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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
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慶応大、iPS細胞から完全な神経 試験管内で
慶応大学の岡野栄之教授らは人体の様々な組織になるiPS細胞を試験管の中で完全な神経に育てる実験に成功した。体の外で作った神経としては極めて複雑な構造をしており、体内にある本物の神経網に近づいた。試験管で神経を培養できる利点は大きい。神経が壊れる難病の仕組みを間近で解明し、画期的な新薬の開発が進む。
 作製した神経は電線の被膜のようにミエリンと呼ぶたんぱく質が神経線維に巻き付き、信号を正しく伝える構造になっていた。
 脳や脊髄の中枢神経は脳から手足などに信号を届けたり、末端からの刺激を中枢に送ったりする。ミエリンを失うと信号が伝わりにくく、運動障害が出る多発性硬化症をはじめ多くの病気になる。原因を調べたくても、体内の神経を詳しく解析するのは限界があった。
 神経はいったん衰えると自然には再生しないとされ、再生医療の大きな目標の一つになっている。これまでは複雑に入り組んだ構造を再現できず、完全な神経を作れていない。
 研究チームは健康な人から提供を受けた皮膚をもとにiPS細胞を作り、神経のもととなる神経幹細胞に60日間かけて育てた。さらに40日間培養して成熟させたところ、神経線維の周りを包むように20周ものミエリンの層ができ、完全な神経に育ったという。電子顕微鏡で観察した。複数の細胞の成長を制御できたとみている。
 今後は同じ手法で病気の人のiPS細胞から神経を作り、正常な神経と構造が違うかどうか調べて病気の原因に迫る。治療薬の候補物質を試し、神経の異常が改善するかも検証できる。
 国内外の再生医療研究ではiPS細胞を様々な組織や臓器に変えて、ケガや病気で失った患部を治す動物実験が急速に進んでいる。人ではこれからだが、研究室では肝臓の細胞や血小板などができている。
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第11回日本再生医療学会総会
2012年6月12日(火)~14日(木)にパシフィコ横浜で第11回 日本再生医療学会総会がありました。
その中でALS関連の報告がないか調べましたらありましたので報告します。

『筋萎縮性側索硬化症モデルマウスにおける骨髄由来細胞の治療有用性の検討』

寺島智也1, 小川暢弘1, 小島秀人2, 浦部博志1, 山川勇1,
早瀬史子1, 大井二郎1, 金一暁1, 川合寛道1, 前川聡1
1 滋賀医科大学 内科学講座(糖尿病・腎臓・神経内科),
2 滋賀医科大学 分子遺伝医学講座
福田昇1, Zhou Xueli1, 池田和也1, 上野高浩1, 松本太郎2,相馬正義1
1 日本大学 腎臓高血圧内分泌内科,
2 日本大学 細胞再生移植医学

