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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
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自食関連タンパク質のウイルスベクター注入による治療的効果
▽自食作用の活性化はALSの治療法として精力的に研究されています

▽Rab7は自食作用において重要な役割を果たしています。これまでに研究者らはALSモデル動物においてRab7の翻訳後修飾であるプレニル化が障害されていることを報告しています

▽そこで研究者らはRab7のプレニル化を触媒する酵素であるRabGGTBをウイルスベクターで注入し、治療効果があるかどうかを調べました

▽ALSモデルマウスの脊髄にRabGGTBをエンコードするアデノ随伴ウイルスベクターを注入し、RabGGTBを過剰発現させたところ、モデルマウスの発症遅延効果と生存期間の延長効果がみられました。

▽以上の結果は、RabGGTBによるRab7のプレニル化促進がALS治療法として有望な可能性を示唆するものです

(この研究は中国、 The Second Hospital of Hebei Medical UniversityのGaoらにより報告され、2023年3月14日付の Front Aging Neurosci.誌に掲載されました)

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新規アデノ随伴ウイルスベクターによるALSモデルマウスに対するHGF注入
▽今回、研究者らは新規アデノ随伴ウイルスベクターを用いて活性型のHGF(肝細胞増殖因子)を注入する方法を開発しました。

▽HGFは運動神経細胞の生存を支持をする効果が報告されています。

▽TDP-43蛋白症モデルマウスに対してこのベクターを用いてHGFをくも膜下腔内に注入したところ、運動皮質におけるミクログリオーシスやアストログリオーシスの減少と上位運動神経細胞変性が抑制されました。

▽以上の結果は、新規ウイルスベクターによるHGF注入がALS治療法として有望な可能性を示唆するものです。

(この研究は、アメリカ、Northwestern UniversityのGencらにより報告され2023年2月24日付のGene Ther.誌に掲載されました)
CRISPR/Cas9によるC9orf72遺伝子変異ALS治療戦略
▽C9orf72遺伝子の6塩基繰り返し配列の過剰伸長は家族性ALSの最も一般的な病因です。その神経細胞死については、C9orf72のハプロ不全、RNA結合タンパク質の核内封鎖、ジペプチド繰り返しタンパク質の生成などによるものが考えられています

▽今回、研究者らは、アデノ随伴ウイルスベクターを用いて、CRISPR/Cas9ゲノム編集機構を導入し、C9orf72遺伝子から6塩基繰り返し配列を除去することに成功しました。

▽C9orf72遺伝子変異モデルマウス由来の大脳皮質神経細胞、患者iPS細胞由来運動神経細胞などにおいても6塩基繰り返し配列の除去に成功しました。またその結果、ジペプチド繰り返しタンパク質やハプロ不全などのC9orf72遺伝子変異ALSの病態に特徴的な異常も減少しました。

▽以上の結果は、CRISPR/Cas9によるゲノム編集技術がC9orf72遺伝子変異ALSに対して有望な治療法である可能性を示唆するものです。

(この研究は、アメリカ、University of Massachusetts Medical SchoolのMeijiboomらにより報告され、2022年10月21日付のNature Communications誌に掲載されました)
遺伝子治療SynCav1がALSモデルマウスに治療的効果
・ALS NEWS TODAYの8月26日付記事からです

▽SynCav1とよばれる遺伝子治療によりALSモデルマウスに対して治療的な効果があることが報告されました。

▽SynCav1はCaveolin-1とよばれる遺伝子をエンコードする遺伝子のコピーをアデノ随伴ウイルスベクターにより神経細胞に注入する治療法です。Caveolin-1は神経細胞の健康を維持するために重要な細胞膜タンパク質です。

▽これまでに動物モデルにおいてCaveolin-1の産生を増加させると運動機能が維持されることが報告されています。

▽今回、研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスにおいて、SynCav1をくも膜下腔内投与しました。その結果、生存期間が10%程度延長し、神経筋接合部機能も保持される傾向がみられました。

▽研究者らはさらに基礎研究を継続し、臨床試験の実施につなげたいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/news/als-gene-therapy-syncav1-extends-survival-mouse-model/
Tofersenの早期開始が有益な可能性
・ALS NEWS TODAYの6月8日付記事からです

▽Biogen社のSOD1変異ALS治療薬候補であるTofersenの第3相試験と延長試験の結果がEuropean Network to Cure ALS年会にて報告されました。

▽それによると、12か月間の延長試験において、Tofersenの継続投与は、早期投与開始群において有意な進行遅延効果を有することを示唆する結果が得られたとのことです。

