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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
201503<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201505
JCRファーマ株式会社による血液脳関門通過技術を利用した新薬開発
・いのべたさんよりご提供いただいた話題です。。

・ALSなどの中枢神経疾患に対して薬剤を経口的に投与する際、その薬剤が中枢神経に到達するかどうかがまず大きな問題となります。

・脳内の血管内皮細胞は、中枢神経に取り込まれる物質をコントロールしており、これが血液脳関門と呼ばれます。ここを通過できるかどうかが薬剤にとって障壁となります。

・JCRファーマ株式会社のPress Releaseによれば、血液脳関門を通過させる技術を開発し、それを用いて実際に創薬を開始しているとのことです。
元記事は以下のリンクからです
http://www.jcrpharm.co.jp/ir/news.html?id=3444&year=2015

・将来的にはALSに対してもこの技術を応用した創薬が実現することが期待されます
いのべたさんありがとうございました。
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CYBERDYNE社がiPS細胞研究所と共同で再生医療研究を推進
・かなくんさんよりご提供いただいた話題です。ありがとうございます。
・ロボットスーツHALの開発で有名なCYBERDYNE社ですが、iPS細胞研究所と共同で、さらに革新的な再生医療の研究を推進する方針であることが明らかになりました。
・元記事は以下のリンクです
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20150427/416294/?bpnet
今後の研究成果に期待されます。
Calbindin-D28Kの運動神経保護作用
▽グルタミン酸の興奮毒性による運動神経変性がALSの病因の一部として考えられています。カルシウム結合蛋白質であるCalbindin-D28Kやパルブアルブミンは興奮毒性から神経細胞を保護する作用を有することが報告されています

▽成人の運動神経細胞においては、calbindin-D28Kの発現量が少ないことが知られており、同時に脆弱性の高い運動神経細胞ではパルブアルブミン濃度も低いことが推定されます。そのため研究者らは、これらカルシウム結合蛋白質の欠乏が、ALSなどの神経変性疾患において運動神経細胞が優先的に障害される原因ではないかと考えました。

▽研究者らは、ラットの脊髄を用いて、神経栄養因子などがカルシウム結合蛋白質濃度を上昇させうるかどうかについて調べました。その結果、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、インスリン様成長因子I(IGF-I)、neuturinのいずれもが、Calbindin-D28Kの発現量を増加させることがわかりました。一方でパルブアルブミン発現量の増加は観察されませんでした。

▽さらに別のモデルでも、IGF-IとGDNFによりカルシウム結合蛋白質発現量の増加が観察されました。以上の結果より、これら神経栄養因子は、カルシウム結合蛋白質濃度の上昇を介して、グルタミン酸過剰毒性による運動神経変性から運動神経細胞を保護する役割を有する可能性があり、治療的な有用性が期待できます。

(この研究は、アメリカ、 Johns Hopkins UniversityのSprullらにより報告され、平成27年4月24日付のJournal of neuroscience research誌に掲載されました)
引用元
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jnr.23562/abstract
排泄予知ウェアラブル「DFree」
・ペーパーさんからお寄せいただいた情報です
・以下のホームページにて、排泄予知機能を有するとされる装置が開発中で発売予定のようです
https://readyfor.jp/projects/DFree
・実用性や排泄予知の信頼性については不明であり、装置についても臨床的にどの程度有効性が確認されているかの試験データが手元にありませんのでわかりません(そのため現段階で管理人が推奨できるものではありません)。超音波を用いてという記載があるのですが、皮下脂肪が厚かったりすると信頼性に影響するのかどうかなど、疑問点はあります。実際に効果があるものならば、素晴らしいものだと思います。
・ホームページによれば、本体の発送は来年とのことで、今後実際に有効性についての情報が入れば、ご紹介したいと思います
CTNF遺伝子治療は動物モデルにおいて長期間の神経保護効果をもたらす
・網膜疾患についての実験結果ですが、CTNFが網膜神経細胞の変性を防ぐことができたことから、ALSなどの神経変性疾患に対しても応用可能な可能性があるようです。

