Immunocalは生存期間延長効果は示しませんでした。おそらくは、脊髄中のミトコンドリア中のグルタチオン濃度保持には寄与しないことが原因と思われました。

▽Immunocalとリルゾールを同時投与した結果、モデルマウスにおいて発症遅延と生存期間延長効果がみられました。

▽モデルマウスにおいてはImmunocalは軽度の発症遅延効果と筋力低下遅延作用を発揮するものの、単独では生存期間の延長には寄与しないことがわかりました。

(この研究はアメリカ、 University of DenverのRossらにより報告され、平成27年12月12日付のAntioxidants誌に掲載されました)
http://www.mdpi.com/2076-3921/3/4/843
募集終了し進行中の臨床試験
・ALS Associationのサイトより現在募集終了し、進行中もしくは解析中の臨床試験です

・ALSに対する自己間葉系幹細胞移植の第2相臨床試験(アメリカ):BrainStorm社、NurOwnのアメリカでの第2相臨床試験です
・イノシンのALSに対する第1相臨床試験(アメリカ)
・VM202のALSに対する安全性と忍容性に関する第1/2相試験(アメリカ)
・ALSに対するヒト脊髄由来神経幹細胞移植の第1相臨床試験(アメリカ)
・SOD1変異ALSに対するarimoclomolの第2/3相臨床試験(アメリカ)
・自己骨髄由来幹細胞移植の第1相臨床試験(アメリカ)
・rasagilineのALSに対する第2相臨床試験(アメリカ)
・ALSに対する抵抗運動と持久運動(アメリカ):ALSのリハビリとして抵抗運動や持久運動が効果があるのか、有害であるのかについての臨床試験です
・間葉系幹細胞移植の第1相臨床試験(アメリカ)
・ヒト胎児由来神経幹細胞脊髄移植の第1相臨床試験(イタリア)
・Fingolimod経口投与のALSに対する第2a相臨床試験(アメリカ)
・ヒト脊髄由来神経幹細胞移植の第2相臨床試験(アメリカ):Neuralstem社のNSI-566です
・新規免疫抑制療法の第2相臨床試験(アメリカ):NSI-566移植に使用される免疫抑制剤の効果についての第2相臨床試験です
・rasagiline 1mgのALSに対する安全性、有効性、忍容性についての第2相臨床試験(アメリカ)
・自己骨髄間葉系幹細胞移植の第2a相臨床試験(イスラエル):BrainStorm社のNurOwnのイスラエルでの臨床試験です
・ALSに対するActharの第2相臨床試験(アメリカ)
・ALSに対するMasitinibの第2/3相臨床試験(アメリカ)
・ALSの流涎に対するMYOBLOCの第3相臨床試験(アメリカ)

・幹細胞移植についての臨床試験が多く目立ちます。今後これらの臨床試験の結果が話題になるものと思われます
近日募集開始予定の臨床試験
・ALS Associationのサイトより、近日募集開始予定のALS関連の臨床試験です

・BIIB067(ISIS-SOD1Rx)のALSに対する第1相臨床試験(アメリカ):アンチセンスオリゴヌクレオチドによりSOD1発現抑制
・HIV治療薬に準じた抗レトロウイルス治療薬によるALSに対する臨床試験(アメリカ):先日話題になったALSでは内因性ヒトレトロウイルスK(HERV-K)の活性化が起きているのではとの報告による臨床試験です
・リルゾール投与中ALS患者に対するメマンチンの多施設プラセボ対照二重盲検比較試験(アメリカ)
・幹細胞であるQ-Cell(Human Glial Restricted Progenitor Cells:hGRPs)の第1/2a相臨床試験(アメリカ)

・レトロウイルスの話題は当ブログでは平成27年10月1日付の記事(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-789.html)で御紹介しましたが、もう臨床試験が予定されているというのは驚きです。国立研究所が主導の臨床試験ですが、国家レベルでALSに対する迅速な治療法開発の取り組みがなされていることがうかがえます。
次回は既に募集終了し、現在試験中であったり、解析中の試験をまとめてみます
現在募集中の臨床試験
・ALS Associationのサイトより、現在世界中で募集中のALSに対する薬物療法の臨床試験です(これから募集予定のものや募集終了したものは含まれていません)

第3相臨床試験
・ALSに対するTirasemtivの有効性に関する無作為割付二重盲検プラセボ対照比較試験(アメリカ他多国籍)