▽Tofersenはアンチセンス・オリゴヌクレオチド製剤であり、6か月間のプラセボ対照第3相試験では、髄液中のSOD1タンパク質の減少効果などを認めたものの、主要評価項目は達成できませんでした。

▽6カ月のプラセボ対照期間を終了した患者のうち88%の患者が延長試験にエントリーしました。延長試験の経過も含めた解析の結果、第3相試験開始時点からTofersen投与を開始された患者群は、延長試験に入ってからTofersenを開始した群よりも有意にALSFRS-R得点の減少度が緩徐であり、肺機能や筋力なども良好であることがわかりました

▽現在、ALSを発症していないがNfL値の上昇を示すSOD1変異ALS患者150人を対象に、Tofersenの新たな第3相試験が行われています

引用元
https://alsnewstoday.com/news/als-progression-slows-better-with-earlier-tofersen-start-data-shows/
遺伝子治療ターゲットとしての上位運動神経細胞
▽今回、研究者らは、ALSの病態における上位運動神経の関与について調べ、遺伝子治療の有効性をモデルマウスで検証しました。

▽その結果、上位運動神経の消失が脊髄運動神経の変性とは無関係に起こり、上位運動神経細胞が遺伝子治療の有効な細胞標的となりうることがわかりました

▽ UCHL1(ubiquitin C-terminal hydrolase-L1)は、遊離ユビキチンの濃度を維持するために重要な脱ユビキチン化酵素です。UCHL1の機能を失ったモデルマウスでは、運動神経細胞の変性、消失が選択的に生じることがわかっています

▽モデルマウスにおいて、下位脊髄運動神経のみにおけるUCHL1活性を除去しても、上位運動神経細胞は影響を受けず保持されました。

▽UCHL1遺伝子を除去したモデルマウスの上位運動神経細胞のみに遺伝子治療によりUCHL1遺伝子を導入することにより、上位運動神経細胞の糖合成が健常レベルまで回復しました。

▽さらにSOD1変異ALSモデルマウスおよびTDP-43変異ALSモデルマウスにおいて、アデノ随伴ウイルスベクターにより上位運動神経に対して選択的にUCHL1遺伝子を導入したところ、折り畳み異常SOD1蛋白質およびTDP-43凝集体による病態が緩和しました。

▽以上の結果は、上位運動神経細胞をターゲットとした遺伝子治療がALSに対する治療法として有望な可能性を示唆するものです

(この研究は、アメリカ、Northwestern UniversityのGencらにより報告され、2021年12月2日付のGene Therapy誌に掲載されました)
C9orf72遺伝子変異ALSに対するWVE-004の臨床試験で投薬開始
・ALS NEWS TODAYの7月22日付記事からです

▽Wave Life Science社のALS治療薬候補であるWVE-004の第1b/2a試験において、患者への投与が開始されたことが公表されました

▽この臨床試験では50名の患者を対象に24週間でWVE-004の単回ないし複数回投与の安全性とジペプチド繰り返し蛋白質の産生量の変化などが評価されます。

▽c9orf72遺伝子からは通常V1、V2,V3の三種類のmRNAが生成し、このうちV1とV3から有害なジペプチド繰り返し蛋白質が生成すると考えられています。WVE-004はアンチセンス・オリゴヌクレオチド製剤であり、V1とV3を阻害し、一方で健康なV2については阻害しないように設計されています

▽マウスでの基礎実験ではWVE-004はマウス脊髄のジペプチド繰り返し蛋白質の90%以上、脳周辺のジペプチド繰り返し蛋白質の80%以上を除去することに成功しました。

▽2022年中に結果が判明する予定となっています

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2021/07/22/dosing-begins-proof-concept-trial-wve-004-als-ftd-c9orf72-mutations/
骨髄由来細胞移植によるGLT1遺伝子注入はモデルマウスの病態を緩和する
▽CD68陽性の骨髄由来細胞は、SOD1変異ALSモデルマウスでは、移植後に病変部に集積することが知られています

▽今回研究者らはこの骨髄由来細胞の病変部への集積性を利用して、細胞を用いた遺伝子治療の遺伝子キャリアとして応用できるかどうかを検討しました

▽骨髄由来細胞に、グルタミン酸の毒性から神経細胞を保護し、CD68プロモーターで駆動するグルタミン酸トランスポーター(GLT)1を発現するレンチウイルスベクターを感染させ、ALSマウスに移植しました