▽研究者らは、毛様体神経栄養因子(CTNF)が、網膜疾患の動物モデルにおいて、長期間の光受容体変性保護作用を有することをみいだしました

▽網膜イメージング技法を用いることで、生存下において錐体光受容体の定量的な変化を観察することが可能となりました。同時に皮質視覚野の画像的検査や視覚誘発性の行動反応を調べることで、光受容体が正常に機能しており、シグナルが大脳皮質に到達していることがわかりました。

▽CTNFによる神経保護作用を調べるため、転写産物解析が行われ、蛋白分解酵素阻害物質の広汎な転写活性化が観察され、これにより細胞骨格の変性を防ぐことができている可能性が示唆されました。

▽以上の所見は、ALSなどの神経変性疾患において、CTNFが新たな治療薬候補となりうる可能性を示唆するものです。

(この研究はイギリス、University of OxfordのLipinskiらにより報告され、平成27年4月21日付のMolecular Therapy誌に掲載されました)
引用元
http://www.nature.com/mt/journal/vaop/naam/abs/mt201568a.html
先駆け審査指定制度 試験的に開始へ
・いのべたさんよりご提供いただいたニュースです。
引用元
http://www.47news.jp/CN/201504/CN2015040201002045.html
・厚生労働省はがんや難病などで、革新的な医薬品や医療機器を世界に先駆けて早期承認、実用化するための「先駆け審査指定制度」の運用を試験的に始めるとのことです。
・通常1年ほどかかる審査過程が半年に短縮されるとのことです。FDAのAccelereted Approvalに対応するような制度でしょうか。
・一刻も早くALSの新薬が開発され、手元に届くためにこの制度が活きるといいと思います。
いのべたさん、ありがとうございました。
ALSにおける筋肉の神経終板での除神経は、Nogo-Aの発現と関連する
・現在第2a相臨床試験中の抗Nogo-A抗体であるOzanezumabの治療的有用性が期待できる基礎的な基盤となる研究結果と思われます

▽ALS動物モデルでの研究結果から、病初期における神経筋接合部での、神経と筋肉の結合が喪失する形態学的変化が注目されています。

▽今回研究者らはALS患者から採取した神経筋接合部のサンプルを電子顕微鏡で形態学的に観察しました。同時にNogo-Aの発現量についても検討されました

▽その結果、検査された9名の被検者(5名は初期、4名は長期生存者)のうち、3名において、表面筋電図による神経筋伝達機能の異常が示唆される結果でした。共焦点顕微鏡により調べられた神経筋接合部の形態は、調査された合計430箇所の全てで形態学的変化を認めました。

▽430箇所中19.7%の神経筋接合部では完全な除神経が起きていました。また神経支配の残存していた56.8%の神経筋接合部では、典型的な神経の再支配の所見を認めました。末端のシュワン細胞の形態も細胞内過程の活性化を伴う形態学的変化を認めました。いくつかのケースでは、シュワン細胞がシナプス間隙に侵入し、神経筋伝達を阻害している所見を認めました。

▽筋肉におけるNogo-Aの発現量の過剰は、神経筋接合部の除神経の度合いと有意に関連し、機能的悪化との関連性も認めました

▽以上の結果は、ALSにおける病初期からの神経筋接合部の形態学的異常の存在を示唆するものであり、Nogo-Aの発現量が神経筋接合部の除神経の度合いと関連したことから、治療的ターゲットとなりうる可能性を示唆するものです

(この研究はフランス、 Sorbonne UniversitésのBruneteauらにより報告され、平成27年4月付のAnnals of clinical and translational neurology誌に掲載されました)
引用元
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/acn3.179/abstract
酸化的ストレスの増大がALS患者の運動野で増大し、疾患の重症度と関連する:PETによる報告
・麦酒王さん、かきのたねさんからお寄せいただいた情報と、論文のabstractからの引用です

