▽Neuralstem社は、アメリカ神経学会年会において、9ヶ月間の第2相臨床試験と第1相および第2相臨床試験を統合した結果について報告しました
▽第2相臨床試験はオープン試験であり、15名の歩行可能なALS患者が対象となりました。15名は、移植する用量の異なる5群に分けられ、頸髄領域の脊髄内に、200万個から800万個の幹細胞が移植され、最後の1群3名については腰髄領域にも800万個の幹細胞が移植されました
▽この第2相臨床試験では、プラセボ群は設定されませんでした。第1相および第2相臨床試験を統合した結果については、第1相臨床試験参加者15名中9名と第2相臨床試験参加者15名全員の9が月時点でのデータが使用されました。
▽臨床試験の結果は、ProActデータベースに登録された、ALS患者の自然経過のデータと比較されました。その結果、ALSFRS-R得点の変化については、第2相臨床試験参加者の73%、第1相および第2相臨床試験参加者の79%が、9ヶ月時点での自然経過群の得点分布の95%信頼区間の上限値よりも高い範囲に存在していました。
▽握力についても、9ヶ月時点で第2相臨床試験参加者の60%、第1相、第2相臨床試験参加者については67%が、95%信頼区間の上限値よりも良好な範囲に存在していました
▽最も多く見られた副作用は、術後の疼痛であり、外科的手技に伴い1名の重大な副作用がみられました。その他の症例では、安全に施行することができました
・NSI-566の移植は、全身麻酔下で、椎弓切除術を行う侵襲性の強いものです。また他者由来の幹細胞であるため、移植後に免疫抑制剤の使用が必要となります。今回も解析法を工夫した上での結果の公表であり、現段階では確実な有効性を支持するデータはありませんが、今後の展開が期待されます。
引用元
http://investor.neuralstem.com/index.php?s=43&item=211
▽今回Neuron誌に掲載された報告によると、マサチューセッツ医科大学の研究グループが、C9ORF72遺伝子変異ALSに関連した病態について新たな知見をみいだしました。
▽ALS全体の5-10%を占めるとされている家族性ALSの中でC9ORF72遺伝子変異が40%を占めるといわれています。C9ORF72遺伝子変異に起因した神経細胞死の病態機構として、2つの機序が考えられています。1つ目は核内におけるRNAの蓄積、2つ目は不溶性の2アミノ酸繰り返し配列を有する蛋白質の凝集です。
▽今回、研究者らはRNAの蓄積は神経細胞死に直接的な影響はなく、ジペプチド繰り返し配列を有する蛋白質が、神経細胞死に影響を与えることをみいだしました。同時に温度依存性に毒性の増強と、異常蛋白質産生量の増加がみられることが観察されました。
▽病態機序が解明されることで、将来的に治療法の開発につながることが期待されます
引用元
http://alsnewstoday.com/2015/09/29/production-abnormal-protein-form-linked-pathogenesis-c9orf72-als-mutation/
▽アメリカALS協会は、ALS患者から、血漿や髄液サンプルを収集し、治療法開発に寄与するため、今後38ヶ月間で140万ドル(約1億7千万円)の資金供与を行うことを公表しました。
▽収集されたサンプルは、コロンビア大学やカルフォルニア大学などの共同研究に用いられ、結果は全世界の研究機関に公表される予定とのことです。
▽患者からの血漿や髄液は、新たなバイオマーカーの探索や、治療法開発のために用いられます。
引用元
http://alsnewstoday.com/2015/09/28/target-als-postmortem-tissue-core-now-includes-pre-mortem-samples-in-collection/
・期待されたNogo-Aですが、残念ながら第2相臨床試験の結果はnegativeでした。
・このほかにNeuralstem社のNSI-566についての報告もあったようですが、内容が見当たらず、後日Neuralstem社のホームページで公表されるかもしれません
Sirtuin脱アセチル化酵素とNAD前駆体のALSに対する有効性
▽近年脱アセチル化酵素Sirtuin 1(SIRT1)の運動神経変性疾患における神経保護作用が注目されています。研究者らはALSモデルマウスとSIRT1過剰発現マウスと交配し、ALSモデルマウスにおいてSIRT1を過剰発現させました。その結果、SIRT1はSOD1変異モデルマウスの症状進行を遅延させることが明らかになりました。
▽さらに現在NAD前駆体とsirtuin活性化化合物の有効性について検討中であり、治療的有効性が期待されます