▽その結果、移植を受けたモデルマウスは、運動機能の改善と生存期間の延長を示しました。さらに、インターロイキン-1βが有意に抑制され、IL-4、アルギナーゼ1、FIZZが有意に増加していました。

▽以上の結果は、骨髄由来細胞移植によるGLT1の発現が、治療的効果を有することを示唆しており、今後の治療的応用が期待されます

(この研究は、滋賀大学のOhashiらにより報告され、2021年6月17日付のScientific Reports誌に掲載されました)
新規臨床試験情報(BIIB067)
・アメリカでの新規臨床試験情報です。すでに第3相試験が実施中のBIIB067(tofersen)ですが、新たに発症前のSOD1変異ALS患者を対象に第3相試験が開始予定となっています

▽150名の患者を対象にプラセボ対照で行われ、最長2年間で発症予防効果などが検証される予定です。

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04856982
新規臨床試験情報(ION363)
・Ionis社のFUS変異ALSに対する治療薬候補であるION363の第3相試験が開始予定です。

・ION363は、変異FUS mRNAに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド製剤です。64名の患者を対象にプラセボ対照で行われ、投与群については、28週目までは4週に1回、29-72週までは8週に1回、髄腔内投与され、有効性や安全性などが検証される予定です

・2024年3月に終了予定となっています

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04768972
孤発性ALSに対するION541の臨床試験で投薬開始
・ALS NEWS TODAYの10月27日付記事からです

▽Ionis社のALS治療薬候補であるION541の第1/2相試験において、最初の患者に対して投薬開始されたことが公表されました。

▽この試験は70名の孤発性ALS患者を対象となりプラセボ対照で行われます。ION541はataxin-2と呼ばれる蛋白質に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドです。ALSにおいては細胞質内にTDP-43凝集体が形成されることが知られていますが、ataxin-2を除去すると、TDP-43の凝集体形成が顕著に抑制されたとの基礎実験での報告に基づく創薬となります

▽ION541はataxin-2 mRNAに結合し、ataxin-2の発現を阻害する核酸医薬品です。IONIS社は既に家族性ALSを対象とした2つの治療薬候補(tofersenとIONIS-C9Rx)の臨床試験を行っています。

▽この臨床試験はBiogen社と共同で行われており、2023年に結果が判明する予定です

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2020/10/27/dosing-phase-1-2-trial-ion541-antisense-treatment-for-sporadic-als/


BIIB078の第1相試験において最初の患者がエントリー
・ALS NEWS TODAYの9月4日の記事からです

C9orf72遺伝子変異ALSを対象としたBIIB078の第1相試験において最初の患者がエントリーされたことが公表されました。BIIB078はC9orf72変異に由来した異常蛋白質の生成を阻害するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤であり、Biogen社とIonis社の共同で開発されています。

▽この第1相試験では75名のC9orf72遺伝子変異ALS患者を対象に、プラセボ対照で260日間、BIIB078の安全性と忍容性が確認される予定です。

引用元
https://alsnewstoday.com/news-posts/2020/09/04/first-patient-enrolled-in-als-phase-1-gene-therapy-study-in-ireland/
microRNAをエンコードするアデノ随伴ウイルスベクターによるSOD1変異ALS治療
▽2名のSOD1変異ALS患者に対して、変異SOD1 mRNAを標的とするmicro RNAをエンコードするアデノ随伴ウイルスベクターの単回くも膜下腔内投与が行われました。

▽22歳の患者1では、脊髄組織中のSOD1濃度は未治療SOD1変異ALS患者よりも低値でした。髄液中のSOD1濃度は患者1では一過性にわずかに低下しましたが、56歳の患者2では変化がありませんでした。

▽患者1は注入後のウイルスベクターに対する免疫反応により髄膜神経根炎を発症しました。患者2については、治療前に免疫抑制剤を投与することでこの合併症を避けることができました

▽患者1については右下肢筋力の一過性の改善がみられましたが、生命予後の改善はみられず、投与後15.6カ月で死亡しました。

▽一方で患者2については、治療後も1年以上安定した状態を維持しているとのことです。

▽以上の結果はSOD1変異ALSの治療法としてウイルスベクターを用いたmicroRNA注入が治療法として有望なことを示唆するものです

(この研究はアメリカ、 University of Massachusetts Medical SchoolのMuellerらにより報告され、2020年7月9日付のNew England Journal of Medicine誌に掲載されました)
舌内AAVrh10-mir SOD1投与はALSモデルマウスの呼吸機能を改善する
▽家族性ALSの病因の1つであるSOD1遺伝子変異ALSにおいては、変異遺伝子の発現を低下させることで病態進行を遅らせることができると考えられています。