【目的】筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウス(hSOD1(G93A))では、脊髄組織にて多数の血球細胞が認められることや骨髄移植にて神経症状の改善効果があることが報告されている。そこで我々は、骨髄移植前にstem cell factor (SCF) やfms-like tyrosine kinase 3 (flt3)など分化誘導因子投与にて、骨髄移植による神経症状改善効果が増
強するか否かについて検討した。
【方法】[1] hSOD1(G93A) にGFP 発現マウスより骨髄移植を行い、脊髄組織内でのGFP 陽性細胞の出現およびその特徴を検討する。[2]hSOD1(G93A) にSCF またはflt3 培養後の骨髄細胞を骨髄移植し、神経症状改善効果を検討する。[3] SCF またはflt3 培養後骨髄移植にてhSOD1(G93A) 脊髄組織で認められる骨髄由来細胞の特徴を検
討する。
【結果】骨髄移植後hSOD1(G93A) 脊髄組織にて、多数の骨髄由来細胞が確認され、運動機能の改善効果を認め、SCF 培養後の骨髄移植にてその作用は増強された。また、脊髄組織内の骨髄由来細胞はMAP2,GFAP 陰性であり、Iba-1 陽性細胞を多数認めたことより、ミクログリア系の細胞であると考えられた。
【結論】SCF 培養後の骨髄移植にてALS モデルマウスの病態改善効果が認められ、さらなる骨髄由来細胞による治療有用性が示唆された
がん化の危険性減少 熊本大がiPS細胞新技術
神経や筋肉などに変化(分化)する能力があるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を培養する際、一定期間、特定のアミノ酸を与えないことで、がん化する危険性のある細胞を大幅に減らすことに、熊本大発生医学研究所と医学部小児科のチームが成功した。
 iPS細胞は人間の皮膚などの細胞に特定の遺伝子を入れて作る万能細胞。再生医療などへの応用が期待される一方、分化しなかった細胞ががん化する恐れがあり、安全性向上が課題とされている。
 研究しているのは、同研究所の白木伸明助教(35)と、妻で小児科の白木恭子医師(36)ら。白木助教によると、人間のタンパク質を形成する20種類のアミノ酸を1種類ずつ省いた培養液を与えて比較。10日間の培養期間のうち、メチオニンを2日間だけ与えなかった場合、すべてのアミノ酸を与えたときと比べ、分化しなかった細胞が20分の1に減少。目的通り分化した細胞は10%以上増えた。いずれも20種の比較で最も顕著だった。
 分化しなかった細胞は、分化した細胞と比べ、メチオニンを大量に消費しており、不足すると細胞死することが分かった。
 これまで、分化しない細胞だけを取り除く技術はなかった。指導した発生医学研究所の粂昭苑教授は「がん化の可能性がある分化しない細胞の除去は、iPS細胞活用の大きな課題。特殊な薬剤などを使わずに、安全に減らすことができる技術」と言う。白木助教は「効率よく目的の細胞を作ることができ、iPS細胞を使った新薬開発の促進などにつながる可能性がある」と話す。
 15日に横浜市である国際幹細胞学会で発表する。

運動神経細胞の変成 治療法開発 名大と自治医科大
全身の筋力が低下する遺伝性の難病「球脊髄性筋萎縮症」。
これを引き起こす運動神経細胞の変性を食い止め、病気の進行を抑止する治療法について、名古屋大と自治医科大の研究グループがマウスレベルの実験で確認した。
この成果は2012年6月3日付の米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表された。

球脊髄性筋萎縮症は男性のみに起こる病気で、30~60歳ごろに発症することが多い。
国内では約2千人の患者がいると推定されている。
これまでの「球脊髄性筋萎縮症」治療法は、変性した細胞が死んだ後の治療がメーン。変性そのものを止める手だてはなかった。
こうした神経変性疾患の共通原因は、神経細胞にたまる異常タンパク質。
疾患によって溜まる異常タンパク質の種類は違うが、研究対象となった球脊髄性筋萎縮症の場合、「異常アンドロゲン受容体タンパク質」(異常AR)が原因になっている。
研究グループは、マウスの遺伝子解析で、タンパク質合成を担う主要物質のメッセンジャーRNAに着目。
異常ARを合成している異常メッセンジャーRNAは、「CELF2」というタンパク質と結合してしまうことがわかった。
さらに生体内に500種類以上あり、遺伝子の発現を調節する「196a」というマイクロRNAが、CELF2の発現を抑えることも分かった。
CELF2の発現を抑えると、異常メッセンジャーRNAの安定性が下がって分解が進み、異常ARの量が減少するのである。
そこで球脊髄性筋萎縮症のマウスに、196aを注射したところ異常ARが約60%減少し、運動機能が維持された。

この結果を、人についても応用。
患者から採取した皮膚の細胞に投与すると、異常ARの発現を抑えるという効果が確認されたという。
つまり、神経変成疾患の仕組みの一端を解明し、治療の方向性が明らかになったということだ。
グループが開発した治療法は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、他の神経変性疾患でも、(1)異常タンパク質を合成するメッセンジャーRNA、(2)それを安定させるタンパク質、(3)その発現を抑えるマイクロRNAの3つの組み合わせが分かれば、応用が可能と言うことになるのだ。
名古屋大の祖父江元教授(神経内科学)は「病気の根本原因を抑える世界に先駆けた治療法だ」と話している。

名古屋大学 大学院医学系研究科 細胞情報医学専攻 祖父江 元 (ソブエ ゲン)教授
http://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/view/html/100001258_ja.html
名古屋大学発表資料
http://www.nagoya-u.ac.jp/research/pdf/activities/20120604_med.pdf