Ozanezumabの第2相臨床試験結果
▽Nogo-Aは神経突起伸長抑制蛋白質に対するモノクローナル抗体であり、ALSに対する有効性が期待されていました。
▽第2相臨床試験においては、合計303名の患者が、無作為にozanezumab投与群(15mg/kg静注を2週間に1回)とプラセボ投与群とに分けられ、46週間追跡されました
▽その結果、ALSFRS-R得点の変化量において、pzamezimab投与群とプラセボ群とで有意差はなく、さらに生存期間や筋力などの尺度においても有意差はみられませんでした
▽Nogo-AのALSに対する有効性は確認できませんでした。
引用元
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.24498/epdf
・ただし、abstractだけでは、ALSFRS-Rなどの記載はなく、統計的有意差があったのかどうかもわからず、小規模の試験でもあるため、掲示板でもはっきりしない扱いとなっていました。査読付論文に掲載された内容とのことで、以下abstractを要約します。間葉系幹細胞については、BrainStorm社も自己由来間葉系幹細胞を用いたもの(ただし分化誘導させる対象は異なると思われます)ですし、韓国でも同様の臨床試験についての報告があり、今後の展開が期待される再生医療領域でもあります。
▽今回研究者らは、自己間葉系幹細胞をそのまま静注ないし、神経経細胞に分化させた後、髄腔内投与する方法で、移植し、治療的効果について検討しました。10名の患者に移植され、15名の対照患者と比較されました。その結果、12ヶ月間で病態進行の遅延が観察されました。移植の安全性も確認されました。
引用元
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10517-015-3017-3
▽今回イギリスでは、国立医科研究機関であるMRCなどと、民間研究機関であるエーザイ製薬、イーライリリー製薬などが共同で、ALSなどTDP-43蛋白症に対する創薬を目的とした研究が開始されることが公表されました
▽すでにTDP-43排出を促進するいくつかの物質がみつかっており、動物モデルなどで作用機序や有効性などが検証中とのことです
・今後の研究成果が期待されます
引用元
http://www.researchals.org/page/news/drug_news/15015
▽神経細胞の軸索とそれをとりまくシュワン細胞のシグナル伝達障害は、髄鞘化障害や軸索変性につながります。これまでは技術的問題から、軸索と周囲のグリア細胞のシグナル経路はよくわかっていませんでした
▽今回Buffalo大学の研究者らがNature Communications誌に報告した研究によると、軸索とグリア細胞を膜を隔てて培養する新たな培養系により、軸索からのシグナルがグリア細胞にどのような影響を与えるかについて調べることが可能になりました。
▽その結果、髄鞘化に必要な新たな蛋白ファミリーが明らかになりました。それらはProhibitinsとよばれるものです。Prohibitin-2欠損モデルマウスでは、髄鞘化の障害と運動障害がみられました。
▽この技法は、ALSなどの神経変性疾患の病態研究にも応用が可能であり、新たな病態機序の解明が期待されています。
引用元
http://www.researchals.org/page/news/15021
▽Neuraltus製薬は、Idis社と共同で、ヨーロッパ版のCompassionate use、もしくは患者申出療養制度ともいえる、Managed Access Programにより、承認前薬剤であるNP001を、一定の条件をクリアしたALS患者に対して提供することを公表しました。
▽NP001は炎症細胞であるマクロファージの制御因子であり、抗炎症作用を発揮することで治療的効果が期待されている薬剤です。第2相臨床試験が終了したところですが、未承認の薬剤です
▽Neuraltus社は、組織としてNP001のManaged Accessに同意し、Idis社を通じて、NP001が提供されます。Idis社のManagement Access事業は、治療法のない難病患者を対象に、未承認薬に対して倫理的に提供することを意図するものです。
・ヨーロッパ版の患者申出療養制度ともいえるManaged Accessですが、企業が主体的に未承認薬剤の提供に動くという今回のニュースは驚きです。今後の展開が注目されます。
引用元
http://alsnewstoday.com/2015/09/22/neuraltus-and-clinigen-group-launch-np001-managed-access-program-in-europe-for-als/