▽今回研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスを用いて、舌のみに変異SOD1発現を阻害するmicroRNAを注入し治療的効果が得られるかどうかを検証しました。

▽6週齢のSOD1変異ALSモデルマウス11匹に、アデノ随伴ウイルスベクターに組み込んだmiR SOD1(AAVrh10-miR SOD1)の舌内注射を1回行いました。

▽13週齢から、呼吸機能の評価と嚥下試験を病期末期まで月2回施行されました。未治療のSOD1変異ALSモデルマウスでは、野生型マウスと比較して呼吸機能の有意な低下がみられたのに比較して、AAVrh10-miR SOD1注入モデルマウスでは呼吸機能の低下は野生型マウスと比較して減少がみられませんでした。

▽一方、AAVrh10-miR SOD1投与は嚥下機能には未治療モデルマウスと比較して有意な効果がみられませんでした。

▽以上の結果は、モデルマウスへのAAVrh10-miR SOD1投与は、上気道の開存性を高めることで呼吸機能を維持することができることを示唆しており、今後の実用化に向けて有望な選択肢となりうることを示唆しています。

(この研究は、アメリカ、University of MissouriのLoriらにより報告され、2020年6月5日付のHum Gene Ther誌に掲載されました)
MicroRNA-183-5pはALSにおいて神経保護作用を有する可能性
▽ALSの基本的病態は、蛋白質凝集体の蓄積または活性酸素種の蓄積によって引き起こされる神経細胞の長期ストレス暴露です。しかし、ストレス暴露と細胞死との関連は不明です。

▽今回研究者らは、神経細胞に豊富なmiRNAであるmiR-183-5pが、ALSにおけるストレス暴露と細胞死プログラミングを結びつけていることを明らかにしました。

▽miR-183-5pはPDCD4とRIPK3を直接標的とすることでアポトーシスとネクロプトーシスの経路を調整し、ストレス下での細胞死から神経細胞を保護しています。

▽ALS患者やモデルマウスでmiR-183-5pの減少が確認されたことから、miR-183-5pはストレス条件下での運動神経細胞生存の中心的な制御因子である可能性があります。この結果はmiR-183-5pが有望なALSの治療対象となりうる可能性を示唆するものです。

(この研究は中国、 Sichuan UniversityのLiらにより報告され、2020年6月18日付のJ Cell Mol Med.誌に掲載されました)
ALSモデルマウスに対するアデノ随伴ウイルスベクターの舌内および胸腔内投与による治療的効果
▽研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスに対して、変異SOD1遺伝子をターゲットとする人工的microRNAをエンコードしたアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-miRSOD1)を注入し、治療的効果を検証しました。

▽AAV-miRSOD1は舌内と胸腔内に注入され、呼吸機能や運動機能が追跡されました。舌および横隔膜におけるSOD1遺伝子発現抑制が確認されました。生存期間は対照群と比較して約50日延長し、体重減少や筋力低下も抑制されました。

▽組織学的にも横隔膜神経筋接合部や横隔神経と舌下神経の神経終末軸索が保持されていました。以上の結果はAAV-miRSOD1の舌内および胸腔内投与が治療的効果を有することを示唆するものです

(この研究はアメリカ、 University of Massachusetts Medical SchoolのKeelerらにより報告され、2019年12月24日付のMol Ther Methods Clin Dev.誌に掲載されました)

GADD34ノックダウンはSOD1変異ALSモデルマウスの病態改善効果を有する
▽SOD1変異ALSにおいては、折り畳み異常SOD1蛋白質が、小胞体ストレス応答/統合的ストレス応答(UPR/ISR)を惹起します。この応答においては、elF2α(eukaryotic translation initiator factor 2α)をリン酸化するPERK(Protein kinase R (PKR)-like endoplasmic reticulum kinase )が関与しており、タンパク質合成の広範な阻害が生じます。GADD34(Growth arrest and DNA damage 34)はリン酸化elF2αの脱リン酸化をもたらし、タンパク質合成を正常化させます。

▽折り畳み異常蛋白質において小胞体ストレス応答/統合的ストレス応答が過剰亢進した場合、CHOP( CCAAT/enhancer-binding homologous protein)が活性化し、アポトーシスにつながります。

▽今回研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスにおいて、CHOPないしGADD34のノックダウンを行い、その影響を調べました