第2相臨床試験
・RNS60のALSに対する有効性の予備的試験(アメリカ)
・自己間葉系幹細胞のALSに対する有効性の第1/2相臨床試験(スペイン)
・ALSにおける神経筋接合部機能不全に対するピモジドの有効性に関する二重盲検無作為割付試験(カナダ)
・ALSに対するRasagilineの第2相臨床試験(アメリカ)
・低用量インターロイキン2のALSに対する第2相臨床試験(アメリカ)
・TocilizumabのALSに対するプラセボ対照無作為割付比較試験(アメリカ)
・EzogabineのALSの神経興奮性に対する第2相臨床試験(アメリカ)
・IbudilastのALSに対する第2相臨床試験(アメリカ)

募集終了したものを含めるとさらに多いのですが、募集中のものだけでも去年2月8日に記事にしたものとだいぶ様相が異なっています。
後日現在のものをまとめなおしてみます
Scholar Rock社がミオスタチン阻害剤の臨床試験開始へ
・ALS FORUMの1月5日付記事からです

▽ミオスタチンはTGFβスーパーファミリーの一員ですが、主に骨格筋に発現し、筋肉の成長を抑制する制御因子です。ミオスタチンの阻害はALSモデルマウスにおいて筋萎縮を抑制することがしられており、ヒトにおいても有効性が期待できる可能性があります

▽Scholar Rock社は、ミオスタチンやその他の成長因子を制御する薬物の開発を行っています。同社はSRK-015と呼ばれるモノクローナル抗体であるミオスタチン阻害剤を開発し、来年にも臨床試験を開始したいとしています。

引用元
http://www.researchals.org/page/news/drug_news/15213
TDP-43のC末端断片のRNAとの相互作用は細胞毒性を減弱させる
・北海道大学の研究グループからの報告です

▽TDP-43はALSにおいて細胞内封入体を形成することがしられています。細胞内封入体の局在化と神経毒性の関係は良くわかっていません。

▽今回研究者らは、TDP-43とそのC末端断片を蛍光標識し、蛍光画像技術を用いて定量解析などを行いました。その結果、TDP-43のC末端断片である35kDaのTDP35は、ユビキチン陰性の細胞質内封入体を形成することがわかりました。

▽TDP35は細胞質において毒性の低いユビキチン陰性封入体を形成します。一方で、TDP-43のC末端断片の異なる形態であるTDP25は、ユビキチン陽性で毒性の高い封入体を形成することがわかりました

▽TDP25とTDP-43の共凝集は、TDP-25に結合するRNAが消失すると開始することがわかりました。さらにTDP-25の核内への局在化は神経細胞死を減弱させました。

▽以上の結果は、ALSに対する治療法開発のため、折り畳み異常と凝集しやすい性質を有するTDP-43が細胞毒性を発揮するメカニズムを、さらに詳細に明らかにすることの必要性を示唆するものです。

(この研究は北海道大学のKitamuraらにより報告され、平成28年1月13日付のScientific Reports誌に掲載されました)
引用元
http://www.nature.com/articles/srep19230
ALSでは脊髄の特定の受容体の反応性が高まる
・ALS NEWS TODAYの1月13日付記事です

▽ALSの病態には多彩な経路が関与していると考えられています。ピッツバーグ大学の研究者らは、ALS患者においては脊髄においてRAGE(receptor for advcanced glycation end products)と呼ばれる受容体とそのリガンド(受容体に結合する物質)が増加していることをみいだしました

▽RAGEは中枢神経に存在し、AGEs(advanced glycation end products)やS100/calgranulinファミリー、HMGB1(high mobility group box-1)蛋白質などが結合すると、有害作用を発揮します

▽動物実験では、RAGEを薬理学的に阻害することにより、神経変性が減弱することがしられています。今回研究者らはヒトALS患者と健常対照群とを比較し、脊髄中でのRAGE発現量を調べました

▽その結果、患者脊髄中ではRAGE発現量増加と、RAGEのリガンドであるS100BやHMGB1などの増加が観察されました。神経細胞やミクログリアなどの炎症細胞におけるにおけるRAGEの活性化が、活性酸素や炎症性サイトカインの増加をもたらす可能性があり、その結果、折り畳み異常蛋白質の増加やミトコンドリア機能異常をもたらし、運動神経細胞死につながりうることが考えられます。