▽GM604は神経機能を回復させるため、多様な作用機序を有しています。ALSに対する第2a相臨床試験では、いくつかのバイオマーカーが追跡され、血漿TDP-43濃度も測定されました。
▽Compassionate Useとして投与された、1名の進行期ALS患者においては、12週間でTDP-43濃度は63%減少しました。また第2a相臨床試験参加患者の投薬群でのTDP-43濃度の変化量は平均ー34%であり、プラセボ群では+6%でした。12週間の経過においてTDP-43濃度の平均変化率は、投薬群とプラセボ群とで有意差(p=0.0078)が観察されました。
▽Genervon社は、GM604がTDP-43の蓄積を減少させ(実際に脳内組織で検証したわけではありませんが)、その結果として、様々なタイプのALS患者において、臨床的効果が期待できると信じています。
▽最近、ALSを発症した数人の元ラグビー選手がGM604投与中です。ラグビーでは、ボールをしっかりと持つために指を舐める習慣のある選手がいます。その結果、フィールドにまかれた農薬が摂取される危険があります。農薬の影響により、TDP-43の機能が障害され、折り畳み異常蛋白質が凝集し、運動神経細胞死が生じている可能性があります。GM604はこのような農薬の毒性を緩和しうる可能性があり、治療的効果が期待されています
引用元
http://www.genervon.com/genervon/PR20150922.php
▽ミラン大学の研究者らは、SOD1変異ALSの病態についてのレビューを報告しました。
▽結論の概略は、変異SOD1蛋白質はミトコンドリアへの病的な蓄積により、SOD1変異ALSの病態において主要な役割を果たすこと、変異SOD1蛋白質は、ミトコンドリアの膜間腔に蓄積している可能性があること、細胞内へのカルシウム取り込みの減少は、ミトコンドリア膜電位の障害に起因するものではないと思われることなどです。
▽今後は、ミトコンドリア膜間腔への変異SOD1蛋白質蓄積により、どのような障害が生じるのか、病態についてさらに解明し、新たな治療ターゲットを明らかにすることが課題となります
引用元
http://alsnewstoday.com/2015/09/21/protein-misfolding-mitochondrial-dysfunction-als-pathogenesis/
▽ハエモデルおよびヒトにおいては、TDP-43とFMRPは複合体を形成します。運動神経においては、TDP-43発現は、ストレス顆粒とdFMRPとの結合を増強し、PABP(PolyA Binding Protein)とdFMRPの同一部位への局在化を促進します。
▽dFMRP投与は、TDP-43の可溶化を促進し、凝集形態を減少させました。さらにdFMRPの過剰発現は、TDP-43が結合するターゲットのmRNAであり 神経筋シナプス構成を制御するfutsch mRNAの転写抑制を防ぎました。dFMRPによりfutschの転写が回復した結果、神経筋接合部の形態が回復しました。
▽以上の結果は、ハエALSモデルにおいて、dFMRPは、TDP-43に起因した病態を回復させうる可能性を示唆しており、治療的に有用な可能性があります
(この研究は、アメリカ、University of ArizonaのCoyneらにより報告され、平成27年9月18日付のHuman Molecular Genetics誌に掲載されました)
引用元
http://hmg.oxfordjournals.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=26385636
▽チアミン欠乏はウェルニケ脳症などの神経障害を引き起こします。チアミンの貯蔵は2-4週間で枯渇します。
▽今回、ALS患者の剖検により、ウェルニケ脳症の存在が判明した2症例が報告されました。
▽ALSの病態進行期において、ビタミンB1欠乏に注意することが必要です
引用元
http://jnnp.bmj.com/content/86/10/1166.short?rss=1
▽既存のALSマウスモデルと異なり、今回開発されたブタモデルでは、ヒトALSと同様に細胞内封入体の蓄積が観察される、より病態に忠実なモデルです
▽今回Molecular Neurodegeneration誌に掲載された論文によると、研究者らは、TDP-43遺伝子変異をモデルブタに導入し、細胞内封入体などの病態再現に成功しました。
▽RNAスプライシング因子の局在異常やその他の遺伝子発現異常などの病態も再現されており、ALSの病態解明や、治療法の開発に寄与することが期待されます