・麦酒王さん、かきのたねさん、ありがとうございます。

・福井大学、福井県立大学の研究グループからの報告です

▽研究者らはPETを用いた研究により、ミトコンドリアの機能異常による過還元状態に起因した脳内酸化的ストレスの状況と、ALSの重症度との関連性を調べました。

▽12名のALS患者と9名の健常対照者が被検者となり比較検討されました。

▽その結果、ALS患者においては運動野を含む両側中心溝周囲の脳皮質、右頭頂小葉において、酸化的ストレスの増大を示唆するトレーサー集積の増大が観察されました。また酸化的ストレスの増大と、ALSの重症度とは相関がみられました。

▽以上の結果は、ALS患者において運動野付近の酸化的ストレスの増大を示唆するものです。酸化的ストレスの増大の程度とALSの臨床的重症度との相関がみられ、酸化的ストレスがALSの病態に関与していることを示唆するものです。

(この研究は福井大学のIkawaらにより報告され、平成27年4月22日付のNeurology誌に掲載されました)
引用元
http://www.neurology.org/content/early/2015/04/22/WNL.0000000000001588.abstract
PICK1欠乏はグルタチオン合成を障害し、酸化的ストレスを増大させる
・酸化的ストレス制御に関与する新たな物質が発見されました

▽PICK1(Protein interacting with C-kinase 1)は多くの神経伝達物質受容体やトランスポータ、酵素などと相互作用を行い、それらの中枢神経における局在化と機能に影響を与えることから、研究者らの注目を集めてきました

▽PICK1はALSを含む様々な神経変性疾患の病態に関与すると考えられていますが、病態に果たすPICK1の役割はわかっていませんでした。

▽今回、研究者らは、PCIK1ノックアウトマウスにおいて、酸化的ストレスが増大していることをみいだしました。PICK1ノックアウトマウスにおける酸化的ストレスの増大は、神経細胞において選択的に観察され、年齢と共に悪化し、ミクログリアの活性化と炎症性因子の増加を伴いました。

▽PICK1ノックアウトマウスの皮質および海馬の神経細胞は、酸化的ストレスに対する脆弱性が増大し、活性酸素代謝能力の減少を認めました。このような変化は、グルタチオン産生の減少とシステイン輸送の障害に起因していました。

▽グルタチオン産生の減少は、細胞膜のグルタミン酸輸送体であるEAAC1(excitatory amino acid carrier 1)の減少と関連していました。

▽PICK1の過剰発現は、EAAC1発現量を回復させ、PICK1ノックアウトマウスの神経細胞におけるグルタチオン欠乏を改善しました。

▽以上の結果は、PICK1がグルタチオン恒常性維持の重要な制御因子であり、酸化的ストレス制御において重要な役割を果たし、ALSの病態に関与している可能性を示唆するものです

(この研究は、中国、Zhejiang UniversityのWangらにより報告され、平成27年4月22日付のThe Journal of Neuroscience誌に掲載されました)
引用元
http://www.jneurosci.org/content/35/16/6429.abstract
ミエリン由来抗原による免疫付与は、脳脈絡叢を活性化し、ALSモデルマウスの病態を改善する
・ワクチンのような物質を投与することで、ALSの病態が改善する可能性があることを示唆する基礎研究です。新たな治療的アプローチであり注目されます。

▽ALSにおいては、局所の神経炎症が病態に関与し、病態進展をもたらします。いくつかの中枢神経病態モデルにおいて、末梢免疫細胞が神経炎症反応を抑制する効果を有することが報告されています

▽そのような役割を担う免疫細胞を中枢神経に導入するための手段として、脈絡叢を介した白血球流入の活性化があります。この活性化は、インターフェロンγシグナル経路を介した機構によるものです。

▽今回、研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスを用い、モデルマウスにおいては、脈絡叢局所のインターフェロンγ濃度の低下により、脈絡叢を介した白血球流通経路が不活性化していることをみいだしました。

▽ミエリン由来抗原をモデルマウスに投与し、脈絡叢活性化を行ったところ、IL-10産生単球由来マクロファージや、Foxp3陽性制御性T細胞などの免疫制御系細胞の集簇を認め、IGF-1やGDNFなどの神経栄養因子の上昇を認めました。

▽このような免疫付与により、モデルマウスの病態進行遅延と生存期間の延長が観察されました。

▽今回の結果は、ミエリン由来抗原により末梢から免疫付与を行うことで、病態改善効果を有する免疫制御系細胞をALS患者の脊髄中に導入することが可能となる可能性を示唆するものであり、今後の臨床試験での検証と、実用化が期待されます