皆さんと一緒に美味しいコーヒーとケーキを食べれる日がまもなく訪れますね。僕はその日を楽しみにしています。皆さんも諦めずに未来を信じてください。
神経難病の進行を抑制 名大などが新治療法
遺伝子異常により、神経細胞に有害なタンパク質が蓄積する神経難病「球脊髄性筋萎縮症(SBMA)」の進行を抑える治療法を、名古屋大大学院医学系研究科の祖父江元教授や大学院生の宮崎雄医師らのグループが自治医科大のグループと共同で開発した。病気のメカニズムがよく似ているアルツハイマー病やパーキンソン病の治療にも応用が期待できる。英医学誌「ネイチャー・メディシン」電子版に3日、発表した。
 SBMAは遺伝子異常が原因で、神経細胞に有害なタンパク質を運動神経にため込んで、全身の筋肉がやせ細る難病。全国に2千人の患者がいる。
 グループは、タンパク質の量を調節するマイクロリボ核酸(RNA)に注目。培養細胞の実験で、神経細胞に有害なタンパク質の合成を促す「CELF2」というタンパク質を発見し、CELF2の発現を抑制するマイクロRNAを特定した。
 SBMAの症状を再現したマウス40匹を2グループに分け、一方にだけこのマイクロRNAを大量に投与すると、有害なタンパク質は60%減少した。人間の患者から採取した皮膚細胞にも投与したところ、70%減少した。
 アルツハイマー病やパーキンソン病をはじめ、SBMAと同様に神経細胞に有害なタンパク質をため込んで引き起こされる病気は少なくない。疾患ごとに、タンパク質の量を減らすマイクロRNAを見つけることで、治療法の応用が可能になる。
 祖父江教授は「これまでは疾患別に原因究明がなされてきたが、患者数の少ない疾患から共通の要素を見いだすことができた。広く応用できる治療法になる」と期待を込める。
ヘルペスウイルスは神経ミトコンドリア輸送を害して増殖/拡散する
皆さんこんにちは、非常に重要なニュースです。
ヘルペスウイルスは神経のミトコンドリア輸送障害を介して効率的に増殖/拡散していくことを示した研究成果が発表されました。

ヘルペスウイルスとは、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E7%A7%91
ミトコンドリアとは、
http://hobab.fc2web.com/sub2-mitochondrion.htm
ミトコンドリアの輸送系とは、
http://hobab.fc2web.com/sub4-mitochondrial_transporter.htm
ミトコンドリア輸送障害とALSについての論文
http://www.alsjapan.org/contents2/info0/downloads/h18-murakami-report.pdf
SOXはFezf2エンハンサーに作用して皮質脊髄神経系の発達を促す
SOX転写因子はFezf2遺伝子エンハンサー領域E4に作用し、皮質脊髄神経の独自性(アイデンティティー)や連結性を制御していることを示した研究成果が発表されました。

皮質脊髄神経とは、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E8%84%8A%E9%AB%84%E8%B7%AF
SOX転写因子とは、
http://www.pdbj.org/mom/index.php?l=ja&p=112
NEDOと阪大、「IT創薬」の基板技術の開発と実証に成功 『従来に比べ100倍以上の効果』
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、NEDO創薬加速支援事業の一環として、医薬品候補化合物をコンピュータシミュレーションにより探索する「IT創薬」の研究開発を進めていた大阪大学蛋白質研究所の中村春木教授らの研究グループが、基盤技術の開発・実証に成功したと発表した。

今回の研究成果は、5月26日開催の「バイオグリッド研究会2012(公益財団法人都市活力研究所)」で、共同研究者の産業技術総合研究所の福西快文主任研究員によって紹介される予定だ。
近年、製薬企業の研究開発費は増加の一途をたどっており、有望な医薬品候補化合物の発見につながる新たな技術開発が求められている。このため、NEDOは2008年より創薬加速支援事業をスタート。日本の強みである世界最高レベルのタンパク質構造解析技術、分子間相互作用解析技術、計算科学技術を組み合わせることで、「IT創薬」という新しいアプローチの有効性を実証し、研究開発費を抑えた効率的な医薬品候補化合物探索を可能にする基盤技術の開発が進められているところだ。