引用元
http://www.asianscientist.com/2015/09/in-the-lab/amyotrophic-lateral-sclerosis-als-pig/
▽最近Plos One誌に掲載された報告によると、研究者らは、新たなALSの病態進行に関与するバイオマーカー候補を同定しました
▽このマーカーはSmadsとよばれるシグナル分子群であり、ALSにおける筋肉の病態進行マーカーとなる可能性があります
▽ALSモデルマウスでの研究により、病態進展の程度とこれら分子濃度の上昇が関連することがわかりました。さらにSmadsはTGF-βと結合することで、活性化することがわかりました
▽TGF-βの病態への役割を調べるため、研究者らはALS患者から生検にて採取した筋肉サンプルを用いて、TGF-β濃度を調べました。その結果、筋力の程度とTGF-β濃度は相関関係があることがわかりました。
▽以上より、TGF-βは、ALS骨格筋における新規マーカーとなりうる可能性があり、ALSの診断や進 行度の判断に寄与しうる可能性があります。
引用元
http://alsnewstoday.com/2015/09/18/researchers-identify-novel-muscle-biomarkers-disease-progression-als/
▽ALSにおいては、皮質神経細胞の過剰興奮性が存在することが知られています。このことは当初、C9ORF72遺伝子変異を有する家族性ALS患者において報告されました。
▽9月8日付のJAMA Neurology誌に報告された論文によると、研究者らは経頭蓋磁気刺激を用いて、孤発性ALSについても検討した結果、C9ORF72遺伝子変異ALSと同様に皮質神経細胞の過剰興奮性が確認されたとのことです
▽この過剰興奮性は、しばしば運動症状発現以前にみられうるものであり、診断のテストとして、あるいは治療ターゲットとなりうることが考えられます
▽経頭蓋磁気刺激装置は、磁気刺激を用いて、非侵襲的に皮質運動神経細胞の興奮性を調べることのできる装置です。薬物により過剰興奮性を抑制できれば治療的となる可能性があり、実際に抗てんかん薬のRetigabineの第2相臨床試験が進行中です。
▽この臨床試験では磁気刺激装置による興奮性も治療指標となっています。今後の課題としては、経頭蓋磁気刺激による興奮性は、同一被験者においても日内変動や、薬物の影響などがあり、どの時点で測定することが適切なのかはっきりと定まっていないことがあげられます。
▽現在、磁気刺激をALSのバイオマーカーとして用いることの妥当性についての研究が進行中です
引用元
http://www.researchals.org/page/news/15001
・既に当ブログでも既報の通り、ALS治療薬の承認過程迅速化のための、製薬会社、患者向けの臨床試験実施の際のガイダンスが作成されています。
▽このガイダンス作成にあたり、アイスバケツチャレンジで集まった資金の一部が活用され、ALS患者、家族、研究者、臨床家、製薬会社など100名以上が参加する見込みです
▽このガイダンスはFDAに提出され、製薬会社に対してより迅速な承認のための指針を提供する予定となっています。
▽アメリカALS協会では、今後数ヶ月間で最初の原案を完成させ、2016年2月から3月にかけて、パブリックコメントを募り、FDAに提出し、公式なFDAのガイダンスとして公表される予定とのことです。
引用元
http://www.alsa.org/news/archive/expedite-drug-development.html
▽自食作用はオメガソームの形成と、オートファゴソーム膜の形成により開始され、これがライソゾームに結合します。
▽FUS遺伝子変異は家族性ALSの5%においてみられ、孤発性ALSにおいても、FUS陽性封入体が観察されます
▽今回、研究者らは、FUS遺伝子変異が自食作用を障害することをみいだしました。FUS変異神経細胞においては、ユビキチン化蛋白質の蓄積がみられ、自食作用関連因子であるp62とNBR1の発現がみられました。またオメガソームとオートファゴソーム形成は抑制されていました
▽しかしながら、これらの細胞においてRab1蛋白質を過剰発現させると、異常所見は軽快しました。このことはRab1はALSにおいて保護的に作用することを示唆しています
▽FUS遺伝子変異ALS患者の脊髄運動神経細胞においても、LC3陽性小胞体が増加しており、このことは自食作用が障害されていることを示唆しています。ALSの病態における自食作用の障害の重要性を示唆するものです。