▽CHOP発現をアンチセンスオリゴヌクレオチドで阻害した場合、治療的効果は観察されませんでした。一方で、新生児期のSOD1変異ALSモデルマウスにGADD34ショートヘアピンRNAをエンコードしたアデノ随伴ウイルスベクター9型を注入したところ、生存期間の延長効果が確認されました。さらにSOD1凝集体やアストロサイト、ミクログリアの減少も観察されました

▽一方で成長後のモデルマウスに注入しても治療的効果はみられませんでした。

▽以上の結果は、小胞体ストレス応答/統合的ストレス応答を治療ターゲットすることがSOD1変異ALSに対する治療戦略として有望な可能性を示唆するものです

(この研究はアメリカ、University of Chicago Medical CenterのGhadgeらにより報告され2019年12月16日付のNeurobiology of Disease誌に掲載されました)
軟膜下アデノ随伴ウイルスベクター投与はALSモデルマウスに治療的効果
▽ウイルスベクターを用いてショートヘアピンRNAを注入し、遺伝子発現を抑制することは神経変性疾患治療法開発において有望な戦略の1つです。

▽今回、研究者らは軟膜下にウイルスベクターを注入する技法を開発し、脊髄全域に対してアデノ随伴ウイルスベクターを注入することに成功しました

▽発症前のSOD1変異ALSモデルマウスに対して、SOD1遺伝子の発現を阻害するshRNAをコードしたアデノ随伴ウイルスベクター9型を軟膜下に単回投与したところ、長期間におよぶ発症抑制効果と運動神経細胞の保持作用を認めました。

▽発症後のモデル動物に投与した場合においても病態進行阻害作用と運動神経保持作用がみられました。軟膜下投与の有効性はブタなどその他の動物においても確認されました

▽今後、アデノ随伴ウイルスベクターの軟膜下投与がALS治療法開発において有望な治療戦略となりうることが期待されます

(この研究は、アメリカ、University of California San DiegoのBravo-Hemandezらにより報告され、2019年12月23日付のNature Medicine誌に掲載されました)
アデノ随伴ウイルスベクターによるNeuturin投与はALSモデルマウスにおいて神経保護作用
▽神経栄養因子はALSに対する治療薬候補としてこれまでに研究されてきました。しかしながら臨床試験においては様々な原因により有効性を確認することができていません。

▽パーキンソン病においては、2型アデノ随伴ウイルスベクターを用いたneuturin投与が、基礎実験および臨床試験において有効性を示唆する結果が得られています。

▽この手法はALSにおいては検証されていません。今回研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスに対して、neuturinをエンコードする2型アデノ随伴ウイルスベクターを投与し治療的効果を検証しました。

▽ウイルスベクターは60日齢のSOD1変異ALSモデルマウスの頸髄に対して投与されました。その結果、用量依存性に神経保護作用が観察されました。この神経保護作用は投与部位局所的に観察され、前肢の運動機能低下が抑制されました。

▽以上の結果はアデノウイルスベクターによるneuturin投与がモデルマウスに対して治療的効果を有することを示唆しており、今後の臨床試験実施が期待されます

(この研究は、アメリカ、Johns Hopkins UniversityのGrossらにより報告され、2019年10月31日付のExperimental Neurology誌に掲載されました)
家族性ALSに対してtofersenは有害なSOD1蛋白質を減少させる
・ALS NEWS TODAYの5月3日付記事からです

▽第3相試験が開始されているtofersenですが、2019年5月に開催されたアメリカ神経学会年会において、第1/2 相試験における良好な結果が報告されました

▽TofersenはもともとはIONIS-SOD1RxないしBIIB067として知られていた薬剤で、アンチセンスオリゴヌクレオチド製剤です。

▽変異SOD1遺伝子由来のRNAに結合し、有害蛋白質の発現を阻害します。動物実験では筋肉機能の改善や生存期間の延長効果などが確認されていました。

▽第1/2相試験では、50名の患者が無作為にプラセボないしtofersen 20mg、40mg、60mg,ないし100mgに無作為割付され12週間経過観察されました

▽予備的な結果では、高用量群において、髄液中のSOD1蛋白質の有意な減少が確認されました。また臨床症状についても、ALSFRS-Rにおいて進行遅延を示唆する結果が得られました。

▽参加者は100mgの用量で臨床効果が良好な傾向がみられ、安全性については大きな問題がありませんでした。

▽Biogen社はこれらの結果を受けて、第3相試験を開始しています。

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/05/03/biogen-tofersen-reduces-toxic-sod1-protein-levels-familial-als/
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