(この研究は、イスラエル、Weizmann Institute of ScienceのKunisらにより報告され、平成27年4月22日付のThe Journal of Neurscience誌に掲載されました)
引用元
http://www.jneurosci.org/content/35/16/6381.short
GM604について
・コメント欄でいのべたさんからも情報提供がありましたが、Genervon社のGM604について、様々な情報が錯綜しているようです。問題点を整理しておきます。

・問題の発端の一部は、ALS TDIのpresidentであるSteve PerrinがGM604の臨床試験結果について疑義を発したことによります(http://www.translateals.com/?p=16)

・今回の第2a相臨床試験の結果について、プラセボとGM604との間に12週時点でのFVCの変化量について統計的な有意差がみられたとのことですが、プラセボ群の変化量が、ALSの自然経過による変化量よりも大きく、従ってプラセボにエントリーされた群が比較的進行の早い一群が選ばれたためではないかという指摘です。

・実際に、過去の異なる臨床試験において、プラセボに割り当てられた患者群のFVCの変化量を用いて統計解析を行うと、有意差がみられなかったと指摘しています。

・そこでPerrinは、GM604投与群について、投与開始前のFVCの変化率と、投与開始後の変化率のデータを提示するように求めています。

・FDAも4月17日付で、Genervon社に対して、これらの臨床データを提出するように求めるコメントを出しています(http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm443242.htm?source=govdelivery&utm_medium=email&utm_source=govdelivery)

・FDAのこのようなコメントは異例のことで、状況はGenervon社に不利な印象ですが、Genervon社もPress Releaseにて、Perrinが用いた過去の臨床試験のデータについては、エントリー基準が異なるため、単純な比較ができないなどの反論をしています。

・今後FDAがどのような判断をするのか注目されます
MEDICINOVA社のMN-166第2相臨床試験の安全性データ中間発表
・MEDICINOVA社の4月22日付Press Releaseからです

・現在アメリカで行われているMN-166(商品名:ケタス)の第2相臨床試験の安全性に関する中間解析結果が報告され、プラセボと比較され安全性に問題がないことが確認されたとのことです

・この臨床試験はプラセボ対照比較試験であり、6ヶ月間の投与期間で症状評価が行われ、今年中に試験が終了する見込みとのことです

・既に日本では脳梗塞後遺症や気管支喘息に保険適応がある薬剤であり、良好な結果が期待されます。

引用元
http://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/data/tdnr/tdnetg3/20150422/98s59q/140120150421445710.pdf
BrainStorm社、NurOwn幹細胞移植第2a相臨床試験続報
・BrainStorm社4月21日付、Press Releaseからです

▽米国神経学会年会にてBrainStorm社のNurOwn細胞の第2a相臨床試験の結果の続報が発表されました。初発のデータもあります

▽今回報告されたものは、既に終了した第1/2相臨床試験と、今回の第2a相臨床試験に参加した全ての患者の結果を統合したものです。

▽その結果、移植後6ヶ月間の経過観察期間において、%努力性肺活量(%FVC)の変化率は1ヶ月あたり-1.2%でした。これは移植前の%FVC変化率である-5.1%/月と比較して、統計的に有意な進行遅延でした。

▽またALSFRS-Rによる機能尺度の変化量は、移植後6ヶ月間においては-0.6点/月であり、移植前における-1.2点/月よりも良好な数値でした。この変化は統計的有意差にはわずかに至りませんでした(p=0.052)

▽またMRIの3次元画像により定量化された右腕(NurOwnが筋注された部位)の筋肉体積量の減少は、移植後において改善を認めました。

▽アメリカで現在進行中の第2相臨床試験では、既に半分以上の患者がエントリーされたとのことです。

▽第2相臨床試験での良好な結果と、早期の実用化が期待されます。

学会で実際に提示されたポスター
http://www.brainstorm-cell.com/images/files/investors/AANposterFinal.pdf