しかし、従来のコンピュータシミュレーション技術では、十分な効果を持ち、なおかつ医薬品となり得る化合物の取得は困難とされていた。そこで今回、中村教授らは独自に開発を進めてきたコンピュータシミュレーション用の基本ソフトウェア「myPresto」に改良を加えることにより、従来に比べて100倍以上高い効果を示す医薬品候補化合物の取得を可能にした次第だ。

細胞膜上には「膜タンパク質」と呼ばれる一連のタンパク質群が存在しており、これらは重要な創薬標的といわれている。myPrestoは、これら膜タンパク質の生体内における複雑な立体構造を精緻に予測できるため、膜タンパク質に特異的に結合する医薬品候補化合物をシミュレーションにより高精度に探索することが可能となった。
このシミュレーション技術は、膜タンパク質の1つである「μオピオイド受容体」(画像1)を対象とした鎮痛・鎮静薬の候補化合物の取得により実証された形だ。μオピオイド受容体は、モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬の作用点として知られており、生体内では、脳から神経伝達ペプチドの「エンドモルフィン(EM-1)」が分泌され、μオピオイド受容体に結合して鎮痛効果を発揮する。

オピオイド受容体には、μ(ミュー)、δ(デルタ)、κ(カッパ)というサブタイプが存在するが、モルヒネなどの既存の麻薬性鎮痛薬は、サブタイプ選択性が低いこと、神経伝達ペプチドとの作用機序の違いなどに起因する麻薬依存性、便秘、呼吸抑制などの副作用を示す。
従って、副作用の少ない麻薬性鎮痛薬を開発するためには、EM-1と類似の作用を持つ化合物の取得が必要だといわれてきたのである。
EM-1は、細長く柔軟性に富む分子で多様な立体構造を採り得る得るが、ペプチド分子の採り得る複雑な立体構造を調べ尽くす手法は確立されていない。そこで、高効率の計算手法(マルチカノニカル分子動力学計算:McMD in myPresto/Cosgene)により網羅的な立体構造の探索が行われた結果、適切なEM-1の立体構造を得ることができたというわけだ。
次に、高速・高精度のタンパク質-化合物ドッキングソフト「myPresto/Sievgene」を用いて、μオピオイド受容体のタンパク質立体構造にEM-1をドッキングし、μオピオイド受容体-EM-1複合体モデルを作成。

そして、2000万個以上の低分子化合物の分子モデル構造をデータベース化し(myPresto/LigandBox)、これらの化合物から、EM-1に類似した化合物(化学構造は異なるが、生理活性が類似している化合物)が選び出された。
myPresto/MD-MVO法では、μオピオイド受容体-EM-1複合体モデルを基に、通常使われている化学構造式の類似性ではなく、μオピオイド受容体に結合したEM-1分子の体積と電荷を考慮することによって、EM-1分子とよく重なり、μオピオイド受容体の「リガンド」(受容体に特異的に結合する物質で、受容体との高い親和性を持つ)の結合ポケットに収まる化合物を選び出すことが可能だ。
この結果、IC50(50%阻害濃度)値として1μMより強い活性を示す複数の低分子化合物を取得することに成功。これらの化合物はEM-1との化学構造の類似性が低いものだった。
今回開発されたシミュレーション技術を用いて鎮痛・鎮静薬の候補化合物を探索したところ、従来のコンピュータ手法で得られる化合物に比べて100倍以上高い効果を示す化合物を取得することができた。

今回の成果は、さまざまな医薬品候補化合物の探索においても有効であり、「IT創薬」が実用段階に入ったことを示すものといえると、研究グループはコメントしている。

「IT創薬」実用化へ―従来に比べ100倍以上の効果―
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構プレスリリース 2012年5月21日
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100126.html

分子シミュレーションシステム「myPresto」
http://www.jbic.or.jp/activity/st_pr_pj/mypresto/index_mypr.html
脳震盪とALS
激しく頭を打つと一時的に意識を失ったり,記憶が一部喪失することがある。それが脳震盪(のうしんとう)で脳細胞の損傷が原因だ。重量級の選手どうしが激しくぶつかり合うアメリカンフットボールでは脳震盪を起こすことも多い。元選手の中には難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)にかかる人がいるが,実は,それは度重なる脳震盪による,ALSとは似て非なる神経変性疾患である可能性が指摘されている。

日経サイエンス  2012年5月号
http://www.nikkei-science.com/201205_076.html
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