(この研究は、オーストラリア、Trobe UniversityのK Y Sooらにより報告され、平成27年9月14日付のCell Death Discovery誌に掲載されました)
引用元
http://www.nature.com/articles/cddiscovery201530#affiliations
▽Johns Hopkins大学のpress releaseによると、最も大規模なALS治療法発見のための研究プロジェクトが立ち上げられました。
▽このプロジェクトは、Johns Hopkins大学、Cedaes-Sinai Medical Center、マサチューセッツ総合病院などが共同で行うものです
▽Answer ALSの目的は、ALSの原因発見、治療法開発のためのヒトALS細胞モデルの開発、患者個人の細胞情報に基づく個別治療法の開発、ALSの症状緩和と、最終的にはALSを治癒する治療法の開発、研究で集まった情報の開示などです。
▽このプロジェクトの目的達成のため、最低1000名以上の患者からの情報収集や、iPS細胞の収集、臨床情報の収集などが行われる予定です。
▽このプロジェクトは、元NFL選手で、ALS患者であるSteve Gleasonの呼びかけで2013年に開催されたALS Team Gleason Summitがきっかけとなり開始されました。
▽これまでにこのプロジェクトに対して、各方面から24億円程度が集まっており、第1段階の目標達成のために必要な資金は30億円程度と見込まれています
引用元
http://alsnewstoday.com/2015/09/11/answer-als-revolutionary-project-cure-als/
▽パーキンソン病とALSに関連する遺伝子が、損傷を受けたり、古くなったミトコンドリアの代謝を通じて、より病態に強く関与していることが明らかになりました
▽研究者らは、家族性パーキンソン病関連遺伝子である、PINK1とParkinが、mitophagyとよばれるミトコンドリア代謝過程において、ALS関連遺伝子であるOptineurinとTBK1の上流に位置して機能することを明らかにしました。
▽9月10日付のMolecular Cell誌の報告において、研究者らは、リン酸化酵素であるTBK1が、どのようにしてミトコンドリア表面のユビキチン鎖とmitophagyに関連する蛋白質やOptineurinなどを結合させるかを明らかにしました。
▽損傷を受けたミトコンドリアは、Parkin蛋白質やPINK1蛋白質と結合し、さらにユビキチン化やリン酸化物の結合が起こります。ユビキチン鎖は、自食作用受容体であるNDP52やOptineurinを誘導します。Optineurinをリン酸化して活性化するTBK1がなければ、mitophagyは起こりませんでした。
▽TBK1はOptineurinをリン酸化することで損傷ミトコンドリアやユビキチン鎖との結合性を高め、自食過程を開始させます。TBK1はさらにNDP52をリン酸化し、活性化することがわかりました
・ALS関連遺伝子の機能が明らかになることにより、病態機序の解明や、将来的な治療法開発に寄与することが期待されます
引用元
http://www.researchals.org/page/news/14991
▽異常蛋白質の凝集蓄積により、細胞死が生じますが、どのような機序により細胞死が生じるかはよくわかっていません
▽HDAC6はユビキチン結合性の脱アセチル化酵素ですが、折り畳み異常蛋白質の排除などにおいて重要な、ユビキチン依存性の自食作用において、中心的な調節作用を果たすことが報告されています
▽今回、研究者らは、細胞モデルを用いて、HDAC6が、排泄促進作用により、細胞質の凝集性蛋白質による細胞毒性から保護的な作用を有することをみいだしました
▽さらに、HDAC6はライソゾームを凝集蛋白質に効果的に誘導するために必要であり、凝集蛋白質の代謝において重要な役割を有することが示唆されました。
▽SOD1変異ALSモデルマウスにおいて、HDAC6遺伝子を除去したところ、ユビキチン化したSOD1変異蛋白質の顕著な凝集がみられました。しかしながら、病態進行への影響は軽度でした。
▽以上の結果は、このモデルマウスにおける病態進行には、SOD1変異蛋白質凝集のみならず、別の機構も関与している可能性を示唆するものです。
(この研究は、韓国、Chungnam National UniversityのLeeらによって報告され、平成27年9月12日付のNeurodegenerative Diseases誌に掲載されました)
引用元
https://www.karger.com/Article/Abstract/437208