引用元
http://www.brainstorm-cell.com/index.php/news-events/343-april-21-2015
協同的なケアとALSの予後
・4月10日付、ALS NEWS TODAYの記事からです

・フランスでの観察研究の結果です

▽研究者らは2000年から2012年までで、ALSと診断された2452名のフランス国内の患者について、2006年にコミュニティ・ケアのネットワークが構築される前後で、予後などにどのような影響があったかを調べました

▽コミュニティ・ケアのネットワークでは、大学で2年間のトレーニングを受けたケアを担当するコーディネータ4名と1名の心理士、1名の理学療法士がおり、大学病院での専門職チーム(神経内科医、呼吸器内科医、消化器内科医、言語療法士、理学療法士、看護師、栄養士、ソーシャルワーカなどからなる)との連携をします。

▽大学病院での専門職チームは、3ヶ月に1回、外来通院中のALS患者に対して、状態を評価し、推奨されるケアについて文書にまとめたものを提示します。コーディネータの要請により、必要に応じて理学療法士らが家庭訪問を行います。さらにコーディネータは介護提供者と専門職との連携を仲介する役割を担います。コーディネータは4-6週間に1回、電話などで患者ないし家族に状況確認と要望について聴取します。

▽以上のような多職種連携でのネットワーク・ケアを受けた場合、ケアを開始する前と比較して、ALSFRS得点の変化率が、ケア提供前の1.57点/月と比較して、提供開始後は0.79点/月と、統計的に有意に進行遅延を認め、生存期間も中間値で13.2ヶ月延長したとのことです。

▽ネットワーク・ケアは、入院頻度の減少にもつながり、機能的予後、生存期間を改善しました。多職種の連携によるケアが重要であることを示唆しています

引用元
http://www.biomedcentral.com/1472-6963/15/134
ALS進行のタンパク質特定 名大などのチーム
・麦酒王さんよりご提供いただいた情報です。
・中日新聞4月18日付の記事からです
元記事
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015041790012941.html
・こちらのブログでも、アストロサイト由来のTGF-β1の増加がモデルマウスにおいて病態進展に関与していることを報告した学会発表の記事までは掲載しましたが、その後さらに研究が進展し、モデルマウスにTGF-β1のシグナル経路を阻害する物質を投与することで、病態進展を抑制できるところまで判明したようです。
・今後の臨床応用が期待されます。
・麦酒王さん、ありがとうございました。
Catabasis社が新たな臨床試験を予定
・4月16日付ALS ForumのDrug Newsからです

▽イギリスの製薬企業であるCatabasis Pharmaceuticals社は、複数の作用機序を有する薬剤であるCAT-4001を開発中です

▽CAT-4001はNrf2/NF-κB阻害薬であり、酸化的ストレスと炎症経路の双方を抑制することによりALSに対する治療的効果が期待されています

▽現在前臨床段階であり、この段階で有望な結果が得られた場合、来年にも臨床試験を開始したいとしています

引用元
http://www.researchals.org/page/news/drug_news/14483
米国ALS協会、ハーバード幹細胞研究所、グラクソスミスクライン社などが共同で新たな臨床試験を開始
・4月15日付ALS AssociationのNewsからです

▽米国ALS協会、ハーバード幹細胞研究所、マサチューセッツ総合病院は、グラクソスミスクライン社と共同で、抗てんかん薬のALSに対する有効性を検証する臨床試験の開始をアナウンスしました

▽同時に、各患者から採取された幹細胞を用いて、神経細胞を培養し、治療反応性についての実験に使用されることになっています

▽この臨床試験は、Retigabineとよばれる、独特な作用機序を有し、神経細胞の興奮性を抑制する薬剤を用いるもので、ALSにおける神経細胞の過剰興奮性を抑制することで治療的効果が期待されています。

▽臨床試験に先立って、患者から幹細胞が作成され、治療反応性の予測に用いられることになっています

▽ALSにおいて神経細胞の過剰興奮性は重要な意義を有すると考えられており、今回、この病態に対して介入することにより治療効果の有無が検証されることになります。また幹細胞を作成し、治療反応性を予測する試みも初めてであり、今後の治療研究の先駆的な取り組みとなる見込みです。