▽RAGEは将来的に治療対象として有望な可能性があります

引用元
http://alsnewstoday.com/2016/01/13/als-patients-show-an-increased-rage-response/
CalpastatinはALSモデルマウスの生存期間を延長させる
▽calpainはALSにおいて異常に活性化しており、その他の神経変性疾患の病態に関与していることが知られています。研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスにおいて、神経特異的にcalpastatin(CAST)の発現を亢進させることにより、calpainを抑制し、治療的効果を検討しました。

▽calpastatinはcalpainの内因性の選択的阻害作用を有します。その結果、CASTの過剰発現はcalpainの活性化を抑制し、細胞骨格蛋白質の異常な損傷を抑制し、運動神経軸索損傷を抑制しました。

▽またcalpastatinの過剰発現は、発症遅延効果を有し、生存期間延長効果があることが確認されました。またSOD1蛋白質の重合体形成を抑制し、神経毒性を有するtauなどの蛋白質産生を抑制しました。

▽以上の結果はCASTによるcalpainの抑制が、神経保護作用を有し、ALSにおいて治療的に有用な可能性があることを示唆しています。

(この研究は、アメリカ、NYU School of MedicineのRaoらにより報告され、平成28年1月12日付のJournal of Neurochemistry誌に掲載されました)
引用元
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jnc.13536/abstract;jsessionid=35C36C8C44DE0D6F587100FE22DCBE0D.f04t02
ALS原因分解タンパク質発見 京大
・かなくん さんより御提供いただいた話題です

・京都大学の研究グループより、折り畳み異常を起こしたTDP-43の断片化と排泄に関与する蛋白質の発見のニュースです

元記事
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/160111_1.html

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/documents/160111_1/01.pdf

・新たな治療法開発につながることが期待されます

・かなくんさん、ありがとうございました。
Brainstorm社 Press Release
・1月11日付BrainStorm社Press Releaseからです

・2報あり、1つ目はイスラエルでNurOwn細胞の第2相臨床試験が開始となるとのニュースで、もう1つはNurOwn細胞の第1相および第2a相臨床試験の結果が論文として公表されたとのニュースです。

▽BrainStorm社はイスラエルで行われるNurOwn細胞の3番目の臨床試験である第2相臨床試験の開始をアナウンスしました

▽この臨床試験は第3相臨床試験の実施に向けて、24名のALS患者を対象として、異なる用量を用いて安全性と有効性を確認する目的で行われます。

▽このNurOwn細胞については、アメリカで現在第2相臨床試験が実施中であり、先日最後の患者への移植が終了したことがアナウンスされています。こちらの試験については無作為割付の二重盲検プラセボ対照試験であり、質の高い結果が期待できます。

・イスラエルで行われた第1相および第2a相臨床試験の結果が、JAMA Neurology誌に公表されました。結果の内容自体目新しいものはありませんが、査読付論文に公表されたことは意義のあることと思われます。

・以下既報の結果となりますが、Press Releaseで公表された結果の概略です。

▽第1相臨床試験と第2a相臨床試験で合計26名の患者が治療されました。事後解析結果において、NurOwn細胞の髄腔内投与もしくは髄腔内投与+筋注を受けた患者群(筋注のみを受けた患者を除外)において、治療前と治療後の経過を比較したところ、努力性肺活量については、治療前の-5.1%/月から、治療後6ヶ月間の平均の-1.2%/月に統計的に有意な進行遅延効果が観察されました。

▽またALSFRS-Rについては、治療前の平均-1.2点/月から、治療後の平均-0.6点/月に改善しましたが、統計的有意差はありませんでした(Press Release中の数値は誤植と思われます。こちらの数字はBrainstorm社がアメリカ神経学会年会で公表したポスターから引用したものです)

▽これら事後解析の対象となった18名の患者について、14名(78%)はALSFRS-RもしくはFVCの変化量が治療前と比較して25%以上改善したことから、治療反応群とみなされました。さらに6ヶ月間の経過観察では、87%が治療反応群となりました。

▽6ヶ月経過時点において、80%の患者がALSFRS-RもしくはFVCの変化量において、治療前と比較して35%以上の改善度を示し、67%の患者は50%以上の改善度を示しました

引用元
http://www.brainstorm-cell.com/index.php/news-events/367-january-11-2016
http://www.brainstorm-cell.com/index.php/news-events/368-january-11-2016-a
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