▽ヒストン脱アセチル化酵素6(HDAC6)は、オートファゴソームとライソゾームの融合を促進することにより、自食作用を促進する酵素です。今回研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスにおいて、発症段階でヒストン脱アセチル化酵素6の発現量が減少しており、病態進行と共に著明に減少することを見出しました。
▽レンチウイルスを用いたHDAC6遺伝子の注入により、HDAC6を過剰発現させると、ALSモデルマウスの生存期間が延長し、運動神経変性が減少しました。さらに、HDAC6はオートライソゾーム形成を促進し、SOD1蛋白質凝集体の分解を促進しました
▽以上の結果は、HDAC6が、自食作用を改善することにより、ALSモデルマウスにおいて神経保護作用を有することを示唆しており、ALSにおける治療対象となりうる可能性を示唆しています。
(この研究は、中国、 Shanghai Jiaotong UniversityのChenらにより報告され、平成27年7月11日付のNeuroscience Bulletin誌に掲載されました)