引用元
http://www.alsa.org/news/archive/gsk-trial-collaboration.html
iPS細胞腫瘍化の仕組み解明…慶応大教授ら
・麦酒王さんよりご提供いただいた情報です。
・YOMIURI ONLINEの記事からです
元記事
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=117459
・下の記事でもそうですが、幹細胞関連の技術の急速な進展を感じます。昨年までは運動神経細胞は分化させることが可能でも、軸索を長距離伸長させ筋肉支配をさせることはできていなかった(はず)だと思います。
・早期の病態解明と治療応用を期待します
・麦酒王さん、ありがとうございました
マウスおよびヒトES細胞によるFoxp-1による四肢神経支配可能な運動神経細胞の分化
▽脊髄運動神経は呼吸、姿勢、運動などの様々な運動機能をコントロールしており、ALSなどの神経変性疾患で障害されます

▽幹細胞から運動神経細胞を分化させる技術により、試験管内で疾患モデルを再現することが可能になっています。しかしながら、これまでのところ、分化させることのできる運動神経細胞のサブタイプは限られていました。

▽今回、研究者らは、四肢への神経支配をすることのできる外側細胞柱(LMC)の運動神経細胞を、転写因子であるFoxp1を用いることでES細胞から生成することに成功しました

▽Foxp-1により分化した運動神経細胞は、生体内において四肢筋肉に対して軸索を伸長することが確認されました。これらの結果は、幹細胞から軸索を伸長することが可能な運動神経細胞を生成可能であることを示唆しており、疾患の病態理解の促進と、治療的応用への可能性を期待させるものです。

(この報告は、アメリカ、 University of CaliforniaのAdams KLらにより報告され、平成27年4月14日付のNature Communications誌に掲載されました)
引用元
http://www.nature.com/ncomms/2015/150414/ncomms7778/full/ncomms7778.html
ALSと血清抗トランスグルタミナーゼ6抗体
▽セリアック病はグルテンに対する遺伝的素因を有する個体に生じる自己免疫疾患です。グルテン不耐性は失調や神経障害などの神経学的症状として発現することがあり、消化器症状を伴う場合と、伴わない場合とがあります

▽グルテン起因性の運動失調は、神経細胞のトランスグルタミナーゼ6(TG6)に対する抗体によって生じます。当初ALSと
診断された患者が、後にセリアック病であると判明した2症例が報告され、グルテン除去食により改善しました

▽今回、研究者らは、ALS患者と健常者とで、セリアック病関連抗体とHLA抗原アリル。TG6抗体の保有率を調べ、ALSに類似したグルテン関連神経障害の存在の有無を検証しました。

▽今回の症例対照研究では、150名のALS患者と、115名の健常対照者を対象に、血清総IgA抗体、抗トランスグルタミナーゼ 2IgA抗体、抗筋内膜IgA抗体、deamidated gliadine peptideおよびTG6に対するIgAおよびIgG抗体、HLA抗原遺伝子型などが測定されました。

▽その結果、全てのALS患者および健常対照者において、TG2、筋内膜、deamidated gliadine peptideに対するIgA抗体は陰性でした。

▽ALS患者の23名(15.3%)はTG6に対するIgA抗体が陽性であり、健常対照者では、わずか5名(4.3%)が陽性でした。この差は統計的に有意な差でした。抗TG6IgA抗体が陽性のALS患者においては、症状経過は典型的なALSと同じものでした。

▽セリアック病に特異的なHLA抗原の保有率は、抗TG6 IgA抗体陽性ALS患者において59.1%、健常対照者においては28.6%であり統計的に有意な差を認めました

▽以上の結果は、予備的なものであり、今後の検証が必要ですが、ALS症状を呈する一部の患者において、グルテン不耐性に関連した自己免疫機序が病態に関与している可能性を示唆するものであり、グルテン除去食により治療可能な一群が存在する可能性を示唆するものです。

(この研究は、イスラエル、Tel Aviv Medical CenterのGadothらにより報告され、平成27年4月13日付のJAMA Neurology誌に掲載されました)
引用元
http://archneur.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2241558
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