脳にはもともと、神経が束になって成長するのを抑える仕組みがある。新たに発見された物質は、この仕組みを妨害していた。こうした働きをする薬があれば、神経再生につながるとして注目されている。竹居准教授はこの物質を「LOTUS(ロータス)」と名付けた。ヒトにも存在し、将来的には神経の再生医療につながる可能性があるという。米科学誌サイエンス(電子版)に5日、論文が掲載される。
竹居准教授は、中枢神経の中でもにおいを伝える「嗅索」という部分は比較的再生しやすいため、神経再生にかかわる物質があるのではないかと着目した。マウスの胎児の脳をすりつぶして別のマウスに与え、体内で数百種類の抗体を作成。その抗体をさらに別の胎児マウスの脳に添加し、神経の伸びに異常が出るかどうかを調べた。
すると束になるはずの神経が、束にならなくなる異常を引き起こす抗体が見つかった。その抗体と反応する物質を調べたところ、膜たんぱく質の一種で、神経の成長を阻む仕組みを妨害していた。
毎日jp
http://mainichi.jp/life/health/medical/news/20110805k0000m040155000c.html
横浜市立大学> 研究成果
竹居光太郎准教授らの研究グループが脳脊髄の神経再生を阻む作用を抑制する新規分子LOTUSを発見
-米科学誌Scienceに掲載-
http://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/res/takei2011_8.html
Science
Cartilage Acidic Protein-1B (LOTUS), an Endogenous Nogo Receptor Antagonist for Axon Tract Formation
http://www.sciencemag.org/content/333/6043/769.abstract